大学入試は一般選抜だけではありません。総合型選抜と学校推薦型選抜(いわゆる「年内入試」)で進学する人が、いまでは相当な割合を占めています。この記事では方式の違いと、どう判断すべきかを整理します。

相談で最も多い誤解が「推薦は学力がなくても受かる楽な道」というものです。実際には、評定平均は日々の定期テストの積み重ねですし、志望理由書や小論文の準備には時間がかかります。楽ではなく、時期と必要な力が違うだけです。
- 推薦は楽な道ではない。評定と書類の準備に時間がかかる
- 評定平均は高1の成績から入る。高3で挽回しにくい
- 指定校推薦は合格したら辞退できない。確実に行く大学だけ
方式の違いを整理する
総合型選抜の定義・必須の3要素・日程は総合型選抜とは?で、学校推薦型選抜(指定校・公募)のしくみは推薦入試とは?で、文部科学省の実施要項の原文から整理しています。この記事では、方式の違いとどれを選ぶかに絞ります。
| 方式 | 旧名称・特徴 | 主な選考 | 時期の目安 |
|---|---|---|---|
| 総合型選抜 | 旧AO入試 | 志望理由書・面接・小論文など。評定基準がない大学も多い | 9月以降 |
| 学校推薦型(公募) | 旧公募推薦 | 評定平均の基準あり。他大学との併願可の場合も | 11月以降 |
| 学校推薦型(指定校) | 高校ごとの枠 | 校内選考が最大の関門。合格したら辞退できない | 11月以降 |
| 一般選抜 | 学科試験 | 学力勝負。年内入試がダメでも受けられる | 1月以降 |
※ 出願時期・選考内容・評定基準は大学・学部ごとにまったく違います。必ず志望校の募集要項で確認してください。ここでは共通する考え方だけを扱います。
年内入試で大学に入る人がどれくらいいるかは、文部科学省の令和7年度 国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要(2025年11月26日公表)に3年分が載っています。大学の入学者数と、入学者全体に占める割合(かっこ内)を並べました(2026年10月12日に確認)。
| 年度(入学) | 総合型選抜 | 学校推薦型選抜 | 2つの合計(計算) |
|---|---|---|---|
| 令和5年度 | 92,393人(14.8%) | 224,473人(35.9%) | 316,866人(50.7%) |
| 令和6年度 | 98,520人(16.1%) | 214,549人(35.0%) | 313,069人(51.1%) |
| 令和7年度 | 126,766人(19.5%) | 221,415人(34.1%) | 348,181人(53.6%) |
令和7年度は、大学入学者の53.6%(計算)が年内入試で入っています。人数は学校推薦型選抜のほうが多く、総合型選抜の約1.7倍です(221,415÷126,766で計算)。
※ 文部科学省は、令和7年度から選抜の区分を「一般選抜」「総合型選抜」「学校推薦型選抜」に整理し直したことと、外国人留学生を対象とする選抜を含めたことから、令和7年度の数値は令和6年度と比較できないと注記しています。令和6年度から7年度への差は、増減としては読まないでください。
評定平均とは何か
評定平均の出し方とA〜Eの区分は評定平均とは?で、自分の評定での計算は評定平均の計算ツールで確かめられます。

学校推薦型で使われる評定平均は、高校の成績(5段階)を平均したものです。
正式には「全体の学習成績の状況」といい、計算方法は文部科学省の大学入学者選抜実施要項(令和8年5月27日付け8文科高第318号・2026年8月13日確認)に「すべての教科・科目の評定の合計数をすべての評定数で除した数値」と定められています。高1から積み上がり、体育や芸術も同じ1科目として入ります。
- 高1の成績から含まれる…ここが最大のポイントです。高3で挽回するのは構造的に難しい
- 全教科が対象…体育や芸術も含まれます。副教科を軽視できません
- 一度確定した評定は変えられない…毎回の定期テストがそのまま蓄積されます

だから「高1のうちから推薦を視野に入れておく」ことに意味があります。高2の終わりに「推薦を狙いたい」と言われても、評定平均はほぼ決まっています。逆に言えば、高1で真面目にやっておくだけで選択肢が広がるということです。
どの方式を選ぶべきか
総合型選抜が向いている人
- やりたいことがはっきりしている…志望理由書で書くことがあります
- 学校外の活動がある…部活、資格、ボランティア、探究活動など
- 書く・話すのが苦にならない…選考の中心がここです
- 評定が足りず推薦型が難しい…評定基準がない大学もあります
学校推薦型(指定校)が向いている人
- 評定平均が高い…校内選考は評定で決まることが多いです
- その大学に確実に行きたい…合格したら辞退できません。ここは絶対に確認してください
- 早く決めて落ち着きたい…年内に進路が確定します

指定校推薦で必ず伝えているのが「辞退できない」という点です。あとから他大学に行きたくなっても変えられませんし、辞退すると翌年以降の後輩の枠に影響することもあります。「受かりそうだから」で選ぶ方式ではありません。
一般選抜に絞るべき人
評定が足りず、書類や面接の準備に時間を割く余裕がない場合は、無理に年内入試を狙わないほうが結果的に良いことがあります。中途半端に両方やると、どちらも仕上がりません。
3つの方式の向き・不向きを、1つの表に並べます。
| 方式 | 向いている人 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 総合型選抜 | やりたいことがはっきりしている/学校外の活動がある/書く・話すのが苦にならない/評定が足りず推薦型が難しい | 選考の中心は書類と面接。評定基準がない大学もあるので、募集要項で確かめる |
| 学校推薦型選抜(指定校) | 評定平均が高い/その大学に確実に行きたい/早く決めて落ち着きたい | 合格したら辞退できない。辞退すると翌年以降の後輩の枠に影響することもある |
| 一般選抜に絞る | 評定が足りず、書類や面接の準備に時間を割く余裕がない | 中途半端に両方やると、どちらも仕上がらない |
出典:この節の本文を並べ直したもので、新しい数字は入れていません。評定の基準や辞退の扱いは、大学・高校ごとに募集要項と校内の案内で確かめてください。
年内入試を受けるときの最大のリスク

最も多い失敗は、年内入試の準備に集中して、一般選抜の勉強が止まることです。
- ①9〜11月:書類・面接の準備に時間を取られる
- ②12月:結果待ちで勉強が手につかない
- ③不合格…このとき、一般組から3か月分遅れている状態になります

「落ちたときに戻れる状態」を保ったまま受けてください。具体的には、年内入試の準備は週末に寄せて、平日は学科の勉強を止めないのが現実的です。両方やる前提で計画を立ててください。

志望理由書と面接の準備
- なぜその大学・学部なのか…他大学でも通用する内容だと弱くなります
- 入学後に何をしたいか…カリキュラムや研究内容と結びつける
- これまでの経験とのつながり…実績の大きさより、そこから何を考えたか
面接も基本は同じで、書類に書いたことを自分の言葉で話せるかが問われます。だから、書類は人に書いてもらわないでください。自分で書いていないと、面接で必ず崩れます。

高校の先生に添削してもらうのが最も確実です。その大学に何人も送り出しているので、何が評価されるかを知っています。塾や予備校で対策する場合も、まず学校の先生に見てもらってからにしてください。
学校の先生の添削で足りる人と、塾を考えたほうがいい人の分け方は、総合型選抜は塾に行くべき?で、総合型選抜の必須の3項目ごとに整理しています。
高1・高2のうちにやっておくこと
- ①定期テストで評定を確保する…高1の成績から使われます。これだけで年内入試の選択肢が残ります
- ②興味のある分野を1つ持っておく…総合型で書くことがある状態にしておく
- ③学科の勉強を止めない…最終的に一般選抜になっても戦えるように
①と③は結局同じことです。日々の勉強を積み上げていれば、どの方式でも戦えます。


準備が独学では難しいと感じたら
志望理由書や小論文は、自分では良し悪しの判断がつきにくい分野です。学校の先生に見てもらうのが第一ですが、学科の勉強と並行して進める負担も大きくなります。
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よくある質問
- 評定平均はいつ確定しますか?
-
「高3の1学期まで」という規則があるわけではありません。実施要項が定めているのは、卒業見込みで最終学年の成績がまだ出ていない場合は「当該学年における直近の成績を総合し、高等学校として判定した成績」を調査書に記入する、というものです。つまり、高校が調査書を作る時点で確定しているぶんが入ります。年内入試は出願が秋なので、結果的に高3の1学期までになることが多い、というだけです。
自分の場合にどこまで入るかは、調査書を作る高校の先生に確認してください。
- 評定が足りません。年内入試は諦めるべきですか?
-
総合型選抜には評定基準がない大学もあります。ただし基準がない分、志望理由書や面接の比重が上がるので、準備の時間は必要です。
- 指定校推薦はどうやって決まりますか?
-
校内選考で決まります。評定平均が中心ですが、欠席日数や生活面が見られることもあります。枠と基準は高校ごとに違うので、進路指導の先生に確認してください。
- 総合型選抜のために特別な活動が必要ですか?
-
必須ではありません。大きな実績より、「その経験から何を考え、なぜこの学部を志望するに至ったか」のつながりのほうが重視されます。
- 年内入試と一般選抜、両方の準備は可能ですか?
-
可能ですが、平日は学科の勉強を止めないことが条件です。書類や面接の準備を週末に寄せる形にしてください。
一般選抜の準備を止めないために、過去問の進め方も確認しておいてください。

学部選びから考えたい方はこちらもご覧ください。

年内入試が不合格だった場合の考え方はこちらです。

評定平均は高1から積み上がります。この時期にやるべきことはこちら。

一般選抜を併願する場合は、共通テストの時間配分も確認しておいてください。

年内入試と一般選抜で、かかる費用も変わります。

総合型・推薦では、英語の外部検定スコアが出願要件や評価対象になることがあります。

自分の評定平均が何なのか、あと何科目上げれば出願条件に届くかは計算ツールで出せます。

総合型選抜には、オープンキャンパスへの参加そのものを出願資格に書いている大学があります。「行かないと不利」ではなく「その方式では出願できない」という形なので、要件の確認は早いほうがいいです。


