大学受験には、塾や予備校の費用とは別に、受験そのものにかかるお金があります。この記事では、見落とされやすい項目まで含めて整理します。

保護者面談で毎年出るのが「思ったより受験料がかかった」という話です。1校あたりの金額は把握していても、併願校が増えると総額が跳ね上がることを見落としがちです。先に全体像を知っておくと、出願校を決める段階で調整できます。
受験にかかる費用の内訳
2026年8月4日に、公式資料で金額を確認しました。共通テストの検定料は令和9年度(2027年度入試=現在の高3が受ける回)の確定額、国立の検定料は省令の標準額、私立の受験料と入学料は各大学の募集要項および文部科学省の調査によるものです。私立大学の一般選抜の要項は年度ごとに出るので、出願前に必ず志望校の募集要項で確認してください。
| 項目 | 金額 | 補足 |
|---|---|---|
| 共通テスト(3教科以上) | 18,000円 | 成績の閲覧を希望すると18,300円。別に払込手数料188円 |
| 共通テスト(2教科以下) | 12,000円 | 地歴と公民は合わせて1教科と数えます |
| 国立大の二次試験 | 17,000円 | 省令の標準額。前期・後期で別々にかかります |
| 公立大の二次試験 | 大学による | 一律ではありません。17,000円の大学も30,000円の大学もあります |
| 私立大の一般選抜 | 35,000円が標準 | 別途、事務手数料が1回1,000円前後かかる大学があります |
| 私立の医学部・歯学部 | 医6万円/歯4万円前後 | 併願するとここだけで数十万円になります |
| 私立の共通テスト利用 | 15,000〜20,000円台 | 一般方式のおよそ半額。まとめ出願で割引がある大学も |
| 私立の入学料(入学しない大学) | 平均240,365円 | 文科系約22万/理科系約24.5万/医歯系は約109万 |
| 交通費・宿泊費 | 受験地による | 地方から都市部だと1回5〜10万円 |

意外と知られていないのが「地歴と公民は合わせて1教科」という数え方です。国語・地理歴史・公民の3科目で出願する人は、教科としては2教科なので12,000円です。ここを勘違いして多めに払う必要はありません。
「国公立の検定料は一律17,000円」ではありません
17,000円というのは国立大学の省令上の標準額です。公立大学はこれに縛られません。実際に、東京都立大学は17,000円ですが、大阪公立大学は30,000円です(いずれも一般選抜)。
もう1つ知っておいてほしいのが、二段階選抜(いわゆる足切り)が行われた場合の返還です。国立大学では検定料17,000円が第1段階4,000円・第2段階13,000円に分かれており、第1段階で不合格になった場合は13,000円が返還されます。手続きが必要なことがあるので、通知が来たら必ず読んでください。
最も見落とされるのが「入学しない大学の入学金」
私立を滑り止めで受ける場合、合格したら入学手続きの締切までに入学金を払う必要があります。そして第一志望に合格して進学しなかった場合、この入学金は原則として戻ってきません。
- 手続き締切日を必ず確認する…国公立の合格発表より後に締切がある大学を選べば、支払わずに済むことがあります
- 延納制度の有無を調べる…入学金の納入を遅らせられる大学があります
- 滑り止めの数を絞る…「念のため」で増やすと、この費用が積み上がります

出願校を決める前に、各大学の手続き締切日を一覧にしてください。これをやるだけで、数十万円変わることがあります。受験生本人ではなく、保護者の方が調べたほうが確実です。
入学金は戻りませんが、授業料は戻ることがあります
ここは毎年もめるところなので、はっきり書いておきます。入学金と授業料では、扱いがまったく違います。
| 納めたお金 | 入学を辞退した場合 |
|---|---|
| 入学金(入学料) | 返還されません。「入学できる地位を確保するための対価」と位置づけられているためです |
| 授業料・施設設備費 | 3月31日までに辞退を申し出れば、原則として返還されます |
| (例外)専願・推薦での合格 | 返還の対象外としている大学がほとんどです |
| (例外)4月1日以降の辞退 | 原則として返還されません |
この扱いは、2006年11月27日の最高裁判決で示された考え方が土台になっています。文部科学省もこれを受けて、3月31日までの辞退者への授業料返還を入試要項に明記するよう各大学に求めています。

ここを知らずに「全額捨てた」と思い込んでいる家庭が、実際にあります。返還には期限内の申請が必要で、黙っていても戻ってきません。国公立の発表を待って辞退するなら、申請の期限と方法を、入学手続きをする時点で確認しておいてください。
延納制度がある大学は、実質2段階で払えます
私立大学の入学手続きには、2段階に分けられる大学があります。第1次手続で入学金だけを納め、授業料などの残額は第2次手続の期限まで待ってもらえる形です。
この場合、第2次手続の期限が国公立の合格発表より後なら、入学金だけで押さえておけることになります。金額の差はかなり大きいです。入学金自体の延納はほとんどの大学で認められていないので、そこは織り込んでおいてください。
- 第1次手続(入学金)の締切日…ここを過ぎると合格が無効になります
- 第2次手続(授業料)の締切日…国公立の合格発表より後かどうかが分かれ目です
- 授業料返還の申請期限…3月31日としている大学が多いですが、大学ごとに違います
この3つを併願校ぶん書き出すだけで、払う順番と、払わずに済む金額が見えます。受験生本人がやると抜けるので、保護者の方が募集要項を見て作ってください。
交通費・宿泊費も計算に入れる
地方から都市部の大学を受験する場合、この費用が無視できません。
- 同じ地域の大学は日程をまとめる…1回の遠征で複数校受けられると大きく変わります
- 宿は早めに押さえる…受験シーズンは埋まるうえ、直前は価格も上がります
- 地方会場の有無を確認する…私立には地方会場を設ける大学があり、交通費と宿泊費が丸ごと不要になります

地方会場が使えるかどうかは、募集要項に必ず書いてあります。「わざわざ東京まで行くつもりだったが、地元で受けられた」というケースは実際にあります。ここは必ず確認してください。
入学後にかかるお金
受験が終わってからも支出は続きます。進学先を決める前に、ここまで含めて話し合っておくべきです。
- 入学金と初年度の授業料…私立文系と理系、医歯薬系で大きく変わります
- 一人暮らしの場合の生活費…家賃・食費・光熱費で年間100万円前後が目安
- 教科書・PC・実習費…学部によっては初年度に10万円以上
国の高等教育の修学支援新制度や、大学独自の奨学金・授業料減免があります。世帯収入によって対象が変わるので、早めに確認してください。

奨学金は高3の春〜夏に予約採用の申込があるものもあります。受験が始まってから調べると間に合わないことがあるので、高2の終わりごろから情報を集めておくのが安全です。学校の進路指導室が最も確実な窓口です。
塾・予備校の費用は別に考える
ここまでが受験そのものの費用です。塾や予備校の費用は、これとは別に年間で発生します。


費用を抑えたい場合、通塾型よりオンラインのほうが総額を抑えられることが多いです。移動時間もかからないため、時間の面でも負担が小さくなります。
お金の話は、早めに家庭で共有する
受験は本人の努力の話であると同時に、家庭の予算の話でもあります。
- 併願は何校までにするか…受験料の総額に直結します
- 一人暮らしが可能かどうか…進学先の選択肢そのものが変わります
- 奨学金を使う前提か…借りる場合は返済も含めて話し合ってください

この話を受験直前にすると、必ずもめます。「行きたい大学があるのに反対された」という相談の多くは、事前にお金の話ができていなかったことが原因です。高2のうちに一度、数字を出して話しておいてください。


よくある質問
- 併願は何校が平均ですか?
-
家庭の方針によりますが、私立を3〜5校程度受ける人が多い印象です。ただし受験料と体力の両方を消耗するので、「ここなら通ってもいい」と思える大学に絞ってください。
- 入学金は本当に戻らないのですか?
-
入学金(入学料)は返還されません。一方で授業料や施設設備費は、3月31日までに辞退を申し出れば原則として返還されます(専願・推薦での合格は対象外としている大学がほとんどです)。ただし期限内の申請が必要で、黙っていても戻ってきません。募集要項の「入学辞退」「学費の返還」の項目を必ず読んでください。
- 受験料の割引はありますか?
-
同じ大学で複数学部を併願すると2校目以降が割引になる制度や、共通テスト利用と一般を同時出願すると安くなる制度がある大学があります。募集要項の「検定料」の項目を確認してください。
- 奨学金はいつ申し込みますか?
-
高3の春〜夏に予約採用の募集があるものがあります。学校を通じて申し込むので、進路指導室で早めに確認してください。
- 国公立と私立で総額はどれくらい違いますか?
-
授業料だけでも4年間で大きな差が出ます。ただし自宅から通えるかどうかの影響のほうが大きい場合もあるので、通学の可否とセットで比較してください。
高校受験の費用についてはこちらにまとめています。

塾・予備校の費用をタイプ別に比べたい場合は、こちらにまとめています。

推薦の出願条件になる評定平均は、計算ツールで確認できます。



コメント