塾長として最も多く見てきた失敗は「基礎に穴があるまま集団塾に入れる」ケースです。集団と個別のどちらを選ぶかを、料金ではなく学力位置で決めるための判断基準を整理します。

塾を探しているんですが、集団塾と個別指導、どっちがいいのか本当に分かりません。料金も違うし、説明を聞いてもどちらも良さそうに見えて…。

両方の形態を見てきた立場から言うと、この判断は「子どもの性格」ではなく「今の学力位置」でほぼ決まります。曖昧な基準ではなく、はっきりした線引きをお伝えします。
- 学校の成績が上位1/3…集団塾。競争環境と入試レベルの授業が効きます
- 真ん中〜下位、または特定科目に穴…個別指導。まず穴を埋めないと集団授業が理解できません
- 基礎に大きな穴がある…個別 or AI教材。集団に入れても座っているだけになります
- 難関校志望で基礎は固まっている…集団(またはコーチング型)。演習量と情報量が武器になります
集団塾と個別指導の違い【徹底比較】
| 比較項目 | 集団塾 | 個別指導塾 |
|---|---|---|
| 月謝の実例(中学生) | 5教科込みで月1.8〜3.0万円 | 1コマ90分・週1回で月1.5万円〜(科目を足すほど積み上がる) |
| 授業の進み方 | カリキュラム固定・全体に合わせる | その子の理解度に合わせる |
| 質問のしやすさ | 手を挙げる必要がある | その場で聞ける |
| 競争環境 | あり(順位・クラス分け) | ほぼなし |
| 講師の質 | ベテラン専任が多い | 教室により差が大きい(学生講師も) |
| 入試情報 | 豊富(大量のデータを持つ) | 教室差が大きい |
| 向いている状況 | 基礎ができていて上を目指す | つまずきを埋めたい |
| 最大のリスク | ついていけないと時間の無駄になる | ぬるくなって学習量が落ちる |
※月謝は各社が公開している実額です。集団=臨海セミナー(神奈川教室・5教科/中1 17,930円・中2 25,300円・中3の9〜12月 29,700円)、個別=個別指導塾WAM(週1回90分/中1・中2 15,200円〜・中3 16,800円〜)。いずれも税込で、地域によって金額が異なり、教材費・維持費・講習費は別途かかります(臨海セミナー 授業料/WAM 料金・いずれも2026年8月11日確認)。年間総額の試算は塾費用シミュレーターでどうぞ。
成績帯別の向き不向き|いまの位置で決まります
集団と個別のどちらが向くかは、性格よりもいまの学力位置でほぼ決まります。基準は偏差値ではなく、直近の定期テストで平均点とどれだけ離れているかにしてください。学校ごとに平均は違うので、平均点との差で見るのがいちばんぶれません。
| 直近テストの位置 | 向く形態 | 理由 |
|---|---|---|
| 平均点+20点以上 | 集団 | 「解ける前提」で進む授業についていけます。周りと競う環境がそのまま燃料になるタイプが多い層です |
| 平均点の前後 | どちらでも可。科目数で決める | 4科目以上なら集団が割安、1〜2科目なら個別。この層は形態より受ける科目数のほうが効きます |
| 平均点−20点前後 | 個別 | 集団の進度だと、分からないまま次の単元に進みます。止まって聞ける場所がないと差が開き続けます |
| 平均点−40点以下 | 個別(前の学年に戻す前提で) | 今の学年の内容を追うより、どこで詰まったかを特定するのが先です。戻れる塾かどうかを体験で確認してください |
「平均点−20点より下なのに集団を選ぶ」のが、いちばん多い失敗です。安いからという理由で選ぶと、座っているだけの時間にお金を払うことになります。
【重要】集団塾で失敗する典型パターン
塾長として最も多く見てきた失敗が、「基礎に穴があるまま集団塾に入れる」ケースです。
集団授業は「前の単元が理解できている」前提で進みます。中2で連立方程式の授業を受けても、中1の文字式が分かっていなければ、授業時間はまるごと無駄になります。本人は真面目に座っているのに成績が下がる——この状態が一番つらい。

保護者の方から「塾に通っているのに下がりました」と相談されるケースの多くがこれです。集団塾は「上げる場所」ではなく「上位を維持・加速する場所」と考えると判断を誤りません。
逆に、個別指導で失敗するパターン
個別の失敗は「ぬるくなる」ことです。競争がなく、講師が優しく、進度も本人に合わせるため、学習量そのものが落ちることがあります。
- 宿題が出るか・管理されるか…週1〜2回の授業だけで伸びる子はいません。家庭学習の設計があるかが決定的
- 講師は固定か…毎回変わると、つまずきの履歴が引き継がれません
- 1対何人か…1対1・1対2・1対3で密度が全く違います。料金だけで比べないこと
- 演習時間があるか…説明を聞くだけで演習しない授業は、分かった気になって終わります
料金だけで比べてはいけない理由
中学生の家庭が1年間に塾へ払っている額は、公立中学校で平均23万385円です。ただしこれは塾に通っていない家庭(公立中の34.0%)も含めた平均で、実際に支出した家庭だけに絞ると年34万9千円、年40万円以上を払っている層が23.3%で最も多いという分布になります。学年別では中1が13万3,647円、中2が21万3,759円、中3が34万1,220円。
出典:文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」表6(学年別補助学習費)・表8-2(学習塾費の金額分布)。数値は2026年1月16日の訂正版に準拠(結果の概要/2026年8月11日確認)。
中3で額が跳ね上がるのは月謝が上がるからではなく、夏期・冬期講習と模試代が乗るからです。月謝表だけを見て集団と個別を比べると、この部分がまるごと抜け落ちます。そのうえで、「集団の方が安い」と言われますが、実際の総額は受講科目数で決まります。集団は5教科パックが基本、個別は1科目から選べるため、苦手1科目だけなら個別の方が安いこともあります。
| 受講する科目 | 集団塾(中2・5教科パック) | 個別指導(中2・週1コマ=1科目) | 安いのは |
|---|---|---|---|
| 5教科すべて | 25,300円(5教科込み) | 週3コマ入れても45,600円。それでも5教科は毎週回らない | 集団 |
| 数学・英語の2科目 | 25,300円(5教科込みのまま) | 30,400円(週2コマ) | ほぼ同じ(集団は残り3教科も付く) |
| 数学だけ | 25,300円(単科コースが無ければ5教科分を払う) | 15,200円(週1コマ) | 個別 |
※集団=臨海セミナー神奈川教室の中2・5教科 25,300円、個別=個別指導塾WAMの中2・90分週1回 15,200円を、コマ数分だけ単純に掛けた金額です(いずれも税込・2026年8月11日確認)。この表はどの塾でも同じ額になるという意味ではなく、「科目を絞るほど個別が有利になる」という構造を見るためのものです。個別は40分コース(中2で8,000円〜)を選べば半分程度になり、集団にも科目を絞れるコースを持つ塾はあります。講習費・教材費はどちらも別途です。
集団と個別を併用していいのは、この条件のときだけ
「集団に通わせているが、1科目だけどうにもならない」という相談はよくあります。併用は選択肢ですが、費用は単純な足し算になります。この記事で使っている中2の例だと、集団の5教科パック25,300円に個別を週1コマ足すと15,200円が乗って、月40,500円です。
- ほかの科目は回せている… 全科目が不安な状態での併用は、時間が足りなくなって両方が中途半端になります
- その1科目が入試で重い… 配点が高い、または積み上げ式で放置すると後が全部崩れる科目(数学・英語)であること
- 期間を区切れる… 「次の定期テストまで」「この単元が終わるまで」と終わりを決めてから始める。期限のない併用は、そのまま固定費になります
逆に「全体的に不安だから両方」という入り方はおすすめしません。週の時間が埋まって家庭学習が消え、塾に行く時間は増えたのに勉強量は減るという状態になりがちです。その場合は併用ではなく、個別1本に寄せて科目を絞るほうが伸びます。
第3の選択肢:オンライン個別・AI教材
ここ数年で選択肢が増えました。校舎に通わずに1対2の個別指導が受けられるオンライン塾や、AIが単元の穴を特定して演習させるサービスです。
「集団か個別か」で迷っている段階なら、まず穴がどこにあるかを把握するのが先決です。【atama+ オンライン塾】
は診断テストからつまずきの根本単元を特定してくれるので、14日間の無料体験で「穴の地図」だけ作り、そのうえで集団/個別を決めるという使い方が合理的です。
通塾型の個別指導の標準を知りたいなら、個別指導の教室数・生徒数で1位(同社公式サイトの表記/日本能率協会総合研究所 2025年10月調べ)の個別指導の明光義塾
の無料体験が基準になります。ただし公式に「教室によっては、一部無料体験授業を行っていない教室もあります」とあるので、申し込む前に実施の有無を確かめてください。大学受験で「授業より計画管理が必要」な段階ならスタディサプリ講師が監修【難関大受験専門塾 現論会】
のようなコーチング型も選択肢です。
本文で触れたAI診断のサービスについて、料金の仕組みと向き不向きを別記事にまとめました。診断だけ受けて判断する使い方ができます。

迷ったときの決め方【フローチャート】
- ①直近の定期テストで平均点を超えているか → NOなら個別/AI教材へ
- ②超えている場合、上位1/3に入っているか → YESなら集団、NOならどちらでも可
- ③受講したい科目は何科目か → 4科目以上なら集団が割安、1〜2科目なら個別
- ④通塾に無理はないか → 送迎・時間に負担があるならオンライン個別
- ⑤本人は競争で燃えるタイプか → YESなら集団、萎縮するなら個別
①〜⑤で判断がつかない場合は、タイプの違う2社を無料体験して比べるのが最も確実です。1社だけ見て決めると比較の基準がないまま判断することになります。
個別指導が向いていそうなら、まず1社の資料を取り寄せる
「個別が良さそう」と思えたら、次にやるのは資料請求です。いきなり体験に申し込むより心理的な負担が軽く、料金表・コマ数・自宅から通える校舎が一度に分かります。
個別指導塾WAMは全国に校舎があり、通塾型とオンライン(オンライン家庭教師WAM)の両方を持っています。「通わせたいけど近くにあるか分からない」という段階でも、資料請求すれば対応校舎が分かります。

塾選びで一番よくない進み方は、1社だけ見て決めることです。資料請求はタダなので、気になった時点で2社取っておくと比較の軸ができます。
個別指導を選んだ場合、次に決めるのが回数です。1科目なら週1で足り、3科目を週1に詰めると崩れます。判断の仕方はこちらです。

集団・個別のどちらを選ぶ場合も、自習室が使えるかは別軸で効いてきます。家で集中できない子ほど、ここが成績を左右します。

よくある質問
- 集団と個別の併用はあり?
あります。「集団塾+苦手科目だけ個別/オンライン」は実際に多い組み合わせです。ただし宿題が二重になって回らなくなるのが失敗パターンなので、どちらかの宿題量を調整してもらってください。
- 個別指導は「1対2」でも大丈夫?
むしろ1対2の方が良いケースもあります。講師が説明→演習の間にもう1人を見る、という流れなので、演習時間が確保されるからです。1対1は説明が多くなりすぎて演習不足になることがあります。
- 集団塾のクラス分けで下のクラスになりました
そのクラスの授業が理解できているなら問題ありません。理解できていないなら、そのクラスでも合っていないということなので、個別への切り替えを検討してください。クラスが下でも「分かる授業」を受ける方が伸びます。
- 高校生はどちらが多いですか?
大学受験では「映像授業+質問対応」「コーチング(計画管理)」という第3の形態が主流になりつつあります。高校の授業進度と志望校が人によって全く違うため、集団授業が成立しにくいためです。


通塾型の個別指導の代表として明光義塾を挙げましたが、評判が割れる理由と、教室を見極める質問はこちらに整理しています。

個別指導のなかで料金を公開している塾もあります。相場を知る材料になりますが、公開価格の読み方には注意点があります。

あわせて読みたい
集団か個別かを決める前に、本人が動かない理由がどちらの形態でも解決しない種類のものではないかを確かめてください。ここを飛ばすと、形態を替えても結果が変わりません。






この記事を書いた人:たかた(兵庫県の個別指導塾 塾長)→ 運営者情報


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タイプを絞ったら、実際に体験して確かめてください。当日の見方はこちらです。

そもそも塾に通わせるべきかを迷っている段階なら、通信教育との比較から考えてください。

新学年に合わせて決めるなら、動く時期も押さえておいてください。

どちらか選べない場合、両方という選択肢もあります。ただし条件があります。



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