塾なしで高校受験をする家庭は珍しくありません。文部科学省の調査では公立中学生の34.0%が学習塾費0円です。この記事では成功する3条件と厳しいケース、高校受験で塾なしなら埋めるべき3つ、そして全部を塾に任せない「部分外注」という発想を整理します。

正直、塾に行くお金がありません。塾なしで受験を乗り切ることって本当に可能なんでしょうか?

可能です。塾長をしてきた私が言うのだから間違いありません。ただし条件があります。その条件を満たせるかどうかを、正直に判断できる材料をお渡しします。
「塾なし高校受験」は珍しくありません。文部科学省の最新調査でも、公立中学生の34.0%は学習塾費を1円も支出していません。問題は「できるかどうか」ではなく「自分にできるかどうか」です。
- ①自分で計画を立てて実行できる…これが最大の分岐点。「今日何をやるか」を毎日自分で決められるか
- ②分からない箇所を放置しない…学校の先生に質問しに行ける、または調べて解決できる
- ③模試を受けて自己分析できる…結果を見て「次に何をするか」を決められるか
この3つのうち2つ以上が「無理」なら、塾なしはかなり厳しいです。逆に3つとも問題なければ、塾に払うお金を参考書と模試代に回した方が効率的なこともあります。
【一次データ】公立中学生の3人に1人は塾なし
まず実際の割合を出します。文部科学省の最新調査で、公立中学生のうち学習塾費を1年間まったく支出していない家庭は34.0%でした。3学年の平均で3人に1人です。ただし、高校受験の年の中3だけでは21.4%(約5人に1人)です。
| 年間の学習塾費 | 割合 |
|---|---|
| 0円(塾なし) | 34.0% |
| 1万円未満 | 1.5% |
| 5万円未満 | 3.6% |
| 10万円未満 | 4.7% |
| 20万円未満 | 10.1% |
| 30万円未満 | 12.9% |
| 40万円未満 | 10.0% |
| 40万円以上 | 23.3%(0円を除くと最多) |
出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」表8-2 学習塾費の金額分布(調査結果の概要)
読み方は2つあります。ひとつは塾なしは特殊ではないということ。もうひとつは、払っている家庭は本気で払っているということです。0円を除けば「年40万円以上」が23.3%で最も多く、支出している家庭だけの平均は年約34万9千円でした。

ただ、この割合は判断材料になりません。3人に1人が塾なしでも、その中にお子さんが入れるかどうかは別の話です。見るのは平均ではなく、下の3条件を満たせるかどうかだけにしてください。
塾なしが厳しくなる条件に当てはまってきたら、切り替えの時期です。

中3になると塾なしは21.4%|学年別の支出率と、全国学力調査の数学の層別で確かめた
上の「34.0%」は、公立中学校の3学年をならした数字です。高校受験の年の中3だけを取り出すと、割合は変わります。文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」の統計表(e-Stat の Excel)には、学年別に「学習塾費を払った家庭の割合(支出率)」と「払った家庭の平均額」が載っています。2026年10月15日に Excel のセルを開いて確認しました。
| 公立中学校の学年 | 学習塾費を払った割合(支出率) | 塾なし(100から引いた値) | 払った家庭の年間平均額 |
|---|---|---|---|
| 中1 | 52.6% | 47.4% | 25万4千円 |
| 中2 | 66.4% | 33.6% | 32万2千円 |
| 中3 | 78.6% | 21.4% | 43万4千円 |
| 3学年の平均 | 66.0% | 34.0% | 34万9千円 |

計算
- 中3の塾なし:100 − 78.6 = 21.4(%)。およそ5人に1人です
- 中1の塾なし:100 − 52.6 = 47.4(%)。中1と中3の差は 47.4 − 21.4 = 26.0ポイント
- 検算:中3の「払った家庭の平均」43万4千円 × 支出率0.786 = 約34万1千円。概要の表6に載っている中3の学習塾費(在籍者全体の平均)341,220円と一致します
- 払った家庭どうしで比べた中3と中1の差:434 − 254 = 180(千円)
- 住んでいる市町村の人口規模別(同じ表):人口10万人未満は支出率57.8%なので 100 − 57.8 = 42.2(%)が塾なし。人口100万人以上・特別区は 100 − 67.9 = 32.1(%)
- 数学の上位25%(A層)にいる「塾に教わっていない」生徒:79,649 ÷ 245,553 = 0.324 → 32.4%
- 「教わっていない」生徒のうち数学A層に入った割合:79,649 ÷ 349,419 = 0.228 → 22.8%
中1では半分近くが塾なしですが、中3では21.4%、およそ5人に1人まで減ります。「3人に1人」は3学年の平均で、受験の年にはまわりの多くが塾に通っている、と考えておく方が現実に近いです。なお、学習費調査の「年間いくら払ったか」の金額の分布(上の表8-2)は、学年別の分布は公表されていない、という点に注意してください(統計表は学校種別の分布だけです)。また、住んでいる地域で差があり、人口10万人未満の市町村では中学生の42.2%が学習塾費0円でした。
では、塾なしで点を取れている子はいるのか。国立教育政策研究所の令和7年度全国学力・学習状況調査(中学3年生)には、「学習塾の先生や家庭教師の先生に教わっていますか」の答えを、数学の正答数で4つの層(上位25%ずつ)に分けたクロス集計があります。
| 数学の層(正答数の順に25%ずつ) | 塾・家庭教師に「教わっていない」生徒の割合 | その人数 |
|---|---|---|
| A層(上位25%) | 32.4% | 79,649人 |
| B層 | 37.8% | 87,044人 |
| C層 | 43.3% | 87,311人 |
| D層(下位25%) | 47.6% | 95,415人 |
| 全体 | 39.8% | 349,419人 |
数学の上位25%の中にも、塾に教わっていない子が32.4%います。塾なしの子の22.8%は上位25%に入っています。塾なしだから上位に入れない、ということはありません。一方で、下の層ほど「教わっていない」割合は高くなります。塾なしで点が取れていない子は、自分で手を打たないと、そのまま下の層にとどまりやすいということです。
なお、同じ中3でも、2つの公式調査で数字が違います。子供の学習費調査の中3の塾なしは21.4%、全国学力調査の「教わっていない」は40.1%(質問調査の回答結果集計)です。学習費調査は1年間に1円でも学習塾費を払えば「支出あり」で、夏期講習だけの家庭も入ります。全国学力調査は4月の時点で「教わっているか」を聞いており、国立・私立の生徒も含みます。どちらが正しいかではなく、測っているものが違うと読んでください。
どちらのデータも、塾に行ったから点が上がった・下がったという因果を示すものではありません。成績が下がってから塾に通い始める子も、上位の子が先取りの塾に通う場合もあり、両方が混ざった集計です。学習費調査は令和5年度、全国学力調査は令和7年度4月の実施です。
- 中3の夏の会場模試で、志望校の目安に届いていないのに、残り半年で何を削るか自分で決められない場合
- 数学の学校のテストが平均を下回り続け、どの学年のどの単元から分からないのかを自分で言えない場合(下の層ほど塾なしの割合が高く、自力で抜け出す仕組みが要ります)
- 「3人に1人は塾なし」を理由に決めようとしている場合。中3に限れば21.4%で、受験の年はまわりの多くが塾を使っています
- ただし、部分外注(下の表)で足りない1つだけを埋める方法もあります。全部を塾に任せるかどうかの二択にしなくて大丈夫です
出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」統計表3(3) 中学校 学年別の学習費支出状況(e-Stat・Excel)/同 統計表4(8) 学習塾費の金額段階別構成比(e-Stat・Excel)/同 調査結果の概要(PDF・表6)/国立教育政策研究所「令和7年度全国学力・学習状況調査 クロス集計表(生徒質問調査-教科)」質問20(Excel)/同 回答結果集計[生徒質問](Excel)(2026年10月15日確認)
塾なし受験のメリット・デメリット

受験期に限らず「そもそも中学生に塾が要るのか」から迷っている場合は、要否の判断だけを扱った記事もあります。

| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| 費用 | 塾代がかからない(塾に払った家庭の平均は年約34万9千円) | — |
| 時間 | 移動時間ゼロ。自分のペースで進められる | だらけても誰も止めてくれない |
| 内容 | 自分に必要な単元だけできる | 何が必要かの判断を自分でする必要がある |
| 情報 | — | 入試情報・出題傾向の入手が最大の弱点 |
| 精神面 | 人と比べず気楽 | 孤独。モチベーションの維持が難しい |
※費用比較は塾費用シミュレーターで確認できます。

塾なしで失敗する子の共通点は、学力ではなく「情報がないまま突き進む」ことです。志望校の出題傾向を知らずに全範囲を均等にやると、時間がいくらあっても足りません。
- 塾代がかからない(塾に払った家庭の平均は年約34万9千円)
- 移動時間ゼロで自分のペースで進められる
- だらけても誰も止めてくれない
- 入試情報・出題傾向の入手が最大の弱点
塾なし受験を成功させる5つの実務
① 学校の先生を最大限使う
最も見落とされている資源です。学校の先生は無料の家庭教師で、しかも入試情報も持っています。職員室に週2回行く習慣をつけるだけで、塾なしのハンデはかなり埋まります。質問しに来る生徒を邪険にする先生はまずいません。
② 模試は必ず受ける(ここはケチらない)
塾なしの最大の弱点は「自分の位置が分からないこと」です。模試は外部会場でも定期的に受けてください。1回数千円(例:五ツ木の模擬テスト会は個人申込4,950円・公式)かかりますが、これは塾代の代わりに払うべき必要経費です。
③ 参考書は1教科1冊に絞る
塾なしの人ほど参考書を増やしがちですが、1冊を3周する方が3冊を1周するより確実に伸びます。何を選ぶか迷ったら、学校で配られた問題集を完璧にするのが最も確実です。
④ 映像授業を「授業の代わり」に使う
塾に通わなくても授業は受けられる時代です。【公式】スタディサプリ高校・大学受験講座
のような月額制の映像授業なら、月2,000円前後で全教科・全レベルの授業が見放題。塾の代替として最もコスパが良い選択肢です。ただし「見るだけ」で満足せず、必ず問題演習とセットにしてください。
⑤ 計画を「週単位」で立てる
塾がないと1日単位の管理になりがちですが、1日崩れただけで全体が崩壊します。週単位+予備日1日の設計にしてください。塾で配っているテンプレートを計画倒れしない勉強計画の立て方で公開しています。
- 学校の先生を無料の家庭教師として使う
- 会場模試を中2後半は年3〜4回、中3は年5〜6回受ける
- 参考書は1教科1冊に絞り3周する
- 計画は週単位+予備日1日で立てる
塾なしが「厳しい」ケース
- すでに大きな遅れがある…2学年前の内容から戻る必要がある場合、自力での特定が困難です
- 難関校・医学部志望…出題傾向の分析と添削が必須で、独学の難易度が跳ね上がります
- 記述・論述が必要…自分の答案を自分で採点できないため、添削者が必要
- 「やらなきゃ」と思いつつ手が動かない状態が2週間以上続いている…これは意志ではなく仕組みの問題です
高校受験で塾なしを選ぶなら、ここだけは埋める
高校受験は塾なしでも成立しやすい受験です。範囲が教科書の中に収まっており、内申点は学校での行動で決まるからです。ただし、塾が持っている機能のうち3つだけは家庭で代わりを用意する必要があります。
塾なしでいちばん抜けるのがここです。学校の実力テストだけでは、同じ高校を受ける他校の子との位置が分かりません。都道府県ごとに主要な会場模試があるので、中2の後半は年3〜4回、中3になったら年5〜6回を目安に受けてください。自宅受験ではなく会場で受けることに意味があります。
公立は都道府県共通なので書店で買えます。私立の過去問は在庫が切れやすいので、夏までに確保してください。塾なしで出遅れるのは、内容ではなく入手のタイミングです。
ここが塾の最大の付加価値です。塾なしの場合は学校の進路担当が唯一の情報源になるので、三者面談の前に「うちの内申でどこが射程か」を必ず聞いてください。遠慮すると情報が来ません。
逆に言えば、内申点は塾に行っても代わりに取ってもらえません。提出物と授業中の行動で決まるので、ここは塾なしでも不利になりません。

- 会場模試を中2後半は年3〜4回、中3は年5〜6回受ける
- 私立の過去問は夏までに確保する
- 併願校の情報は学校の先生から取る
- 内申点は塾に行っても代わりに取ってもらえない
「全部塾」でなく「部分的に外注」という発想
塾なしか塾ありかの二択で考えると選択肢を狭めます。実際には足りない部分だけ外注するのが最も費用対効果が高い方法です。
| 困っていること | 部分外注の選択肢 | 費用感 |
|---|---|---|
| どこでつまずいているか分からない | AI診断(【atama+ オンライン塾】 | 体験は0円/継続は入会金22,000円+月22,000円〜 |
| 計画が立てられない・続かない | 学習コーチング(スタディサプリ講師が監修【難関大受験専門塾 現論会】 | 完全定額(金額は非公開) |
| 特定の1科目だけ壊滅的 | 科目特化のオンライン個別 | 月1〜3万円 |
| 授業が分からない | 映像授業 | 月2,000円前後 |
| 記述の添削が必要 | 学校の先生 or 単発の添削サービス | 無料〜 |
※全教科を塾に任せる必要はありません。詳しい比較はオンライン塾12社の比較へ。

私は塾長をしてきましたが、全員が塾に来るべきだとは思っていません。自分で回せる子は自分でやった方が伸びます。ただ「回せていないのに気づかないまま1年過ぎる」のが一番怖い。定期的に模試で客観視するのを忘れないでください。
全部を塾に任せる必要はありません。苦手な1科目だけ、あるいは計画管理だけという頼み方もできます。

よくある質問
- 塾なしで公立高校に受かりますか?
-
十分可能です。公立高校入試は教科書の範囲から出題され、学校の授業と提出物をきちんとこなせば内申点も確保できます。塾が必須になるのは、上位校で入試問題が難化する場合や、内申が足りず当日点で挽回が必要な場合です。
- 塾なしで難関大学は無理ですか?
-
不可能ではありませんが、独学の難易度は高くなります。特に記述・論述の添削と、志望校の出題傾向の分析が壁になります。映像授業+添削だけ外注する、といった部分的な利用が現実的です。
- 経済的に厳しく、塾はどうしても無理です
-
自治体の塾代助成制度を確認してください(大阪市の塾代助成事業、東京都の受験生チャレンジ支援貸付など)。「お住まいの自治体名+塾代助成」で検索すると出てきます。所得制限がありますが、対象なら月1万円程度の補助が受けられる地域もあります。
- 親が勉強を見るのはアリですか?
-
関係が悪くならないならアリです。ただし「なんでこんなのが分からないの」が出た瞬間に成立しなくなります。教える役より、丸付け・音読の聞き役・時間を計る役の方が親子ではうまくいきます(保護者の声かけの記事)。
あわせて読みたい
塾に通わせない場合、1年の段取りを管理するのは家庭の仕事になります。いつ何を終わらせておくべきか、動かせない締切だけをまとめました。






この記事を書いた人:たかた(受験サポートナビ運営/個別指導塾の塾長経験)。→ 運営者情報
【自宅で集中できない場合】塾なしの最大の敵は「家で勉強できない」ことです。オンライン自習室のあるサービスを使うと、この問題だけを安く解決できます。現役東大生による個別指導【スタディコーチ】
はオンライン自習室を備えており、自習環境の確保という目的だけでも使えます。

「部分外注」の候補は、大学受験向けにこちらで整理しています。

塾なしで進める場合、通信教育をどう使うかが分かれ目になります。中1の実額は月1,815円から9,980円まで開き、質問に答えるのがAIか人か、返事が即時か翌日以降かも会社ごとに違います。「安いほう」ではなく、手が止まったときに何が起きるかで選んでください。

この記事の更新・訂正
- 本文の中で「年5〜6回」と「中2後半から年3〜4回」の2通りになっていたので、中2後半は年3〜4回、中3は年5〜6回と時期で分けて揃えました
- 34.0%(3人に1人)は公立中の3学年の平均で、中3だけでは21.4%(約5人に1人)であることを書き足しました
全記事の履歴は「訂正・更新の履歴」、調べ方と書き方は「記事の作り方」にまとめています。

