内申点の上げ方と計算方法|評定4・5の基準を教育委員会の実データで解説

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内申点は通知表の9教科の評定を合計したもので、基本は45点満点です。ただし入試で使う計算方法は都道府県でまったく違い、実技4教科を2倍にする県もあります。

そしてもう一点、2002年度から評価は「目標に準拠した評価」に変わっており、親世代の「5は上位数%」という感覚はもう当てはまりません。この記事では仕組みと、観点別評価で実際に何が見られているか、そして上げる手順を、教育委員会の要綱と東京都の評定データで確認しながらまとめます。

保護者面談で最も多い質問が「うちの子、テストは悪くないのに内申が上がらない」です。これはほぼ全員、原因が同じところにあります。この記事ではその原因と、いつからどう動けばいいかを書きます。

【結論】内申点を上げるには、この順番
  • ①通知表の観点別評価(A・B・C)を見て、Bの観点を1つ選ぶ…評定は3観点の組み合わせで決まります。国の参考資料では、AAAが5または4、BBBが3が原則です
  • ②提出物を期限内に・空欄なしで・直しをして出す…観点3「主体的に学習に取り組む態度」の材料です。学力に関係なく、今日から変えられます
  • ③定期テストで基本問題を落とさず、記述を白紙にしない…観点1「知識・技能」と観点2「思考・判断・表現」の材料は、テストの答案です
  • ④実技4教科を落とさない…東京都は実技の評定を2倍にします。換算内申(東京都の計算で使う内申の点。実技を2倍にして65点満点)のうち40点が実技です
  • ⑤締切は県で違う。要綱の「○月○日現在」を確認する…東京都は「12月31日現在」の評定を使うので、3学期の通知表は入りません。大阪府の一般選抜は「2月15日現在」で、3学期の成績も入ります

上の①〜⑤のうち、一番効くのは①です。通知表を見ればBの観点は分かります。面談で「あと何ができれば4になりますか」と聞けば、先生は観点の言葉で答えてくれます。

この記事の目次

内申点とは何か

通知表の9教科の評定(5段階)を合計したものが基本です。9教科×5点で45点満点になります。

まず押さえること
  • 計算方法は都道府県によってまったく違う…中3だけの県、中1〜中3すべて使う県、実技4教科を2倍にする県などがあります
  • お住まいの都道府県の方式を必ず確認…「〇〇県 公立高校 入試 調査書」で検索すれば教育委員会の資料が出ます
  • この記事は共通する原則の話…配点は地域差が大きいので、必ず地元の情報とあわせて読んでください

ここを確認せずに動くご家庭が本当に多いです。中1の成績が入試に使われる県なのに、中3から慌てる——これが最も取り返しがつかないパターンです。まず地元の方式を調べてください。それだけで戦略が変わります。

どれくらい違うのか(東京都の実施要綱で確認)

「都道府県で違う」と言われてもピンとこないと思うので、実物を見てみます。東京都教育委員会の令和8年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱には、第一次募集の調査書点についてこう書かれています。

東京都立高校(一般入試)の調査書の扱い
  • 学力検査を実施する教科は評定を1倍、実施しない教科は評定を2倍して調査書点を出す…つまり実技4教科が2倍です
  • 学力検査の得点と調査書点の合計は1000点満点…比率は全日制で原則7:3(芸術・体育に関する学科は6:4)
  • これに中学校英語スピーキングテストの20点が加わり、総合得点は1020点満点

5教科の評定合計は25点満点、実技4教科は2倍で40点満点。合計65点のうち40点、つまり6割以上が実技4教科です。5教科だけを見ている家庭が取りこぼしているのはここです。

同じ要綱の推薦入試の項には、さらにはっきりと書かれています。「全ての都立高校で、調査書における各教科の観点別学習状況の評価(全27観点)又は評定(9教科)のどちらか一方を調査書点として点数化する」——27観点とは9教科×3観点のことです。推薦では、次の章で説明する観点別評価そのものが入試の点数になります。

兵庫県の場合は倍率の考え方が違います。兵庫県教育委員会は県立高校の一般入試について、県民からの提案への回答のなかで「調査書の学習評定と学力検査の成績を同等に取り扱うものと定めています」とし、実技4教科については「学力検査を実施する5教科より調査書の比重を重くし判定資料としております」と説明しています。

倍率の付け方は県ごとに違いますが、「入試で筆記試験をしない教科ほど、調査書での重みが増す」という方向はどこも同じです。理由も同じで、実技4教科は当日の学力検査で測る手段が無いからです。実技を捨てる作戦が成り立つ県は、私の知る限りありません。

なお上の東京都の数字は令和8年度(2026年春に実施された入試)の要綱のものです。翌年度分は例年9月ごろに公表されるので、受験学年の方は必ず最新版で確認してください。

内申点の計算方法は都道府県でこう違う【7都府県の要綱で確認】

勉強する中学生のイラスト

「都道府県で違う」を、各教育委員会の実施要綱・選抜要領の実物で並べます。使う学年、実技の倍率、学力検査との比率の3つが、県ごとに全部違います。

都府県(使う学年)内申の計算式(満点)学力検査との比率
東京都(中3)5教科の評定×1+実技4教科の評定×2=65点原則7:3(合計1000点。調査書点は300点満点)
神奈川県(中2+中3)中2の9教科合計+中3の9教科合計×2(45+90=135点)内申:当日点の比率を、各校が2:8〜8:2の範囲で決める
埼玉県(中1〜中3)各学年45点×比率。1:1:1=135点、1:1:2=180点、1:1:3=225点から各校が選ぶ学力検査は5教科500点満点
千葉県(中1〜中3)全学年の評定合計(45×3=135点)×K。Kは原則1で、各校が0.5〜2の範囲で定める配点は各校が定める
愛知県(中3)評定合計×2=90点学力検査110点。評定×1.5、評定×2などⅠ〜Ⅴの方式を各校が選択
大阪府(中1〜中3)中1×2+中2×2+中3×6=450点学力検査450点。倍率のタイプⅠ〜Ⅴ(1.4倍:0.6倍〜0.6倍:1.4倍)を各校が選択
兵庫県(中3)5教科の和×4(100点)+実技4教科の和×7.5(150点)=250点学力検査500点×0.5=250点で、内申と同等

※確認した資料:東京都=令和8年度実施要綱・令和9年度「入学を希望する皆さんへ」/神奈川県=令和9年度実施要領/埼玉県=令和9年度選抜要領/千葉県=令和9年度実施要項/愛知県=令和9年度「校内順位の決定方式」・「入学者選抜に関するQ&A」/大阪府=令和8年度実施要項/兵庫県=令和9年度選抜要綱(リンクは記事末尾)。神奈川県・千葉県の135点と、神奈川県の2:8〜8:2(要領の係数f+g=10、fとgは2以上の整数)は、要綱の式から出した値です。

東京都の計算例は、都教委の令和9年度「入学を希望する皆さんへ」にあります。5教科の合計20点、実技4教科(3+4+5+3)×2=30点なら換算内申は50点で、調査書点は300点×50点÷65点=230点(小数点以下は切り捨て)です。

実技の評定が1つ上がると換算内申は2点増え、調査書点は約9点動きます。当日点の1点は総合得点の1.4点(500点満点を700点に換算)なので、実技の評定1つは当日点で6〜7点分に当たります。

兵庫県は実技を7.5倍、神奈川県は中2も数え、大阪府は中1から数えます。「実技は捨てる」「中1は関係ない」が成り立つ県は、この表の中に一つもありません。

いまの評定は、親世代の「5は上位数%」ではありません

ここは面談でいちばん誤解が起きるところです。いまの中学校の評定は「相対評価」ではありません。

文部科学省は平成13年4月27日の初等中等教育局長通知で指導要録の改善を示し、平成14年度から「目標に準拠した評価」——いわゆる絶対評価——に切り替わりました(学習評価・指導要録 関係報告・通知)。それ以前は、5が何%・4が何%と割合が決まっている相対評価でした。

昔(相対評価)いま(目標に準拠した評価)
何で決まるかクラス・学年の中での順位教科の目標にどれだけ届いたか
5の人数割合が決まっていた決まっていない。理論上は全員5もありうる
他人との関係誰かが上がれば誰かが下がる他人は関係ない。基準に届けば上がる

「5を取れるのはクラスで数人だけ」だと思っていました……

それは保護者の方が中学生だった頃の話です。いまは基準に届いたかどうかなので、「周りが優秀だから無理」は成り立ちません。逆に言えば、何が基準なのかを知らないまま頑張るのがいちばん損です。その基準が、次の章の観点別評価です。

ここが分かると、打つ手が変わります。相対評価なら「クラスで何番か」を気にするしかありませんが、いまは「この教科で何ができれば4なのか」を先生に聞けば、そのまま答えになるのです。実際、面談で「あと何ができれば4になりますか」と聞くと、多くの先生は具体的に答えてくれます。順位を聞くより、こちらのほうが動けます。

東京都619校の実データ:評定分布は5が12.3%、4が23.1%

「5は上位数%ではない」を、数字で確かめます。東京都教育委員会は毎年、都立高校入試に使った評定(中3・12月31日現在)の分布を公表しています。次の表は令和8年度入試の調査結果(2026年3月26日公表)で、対象は都内公立中学校等619校です。

教科542以下
9教科全体12.323.117.4
国語12.123.117.5
社会13.323.219.4
数学13.020.723.4
理科12.522.319.6
音楽12.324.413.4
美術12.724.312.5
保健体育9.525.112.9
技術・家庭10.924.314.8
英語14.020.222.8

※単位は%。東京都教育委員会「評定状況の調査結果について」(2026年3月26日)より。「2以下」は資料の「2」と「1」を足した計算値(9教科全体は13.7+3.7)。残りが「3」で、9教科全体では47.3%です。四捨五入のため、合計が100.0%にならない場合があります。

この表から分かること
  • 5と4を合わせるとおよそ3人に1人(合計35.4%)…「5はクラスで数人」ではありません。12.3%は、およそ8人に1人です
  • 数学と英語は「2以下」が2割を超える…数学は2が17.6%と1が5.8%で合計23.4%、英語は18.5%と4.3%で合計22.8%です。落としやすい教科は、はっきりしています
  • 保健体育は5が9.5%と一番少なく、4は25.1%と一番多い…5を狙うより、筆記テストと提出物でまず4を確保する作戦が数字に合っています

割合は決まっていません。この12.3%は「結果」です。基準に届けば何人でも5がつく制度で、実際におよそ8人に1人が5を取っている、と読んでください。

評定はどう決まるのか(観点別評価)

現在の評定は、3つの観点から決まります。「テストの点だけでは上がらない」のはこのためです。

この3観点は各中学校が独自に決めているものではなく、文部科学省の通知「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について」(平成31年3月29日・30文科初第1845号)で定められた全国共通の枠組みです。

同じ通知は、通知表の5段階の評定を「総括的に捉える」もの、観点別の評価を「分析的に把握する」ものと位置づけています。評定は観点別評価をまとめた結果だ、ということです。

観点何を見られるか対策のポイント
知識・技能定期テストの基本問題、小テスト、実技の技能テストの点が直結。ここは対策しやすい
思考・判断・表現記述問題、レポート、発表や話し合い記述問題とワークの記述欄で見られる
主体的に学習に取り組む態度ノートやレポートの記述、授業中の発言、行動観察提出物は最大の材料。ただし出した回数では決まらない(後述)

冒頭の「テストは悪くないのに内申が上がらない」の答えは、ほぼ3つ目の観点です。提出物が遅れている・出していない・雑のどれかに当てはまります。ここは学力と関係なく、行動だけで変わる部分です。

A・B・Cの組み合わせで評定はこう決まる(4の目安はAが2つ)

通知表の観点別評価は、A=「十分満足できる」、B=「おおむね満足できる」、C=「努力を要する」の3段階です(東京都の実施要綱の定義)。評定は、この3つの観点の組み合わせを総括したものです。総括の原則は、国立教育政策研究所の参考資料(令和2年3月)に書かれています。

国の参考資料が示す原則(中学校)
  • BBBなら3を基本、AAAなら5または4、CCCなら2または1…3観点がそろったときの、国の原則です
  • AABやABBのような混在は「各学校において決めておく」…だから学校ごとに少し違います。「機械的に評定を算出することは適当ではない場合も予想される」とも書かれています
  • 5は「十分満足できるもののうち、特に程度が高い」、4は「十分満足できる」…AAAでも5とは限らないのは、このためです
観点の組み合わせ評定(公開している中学校の例)読み方
AAA5・4AAAでも5とは限りません。「特に程度が高い」と判断されて5
AAB4・3・54の目安はAを2つ
ABB/AAC3・4Aが1つだと3が基本
BBB/ABC3いちばん多い層(東京都では47.3%が3)
BBC/ACC3・2Cが1つ混じると、2に落ちうる
BCC2・3・1Cが2つで2が基本
CCC1・21がつくのはここ

※和歌山県海南市立第三中学校が公開している「観点別学習状況の評価と評定」(令和4年度)の表です。同校ではA=80〜100%、B=40〜80%未満、C=0〜40%未満。基準は学校ごとに違うので、自分の学校の方針を三者面談で確認してください。

この表を通知表に当てはめると、次に直す観点が決まります。

通知表の状態落としている観点最初にやること
テストは平均以上なのに評定3観点3(態度)か観点2(思考・判断・表現)提出物の期限・空欄・直しを見直す。記述問題を白紙で出さない
全部Bで評定3どれか1つ一番上げやすい観点から。まず1教科、観点1(知識・技能)をAにする
観点3だけC提出物の未提出・遅れ出す。空欄があっても出す。次の学期の評価に反映されます

「思考・判断・表現がBなので、記述問題を最後まで書いてください」——面談での先生の答えは、だいたいこの形です。上の2つの表を持って行けば、その答えをそのまま次の学期の行動に変えられます。

観点別評価そのものが入試の点になる県もあります。神奈川県は共通選抜の第2次選考で、中3の「主体的に学習に取り組む態度」をA=3・B=2・C=1に換算して点数化します(令和9年度実施要領)。

ただし「提出物さえ出せば上がる」ではありません

通知が何と書いているか
  • 先ほどの通知は、これまでの評価の課題として「挙手の回数や毎時間ノートをとっているかなど、性格や行動面の傾向が一時的に表出された場面を捉える評価であるような誤解が払拭しきれていない」と指摘しています
  • つまり制度上は、提出した回数や挙手の回数で決まるものではありません。「何回出したか」を数えて付ける評価は、通知が正そうとしている側の運用です
  • 一方で通知は、具体的な評価方法として「ノートやレポート等における記述、授業中の発言、教師による行動観察」などを材料に挙げています。提出物が材料であること自体は変わりません

ここは分けて考えてください。現場では、提出物が抜けている子の評定は実際に低く出ます。ただしそれは「出さなかったから減点」という罰ではなく、出ていないと、その子が何を分かって何を直したのかを示す材料が一つも残らないからです。空欄を埋めて出すことに意味があるのは、そこを見てもらうためです。「とりあえず出せばいい」で中身が空だと、結局は同じところに戻ります。

内申点を上げる具体的な方法

① 提出物を「期限内に」「埋めて」出す

最も即効性があり、学力に関係なく実行できます。期限を過ぎた提出物は、その単元の評価材料として間に合わないことがあります。「遅れたから減点」というより、見てもらえないまま評価が確定してしまうのがいちばん大きな損です。

そもそも提出物が出せていない場合は、内申の話より前に見るところがあります。提出物が出ているかどうかは、待っていい子とそうでない子を分ける最初の線です。

提出物で見られていること
  • 期限を守っているか…最重要。評価が付く前に手元に届いていることが前提です
  • 空欄がないか…分からない問題も、答えを写してでも埋めるほうが評価されます
  • 直しをしているか…丸つけだけで終わっているワークは、やっていないのとあまり変わりません
  • ていねいに書いてあるか…読めない字は、見てもらえません

② 定期テストで確実に取る

観点1と2はテストで見られます。実力テストより定期テストのほうが内申に直結するので、優先順位を間違えないでください。

③ 実技4教科を捨てない

ここが最大の分かれ目です。音楽・美術・保健体育・技術家庭の4教科は、都道府県によっては2倍で計算されます。先ほど見た東京都の例では、換算内申65点のうち40点が実技4教科でした。主要5教科より重みが大きくなることがある、というのはこういうことです。

実技教科で評定を落とさないために
  • 実技が苦手でも、筆記テストは取れます…実技4教科にも定期テストがあり、範囲は狭く暗記中心です
  • 作品や課題を必ず提出する…完成度より、出しているかどうかが先です
  • 授業に参加する…体育で見学が続く、合唱で歌わない、などは直接評価に響きます

「実技はセンスだから仕方ない」と諦めるご家庭がありますが、評定は技能だけで決まりません。筆記テストと提出物で十分に補えます。実技4教科が2倍の県で、ここを捨てるのは致命的です。

④ 授業中の行動を変える

挙手の回数を競う必要はありません。先生が見ているのは「授業に向かっているか」です。

評価につながる行動
  • 振り返りシートを具体的に書く…「がんばりたい」ではなく「〇〇が分からなかったので復習する」と書く
  • グループ活動で役割を持つ…発言が苦手なら記録係でも構いません
  • 質問しに行く…授業後に1回聞きに行くだけで、印象はかなり変わります

調査書には、評定のほかに何が書かれているのか

「内申点」と呼んでいるのは、正式には調査書という書類に載る数字のことです。ではその書類には、評定のほかに何が書かれているのか——ここを知らないまま3年間過ごすご家庭がとても多いです。

まず前提として、調査書の様式は都道府県の教育委員会が定めています。だから項目も少しずつ違います。ただ、おおむね次のような構成になっています。

項目中身合否への効き方
各教科の学習の記録9教科の評定(と、観点別の評価)点数化される。ここが内申点
出欠の記録欠席日数など扱いは都道府県で違う
特別活動の記録委員会・生徒会・部活動など点数化されない県が多い。参考として見られる
行動の記録生活面の様子同上
総合所見文章での記述同上

※項目名も扱いも都道府県によって違います。必ずお住まいの教育委員会の実施要項でご確認ください。

先生とうまくいっていないので、悪いことを書かれていないか心配です……

そこは安心してください。調査書は、マイナスを書くための書類ではありません。国の通知にはっきり書かれています。

文部科学省の「高等学校の入学者選抜について(通知)」(文初高第243号・平成5年2月22日)は、調査書についてこう述べています。「生徒の個性を多面的にとらえたり、生徒の優れている点や長所を積極的に評価し、これを活用していく」——そして学習成績以外の記録を「充実し、活用するよう十分配慮すること」と求めています。

つまり設計思想として、評定だけでは見えない良いところを拾うための欄なのです。「先生に嫌われると不利になる」という不安はよく聞きますが、書類の性格としては逆向きです。

部活・委員会・検定は、どこまで効くのか

ここは期待しすぎないほうがいいところです。特別活動の記録に載ることと、点数になることは別です。

現実的な期待値
  • 公立の一般入試……多くの県で点数化されません。評定を上げるほうが確実に効きます
  • 推薦入試……面接や作文の材料になります。「何をしたか」より「何を考えてやったか」を話せるかどうか
  • 私立の相談……英検などの検定を加点として扱う学校があります。これは点数に直結することがあるので、志望校の基準を確認する価値があります

だから「内申のために部活を続ける」という判断は、あまり合理的ではありません。続けたいなら続ければいいですし、勉強に時間を回したいならそれも成り立ちます。点数として効くのは、ほぼ評定です。

なお、欠席が多い場合の扱いも都道府県で違います。学校に行けていない期間がある場合は、こちらに制度をまとめました。

いつから対策すべきか

お住まいの都道府県が、どの学年の成績を使うかで変わります。

学年別の考え方
  • 中1の成績も使う県…最初の定期テストから勝負が始まっています。中1のうちに提出物の習慣をつけてください
  • 中3だけ使う県…中3の1学期・2学期が本番。ただし中1〜2で提出物を出さない習慣がついていると、中3で急に変えるのは難しいです
  • どの県でも共通…中2の後半が分岐点です。ここで崩れると、中3で立て直すのに1年かかります

締切は県で違う:東京都は12月31日現在、大阪府は2月15日現在の評定を使う

「いつから」と同じくらい大事なのが「いつまで」です。入試に使う評定を「何月何日現在」で作るかは、県の要綱に書かれています。その日付が、県によって違います。

要綱に書かれている締切
  • 東京都…中学校長は「令和7年12月31日現在」の中3の評定を成績一覧表に記載する。評定は「第3学年の第一学期及び第二学期の成績を十分参考」とする(令和8年度実施要綱。令和9年度入試では令和8年12月31日に当たる見込みですが、令和9年度の要綱は2026年9月16日時点で未公表なので、公表後に日付を確認してください)
  • 兵庫県…第3学年の評定は「令和9年1月以降において、第1、第2学期の成績を十分参考にして行う」(令和9年度選抜要綱)
  • 大阪府…一般選抜と二次選抜の調査書は「令和8年2月15日現在をもって作成する」(令和8年度実施要項「第1 全般的な事項」)。3学期の1月・2月の成績も評定に入ります
  • 締切の時点は県で違う…東京都と兵庫県は2学期まで、大阪府は2月中旬までの成績で決まります。お住まいの県の要綱で「○月○日現在」を確認してください。東京都なら、2学期の期末テストとその前の提出物が最後のチャンスです

「3学期に巻き返す」が効くかどうかは、この日付で決まります。東京都なら効きません。中3は夏休み明けから2学期の期末テストまでの間に、1学期に落とした観点を1つ直す、と決めてください。

自分の内申が実際にいくつで、志望校にどれだけ足りないのか——この数字を確かめる場が三者面談です。持っていくものを決めてから行くと、得られる情報が変わります。

内申点が足りないとき、どうするか

入試は内申点+当日の学力検査で決まります。内申が足りない場合、選択肢は2つです。

2つの選択肢
  • ①当日点で挽回する…内申の比重が小さい高校や、当日点重視の入試方式を選ぶ
  • ②内申の比重が小さい私立を検討する…私立は学校ごとに基準が違うので、説明会で直接確認してください

内申が足りないと分かった時点で、まず中学の先生に相談してください。各高校の実際の合格ラインは、学校が最も多くのデータを持っています。ネットの情報より確実です。そのうえで、当日点を伸ばす戦略を立てます。

当日点を伸ばすには演習量が必要で、独学が難しい場合は塾を検討することになります。ただし「内申のために塾に行く」は目的がずれています。提出物や授業態度は塾では変えられません。塾で伸ばせるのは学力=テストの点と当日点です。

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私立の押さえに併願優遇を使う場合も、見られるのは3年生2学期の評定です。加点には上限があるため、検定を足しても埋まらない差があります。基準の作りはこちらで実物を見てください。

評価の仕組みは、いま見直しが議論されています

ここまで書いてきた3観点の枠組みは、2026年9月の時点で、国の審議会で見直しが議論されている最中です。知らずにいると混乱するので、分かっている範囲と、いまの中学生に関係があるかどうかを書いておきます。

2026年3月30日の中央教育審議会 教育課程部会 総則・評価特別部会に出された検討資料「学習評価の在り方について」では、次の方向が示されています。

検討されている方向
  • 「主体的に学習に取り組む態度」を、各教科で3段階の評価を付ける対象から外す方向…教育課程全体を通じた「個人内評価」に改める案が出ています
  • 理由は「理解が難しく目指す資質・能力を適切に反映した評価となりにくい、負担が重い」という指摘…評価材料を集めすぎる運用への反省です
  • 代わりに「思考・判断・表現」の観点に「◯」を付記する案…学びを自分で調整した様子が特に表れた場合に付ける形が検討されています
  • 不登校の生徒に「主体的に学習に取り組む態度」の評価を付けづらく、評定もつけられないという実態の改善につながることも期待されています

ただし、これは検討段階であって決定ではありません。お子さんの今学期の通知表は、現行の3観点で付きます。資料自体も、この見直しが「評価を『しなくてもよくなる』『軽視してよい』といった誤った理解とならないよう」周知を図るべきだと釘を刺しています。

その後、2026年8月31日の教育課程企画特別部会に「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)」が出て、方向がもう一段はっきりしました。

2026年8月31日「審議まとめ(素案)」で示された方向
  • 「主体的に学習に取り組む態度」は教科ごとの評価から外し、総合所見欄での「個人内評価」にする…観点の名前も「学びに向かう力・人間性」などに改める案です
  • 「◯」で評定が自動的に1段階上がるわけではない…素案は、「知・技」「思・判・表」がABなら評定4か5、「B◯」でも4のことがある、と例示しています
  • 全面実施は小学校が令和12年度から、中学校が令和13年度からを想定…予定どおりなら、いま中学校にいる学年は卒業まで現行の3観点で評定がつきます。Bの観点をAにする、という手順はそのままです

「態度で評定が決まるのは納得できない」という声を保護者面談でよく聞きます。その違和感は、国の側でも課題として認識されているということです。ただ、仮に見直されたとしても、ノートやレポートに考えた過程を残す子が評価される方向は変わりません。むしろ強まります。今やるべきことは変わらない、と考えてください。

最後に、期待値の話を正直に書きます。内申点は、塾に通えば上がるものではありません。提出物も授業中の行動も、変えるのは本人と家庭だからです。塾が効くのは「テストの点」のほうで、そこが動けば3観点のうち「知識・技能」「思考・判断・表現」が上がります。

そして調査書の評定が確定したあとは、内申ではなく当日点で勝負するしかありません。そこで要るのは「どの単元で落としているか」です。【atama+ オンライン塾】のように診断で根本原因の単元を出す仕組みなら、無料体験のあいだに「あと何を埋めれば当日点が動くか」だけ分かります。内申が動かせない時期に入ったら、そちらに切り替えてください。

よくある質問

内申点は何点あれば安心ですか?

全国共通の目安を出すことはできません。満点も比率も都道府県で違うからです。たとえば東京都の一般入試は実技4教科を2倍にした換算内申で計算し、学力検査との比率は原則7:3。「45点満点で何点」という言い方自体が当てはまりません。志望校ごとの実際のラインは、中学校が過去の合格実績を持っています。進路指導で確認するのがいちばん確実です。

一度下がった評定は上げられますか?

上げられます。ただし提出物や授業態度は「積み重ねの印象」で見られる面があるので、変えてから評価に反映されるまで1学期はかかると考えてください。早く動くほど有利です。

副教科(実技4教科)の勉強法が分かりません

定期テストの範囲は狭く、教科書とプリントからしか出ません。5教科の勉強の合間に、テスト1週間前から30分ずつで十分間に合います。捨てるにはもったいない配点です。

先生に気に入られると内申が上がるのですか?

評定は文部科学省の通知で定められた3つの観点にもとづいて付けるもので、好き嫌いで決まるものではありません。同じ通知は、挙手の回数のような一時的な行動で評価することを改めるべき課題として挙げています。ただし提出物や授業での記述は評価の材料そのものなので、その姿勢が結果に表れることはあります。

塾に行けば内申は上がりますか?

テストの点が上がれば観点1・2は上がります。ただし提出物や授業態度は塾では変えられません。内申が伸びない原因がそちらにある場合、塾に行っても解決しないので、まず原因を切り分けてください。

計算方法・評定の決まり方・締切に関する質問

内申点はいつの成績で決まりますか?中3の3学期は関係ありますか。

県の要綱で決まっていて、日付が違います。東京都の要綱は「12月31日現在」の評定を使い、「第3学年の第一学期及び第二学期の成績を十分参考」と書いています。兵庫県も1月以降に、1・2学期の成績を参考にして評定します。一方、大阪府の一般選抜は「2月15日現在」で調査書を作るので、3学期の成績も入ります。お住まいの県の要綱で「○月○日現在」を確認してください。

通知表の観点がAABなら、評定はいくつですか?

国の参考資料は、BBBなら3を基本、AAAなら5または4、CCCなら2または1とし、混在の組み合わせは各学校が事前に決めるとしています。公開している中学校の例では、AABは4(3や5のこともある)、ABBは3か4です。4を狙うならAを2つ、が目安です。

評定「5」はクラスで何人くらいですか?

人数の枠はありません。東京都教育委員会の調査(都内公立中学校等619校・令和7年12月31日現在)では、9教科全体で5が12.3%、4が23.1%でした。およそ8人に1人が5、およそ3人に1人が4以上、と読めます。

「主体的に学習に取り組む態度」の評価がなくなると聞きました。今の中学生に関係ありますか?

2026年8月31日の文部科学省「審議まとめ(素案)」は、この観点を総合所見欄の個人内評価に移す方向を示しました。ただし全面実施は、中学校で令和13年度からを想定しています。予定どおりなら、いま中学生の学年は卒業まで現行の3観点で評定がつきます。

この記事で確認した資料

計算方法と、評定を記載する時点(東京都は12月31日現在、兵庫県は1月以降、大阪府は2月15日現在)は各教育委員会の要綱・要領、評定の分布は東京都教育委員会の調査、A・B・Cから評定への総括の原則は国立教育政策研究所の参考資料と海南市立第三中学校の公開表、評価の見直しは文部科学省の審議資料で確認しました(いずれも2026年9月16日確認)。塾での見解の部分は、筆者の面談経験に基づく定性的なものです。

東京都教育委員会「令和8年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱」(PDF)

東京都教育委員会「令和9年度 東京都立高等学校に入学を希望する皆さんへ」(PDF)

東京都教育委員会「都内公立中学校第3学年及び義務教育学校第9学年(令和7年12月31日現在)の評定状況の調査結果について」(2026年3月26日)

神奈川県教育委員会「令和9年度神奈川県公立高等学校の入学者の募集及び選抜実施要領 1 一般募集」(PDF)

埼玉県教育委員会「令和9年度 一般募集入学者選抜要領」(PDF)

千葉県教育委員会「令和9年度千葉県公立高等学校入学者選抜実施要項『一般入学者選抜』」(PDF)

愛知県教育委員会「令和9年度 一般選抜における各高等学校の面接実施の有無及び校内順位の決定方式について」(PDF、2026年7月7日付)

愛知県教育委員会「R9入学者選抜に関するQ&A」(PDF)

大阪府教育庁「令和8年度大阪府公立高等学校入学者選抜実施要項 一般入学者選抜」(PDF)

大阪府教育庁「令和8年度大阪府公立高等学校入学者選抜実施要項 第1 全般的な事項」(PDF、ⅩⅠ 調査書及び成績一覧表等)

兵庫県教育委員会「令和9年度兵庫県公立高等学校入学者選抜要綱」(PDF)

兵庫県「県民からの提案への回答(公立高校入試の調査書の扱い)」

国立教育政策研究所「『指導と評価の一体化』のための学習評価に関する参考資料 中学校 数学」(令和2年3月、PDF。第1編は全教科共通)

海南市立第三中学校「観点別学習状況の評価と評定」(令和4年度、PDF)

文部科学省「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」(平成31年3月29日)

文部科学省「学習評価・指導要録 関係報告・通知」(平成13年4月27日通知を掲載するページ)

文部科学省「高等学校の入学者選抜について(通知)」(平成5年2月22日)

中央教育審議会 総則・評価特別部会「学習評価の在り方について」(2026年3月30日、PDF)

教育課程企画特別部会「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)」(令和8年8月31日、PDF)

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この記事を書いた人

兵庫県のとある学習塾の塾長。私大理系卒。塾バイト・家庭教師を経て、長年の経験を基に幅広く受験をサポートします。生徒だけでなく、それを支える保護者や先生の力にもなりたいという思いで立ち上げました。

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