中学生のスマホルール|契約書テンプレートと、取り上げても続かない理由

「スマホばかりで勉強しない」——保護者面談で、成績の相談と同じくらい多いのがこの話です。国の調査では中学生の平日の平均利用時間は5時間24分、家庭で決めているルールは「利用する時間」が最多。いちばん多い型が、いちばん守られにくい型です。この記事では実際に守られるルールの作り方と、そのまま印刷して使える「わが家のスマホ契約書」のテンプレートを載せます。取り上げても続かない理由も書きました。

先に大事なことを言うと、スマホを取り上げても成績は上がりません。塾でも何度も見てきました。取り上げた直後は勉強するのですが、続かないうえに親子関係が悪くなって、話し合いそのものができなくなります。それが一番の損失です。

この記事の目次

なぜ「1日2時間まで」は守られないのか

どんなルールが作られているかは、国の調査で分かっています。こども家庭庁の令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査(2025年11月〜12月実施・報告書は2026年3月公表)で、家庭でルールを決めていると答えた中学生893人に内容を聞いた結果がこれです。

家庭で決めているルールの内容(中学生本人の回答・複数選択・893人)
決めていることそう答えた割合
利用する時間75.9%
困ったときにはすぐに保護者に相談する52.5%
ゲームやアプリの利用料金の上限や課金の利用方法49.5%
利用するサイトやアプリの内容48.2%
利用者情報が漏れないようにしている37.2%
送信・投稿する内容30.8%
利用する場所26.3%
メールやメッセージを送る相手24.6%

「利用する時間」が75.9%で突出し、「利用する場所」は26.3%。およそ3倍の差があります。ただし調査の選択肢は「利用する時間」という書き方なので、長さ(1日2時間まで)と時刻(22時以降は使わない)のどちらなのかまでは分かりません。それでも、置き場所を決めている家庭が4軒に1軒しかないことははっきりしています。

そして時間の長さで決めるルールは、ほぼ守られません。理由は単純で、何分使ったかを本人も親も把握できないからです。しかも「2時間」という数字自体が、実態から遠すぎます。

同じ調査で、中学生の平日1日あたりの平均利用時間は324.3分(約5時間24分)。3時間以上が78.1%、5時間以上が48.0%で、ほぼ半数です。前年度の約5時間2分から22分、令和5年度の約4時間42分からは42分増えています。目的別の平均(青少年全体)は、趣味・娯楽が約3時間1分、勉強・学習・知育が約1時間6分でした。

つまり「1日2時間まで」は、いまの半分以下に一度で落とせという要求です。守れないのは意志が弱いからではなく、最初の設定が現実的でないから。減らすなら、削る対象は趣味・娯楽の約3時間のほうです。そこを一度に削ろうとすると、ルール全体が最初の一週間で形だけになります。

ルールの型続きやすさ
時間で決める「1日2時間まで」守られにくい。何分使ったか本人も親も把握できない
場所で決める「勉強中はリビングに置く」守られやすい。守れているか一目で分かる
順番で決める「宿題が終わってから」比較的守られる。ただし宿題の質が落ちがち
時刻で決める「22時以降は使わない」最も守られやすい。時計を見れば判定できる

ルールは「守れているかどうかが一目で分かる形」にしてください。時間は測れませんが、時刻と場所は誰でも判定できます。「22時以降はリビングの充電器に置く」——これだけで、揉める回数がかなり減ります。

親は「決めた」、子は「決めていない」

この調査は、同じ家庭の親と子の両方に「家庭でルールを決めているか」を聞いています。答えは一致しません。

「家庭でルールを決めている」と答えた割合(令和7年度)
学校種本人保護者
小学生(10歳以上)83.8%88.4%4.6ポイント
中学生74.5%81.9%7.4ポイント
高校生44.3%58.3%14.0ポイント

報告書自身が「学校種が上がるにつれてギャップも拡大傾向」と書いています。さらに、スマホを使う中学生の保護者の92.1%が「何らかの方法でこどものネット利用を管理している」と答えています(1,070人)。それでも中学生本人は、約4人に1人が「決めている」とは答えていません(決めていない19.4%、わからない・無回答6.1%)。

この差は、どちらかが嘘をついているから出るものではありません。言っただけのものは、本人の側に残っていないだけです。だから決まっているかどうかは、本人がその場で言えるかどうかで確かめてください。言えないなら、決まっていないのと同じ扱いでいいです。このあとの契約書は、そこを埋めるためのものです。

もう一つ、時間のルールは学年とともに消えていきます。ルールがある家庭のなかで「利用する時間」を決めている割合は、13歳で男子80.6%・女子80.0%、17歳では男子51.3%・女子36.9%。そもそも「家庭でルールがある」と答える割合自体も、男子は13歳73.7%から17歳35.2%へ下がります。中学のうちに形を作れないと、あとから作り直すのはさらに難しくなります。

ルールを決めるときの3つのコツ

① 一緒に決める(押しつけない)

親が決めたルールは、破ることが反抗の手段になります。本人に案を出させてください。「何時までならいいと思う?」と聞くと、意外と現実的な答えが返ってきます。

本人が決めたルールなら、破ったときに「自分で決めたよね」と言えます。ここが決定的に違います。

② 例外を先に決めておく

ルールが崩れる最大の原因は例外の扱いです。「友達との連絡はどうするのか」「動画で勉強するのはどうか」を先に決めておかないと、その都度もめます。

先に決めておくこと
  • 連絡は例外にするか…グループ通話は連絡ではなく遊びに近い、など線引きを
  • 勉強で使う場合はどうするか…調べ物や動画授業は別枠にするか
  • 休日は変えるか…平日と同じにすると守れません
  • 破ったときにどうするか…罰ではなく「翌日は1時間短くする」程度の調整で十分です

③ 親も同じルールを守る

食事中に親がスマホを見ていて、子どもにだけ禁止するのは通りません。「食事中は全員テーブルに置かない」のように、家族のルールにしてください。

これは耳が痛い話ですが、実際に効きます。子どもは「自分だけ制限されている」と感じた瞬間に反発します。逆に、親も同じルールなら受け入れやすくなります。

そのまま使える「わが家のスマホ契約書」

口約束は、必ず「言った・言わない」になります。紙に書いて、二人で名前を書くだけで、その揉め方がほぼ無くなります。渡した瞬間に守られるようになるわけではありませんが、もめたときに戻る場所ができます。

効くのは「⑥ 親が守ること」を入れることです。ここが無い契約書は、本人から見ると命令書でしかありません。片方だけが守る約束は続きません。

わが家のスマホ契約書

決めた日   年  月  日 / 見直す日   年  月  日

① 時刻(いちばん守られるルール)

・夜は  時以降は使いません。

・朝は  時まで触りません。

② 置き場所(守れているかが一目で分かる)

・勉強しているあいだは、      に置きます。

・寝るときは自分の部屋に持ち込みません。

③ 使い方

・知らない人とはやりとりしません。

・自分や友だちの写真、住所、学校名は載せません。

・課金するときは、金額にかかわらず先に相談します。

・困ったこと、こわいことがあったら、怒られないので必ず言います。

④ 例外(先に決めておく)

・友だちと出かける日、部活の連絡がある日は        。

・テスト前の  日間は        。

⑤ 守れなかったときにどうするか

・1回目は         。

・続いたときは         。

⑥ 親が守ること

・勝手に中身を見ません。心配なときは、見る前に理由を言います。

・食事のあいだは、親もスマホを触りません。

本人サイン             保護者サイン            

印刷するか、書き写して使ってください。冷蔵庫か、充電器を置く場所の近くに貼るのがおすすめです。しまい込むと、無いのと同じになります。

埋めるときの3つのコツ

ここを外すと守られません
  • 空欄は本人に埋めさせる…親が全部書いた紙は、翌週には無視されます。時刻も置き場所も本人に決めさせてください
  • 禁止は3つまで…数が増えるほど全部が形だけになります。残すなら「知らない人」「課金」「困ったら言う」の3つです
  • 見直す日を先に書く…3か月後で構いません。期限があると本人が受け入れやすくなります。学年が上がれば条件は変わって当然です

学年で変えるところ

学年重点緩めていいところ
中1置き場所と時刻。ここで形を作っておくと後が楽まだ無い。最初の半年がいちばん大事
中2課金と、やりとりする相手。行動範囲が急に広がる休日の使用時間。平日が守れているなら口を出さない
中3寝る時刻だけ。睡眠が削れると全部が崩れるそれ以外。受験期に細かく言うと反発のほうが大きい

中3で細かく決め直そうとすると、まず失敗します。受験期に足すルールは1つだけにしてください。

勉強中にスマホをどうするか

ここには実験があります。アメリカの消費者研究の学術誌に載った2017年のワードほかの研究で、参加者520人を「机の上」「かばんやポケットの中」「別の部屋」の3条件に分け、覚えながら考える力を測っています。成績が良かった順は別の部屋 → かばん・ポケット → 机の上。続く275人の実験では、電源を切っても同じ差が出ました。しかも参加者は「スマホのことは考えていない」と答えています。本人に自覚が無いまま下がるのが、この話のやっかいなところです。

勉強中の扱い(この順で効果的)
  • ①別の部屋に置く…最も効果的。取りに行くのが面倒な距離にするのがコツです
  • ②リビングの決まった場所に置く…親が確認できるので現実的
  • ③かばんの中にしまう…机の上より格段にマシ
  • ④裏返して机に置く…効果は限定的。通知に気づいてしまいます

この並びは、上の実験で成績が良かった順とそのまま同じです。裏返すだけでは足りず、距離を離すほど効きます。

ゲームは取り上げるべきか

ゲームについても基本は同じです。ただしオンライン対戦は途中でやめにくいという特性があるので、そこだけ配慮が必要です。

ゲームのルールで気をつけること
  • 「あと5分」を認める…対戦中に切らせるのは無理があります。1試合の区切りを尊重してください
  • 開始時刻ではなく終了時刻を決める…「何時から」より「何時まで」のほうが守られます
  • 平日は短く、休日はまとめて…毎日少しずつより、メリハリのほうが続きます

ゲームを完全に禁止した家庭で、隠れてやるようになったケースを何度も見ています。見えないところでやられるより、時間を決めて堂々とやらせるほうが管理できます。

それでも守れないときは

ルールが守れない状態が続く場合、スマホが原因ではないこともあります。

確認したいこと
  • 勉強が分からなくて逃げている…この場合、スマホを取り上げても別の逃げ場に移るだけです
  • 学校や友人関係で疲れている…スマホが唯一の息抜きになっている可能性があります
  • やることが決まっていない…「何をやればいいか分からない」と、結局スマホに戻ります

とくに1つ目は多いです。分からない状態が続くと、勉強から逃げるのは自然な反応です。この場合に必要なのは制限ではなく、分かる状態に戻すことです。

スマホのルールを決める目的の半分は、就寝時刻を守ることにあります。何時間寝かせるべきかの目安はこちらです。

よくある質問

スマホを持たせない選択はどうですか?

中学生では、連絡手段や友人関係の面で難しい家庭が多いです。持たせない場合は、代わりの連絡手段を用意してください。ただし「持たせない」こと自体が目的化しないよう注意が必要です。

フィルタリングや使用時間の制限アプリは使うべきですか?

入れるなら早いほうが定着します。同じ調査では、こどもが使うスマホについて契約時または契約変更時にフィルタリングに加入したと答えた保護者が小学生58.4%・中学生62.3%・高校生44.1%。一方で「加入したが、解除した」は小学生4.4%・中学生8.3%・高校生15.1%と、学年が上がるほど増えます。入れても外れていくので、アプリだけに頼らず話し合いとセットにしてください。

取り上げたら成績が上がりました

短期的には上がることがあります。ただし取り上げた状態を3年間続けられるかを考えてください。続かないなら、ルールを作るほうが長い目では有効です。

動画で勉強していると言われますが本当か分かりません

疑うより、「何を見たか1行だけ教えて」と聞くほうが早いです。実際に勉強していれば答えられますし、答えられないなら別の話ができます。

親が言っても聞きません

親以外の大人から言われると聞くことがあります。塾の先生や学校の先生から一度伝えてもらうのも手です。同じ内容でも、伝える人が変わると届き方が変わります。

スマホと同じく、AIも取り上げて解決する話ではありません。ただ「答えを聞いて写す」使い方をしている生徒は例外なく伸びていません。使い方の違いをまとめました。

内申点がいま何点なのかは、計算ツールで数分で出せます。

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この記事を書いた人

兵庫県のとある学習塾の塾長。私大理系卒。塾バイト・家庭教師を経て、長年の経験を基に幅広く受験をサポートします。生徒だけでなく、それを支える保護者や先生の力にもなりたいという思いで立ち上げました。

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