中3の1年間スケジュール|保護者が動く3回の締切と、間に合わなくなる順番

中3の1年は、日付ではなく「動かせない締切5つの順番」で見ると崩れません。前の締切を落とすと、後ろが全部詰むからです。入試日程も内申の計算方法も都道府県でまるで違うので、ネットで見た日付を覚えても自分の子には当てはまりません。この記事では、春に制度を調べる・夏に中1中2へ戻る・秋に模試を複数回受ける・冬に数字を揃えて面談に行く、という順番と、保護者が動くべき3回、そして1年でかかるお金の見通しをまとめます。

中3になったのですが、親として、いつ何をすればいいのかまったく分かっていません……

それでいいんです。むしろ保護者が動くべき場面は、1年で3回しかありません。ただしその3回を外すと、あとで効きません。順番から説明します。

この記事の目次

中3の受験は「日付」ではなく「締切の順番」で見る

最初にお伝えしておきたいことがあります。高校入試の日程も、内申点の計算方法も、都道府県によってまったく違います。ネットで見た日付をそのまま自分の子に当てはめると、ずれます。

そこでこの記事では、日付ではなく「動かせない締切が5つあって、前の締切を落とすと後ろが全部詰む」という構造でまとめます。この順番はどの地域でも変わりません。

締切目安の時期ここを落とすとどうなるか
① 制度を調べる4〜6月1年間ずっと的外れな努力をする。内申が効く県なのに当日点だけ見る、など
② 中1・中2の復習7〜8月もう戻る時間がない。2学期以降は学校の進度と定期テストで埋まる
③ 模試を受け始める9〜10月自分の位置が分からないまま受験校を決めることになる
④ 面談・私立の相談11〜12月併願の枠が埋まる。期限を過ぎると相談自体ができない
⑤ 出願・志願変更1〜2月変更できる期間を知らずに、動かせたはずの1校を動かせない

※時期はあくまで目安です。私立は1月下旬〜2月上旬、公立は2月中旬〜3月上旬に実施する地域が多いですが、必ずお住まいの都道府県の入試実施要項でご確認ください。

締切① 4〜6月:受験する県の「内申と当日点の比率」を調べる

ここが1年でいちばん重要で、いちばん抜けています。高校入試は「内申点」と「当日の学力検査」の合計で決まりますが、その比率も、内申に何年生の成績が入るかも、都道府県でまるで違います。

たとえば秋田県では、2023年度入試から中1・中2・中3の3年間の調査書の評定が合否判定に使われるようになりました(進研ゼミ 高校入試情報サイト)。3年分を使う県で「中3から頑張ればいい」と考えていたら、スタート地点でもう差がついています。逆に中3だけの県なら、中1・中2は習慣づくりに使えます。

春のうちに調べる3つ(30分で終わります)
  • 内申は何年生の分が入るか(中3だけ/中1から/学年で重みが違う)
  • 内申と当日点の比率(半々の県もあれば、当日点の比重が高い県もある)
  • 実技4教科の扱い(2倍にする県が多い。ここを軽く見ると大きく損をする)

調べ先はお住まいの都道府県教育委員会の「入学者選抜実施要項」です。塾のまとめ記事ではなく、必ず一次情報にあたってください。制度は変わります。

ここは保護者が動くべき1回目です。子どもは制度を調べません。調べたうえで「うちの県は実技が2倍だから、音楽と美術を捨てないで」と伝える——これだけで結果が変わります。

締切② 7〜8月:中1・中2の総復習ができる最後の時期

入試問題は中1・中2の範囲からも出ます。ところが2学期に入ると、学校の授業が進み、定期テストがあり、模試があり、面談があり——過去に戻る時間はほぼ取れません。

つまり夏は「復習ができる最後のまとまった時間」です。ここを部活の引退や旅行で流してしまうと、9月以降に「基礎が抜けている」と気づいても、もう戻れません。私が毎年いちばん残念に思うのがこのパターンです。

優先1
積み上げ教科(数学・英語)の中1・中2

この2教科は下の学年が抜けていると上が絶対に乗りません。数学なら一次方程式・一次関数、英語なら不規則動詞と基本文型。ここが抜けたまま中3の内容をやっても、点は戻りません。

優先2
2学期の内申に直結する科目

2学期の評定が確定した時点で内申はもう動かせません。夏のうちに「あと1つで上がりそうな教科」を先生に確認しておくと、2学期の努力が点数に変わります。

優先3
暗記でどうにかなる教科(理科・社会)

この2教科は後ろに回して大丈夫です。秋以降でも詰められます。夏に理社ばかりやって数英を後回しにするのは、順番が逆です。

「今のままで間に合うのか」をここで一度判断してください。これが保護者が動くべき2回目です。判断材料は感覚ではなく、どの単元が抜けているかです。「数学が苦手」ではなく「中1の一次方程式の文章題が抜けている」まで絞れれば、夏の40日をどう使うかが決まります。

過去の定期テストを並べて分析する時間が取れないときは、診断だけ外部に任せる手もあります。【atama+ オンライン塾】は診断テストからつまずきの根本原因になっている単元をさかのぼって特定する仕組みなので、無料体験で「穴の地図」だけ作り、夏の計画をそれに合わせる、という使い方ができます。

締切③ 9〜10月:模試を受け始める

ここで意外に思われるのですが、学校は模試の合格判定を持っていません。1993年の文部省通知以降、中学校は業者テストを校内で実施しなくなったためです。つまり模試は、家庭が自分で申し込んで受けるものです。

そして重要なのが「回数」です。地域によっては、私立高校の相談で複数回受けた模試のうち成績が良かった上位2回の平均を見る運用があります。この場合、12月に1回だけ受けたのでは間に合いません。9月・10月・11月と受けておくことで、良かった回を選べるようになります。

模試選びで外さない基準
  • その地域でいちばん受験者が多い模試を選ぶ……判定は母集団の中での位置なので、人数が少ない模試の判定はあてになりません
  • 同じ模試を続けて受ける……別の模試と偏差値を比べても意味がありません。伸びを見るには同じ物差しが要ります
  • 判定より「どこで落としたか」を見る……判定は結果です。次に効くのは分野別の得点率のほうです

締切④ 11〜12月:三者面談と私立の相談。ここで受験校が決まります

2学期の通知表が出た時点で、内申点は確定します。ここから先は「確定した持ち点でどこを受けるか」を決める段階に変わります。頑張って上げる話は、もう終わっています。

そして私立の併願は、県によって「誰が動くか」が逆になります。東京・神奈川・千葉では中学校の先生が私立高校に受験予定者を提示する形(例年12月15日の首都圏統一日程から)ですが、埼玉では中学校は関与せず、保護者と本人が自分で個別相談会に行きます。

ここが保護者が動くべき3回目で、いちばん大事な回です。数字を揃えて面談に行く——確定内申、模試の判定、必要な当日点。この3つを紙に書いて持っていくだけで、面談の中身がまるで変わります。

締切⑤ 1〜2月:出願と、志願変更の期限

意外と知られていないのが、出願したあとに受験校を変更できる期間があることです。倍率が発表されてから変更できる地域もあります。この期限を知らないまま出願日を迎えると、本当は動かせたはずの1校を動かせません。

ここも都道府県で扱いが違うので、秋のうちに実施要項で確認しておいてください。1月に入ってから調べると、たいてい間に合いません。

時間はどこから作るか(夏と2学期でやり方が違います)

「夏の40日をどう使うか」と書きましたが、実際には夏と2学期では、時間の作り方がまったく違います。同じやり方を続けようとして9月に崩れる子が毎年います。

夏:1日を「戻る時間」と「進む時間」に割る

夏はまとまった時間が取れる代わりに、何をやるか決めないと1日が溶けます。おすすめは、1日を2つに割ってしまうことです。

  • 午前は「戻る時間」……中1・中2の抜けをつぶす。頭が動く時間帯を、いちばん面倒な作業に当てます
  • 午後・夜は「進む時間」……講習の宿題や中3の内容。こちらは締切があるので後回しでも回ります

逆にしてしまう子が本当に多いです。宿題から始めると、宿題で1日が終わります。戻る作業は締切がないので、後ろに置くと永遠にやりません。「40日で中1・中2を1周する」と決めたら、午前をそこに固定してしまうのがいちばん確実です。

ご家庭にお願いしたいのは「何時間やった?」と聞かないことです。時間を聞かれると、机に座っている時間を長くする方向に子どもは動きます。聞くなら「今日はどこをやった?」。単元名が返ってくるなら、中身は進んでいます。

2学期:まとまった時間は取れない前提で組む

9月からは、学校の授業・定期テスト・模試・面談・行事が並びます。「今日は3時間やる」という組み方は成立しません。ここからは、細切れの時間に何を入れるかを先に決めておくやり方に切り替えます。

時間入れるもの理由
通学・移動暗記(英単語・理社の用語)中断されても損が小さい作業だから
帰宅直後の30分その日の授業の復習忘れる前にやるのが最も効率がいい
夜のまとまった時間数学・英語の演習考える作業は中断されると最初からになる
土日模試の直しと、まだ残っている中1・中2の穴平日には絶対に入らない作業だから

ポイントは「考える作業を細切れの時間に入れない」ことです。数学の応用問題を通学中にやろうとしても進みません。逆に暗記を夜の机に持ってくるのは、いちばん貴重な時間の無駄づかいです。作業の種類と時間帯を対応させるだけで、同じ総時間でも進み方が変わります。

中3の1年でかかるお金は、3回跳ねます

スケジュールと一緒に見ておいてほしいのがお金です。中3の費用は、月謝を12倍しても出ません。跳ねるタイミングが決まっているので、そこを知らないまま年度を始めると、冬に慌てることになります。

中3で費用が跳ねる3回
  • 7〜8月の夏期講習……日数が中1・中2の倍になる塾が多く、ここが1年で最大の山になります
  • 12月〜1月の冬期講習・直前講習……月謝とは別建てで、単発の対策講座が積み上がります
  • 1〜3月の受験料と入学金……塾とは別に、まとまった現金が要ります

塾代:中3は「平均」より上を見ておく

文部科学省の調査では、公立中学校の学習塾費は年230,385円です。ただしこれは塾に通っていない家庭も含めた全世帯の平均で、同じ調査で公立中学生の34.0%は学習塾費が0円でした。実際に払っている家庭だけの平均は年34万9千円で、0円を除くと「年40万円以上」の層が23.3%と最も厚くなります。

そしてこれは中1〜中3をならした数字です。中3は講習でここからさらに上がるので、私が面談でお伝えしているのは年40〜50万円台という目安です。「平均23万円」を予算にすると、まず足りません。

受験料と入学金:戻ってこないお金がある

塾代とは別に、冬から春にかけて現金が必要になります。ここでいちばん見落とされるのが「公立に受かっても、私立に納めた入学金は原則戻らない」ことです。

項目金額の例注意点
公立の入学考査料2,200円(都立の額)ここは負担になりません
私立の受験料各校の募集要項で確認併願を1校増やすたびに積み上がります
私立の入学金平均254,599円(令和8年度・都内私立233校)就学支援金の対象外。公立に受かって辞退しても原則戻りません
公立の入学料5,650円(都立の額)合格発表の直後に納入期限が来ます

※金額は東京都の例です。都道府県・学校によって額が違いますので、必ず志望校の募集要項と自治体の案内でご確認ください。

公立が第一志望なのに、私立の入学金を25万円払うことになるんですか……?

そうなる場合があります。ただし「延納制度」がある私立なら、公立の発表を待ってから納められます。これは私立を選ぶ段階で確認するもので、合格してから聞いても遅いです。締切④の相談のときに必ず聞いてください。

【塾長から】保護者が動くのは、1年で3回だけです

毎日声をかける必要はありません。むしろ逆効果です。動くべきなのは次の3回だけで、それ以外は見守るほうがうまくいきます。

保護者が動く3回
  • 春:制度を調べる……子どもは調べません。ここは大人の仕事です
  • 夏の前:足りているかを判断する……感覚ではなく、抜けている単元で判断する
  • 11月:数字を揃えて面談に行く……確定内申・模試の判定・必要な当日点の3つ

間に合わなくなる典型パターン3つ

やりがちなこと何が起きるか
夏を「部活が忙しいから」で流す中1・中2に戻る時間が二度と取れない。秋以降に基礎の抜けが見つかっても手遅れになる
模試を12月に1回だけ受ける良かった回を選べない。しかも判定が悪かったときに立て直す時間が残っていない
面談でその場で決めてしまう本人が納得しないまま志望校が下がる。あとで「あのとき決めなければ」となる

3つとも共通しているのは「あとから取り返せない」という点です。逆に言えば、この3つさえ避ければ、多少の失敗は取り返せます。

締切③の「模試を受け始める」は、どの模試を受けるかまで決めて初めて動きます。会場で受けられる回は年に数回しかないことが多いので、先に日程を押さえてください。

よくある質問

塾に入れるなら、いつがいいですか?

中3からなら春(4〜5月)が最も効きます。夏期講習から入ると、復習に必要な時間が足りないまま季節講習の費用だけがかかります。すでに夏を過ぎている場合は、「全教科」ではなく「抜けている単元」に絞って入れたほうが、残り時間に対して効率が上がります。

部活の引退が9月です。もう遅いでしょうか?

遅くはありません。ただしやる順番を変える必要があります。引退が遅い子は中1・中2の全範囲を回す時間が取れないので、入試での配点が大きい単元だけに絞ります。数学なら関数と図形、英語なら長文。理社は後ろに回して大丈夫です。「全部やる」と決めた瞬間に間に合わなくなります。

内申が足りていません。当日点で逆転できますか?

県の比率次第です。当日点の比重が高い県なら十分に可能ですし、内申の比重が高い県だと厳しくなります。だから締切①で比率を調べる必要があるのです。まず「あと何点必要か」を数字にしてください。そこが出れば、可能か不可能かは自分で判断できます。

子どもがまったく焦っていません。どうすればいいですか?

焦らせても動きません。効くのは「事実を見せること」です。志望校に必要な点数と、今の点数の差を数字で並べる。そのうえで「どうする?」と本人に聞く。親が決めて言い渡すと反発しますが、数字を見せて本人に決めさせると動くことが多いです。模試を受けさせるのがいちばん手っ取り早い方法です。

まとめ

中3の1年でずらしてはいけない順番
  • ……県の制度(内申の対象学年・比率・実技の扱い)を調べる
  • ……中1・中2に戻れる最後の時期。数学と英語を優先、理社は後ろ
  • ……模試を複数回。学校は判定を持っていないので家庭が取りに行く
  • ……内申確定。数字を揃えて面談へ。私立の相談は期限厳守
  • 直前……志願変更の期限を秋のうちに確認しておく

この順番さえ守れば、あとは本人のペースで大丈夫です。保護者が焦って毎日声をかけるより、3回の締切を外さないほうが、はるかに結果に効きます。お子さんの1年が実りあるものになることを願っています。

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この記事を書いた人

兵庫県のとある学習塾の塾長。私大理系卒。塾バイト・家庭教師を経て、長年の経験を基に幅広く受験をサポートします。生徒だけでなく、それを支える保護者や先生の力にもなりたいという思いで立ち上げました。

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