高校受験の模試の選び方|地域で決まる理由と、会場受験を逃さない時期

高校受験の模試は、「その地域でいちばん受験者が多いもの」を選ぶのが原則です。判定は母集団の中での位置で出るので、受験者が少ない模試の判定はあてになりません。そして模試は学校では手に入りません。家庭か塾が自分で申し込む必要があります。さらに見落とされがちなのが会場で受けられる回が限られていることで、日程を逃すと自宅受験しか残りません。この記事では地域で選ぶ理由と、逃してはいけない回の見つけ方をまとめます。

模試って、学校が受けさせてくれるものだと思っていました。自分で申し込むんですか?

はい、学校は模試の合否判定を持っていません。制度としてそうなっています。だから偏差値と判定は、家庭が自分で取りに行くしかありません。これを知らずに秋を過ぎてしまうご家庭が毎年あります。

この記事の目次

なぜ学校ではなく、家庭が申し込むのか

1993年に文部省(当時)が出した通知以降、中学校は校内で業者テストを実施しなくなりました。その結果、先生の手元には模試の合否判定にあたるデータが存在しません。学校が持っているのは内申点と、校内の実力テストと、過去の卒業生の進学実績だけです。

つまり「三者面談で判定を教えてもらう」ということが構造的に起こりません。先生が不親切なわけではないのです。この話は別記事に詳しくまとめました。

模試は「地域」で決まります。全国模試では判定が出ません

公立高校の入試は都道府県ごとに問題も選抜のしくみもまったく違います。だから全国規模の模試を受けても、志望校の判定は出ません。学力は測れても、「その高校に受かるか」は測れないのです。

どれくらい違うかというと、たとえば兵庫統一模試(神戸新聞社・創造学園)は「兵庫県公立高校入試と同じ紙質・字体・出題形式」で作られ、加算点も加味した複数志願選抜に完全対応と公式に書かれています。複数志願選抜は兵庫県の制度なので、この対応は兵庫でしか意味を持ちません。逆に言えば、地域の模試はそこまで作り込まれているということです。

代表的な地域模試(一部)

地域よく受けられている模試
埼玉北辰テスト
千葉Vもぎ・Sもぎ
東京Wもぎ・Vもぎ
神奈川全県模試
兵庫兵庫統一模試・兵庫模試
大阪・京都ほか関西五ツ木模試

※これはよく名前が挙がるものの一部です。地域によってはほかにも選択肢があります。お住まいの都道府県で受験者が多いものを、必ずご自身で確認してください。各模試の公式サイトに規模や対応する入試制度が書かれています。

模試を決めるときに公式サイトで見る3つ
  • 受験者数(または「県内最大」などの表記)……判定は母集団の中の位置です。人数が少なければ判定の精度も落ちます
  • その県の入試制度に対応しているか……内申の換算方法や加算点まで反映しているかどうかで、判定の意味が変わります
  • 会場受験ができる回はどれか……ここが最も見落とされます。次で詳しく書きます

会場で受けられる回は、思っているより少ないです

これが今回いちばんお伝えしたいところです。模試は「いつでも会場で受けられる」わけではありません。

実例で見ます。兵庫統一模試は中3対象で年6回ありますが、公式の案内によると会場か自宅かを選べるのは第3回(8月)と第4回(10月末〜11月)の2回だけで、残り4回は自宅受験のみです。

兵庫統一模試(中3)の実施日程
日程受験の形
第1回(4月)4月2日〜5日自宅のみ
第2回(5月)5月28日〜31日自宅のみ
第3回(8月)8月27日〜30日会場か自宅を選べる
第4回(11月)10月29日〜11月1日会場か自宅を選べる
第5回(12月)12月3日〜6日自宅のみ
第6回(1月)1月7日〜10日自宅のみ

出典:兵庫統一模試 公式サイト(2026年8月13日確認)。日程は年度によって変わります。必ず最新の案内でご確認ください。

自宅受験では分からないこと

自宅受験でも点数と偏差値は出ます。ただし本番で同じ点が取れるかは分かりません。塾長として見てきたかぎり、自宅と会場では次の点が変わります。

  • 時間を本当に守ったか……自宅だと数分の延長が起きます。本番では1秒も延びません
  • 知らない人に囲まれて解けるか……ここで崩れる子は実際にいます。慣れておく機会は多くありません
  • 朝からの集中が続くか……本番は午前から5教科です。家では途中で休んでしまいます

ですから会場で受けられる回は、多少無理をしてでも会場で受けてください。年に2回しかないなら、その2回は本番のリハーサルです。自宅受験は「点を測る」ためのもので、「本番で出せるか」は測れません。

いつから、何回受けるか

目安は9〜10月に始めて、そこから複数回です。理由は2つあります。

理由1
1回の判定はあてにならないから

模試の点は回ごとにぶれます。1回だけ受けて悪かったから志望校を下げる、というのがいちばんもったいない判断です。2〜3回受けて、どのあたりに落ち着くかを見てください。

理由2
地域によっては「良かった回」を使えるから

私立高校の相談で模試の成績を持参する地域では、複数回受けたうちの成績が良かった回の平均を見る運用があります。この場合、12月に1回だけ受けたのでは選びようがありません。早めに複数回受けておくことが、そのまま有利に働きます。

中3の1年の中で模試がどの位置にあるかは、こちらで全体の流れとして整理しています。

「偏差値60の高校」は、どの模試の偏差値ですか

ここも誤解の多いところです。偏差値という数字は、それ単体では意味を持ちません。「受けた人たちの中でどのあたりか」を表す数字なので、受けた人の集まりが変われば、同じ実力でも数字が変わります。

つまり模試が違えば、同じ高校の「目標偏差値」も違います。難関校を目指す層が多く受ける模試では数字が低めに出ますし、幅広い層が受ける模試では高めに出ます。ネットで見た偏差値一覧をそのまま自分の模試の結果と比べると、受かるはずの高校を諦めたり、逆に届かない高校を安全圏だと思い込んだりします。

志望校は偏差値58と書いてあって、うちの子は模試で60でした。安心していいのでしょうか?

その「58」がどこの数字かを確かめてください。受けた模試の資料に載っている数字なら比べられます。ネットの一覧や別の模試の数字なら、そもそも比べてはいけない数字です。同じものさしで測ったかどうか、そこだけです。

偏差値を扱うときの3つの約束
  • 志望校の目標偏差値は、自分が受ける模試の資料で見る……模試の会社は、その模試の偏差値で作った合格ラインの資料を出しています
  • 違う模試の偏差値どうしを比べない……前回は別の模試だった、という比較には意味がありません
  • 同じ模試を続けて受ける……伸びているかを見るには、ものさしを変えないことが前提です

成績表は、この順番で見てください

返却された成績表で、多くのご家庭が最初にA〜Eの判定を見ます。順番が逆です。判定から見ると、良ければ安心して終わり、悪ければ落ち込んで終わります。どちらの場合も、次の1か月にやることは決まりません。

順番見るものそこから決まること
1番目分野別の得点率次の1か月にやる単元。ここだけで模試の元は取れます
2番目志望校内での順位(何人中何位か)判定より具体的です。定員と見比べれば距離が分かります
3番目偏差値の推移(同じ模試で)上がっているか横ばいか。1回の数字では判断しません
最後A〜Eの判定確認するだけ。ここから打つ手は出てきません

とくに2番目の「志望校内での順位」は見落とされがちですが、判定よりずっと実用的です。その高校を第一志望に書いた人の中で、自分がどのあたりにいるかが分かるからです。定員が280人の高校で志望者内120位なら、判定がBでもCでも、やることは変わりません。

ご家庭にお願いしたいのは、成績表を見て最初に口に出す言葉を「判定どうだった?」にしないことです。「どこが取れてなかった?」から入ると、子どもは成績表を隠さなくなります。これは本当に変わります。

落としている原因が「前の学年」にあるとき

分野別の得点率まで絞れても、その単元でつまずいている原因がさらに前の学年にあることがあります。「関数が取れない」の下に「中1の比例・反比例が抜けている」が隠れている、という形です。ここは模試の成績表だけでは見えません。

そして分野別で落としている原因が前の学年にある場合、模試の成績表だけでは特定できません。過去の教材を並べて探す時間が取れないときは、診断だけ外部に任せる方法もあります。【atama+ オンライン塾】は診断テストからつまずきの根本原因になっている単元をさかのぼって特定する仕組みなので、模試の分野別得点率と突き合わせると、戻る場所がはっきりします。

判定が悪かったときに志望校を変えるかどうかは、時期によって答えが変わります。

よくある質問

塾に通っています。塾の模試だけで足りますか?

塾内テストと、地域の公開模試は別物です。塾内テストの母集団はその塾の生徒だけなので、県内での位置は分かりません。大手塾なら県内の主要な模試を教室で実施してくれることもあるので、「うちの塾では県内の公開模試を受けられますか」と先に聞いてください。受けられないなら、家庭で申し込む必要があります。

中1・中2のうちから受けたほうがいいですか?

志望校の判定を出すためなら中3からで十分です。ただし中1・中2向けの学力テストを実施している模試もあり、「学校の順位は良いのに県内では真ん中だった」と早めに気づけるという意味では価値があります。年1回でも受けておくと、中3で現実を突きつけられる衝撃が小さくなります。

費用はどれくらいかかりますか?

模試によりますが、1回あたり数千円が目安です。たとえば五ツ木の模擬テスト会(関西最大規模の公開会場模試と公式に表記)は1回4,950円・当日申込は5,900円と公表されています(税込・2026年8月13日確認)。3回受ければ1万5千円ほどです。塾の月謝と比べれば小さい額なので、ここを削るのはおすすめしません。

申し込みを忘れていました。もう間に合わないでしょうか?

会場受験は定員や締切がありますが、自宅受験なら受け付けている回が多いです。まず公式サイトで次の回の締切を確認してください。それも過ぎているなら、次に会場で受けられる回だけは、いま日程を手帳に書いてください。「気づいたら終わっていた」がいちばん多い失敗です。

まとめ

模試選びの要点
  • 学校は模試の判定を持っていない。家庭か塾が申し込む
  • その地域で受験者が多い模試を選ぶ。全国模試では志望校の判定が出ない
  • 会場で受けられる回は限られている。年6回でも会場は2回、ということがある
  • 9〜10月から複数回。1回の判定で志望校を決めない
  • 判定より分野別の得点率。次の1か月にやることが決まるのはこちら

模試は「今の位置を知る道具」です。結果に一喜一憂するためのものではありません。受けたあとに何を1か月やるかが決まれば、その模試は元が取れています。まずはお住まいの地域の模試の日程を、いま確認してみてください。

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この記事を書いた人

兵庫県のとある学習塾の塾長。私大理系卒。塾バイト・家庭教師を経て、長年の経験を基に幅広く受験をサポートします。生徒だけでなく、それを支える保護者や先生の力にもなりたいという思いで立ち上げました。

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