中学生に塾が要るかどうかは、まわりが行っているかでは決まりません。文部科学省の調査では、公立中学生の約3人に1人は学習塾費が0円です。この記事では通塾率の実データと、塾が要る子・要らない子の分かれ目、そして「通わせても上がらない」ケースを整理します。

春から中学生です。まわりが塾に通い始めたと聞いて焦っています。うちも入れたほうがいいのでしょうか。まだ成績が悪いわけではないのですが…。

成績が悪くないなら、急いで入れる必要はありません。塾が効くのは「家庭では動かせない問題」があるときだけです。まわりに合わせて入れた子は、最初の壁で辞めます。
【一次データ】中学生の通塾率は約66%
まず実際の割合です。文部科学省の最新調査で、公立中学生のうち1年間の学習塾費が0円だった家庭は34.0%でした。裏返すと通っているのは約66%です。
| 年間の学習塾費 | 割合 |
|---|---|
| 0円(通っていない) | 34.0% |
| 20万円未満 | 19.9% |
| 20〜40万円未満 | 22.9% |
| 40万円以上 | 23.3%(0円を除くと最多) |
出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」表8-2 学習塾費の金額分布(調査結果の概要)
支出している家庭だけの平均は年およそ34万9千円。「行くか行かないか」だけでなく、行くなら年30〜40万円台が普通という金額感も先に持っておいてください。

ただ、この割合は判断材料になりません。66%が通っていても、お子さんがその66%に入るべきかは別の話です。見るのは平均ではなく、次の3つだけにしてください。
塾が要る子の3条件
塾で解決するのは「家庭では動かせない問題」だけです。次のどれかに当てはまるなら、通わせる意味があります。
- ①どこでつまずいたか分からない…本人も家庭も特定できない状態。前の学年に原因があることが多く、自力では戻れません
- ②やることを自分で決められない…机には向かうが手が止まる。教材があっても順番が組めない
- ③家に勉強できる環境がない…兄弟がいる・テレビがついている・自分の部屋にゲームがある。意志ではなく環境の問題です
逆に「成績が平均以上で、自分で計画を立てて進められる」なら急がなくて構いません。この状態の子に塾を足しても、時間を取るわりに伸びしろが小さいです。
①か②かで迷う場合は、「やらない」のか「やれない」のかを先に切り分けてください。ここを間違えると、塾に入れても変わりません。

「塾に行っても成績が上がらない」のはなぜか
通わせたのに変わらない、という相談は非常に多いです。原因はだいたい次の3つに収まります。
| 起きていること | 本当の原因 |
|---|---|
| 授業は受けているが家でやらない | 塾は週2〜3時間。残りの週の使い方を変えないと動きません |
| 分からないところを聞けていない | 集団だと手を挙げられない子がいます。質問できているかを必ず確認してください |
| 今の学年の内容だけをやっている | つまずきが前の学年にある場合、戻らないかぎり上がりません |

面談で「どの単元で崩れていますか」と聞いて、単元名で答えが返ってこない塾は要注意です。見ていないか、見ていても共有する仕組みが無いということです。ここは入る前の体験でも確認できます。
3つ目の「戻る必要があるか」は、家庭では判断が難しいところです。【atama+ オンライン塾】
のようにAIが単元の穴を出す形式なら、14日間の無料体験のあいだに「どこから戻るか」だけでも分かります。そこが分かれば、通わせるかどうかの判断も具体的になります。

勉強が苦手な子は、集団だと厳しい
「苦手だから塾へ」と考えるとき、形態を間違えると逆効果になります。集団塾は「授業についていける」ことが前提の設計だからです。
| 今の状態 | 向く形態 |
|---|---|
| 学校の授業は分かる。演習量が足りない | 集団塾。同じ内容を安く多く回せます |
| 学校の授業についていけていない | 個別指導。集団に入れると座っているだけになります |
| 前の学年から崩れている | 個別か1対1。戻る作業は集団ではできません |
| 人の目が気になって質問できない | 1対1。人数が減るほど質問の回数が増えます |
とくに「質問できていない」が理由なら、人数を減らすのがいちばん確実です。オンライン東大家庭教師友の会
のような1対1は、無料体験のときに「分からないと言えたか」だけ見れば向き不向きが分かります。

年30〜40万円を払う価値があるか、をどう判断するか
「必要かどうか」を突き詰めると、結局ここに行き着きます。年30〜40万円を出す価値があるのか。面談で口に出しにくいところだと思うので、塾側の人間として正直に書きます。
まず前提として、塾で買っているのは点数ではありません。買っているのは「時間」と「順番」です。どこから戻るかを決めてくれること、決めた順番で強制的に進む時間が確保されること——この2つにお金を払っています。点数はその結果として、あとから出てきます。

ですから「3か月で点数が上がらなかったから辞める」は早すぎます。逆に「点数が出るまで待ちましょう」と言い続ける塾も信用しないでください。点数の前に動くものがあって、そこを見れば3か月で判断できます。
3か月後に見るのは、点数ではなくこの3つ
- 家での勉強時間が変わったか……塾は週2〜3時間です。残りの週が変わらなければ、何も変わりません。ここが動いていないなら、塾が家庭学習に手を入れていないということです
- つまずいている単元の名前が減ったか……「数学が苦手」のままなら進んでいません。「一次関数はできるようになった」と言えるなら、点数が出るのは時間の問題です
- 分からないと言えるようになったか……これが最も見落とされます。質問できていない子は、何時間座っても進みません
この3つのどれも動いていないなら、3か月で判断して構いません。逆に1つでも動いているなら、点数が出ていなくても続ける価値があります。入る前にこの基準を決めておくと、感情ではなく事実で判断できます。
通わせない34%は、代わりに何をしているのか
ここも誤解が多いところです。「塾に行かない代わりに通信教育をやっている」と思われがちですが、データはそうなっていません。
同じ文部科学省の調査で、公立中学校の家庭のうち通信教育・家庭教師費が0円だったのは72.7%。支出した家庭の年間平均は7万8千円でした。学習塾費(0円が34.0%/支出者の平均34万9千円)と比べると、使っている家庭がずっと少なく、金額も4分の1以下です。
つまり塾にも通信教育にも行っていない家庭が、相当数あります。その子たちは学校の授業と教材、市販のワークでやっています。「何もしていない」わけではありません。
| 0円の家庭 | 支出した家庭の年間平均 | |
|---|---|---|
| 学習塾費 | 34.0% | 34万9千円 |
| 通信教育・家庭教師費 | 72.7% | 7万8千円 |
出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」表8-2(調査結果の概要)
中1の月額を、公開されている実額で並べると
「通信教育は数千円、塾は2万円」というイメージも、実額で並べると崩れます。
| 通信教育(中1) | 月額 | 塾(中1) | 月額 |
|---|---|---|---|
| スタディサプリ | 1,815円 | そら塾(オンライン個別) | 7,800円 |
| 進研ゼミ(12か月一括) | 7,140円 | 森塾(対面個別) | 11,700円 |
| スマイルゼミ | 8,580円 | 臨海セミナー(集団・3教科) | 17,930円 |
| Z会(高校受験コース) | 9,980円 | 個太郎塾(個別・1科目) | 19,712円 |
※2026年8月13日に各社の公式サイトで確認した税込の公開額です。塾は週1回・1科目(臨海セミナーのみ3教科)。地域・教室・コースで変わります。
いちばん高い通信教育(Z会 9,980円)は、いちばん安い塾(そら塾 7,800円)より高く、森塾 11,700円とも1,720円しか違いません。「通信教育だから安い」は成り立たないということです。

同じくらいの金額なら、どちらを選べばいいのでしょう……?

金額ではなく「その場で聞けるかどうか」で分かれます。塾はその場で聞けることに1万円台を払う仕組み、通信教育はAIならその場・人なら翌日以降を数千円で買う仕組みです。質問できずに止まる子なら、通信教育に替えても同じところで止まります。

学年によって「必要」の意味が変わります
| 学年 | この時期に塾が果たす役割 | 通わせなくてよい条件 |
|---|---|---|
| 中1 | 勉強のやり方と習慣をつくる。塾でなくても作れます | 定期テストで平均以上が取れていて、テスト2週間前に自分から動ける |
| 中2 | いちばんの分かれ目。ここで崩れると中3で戻る時間がない | 数学と英語が平均以上。この2教科が落ちたら、学年に関係なく手を打つ |
| 中3 | 役割が「戻る」から「入試に出る形で詰める」に変わる | 過去問を自分で回して、間違いを分類できている(できる子は少数です) |
見てのとおり、いちばん判断が難しいのは中2です。まだ受験は先で、成績が落ちても危機感が出ません。ところが中3から戻ろうとすると、中1・中2の2年分が相手になります。「中3になってから考える」がいちばん高くつく選択です。
入れると決めたら、何年生から
要否が決まったあとのタイミングは、学年ごとに考え方が変わります。中1で入れるか、中2の後半まで待つかで費用も負担も変わるので、別記事に学年別でまとめました。

費用は年30〜40万円台が中心です。学年と形態で総額がどう変わるかは、計算ツールで先に出しておくと面談で迷いません。

そして塾なしで高校受験に向かう選択もあります。34.0%はそちらを選んでいます。向いている子の条件はこちらです。

よくある質問
まわりが行き始めて焦ります。今すぐ入れるべきですか
焦りは判断材料になりません。上の3条件に当てはまらないなら、次の定期テストの結果を見てから決めても遅くありません。まわりに合わせて入れた子は、目的が無いぶん最初の壁で辞めます。
成績は普通です。それでも通わせたほうがいいですか
自分で計画を立てて進められているなら、急ぐ必要はありません。ただし中2の後半で内容が難しくなり、そこで崩れる子は多いです。「平均は取れているが、やり方が我流」なら早めに見てもらう価値があります。
本人が行きたがりません
入る前から嫌がっている場合、無理に入れても3か月で辞めます。体験だけ受けさせて本人に選ばせるほうが続きます。「行くかどうか」ではなく「2校のどちらか」を選ばせると、話が進みやすいです。
費用が厳しいです。通信教育でも代わりになりますか
「やることを自分で決められる子」なら代わりになります。逆に②が理由で塾を検討しているなら、通信教育に変えても同じところで止まります。教材が増えるだけです。判断の分かれ目は「自分で進められるか」の一点です。
部活が忙しくて時間がありません
繁忙期に週3で入れると、教室で寝ます。週1〜2に絞るか、引退後まで待つほうが結果的に伸びます。中3の夏に部活が終わってから入る子は珍しくありませんし、そこからでも間に合います。
まとめ
- 公立中学生の通塾率は約66%(学習塾費0円が34.0%)。ただし割合は判断材料にならない
- 塾が要るのは①つまずきが特定できない ②やることを決められない ③家に環境がないのどれか
- 通わせても上がらないのは、週の残りが変わっていない/質問できていない/戻れていないから
- 苦手な子を集団に入れると座っているだけになる。形態を先に決める
- 行くなら費用は年30〜40万円台が中心。総額で比べる
迷っている段階なら、まず3条件のどれに当てはまるかだけ決めてください。ここが決まれば、受ける体験は1〜2校で済みます。


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