転塾のタイミング|学年別の期限と、今の塾への伝え方の例文

転塾のタイミング|学年別の期限と、今の塾への伝え方の例文

転塾で失敗するのは、今の塾を辞めてから次を探した場合です。塾6社の公式サイトを確認したところ、5社が「年度の途中でも月の途中でも、いつからでも入塾できる」と自社で明記していました(2026年8月13日確認)。期限を作っているのは塾ではありません。学年別の目安と、次を決めてから動く手順、今の塾への伝え方の例文までまとめます。

今の塾が合っていない気がします。ただ、途中で替えるのは本人の負担が大きい気もして踏み切れません。替えるなら、いつまでに決めたほうがいいのでしょうか。

期限より先に決めることがあります。「次をどこにするか」を決めてから辞めてください。先に辞めると、空いた期間の焦りで判断が雑になり、同じ理由でまた合わない塾を選びます。

この記事の目次

【結論】転塾は「いつ」より「次を決めてから」

先に押さえること
  • 辞めるのが先だと失敗する…空白期間の焦りで、比較せずに決めてしまいます
  • 合わない理由を1つに絞る…絞らないまま替えても、次で同じことが起きます
  • 期限は学年で違う…受験学年は、動ける時期がかなり限られます

転塾そのものは珍しいことではありません。個別指導塾WAMは公式のよくある質問で「他の塾に通っているのですが、掛け持ちで通うことができますか?」という問いに対し、「実際、他塾と併用し通っている生徒様もたくさんいらっしゃいます」と答えています。塾側にとっては日常の光景です。問題になるのは順番だけです。

その公式回答が示すとおり、替えるのではなく「足す」という選択肢もあります。両方に通う形が機能する条件は、こちらに整理しました。

ただし足すのは、今の塾の宿題が回っている場合だけです。回っていないなら替える判断のほうが正しくなります。

替えていい理由と、替えても変わらない理由

まず、塾を替えれば解決するのかどうかを切り分けます。ここを飛ばした転塾がいちばん多く、そして続きません。

今の状況転塾で変わるか
授業のレベルが合っていない
(速すぎる・易しすぎる)
変わる。クラス変更で解決しないなら、替える価値があります
指導形態が合っていない
(集団で置いていかれる/個別で緩む)
変わる。形態の問題は、同じ塾の中では動かせません
講師との相性まず担当変更を頼む。それで済むことが多く、替えるのは最後です
家庭学習が止まっている変わらない。塾を替えても、家でやらない状態は続きます
成績が上がらない(通って3か月以内)まだ判断できない。効果が出るまでの時間を見ていません

受け入れる側から見ると、「前の塾でも同じことを言っていた」家庭は、うちでも同じ結果になります。合わない理由が塾側にあるのか家庭側にあるのかを、先に一度だけ切り分けてください。

講師との相性が理由なら、替える前に打てる手があります。担当変更は個別指導では日常的な依頼です。

家庭学習が止まっている場合は、そもそも塾の問題ではありません。「やらない」のか「やれない」のかで打つ手が逆になります。

「いつまで」を決めているのは塾ではない|6社の公式記載

「もう時期的に間に合わないのでは」と考えるとき、多くの家庭は塾側が受け入れを締め切ると思っています。実際に6社の公式サイトを確認すると、逆でした(2026年8月13日確認)。

形態入塾の時期について公式に書いていること
明光義塾個別「小・中・高の全ての学年で、いつからでも授業をスタートすることができます」。入会の可否のためのテストは一切行っていない
東京個別指導学院個別もちろん月途中からでも可能です。授業の準備ができ次第、いつからでも受講を開始できます」。その月は授業を行った回数分だけの費用
個別指導塾WAM個別「年度の途中のみならず、月の途中であっても授業を開始できます
ナビ個別指導学院個別「いつでも可能です。ただし、あくまで空席がある場合のみとなっておりますので、まずは教室の空席状況をお問い合わせください」
早稲田アカデミー集団
(進学塾)
いつからでも入塾可能です(一部、オプションコースや選択講座を除く)」。入塾テストは合否ではなく「既習内容の定着度を測るためのもの」でクラスの案内に使う
日能研集団
(中学受験)
首都圏教室の新学年は、2月より開講いたします」。費用も2月〜7月で区切られている

6社のうち5社が「いつからでも入れる」と書いています。集団の進学塾である早稲田アカデミーですら同じです。つまり転塾の期限は、塾が決めているのではありません。実際に締めているのは次の3つです。

実際に期限を作っている3つ
  • …「いつでも可能」と書いたうえで空席の条件まで明記しているのはナビ個別指導学院だけ。人気の曜日・時間から埋まります
  • カリキュラムの区切り…中学受験だけ暦が違います。学年の切り替わりは4月ではなく2月です
  • 本人が埋める量…遅く動くほど、前の塾との進度差を自分で埋めることになります

面談で「今からでも大丈夫ですか」と聞かれることがよくあります。答えはたいてい大丈夫です。本当に確認してほしいのは、その曜日と時間に席が残っているか。ここは月ごとに変わるので、電話で聞くのがいちばん早いです。

学年別・いつまでに動けば間に合うか

下の表は「塾に断られる期限」ではありません。上の3つ目、自分で埋める量が現実的かどうかの目安です。塾ごとに進度が違うので、遅く動くほど埋める量が増えます。

学年目安理由
中1・中2いつでも可進度差が小さく、埋めやすい時期です
中3夏休み前まで夏期講習から新しい塾に入ると、そこが最初の接点になります。秋以降は志望校対策が始まるので合流が難しくなります
小4・小5
(中学受験)
2月
(動くのは前年の12〜1月)
中学受験塾の学年の切り替わりは4月ではありません。日能研は「首都圏教室の新学年は、2月より開講いたします」と明記し、費用も2月〜7月で区切っています。2月に動き出したのでは、すでに新学年が始まっています
小6
(中学受験)
夏まで。秋以降は原則見送る過去問演習と志望校別対策に入っており、途中合流の負担が大きすぎます
高1・高2いつでも可学校の進度が基準になるので、塾間の差が出にくい時期です
高3夏まで秋以降は演習中心になり、講師が本人の弱点を把握する時間がありません

この表は「間に合うか」の目安であって、期限を過ぎたら替えてはいけないという意味ではありません。本人が行けなくなっている場合は、時期に関係なく動いてください。通えていない状態が続くほうが損失は大きいです。

次を決めるまでにやる3つ

1
合わない理由を1つに絞る

上の表で、レベル・形態・講師・家庭学習のどれかに決めてください。ここが曖昧なまま次を探すと、選ぶ基準が「なんとなく良さそう」になります。

2
辞める前に、候補の体験を受ける

今の塾に通いながらで構いません。言う必要もありません。東京個別指導学院は公式に「他の塾のフォローをしてもらえますか?」という問いへ「はい、可能です」と答えており、他塾に通っている家庭を前提に置いています。1で絞った理由が、その塾では解消されるのかを実際に確かめてください。2校受けると基準ができます。

3
開始日を決めてから、今の塾に伝える

次の開始日が決まってから伝えると、引き止められても揺れません。「もう決まっているので」で会話が終わります。

2の体験で見るのは授業の分かりやすさではありません。見るポイントを決めてから行くと、比較できる情報が持ち帰れます。

「集団で置いていかれる」が理由なら、次は人数の少ない形態になります。オンライン東大家庭教師友の会のような1対1は、今の塾に通いながら無料体験だけ受けられるので、比較の1校目に向きます。

逆に「どこでつまずいているか分からない」状態なら、先に穴の位置を出したほうが塾選びが早くなります。【atama+ オンライン塾】は14日間の無料体験で診断が出るので、次の塾に「ここから見てほしい」と言える状態で移れます。

候補を絞る段階なら、料金と形態を一覧で比べておくと体験の予約が早く済みます。

次の塾は「何日で始まるか」を先に聞く

ステップ3の「開始日を決めてから伝える」は、次の塾が何日で始まるかを知らないと組めません。ここは塾の形態ではっきり差が出ます。

候補公式に書いてあること逆算にどう効くか
東京個別指導学院「授業の準備ができ次第、いつからでも受講を開始できます」。その月は授業を行った回数分だけの費用開始日を先に固定できる。月をまたぐ必要がない
個別指導塾WAM月の途中であっても授業を開始できます同上。締め日と開始日を別々に決められる
ナビ個別指導学院「まずは教室の空席状況をお問い合わせください」開始日は席の空き次第。希望の曜日を先に伝えて確認する
家庭教師のトライ公式のよくある質問に「入会してから授業開始までどれくらいの日にちがかかりますか?」という項目がありながら、日数は書かれていない(フリーコールへの連絡を案内)。担当教師は教育プランナーが目標・科目・性格を踏まえて選定すると説明開始日が読めない。講師が決まるまで確定しないので、辞める連絡より先に聞く

個別指導塾は開始日を先に固定できるのに対し、家庭教師は担当が決まるまで開始日が確定しません。大手のトライが公式のよくある質問で所要日数を書かず、問い合わせ扱いにしているのは、講師を選ぶ工程が入るからです。

「集団から1対1へ」の転塾でいちばん多い失敗が、ここのずれです。今の塾を先に辞めて、次の講師が決まるまで2〜3週間空く。受験学年でこれをやると痛いので、開始日の見込みを聞いてから退塾の連絡をしてください。

今の塾への伝え方(そのまま使えます)

「転塾します」と言う必要はありません。言うと引き止めの材料になり、話が長くなるだけです。伝えるのは「辞めること」と「いつまでか」の2つで足ります。

① 理由を言わずに済ませる(いちばん揉めません)

「いつもお世話になっております。家庭の事情で、◯月末で退塾させていただきたくご連絡しました。手続きについて教えていただけますでしょうか。」

② 本人の希望として伝える

「本人と話し合った結果、◯月末で一度区切りをつけることにしました。丁寧に見ていただいたので、本人も感謝しております。ありがとうございました。」

③ 次が決まっていると伝える場合

「◯月から別のところでお願いすることになりました。すでに手続きを進めておりますので、こちらの退塾の手続きを教えていただけますか。」

③のように「すでに手続きを進めている」と添えると、引き止めがほぼ起きません。①でも十分ですが、しつこく理由を聞かれる場合は③に切り替えてください。

不満をそのまま伝える必要はありません。改善してもらう気がないなら、言っても双方に得がないからです。伝えるとしたら退塾が確定したあと、聞かれたときだけで十分です。

締め日と、引き止められたときの返し方は別記事に詳しくまとめています。

辞めるときに必ずもらうもの

ここを飛ばすと、次の塾でまた同じ範囲から始めることになります。遠慮せずに聞いてください。受け取る側の塾は、前の塾の教材を持ち込んでいいと公式に書いています(後述)。

退塾までにもらう・確認する
  • どの単元まで進んだか…教科ごとに単元名で。次の塾に渡す最重要の情報です
  • 塾内テストの結果…直近3回分。次の塾に学力の位置を伝える材料になります
  • 使っていた教材…手元に残す。次の塾が公式に「持ち込んでいい」と書いています
  • 返金の有無と締め日…月謝・教材費・季節講習費で扱いが違うことがあります

とくに「どの単元まで進んだか」は、次の塾の初回面談でそのまま使えます。ここを渡せるかどうかで、最初の1か月の密度がまったく変わります。

「前の塾の教材は、使わせていただく方向で考えます」

教材を残す理由は、もったいないからではありません。受け取る側の塾が、公式に持ち込みを認めているからです。

公式サイトの記載
東京個別指導学院「他の塾のテキストを持ち込めますか?」→「もちろん可能です。せっかくお持ちになっている教材ですから、使わせていただく方向で考えます。ただし、お持ちの教材がご本人の学習の現状に合っているかどうかの確認をさせていただきます」
個別指導塾WAM使用教材について「この教材を使用して欲しい等のご希望があれば、ご相談ください

ただし東京個別は「合っているかどうかの確認」という条件を付けています。持ち込めば必ず続きから使える、という意味ではありません。それでも、どこまで進んだかを教材そのもので示せるのは強いです。口頭の「二次関数まで」より、解いた跡のあるページのほうが正確に伝わります。

転塾して失敗する3パターン

パターン何が起きるか
辞めてから探した空白期間の焦りで比較せずに決める。いちばん多い失敗
理由を絞らずに替えた次でも同じ不満が出る。3か月で二度目の転塾を考え始めます
本人が納得していない保護者だけで決めると、新しい塾でも同じように行かなくなります

3つ目が見落とされがちです。本人に「今のどこが嫌か」を一度だけ言わせてから動いてください。言わせずに替えると、本人の中では「勝手に決められた」だけが残ります。

よくある質問

今の塾に通いながら他塾の体験を受けてもいいですか

問題ありません。今の塾に伝える義務もありません。個別指導塾WAMは「実際、他塾と併用し通っている生徒様もたくさんいらっしゃいます」、東京個別指導学院は「他の塾のフォローをしてもらえますか?」に「はい、可能です」と、いずれも公式に書いています。体験どころか、併用したまま通っている家庭が実際にいるということです。通いながら比べたほうが判断は正確になります。

中3の秋です。もう遅いでしょうか

集団塾から集団塾への移動は、この時期は勧めません。志望校別の対策が始まっており、途中から合流しても情報が揃わないからです。ただし「通えていない」場合は別です。行けていない状態を維持するより、個別や家庭教師で1対1に切り替えるほうが結果が残ります。

辞めた塾に戻ることはできますか

できます。実際に戻ってくる家庭はあります。だからこそ、辞めるときに不満をぶつけないほうがいいです。費用の扱いは塾ごとに違います。スクールIEは「スクールIEに在籍された経験がある方は、再入会の際の入会金は免除となります」と明記する一方、「維持管理費や基礎教材費は学年とともに変わります」とも書いています。東京個別指導学院はそもそも入会金がありません。辞める時点で聞いておくと、後で選択肢が残ります。

友だちがいるから辞めたくないと言われます

それは通えている理由でもあるので、軽く見ないでください。学習面の問題が軽いなら残す判断もあります。ただし「友だちと話す時間になっている」場合は成果が出ないので、次の定期テストまでを期限にして判断してください。

転塾したことは、新しい塾に言うべきですか

言ってください。どこまで進んだかが分かると、最初の指導設計がまるで変わります。前の塾への不満まで話す必要はありませんが、「何が合わなかったか」は伝えたほうがいいです。同じ形にされるのを避けられます。

まとめ

この記事の要点
  • 次を決めてから辞める。順番を逆にした転塾がいちばん失敗します
  • 替えて変わるのはレベルと形態。家庭学習が止まっているなら替えても同じです
  • 受験学年は夏までが目安。ただし通えていないなら時期を待たない
  • 伝えるのは「辞めること」と「いつまでか」だけ。理由は言わなくていい
  • 中学受験だけ暦が違う。新学年は2月開講なので、動くのは前年の12〜1月です
  • どの単元まで進んだかを必ずもらう。教材は持ち込みを認めている塾があります

迷っている段階なら、まず合わない理由を1つに絞るところから始めてください。そこが決まれば、次に受ける体験が1校で済みます。

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この記事を書いた人

兵庫県のとある学習塾の塾長。私大理系卒。塾バイト・家庭教師を経て、長年の経験を基に幅広く受験をサポートします。生徒だけでなく、それを支える保護者や先生の力にもなりたいという思いで立ち上げました。

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