塾の辞め方|メール・LINEの例文と、引き止められたときの返し方

塾の辞め方|いつ・誰に・どう伝えるかと、引き止められたときの返し方

塾を辞めるときは、「検討中です」ではなく「決めました」と伝えるのが唯一のコツです。前者だと必ず引き止められます。この記事では誰に・いつ・どう切り出すかと、引き止められたときの返し方を、塾長の立場から具体的に書きます。

塾を辞めると決めたのですが、引き止められそうで切り出せません。角が立たない言い方はありますか。

正直に書きますが、引き止めは教室長の仕事です。悪意ではなく、そういう役割だからです。だからこそ「相談」ではなく「報告」の形で切り出してください。

この記事の目次

【結論】伝え方は3つだけ決めれば済む

先に決めておくこと
  • 誰に…教室長。担当の先生ではありません
  • いつ…締め日の前。共通のルールはありません。塾ごとに全く違います(後述)
  • どう…「決めました」と言い切る。「検討しています」は引き止めの合図になります

この3つを決めておけば、あとは短い電話1本で終わります。長く話す必要はありませんし、理由を細かく説明する義務もありません。

締め日に共通ルールは無い|大手4社の公式記載

いちばん多い失敗が「言うのが遅れて1か月分よけいに払う」ことです。ただし「前月◯日まで」という業界共通のルールはありません。大手4社が自社サイトに書いている内容を確認しました(2026年8月12日時点)。

公式サイトに書いてあること
スクールIE「退会される月の前月末までにお申し出ていただくことになります」。すでに払った半期分の諸経費は、退会翌月以降の分を返金
東京個別指導学院
関西個別指導学院
初回授業日を含めて14日以内なら初回納入金を全額返金(季節講習は対象外)。入会金・年会費は不要と明記
森塾入塾後4回の授業を受けるまでにキャンセルすれば、授業料・テキスト代を含む全額を返金(体験授業も回数に含む)
家庭教師のトライ違約金を払って申し出た月の月末までか、違約金なしで翌月末まで授業を受けて退会するかを選べる

4社とも設計そのものが違います。期限を切っているのはスクールIEだけで、東京個別と森塾は「入ってすぐなら全額返す」という別の考え方、トライは期限ではなく二択を出しています。ですから「一般にどうか」を調べても意味がなく、通っている塾がどうかを確かめるしかありません。

規約を探すより、電話で「退塾はいつまでに言えばいいですか」と先に聞いてください。この質問だけなら引き止めは起きません。受ける側は手続きの問い合わせとして処理します。

そのうえで、次の4つは金額に直結します。ここだけは聞いておいてください。

確認することなぜ必要か
退塾の申し出はいつまでか上の4社のとおり共通ルールが無い。1日ずれると1か月分よけいに払う
最後の月の月謝は日割りになるか東京個別は入塾した月を「授業を行った回数分だけ」と公式に書いている。辞める月も同じとは限らないので必ず聞く
入会金・諸経費・教材費は戻るかスクールIEは半期分の諸経費の未経過分を返金すると明記。扱いは塾ごとに違う
季節講習を申し込み済みなら通常授業とは別契約のことがある。東京個別は14日返金の対象外だと明記している

規約より強いルールがある|学習塾は「特定継続的役務提供」

ここからはお金でもめたときの話です。塾の規約に何と書いてあっても、条件に当てはまる契約なら法律のほうが優先します。学習塾と家庭教師は、特定商取引法で「特定継続的役務提供」に指定された7つの役務に入っています。

この2つを両方満たす契約が対象
  • 期間が2か月を超えるもの
  • 金額が5万円を超えるもの

週1回の個別指導でも月1万5千円前後かかりますから、半年通う契約なら金額の条件はまず超えます。対象になると、次の2つが付きます。

  • クーリング・オフ…法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、理由を問わず解除できる
  • 中途解約…8日を過ぎたあとも、将来に向かっていつでも契約を解除できる

そして解約するときに塾が請求できる額には上限が決まっています。「途中でやめるなら残りの分も払ってください」という話は、この上限を超えていれば通りません。

区分授業が始まる前始まったあと(受けた分の授業料に加えて)
学習塾
(塾が用意した場所で受ける)
1万1000円2万円 または 1か月分の授業料相当額の低いほう
家庭教師
(それ以外の場所で受ける)
2万円5万円 または 1か月分の授業料相当額の低いほう

出典は消費者庁の特定継続的役務提供の解説です(2026年8月12日確認)。区分が「どこで受けるか」で分かれる点に注意してください。自宅で受けるオンライン指導がどちらに当たるかで上限が9,000円変わります。契約書面の「中途解約に関する事項」の欄がどちらの書き方になっているかを見てください。

月謝制なら、いつでも気軽にやめられるということですか。

そこは逆です。条件が「2か月を超える契約」なので、1か月ごとに自動更新される月謝制は、この保護から外れることがあります。実際、オンライン塾のいくつかは「特定継続的役務提供に該当しないため返金は受けられない」と自社サイトに書いています。契約のときに「概要書面」「契約書面」という書類を渡されたなら、その塾は対象になる契約として扱っているということです。手元の書類を確かめてください。

逆に、法律より有利な条件を出している塾もあります。東京個別指導学院が「クーリング・オフは通常より長い」として案内している14日間の全額返金は、法定の8日より6日長い設定です。入るときにここを見ておくと、辞めるときに困りません。

そのまま使える切り出し方

電話で切り出すとき

「お世話になっております。○○の母です。ご相談ではなく、ご報告になってしまうのですが、家庭で話し合いまして、○月末で退塾させていただくことに決めました。手続きで必要なことがあれば教えてください。

ポイントは「ご相談ではなく、ご報告」の一言です。これがあると、教室長は引き止めではなく手続きの話に切り替えます。

そして「家庭で話し合って」と添えると、理由の追及が止まります。家庭の決定に踏み込むのは失礼だと分かっているからです。

受け取る側として言うと、この形で来られたら引き止めません。もう決まっている話に食い下がっても、お互いに時間の無駄だからです。逆に「迷っていて…」と言われたら、それは相談なので提案を返します。

メールやLINEで伝えるときの文面

「電話だと言いくるめられそう」「教室長がなかなか捕まらない」——どちらもよくある事情です。文字で伝えて構いません。むしろいつ伝えたかが記録に残るので、締め日をめぐって行き違いになりません。

ただし文面には型があります。長く書くほど引き止められます。理由を詳しく書くと、そのひとつひとつに「それはこう改善できます」と返す余地を渡すことになるからです。

① 標準の文面(これで足ります)

そのままコピーして使えます

〇〇教室
教室長 〇〇先生

いつもお世話になっております。〇年〇組の〇〇の保護者です。

家庭で話し合った結果、〇月末で退塾させていただくことに決めました。手続きに必要な書類や、返却するものがあればお知らせください。

短い間でしたが、ありがとうございました。

ポイントは3つだけです。「決めました」と書き切る/辞める月を明記する/理由を書かない。これで手続きの話に進みます。

② 理由を聞かれたときの返信

ほとんどの場合、返信で理由を聞かれます。ここでも長く書く必要はありません。

返信の文面

ご連絡ありがとうございます。

家庭の方針で決めたことですので、このまま進めていただけますと幸いです。〇月末での退塾でお願いいたします。

「家庭の方針」はとても強い言葉です。塾の側から踏み込めないからです。成績や講師への不満を書くと、そこが交渉の入口になります。不満があっても、辞めると決めた後に書く必要はありません。

③ 送る前に確認する2つ

  • 締め日を過ぎていないか……前の章のとおり、締め日は塾によってまったく違います。1日過ぎると翌月分の月謝が発生することがあります
  • 宛先が教室長になっているか……担当講師に伝えても手続きは進みません。決裁できるのは教室長です

LINEで送っても失礼になりませんか?

その塾が普段の連絡にLINEを使っているなら、LINEで構いません。大事なのは手段ではなく「教室長に届いていること」と「日付が残ること」です。ただし既読がついても返信が来ない場合は、電話で一度確認してください。読み落としは実際に起こります。

理由は正直に言わなくていい

「成果が出なかったから」「先生が合わなかったから」——本当の理由を伝える義務はありません。言いたくないなら言わなくて構いません。

  • 「家庭の事情で」…最も使いやすく、追及されません
  • 「本人と話し合って決めました」…子どもの意思を出すと、それ以上聞かれません
  • 「しばらく家庭学習でやってみます」…他塾に移る場合でも、こう言って構いません

ただし嘘はつかないでください。「引っ越します」と言って近所で見かける、というのは実際にあります。狭い地域では気まずくなるだけです。言わないのと嘘をつくのは違います。

引き止めのパターンと返し方

それでも引き止められることはあります。型は決まっているので、返し方も決めておけば動じません。

言われること返し方
「もう少し続ければ成果が出ます」「その判断のために○か月みました。ありがとうございます」とすでに待った事実を出す
「担当を替えてみませんか」試していないなら検討の価値あり。試したなら「以前替えていただきましたが」で終わり
「今辞めると受験に間に合いません」「次にやることは決めていますので」と先が決まっていることを伝える
「コマ数を減らす形では」これは検討していい提案です。費用が理由なら本当に解決することがあります
「一度お会いしてお話を」会う必要はありません。「お電話で失礼します」で構いません

4行目だけは、頭ごなしに断らないでください。費用が理由で辞めるなら、回数を減らすほうが子どもにとっては良いことがあります。それ以外は、決めたとおりに進めて構いません。

やってはいけない辞め方

NG
連絡せずに行かなくなる

いちばん多く、いちばん困る辞め方です。手続きをしていないので月謝は引き落とされ続けます。塾側も確認の連絡を入れざるを得ず、お互いに気まずくなります。

NG
子どもに言わせる

契約は保護者と塾のあいだのものです。子どもに切り出させると、本人が悪いことをした気持ちになります。ここは大人が引き受けてください。

NG
最後の授業に行かせない

払っている分は使ってください。それに最後の日にきちんと挨拶をして終わった子は、後味が残りません。次の塾でのスタートにも影響します。

辞めたあとに空く時間をどうするか

辞めること自体より、こちらのほうが大事です。週2回の塾をやめると、週に3時間が空きます。ここを決めずに辞めると、そのまま勉強時間が消えます。

別の塾に移る前提なら、この空白を作らないのがいちばん確実です。次の開始日を決めてから伝えると、引き止められても揺れません。

全部やめるのではなく、崩れている科目だけ残す・別の形に変えるという選択肢もあります。費用を下げつつ学習は止めない形です。

自分で計画を立てられないことが辞める理由だったなら、やることを決めてくれる形に変えるほうが噛み合います。【スタディコーチ】無料相談・逆授業の体験のように週単位で「何をどこまでやるか」を決め直す運用なら、授業を受ける形とは別の解になります。

次の塾を探す段階に入ったら、体験授業で何を見るかを先に決めておいてください。同じ失敗を繰り返さないために、いちばん効く準備です。

よくある質問

メールやアプリで伝えてもいいですか

構いませんが、「一度お電話でお話を」と返ってくることが多いです。記録を残したいならメールで送り、そのうえで電話が来たら上の形で短く済ませてください。退塾届など書面が必要な塾もあるので、必要な手続きは必ず確認を。

他の塾に移ることは言うべきですか

言わなくて構いません。言うと「うちでも同じことができます」という話になりやすいためです。ただし隠す必要もありません。聞かれて答えるのは自由ですが、こちらから切り出す必要はないと考えてください。

受験学年の途中で辞めても大丈夫ですか

可能ですが、次の手段を決めてからにしてください。受験学年は演習量とペース管理が要るので、空白ができると戻すのが大変です。「合っていないまま続ける」より「切り替える」ほうが良いのは事実ですが、切り替え先を決めてからです。

一度辞めて、また戻ることはできますか

できます。ただし費用の扱いは塾によって違います。再び入会金がかかる塾もあれば、東京個別指導学院のようにそもそも入会金を取っていない塾もあります。また中学受験個別指導塾ドクターは「休会の場合は指導を再開する際に、改めて入会金が発生することはございません」と明記しています(2026年8月12日確認)。数か月だけ離れるつもりなら、辞める前に「休会制度はありますか」と聞いてください。籍を残せるなら、費用も心理的なハードルも下がります。

「途中でやめるなら残りも全部払え」と言われました

その契約が2か月を超え、かつ5万円を超えるものなら、中途解約のときに塾が請求できる額には法律で上限があります。学習塾なら2万円か1か月分の授業料相当額の低いほうまでです(すでに受けた授業の料金は、これとは別に払います)。上限を超える請求をされたらその場で合意しないでください。契約書面を持って、消費者ホットライン「188」か地域の消費生活センターに相談できます。塾と直接やり合う必要はありません。

強く引き止められて、話が終わりません

その場で結論を出す必要はありません。「ご提案ありがとうございます。決めたことなので、○月末でお願いします」と同じ文を繰り返してください。言い方を変えずに繰り返すのがいちばん効きます。それでも手続きが進まないなら、書面で申し出てください。

まとめ

塾を辞めるときは、教室長に・締め日の前に・「決めました」と伝える。この3つだけです。締め日は塾ごとに全く違うので、先に電話で聞いてください。

「ご相談ではなく、ご報告になってしまうのですが」の一言があれば、引き止めは起きません。理由は言わなくて構いませんが、嘘はつかないこと。

そして辞めること自体より、空いた時間に何をするかを先に決めてください。そこが決まっていないと、費用は浮いても学習が止まります。

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この記事を書いた人

兵庫県のとある学習塾の塾長。私大理系卒。塾バイト・家庭教師を経て、長年の経験を基に幅広く受験をサポートします。生徒だけでなく、それを支える保護者や先生の力にもなりたいという思いで立ち上げました。

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