通っている塾の面談、何を話す?成果を確かめる3つの数字と持ち物

通っている塾の面談、何を話す?成果を確かめる3つの数字と持ち物

通塾中の面談は「聞く場」ではなく「確かめる場」です。確かめるのは塾内の正答率・宿題の中身・次の3か月の計画の3つだけ。この記事では、持っていくものと、面談で分かるその塾の質について書きます。

塾の面談があるのですが、毎回「特にありません」で終わってしまいます。何を話せばいいのでしょうか。

もったいないです。塾は数字を持っています。聞かれないから出さないだけで、聞けばその場で出てきます。逆に出てこないなら、それ自体が大事な情報です。

この記事の目次

【結論】確かめるのは3つの数字だけ

この3つを聞く
  • ①塾内での正答率は、入ったときから変わりましたか…学校の順位より先に動きます
  • ②宿題は提出できていますか。中身はどうですか…写している場合、塾は気づいています
  • ③次の3か月で何をやりますか…単元名と時期が出てくるかを見る

入塾前の面談は「この塾でいいか」を判断する場でした。通塾中の面談は「効いているか」を確かめる場です。目的が違うので、聞くことも変わります。

①正答率を聞くと、塾の質まで分かる

英語を聞いて勉強する女性のイラスト

成績は学校のテストにしか出ませんが、塾のなかでの変化はもっと早く現れます。小テストの点、演習の正答率、解き直しの回数。これらは記録している塾なら即座に出てきます。

返ってくる答え分かること
「入塾時は5割でしたが、今は7割です」記録している。信頼していい
「だいたい上がってきています」感覚で話している。数字を持っていない可能性
「授業態度はとても良いです」質問に答えていません。もう一度、数字で聞く

この質問は、実は塾を測る質問でもあります。生徒ごとの記録を取っている教室なら1分で出せます。出てこないなら、その子の状態を誰も把握していないということです。

正答率の聞き方
  • 入塾時は5割、今は7割など具体数字で聞く
  • 感覚で答える塾は記録がない可能性
  • 的外れな返答は聞き直す

②宿題は「出しているか」ではなく「中身」を聞く

提出しているかどうかだけなら、ほぼ毎回出していることが多いです。問題は中身で、答えを写して出しているかどうかを塾は見ています。

聞き方は「間違いはちゃんと残っていますか」です。全問正解のノートが続いているときは、理解できているのか、写しているのかを確かめる価値があります。

塾側もそれを言い出しにくいので、こちらから聞くと話が早く進みます。

写している場合も、本人の怠慢とは限りません。量が多すぎる、分からないまま進んでいる、など理由はいくつか考えられます。どちらなのかも、この場で聞けます。

宿題の中身の確認法
  • 宿題は提出率でなく中身を見る
  • 「間違いが残っているか」を聞く
  • 全問正解が続くなら写している疑い

③「次の3か月」を必ず言葉にしてもらう

面談で決めたことは、単元名と時期が入っていないと実行されません。

  • 良い答え…「11月までに一次関数を仕上げて、12月から図形に入ります」
  • 危ない答え…「苦手をなくしていきましょう」「まずは基礎からですね」

後者で終わりそうなら、「具体的にはどの単元からですか」と一度だけ聞き返してください。ここで詰まる教室は、計画を持っていません。

塾で「何を教わっているか」を聞く理由|全国学力調査の数学は「進んだ内容」60.4%、「分からなかった内容」36.2%

面談で「次の3か月で何をやりますか」と聞くとき、気になるのは「いま塾で何を教わっているか」です。

国立教育政策研究所は、令和7年度(2025年4月実施)の全国学力・学習状況調査で、中学3年生に「学習塾の先生や家庭教師の先生に教わっていますか(オンライン授業の場合も含む)」と聞き、答えごとの平均正答率を公表しています。

クロス集計表(生徒質問-教科)の質問(20)のシートを2026年10月26日に開き、セルの値をそのまま並べました。国語は14問、数学は15問の調査です。

スクロールできます
塾・家庭教師の先生に教わっていますか生徒数割合国語の平均正答率数学の平均正答率
教わっていない360,93140.1%54.0%44.9%
学校の勉強より進んだ内容や、難しい内容を教わっている172,80019.2%59.1%60.4%
学校の勉強でよく分からなかった内容を教わっている87,9949.8%46.7%36.2%
上の2つの両方の内容を教わっている208,57823.2%57.6%55.0%
上の2つのどちらともいえない44,0254.9%47.9%38.3%
無回答25,9852.9%――
合計900,313100%54.7%49.1%

数学の平均正答率が最も高いのは「進んだ内容」を教わっている子(60.4%)で、最も低いのは「分からなかった内容」を教わっている子(36.2%)でした。

「教わっていない」子(44.9%)は、その中間です。

次に、数学の成績を正答数の順に25%ずつ4つの層に分けたとき、それぞれの層で答えがどう分かれるかを、同じシートの四分位の表から取りました。

スクロールできます
数学の層(正答数の順に25%ずつ)教わっていない進んだ内容分からなかった内容両方どちらともいえない
A層(上位25%・245,553人)32.4%30.3%4.0%28.0%3.1%
B層(230,168人)37.8%19.7%8.5%27.5%3.7%
C層(201,624人)43.3%14.4%12.6%21.9%4.8%
D層(下位25%・200,657人)47.6%10.8%15.4%14.5%8.2%
令和7年度全国学力・学習状況調査(中学3年生)で、塾や家庭教師の先生に何を教わっているか別に、数学の平均正答率を示した棒グラフ。進んだ内容60.4%、両方55.0%、教わっていない44.9%、どちらともいえない38.3%、分からなかった内容36.2%(国立教育政策研究所のクロス集計表から)
計算
  • 教わっている子の合計:172,800 + 87,994 + 208,578 + 44,025 = 513,397人。これに教わっていない360,931人と無回答25,985人を足すと 513,397 + 360,931 + 25,985 = 900,313人(表の合計と一致)。教わっている割合は 513,397 ÷ 900,313 = 0.570(57.0%)
  • 数学の差:60.4 − 44.9 = 15.5(進んだ内容と教わっていない)、44.9 − 36.2 = 8.7(教わっていないと分からなかった内容)、60.4 − 36.2 = 24.2(ポイント)
  • 国語の差(進んだ内容 − 分からなかった内容):59.1 − 46.7 = 12.4(ポイント)。数学の差は国語の 24.2 ÷ 12.4 = 1.95(倍)
  • 数学の平均の検算:(360,931 × 44.9 + 172,800 × 60.4 + 87,994 × 36.2 + 208,578 × 55.0 + 44,025 × 38.3) ÷ 874,328 = 49.2。公表の合計は49.1で、0.1ポイント違う(合計の欄は無回答の生徒も含むため)
  • 「分からなかった内容」の割合:D層は 15.4 ÷ 4.0 = 3.85(倍)、A層の3.85倍。逆に「進んだ内容」はA層が 30.3 ÷ 10.8 = 2.81(倍)
  • 「教わっていない」と答えた割合の差:D層 47.6 − A層 32.4 = 15.2(ポイント)

表から読み取れることは3つです。1つ目は、同じ「塾で教わっている」でも、何を教わっているかで平均正答率が24.2ポイント違うことです。

「教わっている」だけでは、塾の効果も、お子さんの状態も分かりません。2つ目は、下位のD層ほど「分からなかった内容」を教わっている子が多い(15.4%)ことです。

点が低いから補習として通っている、と考える方が自然です。「分からなかった内容を教わっているから点が低い」のではありません。

3つ目は、同じ調査でも国語の差(12.4ポイント)は数学の約半分で、数学は教わる内容による違いが大きいことです。

公式の資料どうしで数字が食い違う箇所

同じ質問で、公式の資料どうしの数字が少し食い違う箇所があります。

「両方の内容を教わっている」は、クロス集計表では208,578人(23.2%)、回答結果集計[生徒質問]では209,223人(23.1%)で、対象の生徒数も違います(900,313人と904,413人)。

この節の数字は、教科との組み合わせが載っているクロス集計表のセルを使いました。

令和8年度(2026年4月実施)の最新の調査では、クロス集計表(生徒質問-教科)の生徒質問のうち「塾」を含むのは、平日(質問23)と休日(質問25)の勉強時間の2つだけで(回答結果集計[生徒質問]でも、「塾」「家庭教師」を含む質問はこの2つだけです)、「塾の先生に何を教わっているか」を聞く質問は見つかりませんでした。

そこで、勉強時間(学習塾での勉強、家庭教師、インターネットで学ぶ時間を含む)と平均正答率の関係を、最新の令和8年度で見ておきます。

スクロールできます
平日1日の勉強時間(塾・家庭教師・インターネットを含む)生徒数割合国語(15問)数学(16問)
3時間以上78,1429.0%67.3%64.0%
2時間以上3時間未満184,06521.3%67.7%63.1%
1時間以上2時間未満272,59231.5%65.8%59.8%
30分以上1時間未満168,51319.5%63.7%55.7%
30分未満99,19811.5%60.2%50.5%
全くしない59,2006.8%53.3%41.7%
無回答3,6950.4%――
合計865,405100%64.4%57.8%
計算(勉強時間の表)
  • 数学の差:64.0 − 41.7 = 22.3(ポイント)。国語の差は 67.3 − 53.3 = 14.0(ポイント)
  • 1時間以上勉強する子の割合:9.0 + 21.3 + 31.5 = 61.8%。30分未満と答えた子は 11.5 + 6.8 = 18.3%
  • 数学の平均の検算:(78,142 × 64.0 + 184,065 × 63.1 + 272,592 × 59.8 + 168,513 × 55.7 + 99,198 × 50.5 + 59,200 × 41.7) ÷ 861,710 = 57.8(公表の57.8と一致)
  • 2時間以上の中の差:数学は 64.0 − 63.1 = 0.9、国語は 67.7 − 67.3 = 0.4(3時間以上の方が低い)。2時間を超えても、国語は上がっていない

時間が長いほど平均正答率が高い傾向は、国語・数学の両方に出ています。

ただし2時間以上では、国語は3時間以上(67.3%)が2〜3時間(67.7%)をわずかに下回り、差はほとんどありません。

面談で「家での勉強時間」を聞くときも、時間の長さだけでなく、何をしているかの中身を確かめた方が分かりやすい、という読み方ができます。

この節は、中学3年生の4月の1回の調査です。「教わっている内容」は生徒本人の答えで、塾の指導の内容や費用、通っている回数は調べていません。学力が高い子ほど塾に通う、通っている子ほど学力が高い、のどちらも含む関連で、因果は示せません。勉強時間も本人の答えで、塾の授業時間とそれ以外を分けていません。令和7年度と令和8年度は問題も対象の生徒も違うので、2つの年度の正答率を直接比べることはできません。

この数字を、面談で塾に当てはめない方がよい場合
  • 「分からなかった内容を教わっている子は点が低いから、うちの子の塾は効果がない」と考える場合は、しない方がよいです。
  • 点が低い子が補習として教わっている、という順序の可能性が大きく、塾の質は分かりません
  • 「進んだ内容を教わっていれば成績が上がる」と考えて、いまの学年に合わない塾の先取りを頼む場合。この調査は結果の関連を示すだけで、先取りの効果は調べていません
  • お子さんが学校の定期テストで平均点以上を取れていて、授業の内容にも困っていない場合。この表と比べて塾を変える必要はありません
  • 数字を塾の先生に突きつけて詰める使い方。全国の平均は、その塾の生徒の平均ではありません。面談では、お子さんの答案と、塾内の正答率を確かめる方が役に立ちます

出典:国立教育政策研究所「令和7年度全国学力・学習状況調査 クロス集計表[生徒質問-教科]」質問(20)のシート(Excel)/同「回答結果集計[生徒質問]」(Excel・令和7年度)/同「令和8年度 クロス集計表[生徒質問-教科]」質問(23)のシート(Excel)/同「令和8年度 回答結果集計[生徒質問]」(Excel)/同 令和8年度 調査結果資料(中学校)一覧(2026年10月26日確認)

持っていくもの

手ぶらで行っても面談は成立しますが、2つ持っていくだけで中身がまったく変わります。

この2つで十分
  • 直近の定期テストの答案…点数ではなくどこを間違えたかが見える。塾にとっていちばんありがたい材料です
  • 通知表…提出物や授業態度の評価が分かる。内申が絡む学年では必須

答案は点数の部分だけでなく、間違えた問題そのものを見せてください。計算ミスなのか、解法が浮かばなかったのか、時間が足りなかったのか。塾はそこから対策を変えます。

言いにくいことを言う場でもある

面談は、普段は言いづらいことを伝える数少ない機会です。費用のこと、宿題の量、講師との相性。電話やメールより、この場のほうが切り出しやすいはずです。

伝えるときは「実際に起きている事実」と「いつまでか」を入れてください。「多い気がします」ではなく「先週3時間かかって終わりませんでした」と言うと、その場で調整が決まります。

費用の話をする前に:塾の契約は途中でやめられる

面談で費用や講習の話が出ても、「いまさら断れない」と思う必要はありません。

学習塾は特定商取引法の「特定継続的役務提供」の対象で、期間が2か月を超え、入学金・受講料・教材費などの総額が5万円を超える契約なら、クーリング・オフの期間が過ぎたあとでも途中で解約できます(浪人生だけのコースは対象外)。

解約のときに塾が請求できる額にも上限があります。消費者庁の特定商取引法ガイドに載っている額は次のとおりです。

  • 授業が始まる前の解約…1万1000円まで
  • 授業が始まったあとの解約…受けた分の授業料に加えて、「2万円」か「1か月分の授業料」の低いほうまで

面談で季節講習や追加コマを勧められたときは、その契約がこの対象になるかと、解約の条件が契約書面にどう書かれているかを確かめてから決めてください。

「やめられる」と分かっていると、面談で遠慮なく質問できます。

面談が終わったらやること

STEP
決まったことを3行でメモする

単元・時期・家庭でやること。3行で足ります。次の面談でこれを持っていくと、進んだかどうかが一目で分かります。

STEP
子どもに、良かったところだけ伝える

面談の内容をそのまま伝えると、たいてい説教になります。「先生が〇〇を褒めていたよ」だけで十分です。課題のほうは、こちらが把握していれば足ります。

STEP
2か月後に、決めたことが動いているか見る

面談で決めたことは、放っておくと流れます。次の定期テストの結果が出た時点で、メモと突き合わせてください。動いていないなら、それは面談が形だけだったということです。

2回続けて数字が出てこず、計画も具体化しないなら、その塾は一人ひとりを見る運用になっていない可能性があります。

【スタディコーチ】無料相談・逆授業の体験のように週単位でやることを決め直す形なら、面談を待たずに状態が共有されます。

面談で毎回もどかしさが残るなら、比較対象として見てみてください。

面談とは別に、休むときの連絡も塾との実務のひとつです。振替の期限は塾ごとに違うので、契約書か案内で確認しておきましょう。

面談後にやる3つ
  • 決まったことを3行でメモする
  • 子どもには良かった点だけ伝える
  • 2か月後に決めたことが動いたか確認

よくある質問

面談は行かなくてもいいですか

行ってください。塾側から見ると、面談に来る家庭とそうでない家庭では、こちらが持っている情報量が変わります。家庭での様子が分かると指導の精度が上がるので、結果として子どもが受け取るものが違ってきます。時間が取れないなら電話面談を頼んで構いません。

子どもも同席したほうがいいですか

中学生以上なら同席のほうがいいと考えています。本人がいないところで決めた計画は、本人のものになりません。ただし費用の話や、本人の課題を細かく詰める場面は、席を外してもらうのが現実的です。塾に「途中で別々にできますか」と頼めば対応してくれます。

面談の頻度が少なくて、状況が分かりません

こちらから申し込んで構いません。定期面談は年2〜3回でも、随時受け付けている塾もあります。「10分でいいのでお時間いただけますか」と頼めば、たいてい取ってもらえます。遠慮する必要はありません。

面談で講習をすすめられるのが憂うつです

季節前の面談では必ず出ます。先に「今回の予算は○万円までです」と伝えてしまうのがいちばん楽です。金額が決まっていれば、塾はその範囲で優先順位をつけて提案します。断る場面が減るので、面談そのものが穏やかになります。

先生が学生アルバイトでも、面談は意味がありますか

面談を担当するのは通常教室長で、担当講師ではありません。教室長は各生徒の記録を見る立場なので、数字は持っています。もし面談に出てきたのが担当講師だけで、記録の話ができないなら、「教室長ともお話しできますか」と頼んで構いません。

2回続けて数字が出てこないなら、他の塾も一度見てみる価値があります。比べる相手ができると、いまの塾の良し悪しがはじめて判断できます。

まとめ:3つの数字を確認し決定事項を記録する

通塾中の面談で確かめるのは①塾内の正答率 ②宿題の中身 ③次の3か月の計画の3つだけです。「特にありません」で終わらせるには惜しい時間です。

持っていくのは直近の定期テストの答案と通知表。点数ではなく、間違えた問題そのものを見せてください。そこから対策が変わります。

そして決まったことは3行でメモして、2か月後に突き合わせる。面談は開くことではなく、決めたことが動くかどうかで価値が決まります。

この記事の更新・訂正

  • 「全問正解のノートが続いているなら写している可能性が高い」「随時受け付けている塾がほとんど」「振替の期限を知らずに1回分を捨てている家庭が少なくない」などは、出典を示せない言い切りだったため、確かめる言い方・「塾もあります」に直しました

全記事の履歴は「訂正・更新の履歴」、調べ方と書き方は「記事の作り方」にまとめています。

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この記事を書いた人

兵庫県の学習塾で塾長を経験。私大理系卒。塾バイト・家庭教師を経て、長年の経験を基に幅広く受験をサポートします。生徒だけでなく、それを支える保護者や先生の力にもなりたいという思いで立ち上げました。

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