塾の先生と合わないとき|講師変更の頼み方と、替えないほうがいいケース

塾の先生と合わないとき|講師変更の頼み方と、替えないほうがいいケース

塾の講師変更は遠慮のいらない依頼です。大手10社の公式サイトを確認したところ、9社が「変更できる」と自社サイトに書いていました。ただし「合わない」の中身によっては、替えないほうがいい場合もあります。この記事では、公式の実物を並べたうえで、合わない理由の分け方・頼み方・替えるべきかの線引きを整理します。

子どもが「塾の先生と合わない」と言っています。替えてほしいと言っていいものでしょうか。角が立ちそうで、なかなか切り出せません。

言って構いません。むしろ塾側が自分の公式サイトに「変更できます」と書いています。教室側からすると、黙って辞められるほうがずっと困るからです。ただし、替えれば解決する「合わない」と、替えても変わらない「合わない」があります。

この記事の目次

「言っていいのか」は、塾の公式サイトに答えが書いてある

切り出せない理由のほとんどは「例外的なお願いをすることになるのでは」という不安です。そこで、大手10社の公式サイトを実際に開いて、講師変更について何と書いてあるかを確かめました。

公式サイトの記載
東京個別指導学院「ご入塾後、複数人の先生の授業を受けていただき、ご相談のうえ相性がピッタリ合う先生をお選びいただけます。また、授業開始後でも、先生の変更は可能です。」
個別教室のトライ「はい、教師の交代は可能です。」別ページで「教師の交代に回数の制限はございません。また、別途費用もかかりませんので、安心してお申し出ください。」
個別指導学院サクシード「はい、先生が合わないと感じた場合は、いつでも無料で交代が可能です。(中略)何度でも無料で講師変更を承っております。」
スクールIE「可能です。(中略)授業開始前のヒアリングや個性診断テストから相性の合う講師を選定しています。授業を開始されてから相性が良くないとわかった場合には、もちろんご相談いただけます。」
代々木個別指導学院「担当の講師にご納得頂けない場合には、授業開始後に講師を変更することも可能です。ご遠慮なくお申し出ください。
個太郎塾「万一、相性があわない場合は、教室責任者へお申し出ください。講師の変更など、可能な限り対応いたします。」
ナビ個別指導学院「講師の性別のご希望、ずっと同じ講師で教えて欲しい、途中で講師を変えて欲しい等、ご要望に応じて講師を配置します。
森塾「もし『相性が合わない』ということでしたら『先生変更制度』や『先生評価アンケート』で先生を変更していただく方が、お子様のご選択できる授業時間の幅が広がるようです。」
個別指導塾WAM「あまり先生が代わらないから良い」と言われる、と替わらないことを利点として掲げている。ただし「定期講習時は(中略)通常指導している講師以外が担当する場合がございます」
明光義塾講師変更についての記載は見当たらない。採用(学科試験・面接試験・心理適正検査)と「年に複数回の体系化された幅広い研修」は明記

出典は各社公式の「よくあるご質問」(いずれも2026年8月12日確認)。東京個別指導学院個別教室のトライ(可否)同(回数と費用)個別指導学院サクシードスクールIE代々木個別指導学院個太郎塾ナビ個別指導学院森塾個別指導塾WAM明光義塾

この表から言えること

10社中9社が、聞かれる前に「変更できます」と自社サイトに書いています。「ご遠慮なくお申し出ください」「お気軽にご相談ください」と添えている塾もあります。頼むこと自体は、例外的なお願いではありません。

唯一、明光義塾だけは変更の可否が公式サイトに見当たりませんでした。書かれているのは採用と研修の話です。できないという意味ではなく、確かめようがないという意味なので、通っている方は面談で直接聞いてください。

【結論】「合わない」を4つに分ける

合わない中身替えるべきか
①教え方が分かりにくい替える。相性ではなく技術の問題なので、我慢しても変わりません
②話し方・雰囲気が苦手替える。質問できない状態が続くほうが損失が大きい
③講師の学力が足りていない替える。ただし本人の思い込みのこともあるので、先に確かめる
④厳しい・宿題が多いすぐには替えない。ここを替えると、次も同じ理由で替えたくなります

①〜③は授業が成立していないので、早く動いたほうがいいです。一方④は、指導としては正しいことをやっている可能性があります。ここを混ぜて「合わないから替えて」と伝えると、教室側も判断できません。

③「学力が足りない」を確かめる方法

いちばん判断が難しいのがこれです。生徒側からは「教え方が下手」と「本人が理解できていない」の区別がつきません。

確かめ方はひとつです。「その場で解いてもらえましたか」と聞いてください。

  • 解答を見ながら説明していた…その場で解けていない可能性があります
  • 「次回までに調べてくる」が何度もある…1回なら誠実ですが、繰り返すなら担当科目として厳しい
  • 質問すると答えが変わる…理解が固まっていないサインです

なお「担当が学生なのか社会人なのか」は、公式サイトを見ても分かりません。10社を確認しましたが、講師の属性を数字で公開している塾はありませんでした。明光義塾が書いているのは採用の手順(学科試験・面接試験・心理適正検査)と研修の回数だけです。

一方で、希望を出せることは複数社が明記しています。森塾は「女性の先生(きびしい先生/社会人の先生/若い先生等)に教えてほしいのですが」という質問を公式に立てており、ナビ個別指導学院も「個別指導ですので、先生の希望に対応することができます」と答えています。属性は選べるが、平均像は分からない——これが公開情報から言える範囲です。

正直に書きますが、学歴の高さと教える上手さは別物です。難関大の学生でも説明が下手な人はいますし、そうでなくても的確な人はいます。肩書ではなく「その場で解けるか」で見てください。これは面談で聞いても答えが出ないので、子どもに授業の様子を聞くしかありません。

④「厳しい」だけなら、すぐ替えない

宿題が多い、忘れると指摘される、雑談に付き合ってくれない——これらは合っていないのではなく、仕事をしている状態です。

ここで替えてしまうと、次の講師にも同じことを求めることになります。結果として「何も言わない先生」に行き着き、成績は動かなくなります。実際にそうなった例を何度も見ています。

ただし宿題の量が明らかに回っていないなら、それは講師ではなく量の問題です。替えるのではなく、量を調整してもらってください。

誰に、どう頼むか

1
担当講師にではなく、教室長に伝える

担当を決めているのは教室長です。本人に直接言うと、気まずくなるだけで何も動きません。これは公式サイトの言い回しからも読み取れます。トライは「担当の教育プランナーまたは教室長にご相談いただくか」、個太郎塾は「教室責任者へお申し出ください」、ナビ個別指導学院は「各教室で教室長に希望を伝えてください」。3社とも宛先が講師本人ではありません。電話でも構いませんし、面談の場でも構いません。

2
人柄ではなく、起きている事実を伝える

「合わないみたいです」だけだと動けません。「質問できないまま帰ってくる」「解説が分からないと言っている」のように、何が起きているかを伝えてください。教室長はそこから原因を判断します。

3
「いつから替えられそうか」まで聞く

ここが大事です。講師の担当数と曜日の都合で、すぐには替えられないことがあります。期限を聞いておくと、待つのか動くのかを決められます。「調整します」で終わらせないでください。

そのまま使える伝え方

「授業のあと、分からないところが分からないまま帰ってくることが続いています。本人が質問しづらいようで、こちらから見ていて授業が成立していないように思います。担当の先生を替えていただくことは可能でしょうか。難しい場合は、いつごろなら調整できそうか教えてください。

講師個人を否定する言葉を入れないのがコツです。「教え方が下手だ」と言うと、教室長は弁明から入ります。起きている事実だけを出したほうが、話が早く進みます。

この「事実だけを出す」書き方は、口頭よりも文字にしたほうが崩れません。担当変更を切り出す前に、コメント欄で状況を一度残しておくと話が通りやすくなります。

替える前に確かめる「担当が固定かどうか」

ここは意外に知られていないのですが、「担当をどう決めるか」の設計思想は塾によって正反対です。同じ「個別指導」でも前提が違うので、頼み方も変わります。

担当の決め方(公式の記載)読み取れる前提
東京個別指導学院「ご入塾後、複数人の先生の授業を受けていただき、ご相談のうえ相性がピッタリ合う先生をお選びいただけます」入塾後に選ぶのが前提。最初の担当は仮
ナビ個別指導学院体験中については自分に合う講師を見つけるためにも、何人かの講師から受講されることをお勧めします体験のうちに複数人と当てておくのが前提
個別指導塾WAM「あまり先生が代わらないから良い」と言われる、と自社で紹介。ただし定期講習時は通常と別の講師が担当する場合がある替わらないことが売り。講習期は例外
森塾希望を出すより、提案された先生で試したうえで「先生変更制度」を使うほうが「授業時間の幅が広がる」先に指名しないことを推奨

つまり「合わなかったら替える」を織り込み済みで設計している塾(東京個別指導学院・ナビ個別指導学院・森塾)と、「替わらないこと」を価値にしている塾(個別指導塾WAM)があるということです。前者なら、替えてほしいと言うのは想定内の行動です。後者で頻繁に替わっているなら、その塾が本来やろうとしていることが回っていないサインになります。

個別指導塾WAMが「定期講習時は通常指導している講師以外が担当する場合がございます」とわざわざ書いているのは誠実だと思います。夏期・冬期は生徒のスケジュールを優先して時間割を組むので、どの塾でも担当が動きやすい。「講習だけ別人だった」を相性の問題と取り違えないでください。

そもそも担当が毎回変わる形式なら、講師変更という考え方自体が成立しません。誰も生徒の状況を継続して把握していないからです。その場合は講師を替えるのではなく、形を変えるほうが早いです。【スタディコーチ】無料相談・逆授業の体験のように担当を固定して学習管理まで見る形なら、同じことは起きにくくなります。

「交代は無料か」を公開しているのは2社だけだった

10社を確認して、いちばん意外だったのがここです。「変更できる」と書いている9社のうち、費用と回数に触れていたのは2社だけでした。しかもその2社は、どちらも「無料・上限なし」と言い切っています。

  • 個別指導学院サクシード…「いつでも無料で交代が可能です」「何度でも無料で講師変更を承っております」
  • 個別教室のトライ…「教師の交代に回数の制限はございません。また、別途費用もかかりませんので、安心してお申し出ください」
  • 残る7社…可否は書いてあるが、費用にも回数にも触れていない

公開している2社がそろって「無料・上限なし」なので、これが業界の実態に近いのだろうと思います。実際、通塾型の個別指導で交代に料金を取る話は聞いたことがありません。ただし残る7社は書いていない以上、確かめられるのは面談の場だけです。塾を選ぶ段階なら、体験のあとにこう聞いてください。

入る前に聞いておく3つ

①「担当の先生は固定ですか。夏期講習や冬期講習のときも同じ先生ですか
②「合わなかった場合、交代に費用はかかりますか。回数の上限はありますか
③「交代をお願いしてから、実際に替わるまでどのくらいかかりますか

逆に、費用の扱いを最初から公開している事業者もあります。家庭教師では東大家庭教師友の会が料金ページに「教師交代費 0円」と明記しており、指導キャンセル料・更新費・解約費もかからないと書いています(2026年8月12日確認)。家庭教師は担当が1人に固定されるぶん、相性が外れたときの逃げ場が塾より少ない形式です。そこを先に潰してある設計は、選ぶ側からすると分かりやすい。

いま通っている塾で2人目に入っていて、次を探し始めている段階なら、東大家庭教師友の会の無料体験・資料請求のように、交代の条件を先に開示している相手から当たると比較が早く済みます。

替えたあとに確認すること

替えて終わりにしないでください。2〜3回受けた時点で、質問できているかを確認します。ここが変わっていないなら、原因は講師ではなかったということです。

そして2人目でも同じことが起きるなら、それは塾の体制の問題です。講師の採用や研修が回っていない可能性があります。この段階まで来たら、塾を変える判断に入って構いません。

その段階に来たら、動ける時期が学年で決まっていることだけ先に確認してください。受験学年は動ける期間がかなり限られます。

講師変更に限らず、塾への要望全般に共通する型があります。事実・期限・調整の余地の3つで、場面別の例文も載せました。

よくある質問

講師変更を頼むと、子どもの扱いが悪くなりませんか

なりません。教室長にとって、講師変更は日常の調整業務のひとつです。実際、代々木個別指導学院は「ご遠慮なくお申し出ください」、東京個別指導学院は「お気軽にご相談ください」と自社サイトに書いています。むしろ何も言われないまま退塾されるほうが痛手なので、早めに言ってもらえるほうがありがたいというのが本音です。

何回まで替えてもらえますか

上限を設けている塾は、10社を調べた範囲では見つかりませんでした。むしろ個別教室のトライは「回数の制限はございません」、個別指導学院サクシードは「何度でも無料」と、明確に上限が無いことを書いています。ただし現場の感覚としては、2人目までが現実的な線です。3人目を頼む段階では、教室の講師層で対応できる範囲を超えている可能性が高く、そこから満足のいく担当が出てくることはあまりありません。制度として可能かどうかと、実際に良い結果が出るかどうかは別の話だと考えてください。

子どもが「言わないで」と言います

よくあります。その場合は「本人には言わないでほしい」と教室長に前置きして伝えてください。担当講師に伝わらない形で調整するのは、教室側にとって難しいことではありません。曜日の変更という形にしてもらう方法もあります。

集団塾でも先生を替えてもらえますか

集団塾はクラス単位で担当が決まるので、講師だけを替えることはできません。今回調べた10社の記載も、すべて個別指導についてのものです。可能性があるのはクラスや曜日の変更です。そこも動かせないなら、集団という形式自体が合っていない可能性を考えてください。

オンライン塾なら相性の問題は起きませんか

起きます。むしろ画面越しのほうが質問のハードルは上がります。ただし在籍する講師の数が多いぶん、交代の選択肢は広いことが多いです。交代の費用と回数を公開していないのは通塾型もオンラインも同じなので、契約前に「交代は無料か」「何回まで可能か」を必ず口頭で確認してください。

まとめ

講師変更は遠慮する必要のない依頼です。大手10社のうち9社が、聞かれる前から「変更できます」と自社サイトに書いています。ただし「合わない」の中身を4つに分けてから伝えてください。教え方・雰囲気・学力の問題なら替える、厳しいだけなら替えない、が原則です。

伝える相手は教室長で、内容は人柄ではなく起きている事実。そしていつ替えられそうかまで聞くこと。ここまでやって初めて、待つか動くかを自分で決められます。

公開情報から分からないのは「交代の費用と回数」と「担当が固定かどうかの実態」の2つです。前者を書いているのは10社中2社だけでした。ここは面談で聞くしかないので、入る前の3つの質問として用意しておいてください。

2人目でも同じことが起きるなら、それは講師個人ではなく塾の体制の問題です。そこまで来たら、形を変える判断に入ってください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

兵庫県のとある学習塾の塾長。私大理系卒。塾バイト・家庭教師を経て、長年の経験を基に幅広く受験をサポートします。生徒だけでなく、それを支える保護者や先生の力にもなりたいという思いで立ち上げました。

コメント

コメントする

CAPTCHA


この記事の目次