【無料で練習】英語長文 Part 5|論説文「消えていく言語」全訳・解説つき

英語長文練習 Part 5

大学受験向けの無料の長文読解練習 Part 5です。テーマは「消えていく言語」——入試の評論で頻出の題材を、約300語の論説文にしました。設問・全訳・重要語句20語つきです。

取り組み方
  • まず辞書を使わずに通して読む…分からない語があっても止まらないでください
  • 目安は8分…入試本番に近い速度です
  • 設問はタップすると解答が開きます…必ず自分の答えを決めてから開いてください
  • 最後に全訳と語句で確認…読めなかった原因が語彙か構文かを切り分けます

今回の英文は抽象的な言葉が何度も言い換えられながら進むタイプです。同じことを別の言葉で言い直している箇所を見つけられるかどうかが、読めるかどうかの分かれ目になります。読みながら「これはさっきのアレの言い換えだな」と気づけた箇所に印をつけてみてください。

この記事の目次

次の英文を読んで、あとの問いに答えなさい。

Of the roughly seven thousand languages spoken today, linguists estimate that about half will have no native speakers by the end of this century. The figure is often quoted, but what it actually means is less widely understood.

A language rarely disappears because it is forbidden. More often it fades because its speakers make a series of reasonable decisions. Parents notice that the regional language brings no advantage at school or at work, and they raise their children in the dominant one instead. Each of these choices makes sense on its own, and yet together they produce an outcome that almost no one intended.

What is lost when this happens? The most common answer is that a culture loses its identity, and that is true. But there is a second loss that is easier to overlook. Every language encodes a particular way of dividing up experience. Some languages mark whether the speaker witnessed an event or merely heard about it. Others describe location using fixed compass directions rather than words like left and right. When such a language disappears, a record of how human beings can organize thought disappears with it.

This does not mean that speakers should be asked to preserve their language for the benefit of researchers. That would place the cost on the very people who have the least to gain. The realistic question is narrower: whether communities that wish to keep their language are given the means to do so — schools, materials, and a reason for young people to use it outside the home.

The pattern here is not unique to language. Whenever many individually sensible choices add up to a loss no one chose, the problem cannot be solved by asking individuals to choose differently. It has to be addressed at the level where the choices are made.

設問(タップで解答が開きます)

(1) 筆者によれば、言語が消滅するのは主にどのような過程によるか。日本語で説明しなさい。

解答:禁止されるからではなく、話者たちが「その地域語は学校や仕事で有利にならない」と判断し、子どもを支配的な言語で育てるという、それぞれには合理的な選択を重ねる過程によって消えていく

解説:第2段落全体が根拠です。rarely 〜 because …/More often … という対比の形で、「禁止」ではなく「合理的選択の積み重ね」だと述べています。

(2) 下線部 Each of these choices makes sense on its own とあるが、these choices の内容を具体的に説明しなさい。

解答:親が、地域語では学校や仕事で有利にならないと気づき、代わりに支配的な言語で子どもを育てるという選択

解説:指示語の内容は直前にあります。Parents notice that … and they raise their children in the dominant one instead. の一文がそのまま答えです。the dominant one の one は language の代用である点にも注意してください。

(3) 筆者が「見落とされやすい」とする second loss とは何か。本文に即して答えなさい。

解答:人間が思考をどのように組み立てうるかという記録が失われること。各言語は経験の切り分け方をそれぞれ独自に符号化しており(体験したか伝聞かを区別する言語、左右ではなく東西南北で位置を表す言語など)、言語の消滅とともにその記録も消える。

解説:第3段落最終文 a record of how human beings can organize thought disappears with it が直接の根拠です。その手前の2つの例は抽象的な主張の具体化なので、答案には例を1つ添えると説明として安定します。

(4) 第4段落で筆者は、どのような主張を退けているか。またその理由は何か。

解答:退けているのは「研究者の利益のために話者が自分たちの言語を保存すべきだ」という主張。理由は、それでは最も得るものが少ない当の人々に負担を負わせることになるから

解説:That would place the cost on the very people who have the least to gain. が根拠です。the very people who 〜(まさに〜する当の人々)の very は強調用法で、ここを訳し落とすと減点されます。

(5) 本文の内容と一致するものを1つ選びなさい。
ア 言語の消滅は、多くの場合その使用が法律で禁じられた結果である。
イ 言語が失われるとき、文化的な独自性だけでなく、思考の組み立て方の記録も失われる。
ウ 筆者は、話者が研究のために言語を守るべきだと主張している。
エ 個人が選択を改めれば、この種の問題は解決できる。

解答:

解説:第3段落の内容と一致します。アは A language rarely disappears because it is forbidden と矛盾、ウは第4段落で明確に退けられている内容、エは最終段落の cannot be solved by asking individuals to choose differently と真逆です。選択肢の「真逆」は最頻出のひっかけなので、本文の否定表現には必ず線を引いてください。

(1)(4)(5)は、いずれも「筆者が否定していること」が問われています。評論文の設問は、筆者が肯定した内容よりも否定した内容のほうが問われやすいという傾向があります。rarely / does not mean / cannot be solved といった否定語を見つけたら、その文には必ず印をつけてください。

全訳

今日話されているおよそ7,000の言語のうち、およそ半数は今世紀の終わりまでに母語話者がいなくなるだろうと言語学者は推定している。この数字はよく引用されるが、それが実際に何を意味するのかは、それほど広くは理解されていない。

言語が消えるのは、禁じられたからであることはめったにない。多くの場合、言語が衰えるのは、その話者たちが一連の合理的な判断を下すからである。親たちは、その地域の言語が学校でも仕事でも有利にならないことに気づき、代わりに支配的な言語で子どもを育てる。こうした選択の一つひとつは、それだけを見れば筋が通っている。それにもかかわらず、それらが合わさると、ほとんど誰も意図しなかった結果を生み出すのである。

そのとき、何が失われるのか。最もよくある答えは、ある文化がその独自性を失うということであり、それは事実である。しかし、より見落とされやすい第二の喪失がある。どの言語も、経験の切り分け方をそれぞれ固有のしかたで符号化している。話者がその出来事を目撃したのか、それとも人づてに聞いただけなのかを言語形式で区別する言語もある。また、といった語ではなく、固定された方位によって位置を表す言語もある。そうした言語が消えるとき、人間が思考をどのように組み立てうるかという記録も、それとともに消えるのである。

これは、研究者の利益のために話者が自分たちの言語を保存するよう求められるべきだ、という意味ではない。それでは、最も得るものが少ない当の人々に負担を負わせることになってしまう。現実的な問いは、もっと狭いものである。すなわち、自分たちの言語を保ちたいと願う共同体に対して、そうするための手段——学校、教材、そして若い人々がそれを家庭の外で使う理由——が与えられているかどうか、ということだ。

ここに見られる構図は、言語に固有のものではない。個々には理にかなった多くの選択が積み重なって、誰も選ばなかった喪失を生むとき、その問題は個人に別の選択をするよう求めることでは解決できない。それは、その選択がなされている水準において取り組まれなければならないのである。

この長文に出てきた重要語句

語句意味・ポイント
roughly副 おおよそ(=about / approximately)
estimate動 推定する
native speaker名 母語話者
quote動 引用する
forbid動 禁じる(forbid – forbade – forbidden)
fade動 次第に衰える、薄れる
a series of 〜熟 一連の〜
dominant形 支配的な、優勢な
make sense熟 筋が通る、道理にかなう
on its own熟 それ単独で、それだけを見れば
outcome名 結果、成り行き
intend動 意図する
identity名 独自性、自己同一性
overlook動 見落とす(※「見下ろす」の意味もある多義語)
encode動 (情報を)符号化する、コードとして組み込む
witness動 目撃する/名 目撃者
preserve動 保存する、保つ
for the benefit of 〜熟 〜の利益のために
the very 〜熟 まさにその〜(強調の very。訳し落とすと減点対象)
address動 (問題に)取り組む(※「住所」以外のこの意味が入試では頻出)

抽象的な文が読めないときは「言い換え」を追う

「単語は全部分かるのに、何を言っているのか分からない」——長文でいちばん多い詰まり方がこれです。原因はたいてい語彙ではなく、抽象と具体の往復についていけていないことにあります。

評論文の筆者は、抽象的な主張を書いたあと、ほぼ必ず同じことを別の言い方でもう一度書きます。具体例だったり、言い換えだったり、対比だったりします。つまり、難しい一文が読めなくても、その前後に「やさしい版」が置かれていることが多いのです。

今回の英文での「言い換え」の連鎖
  • 抽象Every language encodes a particular way of dividing up experience.(どの言語も経験の切り分け方を符号化している)
  • ↓ 具体例1…目撃したか伝聞かを区別する言語がある
  • ↓ 具体例2…左右ではなく方位で位置を表す言語がある
  • ↓ 抽象に戻るa record of how human beings can organize thought(思考の組み立て方の記録)

最初の一文が読めなくても、具体例2つを読んでから最後の一文に戻れば、意味はつかめます。読む順番は、必ずしも書かれている順番でなくてよいということです。

長文が苦手な生徒に「どこで詰まった?」と聞くと、ほぼ全員が抽象的な一文を指さします。そしてその生徒は、たいていそこで止まって何度も読み返しています。止まらずに次の2〜3文を読んでから戻る——これを習慣にするだけで、同じ学力でも読める量がはっきり増えます。

言い換えの目印になる表現

合図後ろに来るもの
For example / For instance直前の抽象の具体例(=やさしい版)
That is / In other words直前の言い換え。ここだけ読めば足りることも多い
Consider 〜具体例の導入(Part 4の第2段落がこの型です)
This does not mean 〜誤読の否定。設問になりやすい最重要ポイント
The point is 〜 / The realistic question is 〜筆者が最も言いたいこと。ここを外すと全問崩れる
rather than 〜対比。「Aではなく B」の形で主張が置かれる

読み終えたあとにやること

同じ長文の使い回し方
  • 1回目…辞書なしで通して読み、設問を解く
  • 2回目…全訳と語句で確認しながら、読めなかった箇所を特定する
  • 3回目…言い換えの連鎖(抽象→具体→抽象)に印をつけながら読む
  • 4回目…もう一度英文だけを、止まらずに読み切る

ほかの長文練習

文法・単語に不安があるとき

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英検2級を受ける予定なら、こちらもあわせてどうぞ。

長文の前に、構文と語法を実戦50問で確認できます。

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この記事を書いた人

兵庫県のとある学習塾の塾長。私大理系卒。塾バイト・家庭教師を経て、長年の経験を基に幅広く受験をサポートします。生徒だけでなく、それを支える保護者や先生の力にもなりたいという思いで立ち上げました。

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