大学受験向けの無料の長文読解練習 Part 4です。テーマは「技術と仕事」——入試の評論で頻出の題材を、約290語の論説文にしました。設問・全訳・重要語句20語つきです。
- まず辞書を使わずに通して読む…分からない語があっても止まらないでください
- 目安は8分…入試本番に近い速度です
- 設問はタップすると解答が開きます…必ず自分の答えを決めてから開いてください
- 最後に全訳と語句で確認…読めなかった原因が語彙か構文かを切り分けます

この英文は「一般に言われていること」を提示してから、それを部分的に否定するという、評論文の典型的な構造でできています。この型を知っているだけで、初見の英文でも展開が読めるようになります。読みながら「筆者はどこで方向を変えたか」を意識してください。
次の英文を読んで、あとの問いに答えなさい。
When a new technology appears, people often ask whether it will replace human workers. This question has been repeated for centuries, and the answer has rarely been as simple as either side expected.
Consider the introduction of the automatic teller machine, or ATM, in the 1970s. Many people assumed that bank clerks would soon disappear. The number of clerks per branch did fall, but something unexpected happened as well. Because each branch became cheaper to operate, banks opened more branches, and the total number of clerks employed did not decline as sharply as predicted. What changed was not the number of jobs but their content: clerks spent less time counting money and more time advising customers.
A similar pattern can be seen in other fields. When spreadsheet software became common in the 1980s, some predicted the end of accounting as a profession. In fact, the number of accountants grew. The software removed the slow, repetitive part of the work, which made analysis cheaper and therefore more widely demanded.
This does not mean that technology never destroys jobs. It clearly does, and the people affected are real. The point is that the effect is uneven. Tasks, rather than whole occupations, are what disappear. An occupation made up entirely of routine tasks is at genuine risk; one that combines routine work with judgment, negotiation, or care is far more likely to be reshaped than eliminated.
What follows from this is a practical suggestion for students. Rather than asking which jobs are safe, it may be more useful to ask which parts of any job are hard to automate. Those parts tend to involve understanding what another person actually needs — something that has proved surprisingly difficult for machines, and surprisingly valuable for humans.
設問(タップで解答が開きます)
(1) 下線部 something unexpected happened as well とあるが、何が起きたのか日本語で説明しなさい。
解答:各支店の運営費が安くなったため銀行が支店を増やし、その結果、行員の総数は予測されたほどには減らなかったということ。
解説:直後の Because each branch became cheaper to operate, banks opened more branches 以降が内容です。because節と結果の関係を正確に取れるかが問われます。
(2) ATMの導入によって、銀行員の仕事はどう変わったか説明しなさい。
解答:お金を数える時間が減り、顧客に助言する時間が増えた。
解説:第2段落最終文 spent less time counting money and more time advising customers が根拠です。「仕事の数ではなく中身が変わった」という筆者の主張の核心部分です。
(3) 表計算ソフトの例で、会計士が増えたのはなぜか。本文に即して答えなさい。
解答:ソフトが作業の遅く反復的な部分を取り除いたことで分析が安価になり、その結果より広く需要が生まれたから。
解説:第3段落の made analysis cheaper and therefore more widely demanded が根拠です。therefore の前後が因果関係になっています。
(4) 筆者は、どのような職業が本当に危険だと述べているか。
解答:完全に定型的な作業だけで成り立っている職業。一方、定型作業に判断・交渉・ケアが組み合わさった職業は、なくなるより作り変えられる可能性が高いとしている。
解説:第4段落の An occupation made up entirely of routine tasks is at genuine risk が該当します。rather than 〜(〜よりむしろ)の構文にも注意してください。
(5) 本文の内容と一致するものを1つ選びなさい。
ア 技術は雇用を減らさないと筆者は述べている。
イ 消えるのは職業全体ではなく作業である。
ウ ATMの導入で銀行員は完全にいなくなった。
エ 学生はどの職業が安全かを最初に考えるべきだ。
ア 技術は雇用を減らさないと筆者は述べている。
イ 消えるのは職業全体ではなく作業である。
ウ ATMの導入で銀行員は完全にいなくなった。
エ 学生はどの職業が安全かを最初に考えるべきだ。
解答:イ
解説:第4段落の Tasks, rather than whole occupations, are what disappear が根拠です。アは It clearly does(技術は確かに雇用を壊す)と矛盾、エは最終段落と逆の内容です。



(4)の rather than、(3)の therefore のように、論理をつなぐ語が設問の根拠になっているのが分かると思います。長文では、こうした語の前後に線を引きながら読むと、設問を解くときに戻る場所がすぐ見つかります。
全訳
新しい技術が登場すると、人々はしばしば、それが人間の労働者に取って代わるのかと問う。この問いは何世紀にもわたって繰り返されてきたが、その答えが、どちらの側が予想したほど単純であったことはめったにない。
1970年代の現金自動預け払い機、すなわちATMの導入を考えてみよう。多くの人が、銀行の窓口係はまもなく姿を消すだろうと考えた。支店あたりの窓口係の数は確かに減った。しかし、予想外のことも起こったのである。各支店の運営費が安くなったため、銀行はより多くの支店を開設し、雇用される窓口係の総数は予測されたほど急激には減少しなかった。変わったのは仕事の数ではなく、その中身だった。窓口係はお金を数える時間が減り、顧客に助言する時間が増えたのである。
同じような傾向は他の分野でも見られる。1980年代に表計算ソフトが普及したとき、会計という職業は終わると予測する人もいた。実際には、会計士の数は増えた。ソフトが仕事の遅く反復的な部分を取り除き、そのことが分析を安価にし、それゆえにより広く求められるようになったのである。
これは、技術が決して雇用を破壊しないという意味ではない。技術は明らかに雇用を破壊するし、影響を受ける人々は実在する。要点は、その影響が均一ではないということだ。消えるのは職業全体ではなく、作業のほうである。完全に定型的な作業だけで成り立っている職業は本当に危険だが、定型的な仕事に判断・交渉・ケアが組み合わさっている職業は、なくなるというより作り変えられる可能性のほうがはるかに高い。
ここから、学生にとって実際的な提案が導かれる。どの職業が安全かを問うよりも、どんな職業であれ、そのどの部分が自動化しにくいのかを問うほうが有益かもしれない。そうした部分はたいてい、他者が実際に何を必要としているかを理解することに関わる。それは機械にとっては意外なほど難しく、人間にとっては意外なほど価値のあることだと分かってきている。
この長文に出てきた重要語句
| 語句 | 意味・ポイント |
|---|---|
| appear | 動 現れる、登場する |
| replace | 動 取って代わる |
| for centuries | 熟 何世紀にもわたって |
| rarely | 副 めったに〜ない(否定的な意味を持つ副詞) |
| assume | 動 (証拠なしに)思い込む、想定する |
| branch | 名 支店 |
| operate | 動 運営する(cheaper to operate で「運営費が安い」) |
| decline | 動 減少する |
| as sharply as predicted | 熟 予測されたほど急激には |
| content | 名 中身、内容(※形容詞の「満足した」とは別) |
| profession | 名 専門職 |
| repetitive | 形 反復的な |
| demand | 動/名 需要する/需要 |
| uneven | 形 均一でない、まちまちな |
| occupation | 名 職業 |
| genuine | 形 本物の、真の |
| negotiation | 名 交渉 |
| eliminate | 動 排除する、なくす |
| rather than 〜 | 熟 〜よりむしろ |
| prove to be 〜 | 熟 〜だと分かる(have proved difficult で「難しいと分かった」) |
評論文でよく出る「型」を知っておく
入試の評論文は、いくつかの決まった構造を持っています。型を知っていると、読む速度が上がります。
- ①一般論 → 反論型…「多くの人は〜と考える。しかし実際は〜」(今回の英文がこの型です)
- ②比較・対比型…2つの概念を対比しながら論を進める。「西洋と東洋」「近代と現代」など
- ③問題提起 → 具体例 → 結論型…最初と最後に主張、真ん中は例示



どの型でも共通するのは、逆接(However / But / In fact)の後ろに筆者の主張があるということです。時間がないときは、逆接の後ろと最終段落だけでも拾ってください。
読み終えたあとにやること
- 1回目…辞書なしで通して読み、設問を解く
- 2回目…全訳と語句で確認しながら、読めなかった箇所を特定する
- 3回目…もう一度英文だけを、止まらずに読み切る
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