英語が伸びない人の多くは、単語と長文の間にある「英文解釈」を飛ばしています。この記事では単語・文法・解釈・長文の4層構造と、それぞれをいつまでに終えるかを時期別に整理します。

英語の勉強って、単語も文法も長文もあって何から手をつければいいのか分かりません。時間だけかけてる気がします…。

英語は「やる順番」を間違えると努力がほぼ点数に変わらない科目です。逆に順番が正しければ、英語は受験科目のなかで最も確実に伸びる科目でもあります。塾で使っている順序と時期の目安を公開します。
英語は配点が大きく、しかも数学のように「センス」の影響を受けにくい科目です。だから受験戦略としては最初に固めるべき科目です。この記事では単語・文法・解釈・長文の4層構造と、それぞれをいつまでにやるかを整理します。
- ①単語(常に並行)…毎日必ず。これだけは受験終了まで止めない
- ②文法(3〜4ヶ月)…英文の骨格を把握するために先に固める
- ③英文解釈(2〜3ヶ月)…ここを飛ばしてしまう人がとても多く、長文が読めない原因はたいていこれ
- ④長文演習(残り期間)…量をこなすのは最後。①〜③がないまま長文をやっても伸びません
長文が読めない人が飛ばしがちな「英文解釈」とは
単語も文法もやったのに長文が読めない。塾で最も多い英語の相談がこれです。原因はほぼ例外なく「英文解釈」という段階を飛ばしていることです。
英文解釈とは、1文の構造(S・V・O・C、修飾関係)を正確に取る作業のこと。文法問題が解けることと、複雑な1文の構造を取れることは別の能力です。関係代名詞の問題は解けるのに、関係詞が2つ入った文になると意味が取れない。これは解釈の訓練が足りていない状態です。
- 1文ごとにSVOCを書き込む…紙に書く。頭の中でやると「なんとなく読み」に戻ります
- 修飾語のカッコ括り…前置詞句・関係詞節・分詞句を( )で囲む。文の骨格だけが残ります
- 和訳を書く…「なんとなく分かる」と「訳せる」の差が実力の差。書けば自分の弱点が見えます
- 1日3〜5文でよい…量ではなく精度。この2ヶ月が長文の読解速度を決めます

英文解釈をやると、最初は「こんな遅いペースで大丈夫か」と不安になります。でも構造を取る作業が自動化されると、読解スピードは後から一気に上がります。急いで長文の量をこなす人が秋に伸び止まるのは、この順番を逆にしているからです。
覚える単語の量には、国の目安があります。文部科学省の中学校学習指導要領解説 外国語編は、指導する語数を小学校で600〜700語程度、中学校で1,600〜1,800語程度、高等学校で1,800〜2,500語程度と整理しています。大学受験では、この合計を基準に単語帳で上乗せしていくことになります。
英単語の覚え方——塾で教えている3つの原則

原則①:1日100語×何周も回す
「1日10語を完璧に」ではなく「1日100語をざっと×何周も」が正解です。人間の記憶は接触回数で定着するので、1語に時間をかけるより、忘れた頃に再会する回数を増やす方が効率的です。1周目で覚えられなくて当然、と割り切ってください。
原則②:発音と一緒に覚える
音を伴わない暗記は定着率が大きく落ちます。加えてリスニングでその単語が聞き取れません。単語アプリや音声つき単語帳で、必ず音を聞きながら覚えてください。声に出せればさらに良いです。
原則③:例文で覚える(意味だけ覚えない)
「consider=考慮する」だけ覚えても、consider A as B のような使い方が問われると答えられません。単語は「使われ方」ごと覚えるのが、長文でも英作文でも効く覚え方です。

- 1日100語をざっと何周も回す
- 発音と一緒に覚える
- 例文ごと「使われ方」で覚える
時期別スケジュール(高校生・大学受験)
| 時期 | 単語 | 文法・解釈 | 長文 |
|---|---|---|---|
| 高1〜高2前半 | 基礎2000語を1周 | 学校の文法を定期テストで固める | 週1題(慣れる目的) |
| 高2後半 | 入試レベル単語に着手 | 文法を1冊通して完成 | 週1〜2題 |
| 高3春〜夏 | 毎日100語を継続 | 英文解釈に集中(最重要) | 週2題(構造を意識して) |
| 高3秋 | 弱点の単語を潰す | 解釈の復習 | 毎日1題+時間を計る |
| 高3冬 | 単語の最終確認 | — | 過去問・予想問題 |
※高3の夏に「英文解釈」を入れられるかが、秋以降の伸びを決めます。ここを長文演習に置き換えないでください。
- 高1〜高2前半は基礎2000語と学校文法
- 高2後半で入試レベル単語と文法を仕上げる
- 高3春〜夏は英文解釈に集中
- 高3夏に解釈を入れられるかが秋以降を左右
共通テスト英語(令和8年度)は大問ごとに得点率が違う|リーディング後半は57.1%
学習の順番(単語→文法→解釈→長文)がなぜ必要かは、共通テストの大問別の得点率にも出ています。大学入試センターの令和8年度「設問別得点率及び正答率」(本試験・受験者438,156人)から、英語の大問ごとの平均点・配点・得点率を写しました。リーディングとリスニングは、どちらも100点満点です。
| リーディング | 配点 | 平均点 | 得点率 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 6点 | 4.199点 | 70.0% |
| 第2問 | 12点 | 8.658点 | 72.2% |
| 第3問 | 9点 | 5.538点 | 61.5% |
| 第4問 | 12点 | 9.590点 | 79.9% |
| 第5問 | 16点 | 10.251点 | 64.1% |
| 第6問 | 12点 | 6.455点 | 53.8% |
| 第7問 | 16点 | 7.720点 | 48.3% |
| 第8問 | 17点 | 10.398点 | 61.2% |
| リスニング | 配点 | 平均点 | 得点率 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 28点 | 17.603点 | 62.9% |
| 第2問 | 12点 | 7.884点 | 65.7% |
| 第3問 | 18点 | 9.819点 | 54.5% |
| 第4問 | 12点 | 6.848点 | 57.1% |
| 第5問 | 16点 | 5.673点 | 35.5% |
| 第6問 | 14点 | 6.824点 | 48.7% |

前半と後半の計算
- リーディング第1〜4問(配点39点)の平均点は 4.199 + 8.658 + 5.538 + 9.590 = 27.985点。得点率は 27.985 ÷ 39 = 71.8%
- リーディング第5〜8問(配点61点)の平均点は 10.251 + 6.455 + 7.720 + 10.398 = 34.824点。得点率は 34.824 ÷ 61 = 57.1%
- リーディング全体:27.985 + 34.824 = 62.809点(公表の総平均点62.81点と一致)。リスニング全体は 54.651点(総平均点54.65点)で、差は 62.81 − 54.65 = 8.16点
- リスニング第5問は配点16点に対して平均点5.673点(得点率35.5%)。配点16点のうち約10点を取りこぼしている(16 − 5.673 = 10.327)
読み取れるのは2点です。第一に、リーディングは配点61点の後半(第5〜8問)で得点率が57.1%まで下がり、前半との差は14.7ポイント(71.8 − 57.1)あります。この記事で「解釈を飛ばすと長文で止まる」と書いている段階と、数字の出る場所が重なります。第二に、リスニングは100点満点で、リーディングと同じ配点です。平均点はリスニングの方が8.16点低く、第5問は得点率が35.5%でした。
どの大問がどんな問題かは、大学入試センターが公表している問題冊子で確かめてください。ここでは数字だけを、公表されたCSVからそのまま写しています。
- 1年分の大問別の得点率を、来年も同じ順番で下がると決めてかかる場合。出題は年度で変わる
- 共通テストの英語を使わない(外部検定の利用のみ)受験方式の場合
- 平均点を取る前に、単語・文法が固まっていない場合。大問別に見る前に、この記事の順番どおり単語と文法に戻る
出典:大学入試センター「令和8年度 設問別得点率及び正答率(本試験)」(CSV・英語(リーディング)・英語(リスニング))(2026年10月15日確認)
英作文・リスニング・スピーキングの位置づけ

英作文(自由英作文・和文英訳)
英作文は「覚えた表現の再利用」で戦う分野です。ゼロから英語を作るのではなく、暗記した例文を組み替えて書く。だから単語と文法の基礎ができた後、志望校で出題される場合のみ対策すれば十分間に合います。

リスニング
共通テストでリスニングは配点が大きい(英語全体の半分)にもかかわらず、対策が後回しにされがちです。毎日10分の音読とシャドーイングを単語学習と一緒にやるのが最も効率的で、これだけで共通テストのリスニングは戦えます。
スピーキング(英検・総合型選抜など)
入試で直接必要になる人は限られますが、話す練習は文法と単語の定着を加速させます。AI相手なら人と話す緊張がないので、英会話が苦手な人でも続けやすいです。

- 英作文は暗記した表現の再利用で戦う
- リスニングは配点が大きいのに後回しにされがち
- 毎日10分の音読とシャドーイングが効率的
- スピーキング練習は文法・単語の定着も加速
自分の弱点が分からないときは
英語は範囲が広いので、「単語なのか文法なのか解釈なのか」を自力で切り分けるのが難しい科目です。
模試の問題別の正答率を見れば当たりはつきますが、それでも分からない場合は、AIが診断して弱点単元から演習させてくれる【atama+ オンライン塾】のようなサービスで診断だけ受けるのが早いです(14日間無料体験)。
英語を教わる相手を探すなら、指導形態と料金の比較はオンライン塾12社の比較記事にまとめています。
基礎になる英単語の覚え方は、単語帳の選び方まで含めて別記事で詳しく解説しています。

英語学習のよくある質問
- 単語帳は何冊必要?
-
基礎レベル1冊+入試レベル1冊の計2冊で足ります。難関大でも3冊目は不要なことが多いです。それより1冊を10周する方が確実に得点になります。
- 長文を読むスピードが遅いです
-
速く読む訓練より、構造を正確に取る訓練(英文解釈)が先です。構造把握が自動化されると速度は自然に上がります。加えて「返り読み」の癖がある人は音読が効果的で、音読は後戻りできないので前から読む習慣がつきます。
- 文法問題集は何をやればいい?
-
学校で配られたものでまず十分です。「間違えた問題の解説を読んで、なぜそうなるかを言語化する」ことが重要です。問題集の銘柄より、この作業をやったかどうかで差がつきます。
- 英語が本当に嫌いで手が動きません
-
単語だけ、1日15分だけやってください。英語は単語を知っているだけで読める部分が増えるので、最も費用対効果が高いのが単語です。「文法も長文もやらなきゃ」と考えるから動けなくなります。
文法をどの本で進めるかは、学習指導要領の一覧表で「戻る地点」を決めてから選ぶと外しません。


他教科の学習ロードマップ





この記事を書いた人:たかた(受験サポートナビ運営/個別指導塾の塾長経験)。→ 運営者情報
英語(文法)の総復習100問も用意しています。

文法をまとめて確認したいときは、一問一答が便利です。

科目別の一問一答もまとめています。

この順番どおりに自分で進められるかどうかが、塾が必要かどうかの分かれ目です。

英語の勉強を進めるなら、外部検定(英検)を使う入試方式も同時に検討しておくと選択肢が増えます。

英検2級を受けるなら、実力チェックに使える50問を用意しています。

文法のあとに何をやるか迷ったら、語法・整序・和訳の実戦50問へ。

