n5−n(nの5乗からnを引いた数。この記事では n^5-n とも書きます)が30の倍数になる証明は、数学Aの整数で定番の問題です。因数分解して連続する3つの整数の積(6の倍数)を取り出し、残りが5の倍数になることを示せば終わります。この記事では場合分け・式変形・数学的帰納法の3通りの解き方と、答案に書くときの注意を塾長がまとめます。
整数問題の中では、比較的有名で、いろいろな解法があります。過去に熊本大学や弘前大学での出題もされています。今回はこの問題を3通りの方法で解説します。
- 因数分解…n5−n=n(n4−1)=(n−1)n(n+1)(n2+1)
- 6の倍数…(n−1)n(n+1) は連続する3つの整数の積。2の倍数かつ3の倍数です。
- 5の倍数…n を5で割った余りで場合分け。余り0→n、余り1→n−1、余り4→n+1、余り2・3→n2+1 が5の倍数になります。
- 30の倍数…6と5は互いに素(共通の素因数が無い)。だから6の倍数かつ5の倍数なら30の倍数です。
- 答案に書く解法…高1(数A履修中)は解法1の場合分け。式変形(解法2)は思いつけば最短。帰納法(解法3)は数Bを習ってから。

塾で見ていると、この問題で止まる生徒の原因は「30の倍数」を直接示そうとすることです。30=2×3×5 に分けて、6の倍数と5の倍数を別々に示すと決めた瞬間に手が動きます。
証明の前に押さえる2つの性質(連続整数の積・互いに素)
30の倍数を示す問題は、30=2×3×5 と分解して「2の倍数・3の倍数・5の倍数」を示します。実際の答案では、「6の倍数」と「5の倍数」の2つに分けるのが定石です。使う性質は「連続する整数の積」と「互いに素」の2つです。下の表では、示したいこと別に4行に分けました。
| 示したいこと | 使う性質 | 答案での書き方(1行) |
|---|---|---|
| 2の倍数 | 連続する2つの整数の積は2の倍数 | 「n(n+1) は連続する2整数の積なので2の倍数」 |
| 6の倍数 | 連続する3つの整数の積は6の倍数(2の倍数かつ3の倍数) | 「(n−1)n(n+1) は連続する3整数の積なので6の倍数」 |
| 5の倍数 | 連続する5つの整数の積は5の倍数(実は120の倍数)。または n を5で割った余りで場合分け | 「(n−2)(n−1)n(n+1)(n+2) は連続する5整数の積なので5の倍数」 |
| 30の倍数 | a の倍数かつ b の倍数→ab の倍数、は a と b が互いに素のときだけ | 「6と5は互いに素なので、n5−n は30の倍数」 |
「連続する3整数の積は6の倍数」は証明なしで書いてよいか
2の倍数は2つに1つ、3の倍数は3つに1つ現れます。だから連続する3つの整数には、2の倍数と3の倍数が必ず含まれます。数学Aの「整数の約数や倍数」(学習指導要領解説 p.12)で扱う範囲の性質です。記述答案では「連続する3つの整数の積なので6の倍数」と理由を1行添えれば足りる、というのが塾で答案を見てきた私の判断です。
避けてほしいのは、理由を書かずに「(n−1)n(n+1) は6の倍数」とだけ書くことです。不安なら「3つのうち1つは2の倍数、1つは3の倍数を含むから」を括弧書きで足してください。
「6の倍数かつ5の倍数→30の倍数」が言える条件
「a の倍数かつ b の倍数なら ab の倍数」が成り立つのは、a と b が互いに素のときだけです。互いに素とは、1以外に共通の約数が無いことです。反例は4と6です。12は4の倍数かつ6の倍数ですが、24の倍数ではありません。4と6は共通の約数2を持つので、言えるのは最小公倍数12の倍数までです。
6と5は共通の約数を持たないので、6の倍数かつ5の倍数なら30の倍数になります。n5−n の証明では、この1行が最後の詰めです。

答案で減点されやすいのは、この「互いに素」を言わずに「6の倍数かつ5の倍数だから30の倍数」と書くところです。1行で済むので必ず書いてください。
解法1:5で割った余りに注目して解く方法
\begin{eqnarray}
n^5-n&=&n(n^4-1)\\
&=&n(n^2-1)(n^2+1)\\
&=&n(n-1)(n+1)(n^2+1)
\end{eqnarray}
ここで、n(n-1)(n+1)は連続する3つの自然数になるので、この3つの中に必ず1つは2の倍数、3の倍数が存在します。したがってn(n-1)(n+1)は6の倍数となりますので、あとは(n2+1)が5の倍数になることを言えれば良いですね。
(1)nが5の倍数、つまりn=5k (以下、kは0以上の整数)の時
n(n-1)(n+1)が5の倍数かつ6の倍数で30の倍数となる。
(2)nが5で割って1余る数、つまりn=5k+1の時
n-1=5k となり、n(n-1)(n+1)が5の倍数かつ6の倍数で30の倍数となる。
(3)nが5で割って2余る数、つまりn=5k+2 の時
\begin{eqnarray}
&&n^2+1=(5k+2)^2+1\\
&=&25k^2+20k+4+1\\
&=&25k^2+20k+5\\
&=&5(5k^2+4k+1)
\end{eqnarray}
ここでkは0以上の整数ですので、5k2+4k+1も自然数となります。したがって、5(5k2+4k+1)は5の倍数ですから、n2+1は5の倍数となり、n(n−1)(n+1)(n2+1)は30の倍数になります。
(4)nが5で割って3余る数、つまりn=5k+3 の時
\begin{eqnarray}
&&n^2+1\\
&=&(5k+3)^2+1\\
&=&25k^2+30k+9+1\\
&=&25k^2+30k+10\\
&=&5(5k^2+6k+2)
\end{eqnarray}
ここでkは0以上の整数ですので、5k2+6k+2も自然数となります。したがって、5(5k2+6k+2)は5の倍数ですから、n2+1は5の倍数となり、n(n−1)(n+1)(n2+1)は30の倍数になります。
(5)nが5で割って4余る数、つまりn=5k+4 の時
n+1=5k+5=5(k+1) となり、k+1が自然数であることから、n(nー1)(n+1)が5の倍数かつ6の倍数で30の倍数となる。
以上よりnがどんな自然数であっても、n5-nは30の倍数であることを示せました。
合同式(mod 5)で書くと余りの表だけで終わる
解法1の場合分けは、合同式を使うと表1枚に収まります。「n≡r (mod 5)」は「n を5で割った余りが r」という意味です。n2+1 の余りは、n の余り r だけで決まります。
| n を5で割った余り | n2 を5で割った余り | n2+1 を5で割った余り | 5の倍数になる因数 |
|---|---|---|---|
| 0 | 0 | 1 | n |
| 1 | 1 | 2 | n−1 |
| 2 | 4 | 0 | n2+1 |
| 3 | 4 | 0 | n2+1 |
| 4 | 1 | 2 | n+1 |
n≡0, ±1, ±2 (mod 5) の3通りに束ねると、さらに短く書けます。n≡0 なら n が5の倍数。n≡±1 なら n∓1 が5の倍数。n≡±2 なら n2+1≡4+1≡0 なので、n2+1 が5の倍数になります。どの場合も (n−1)n(n+1)(n2+1) の中に、5の倍数の因数があります。
答案で合同式を使うときは、記号「≡」の意味を最初に一言書いてください。「以下、≡ は5で割った余りが等しいことを表す」で足ります。合同式は学習指導要領解説には出てこない記号です。習っていないなら解法1の場合分けで書くのが安全です。
解法2:うまく式を変形して導く方法
\begin{eqnarray}
&&n^5-n\\
&=&n(n^4-1)\\
&=&n(n^2-1)(n^2+1)\\
&=&n(n-1)(n+1)[(n+2)(n-2)+5]\\
&=&n(n-1)(n+1)(n+2)(n-2)+5n(n-1)(n+1)
\end{eqnarray}
ここで、前半のn(n-1)(n+1)(n+2)(n−2)は、(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2)と並び替えることで、連続する5つの自然数の積とわかり、5の倍数といえます。
また、後半の5n(nー1)(n+1)は明らかに5の倍数です。したがって、n(n-1)(n+1)(n+2)(n-2)+5n(n-1)(n+1)は5の倍数といえます。
さらに前半のn(n-1)(n+1)(n+2)(n−2)と、後半の5n(n-1)(n+1)はどちらも連続する3つの自然数の積を含みますので6の倍数になることから、5の倍数かつ6の倍数ということで、全体のn5-nは30の倍数であることを示せます。
\begin{eqnarray}
&&n^5-n\\
&=&n(n^4-1)\\
&=&n(n^2-1)(n^2+1)\\
&=&n(n-1)(n+1)[(n+2)(n-2)+5]\\
&=&n(n-1)(n+1)(n+2)(n-2)\\
&&+5n(n-1)(n+1)
\end{eqnarray}
ここで、前半のn(n-1)(n+1)(n+2)(n−2)は、(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2)と並び替えることで、連続する5つの自然数の積とわかり、5の倍数といえます。
また、後半の5n(nー1)(n+1)は明らかに5の倍数です。したがって、n(n-1)(n+1)(n+2)(n-2)+5n(n-1)(n+1)は5の倍数といえます。
さらに前半のn(n-1)(n+1)(n+2)(n−2)と、後半の5n(n-1)(n+1)はどちらも連続する3つの自然数の積を含みますので6の倍数になることから、5の倍数かつ6の倍数ということで、全体のn5-nは30の倍数であることを示せます。
n^2+1 を (n+2)(n−2)+5 に変形する発想はどこから来るか
解法2の3行目から4行目は、塾でいちばん質問が出る箇所です。狙いは「連続する5つの整数の積 (n−2)(n−1)n(n+1)(n+2)」を作ること。すでに (n−1)n(n+1) があるので、あと (n−2)(n+2)=n2−4 が欲しい。手元にあるのは n2+1 です。
差を取ると (n2+1)−(n2−4)=5 で、定数になります。だから n2+1=(n2−4)+5=(n+2)(n−2)+5 と書けます。手順を表にすると次の4段です。
| 手順 | 式 | ねらい |
|---|---|---|
| ①欲しい形 | (n−2)(n+2)=n2−4 | 連続5整数の積を作る |
| ②手元の形 | n2+1 | 因数分解で出た因数 |
| ③差を取る | (n2+1)−(n2−4)=5 | 差が定数なら分けられる |
| ④書き直す | n2+1=(n+2)(n−2)+5 | 前半が連続5整数の積、後半が5×(連続3整数の積) |

知恵袋でも、n2+1 を 5+(n2−4) に分けるこの変形で止まる質問が出ています。「連続5整数の積を作りたい」という目的から逆算すれば暗記は要りません。
分けたあとの確認も1行ずつ済ませます。前半 (n−2)(n−1)n(n+1)(n+2) は連続5整数の積なので5の倍数です。連続3整数を含むので、6の倍数でもあります。後半 5(n−1)n(n+1) は「5×連続3整数の積」なので、これも30の倍数です。30の倍数どうしの和は30の倍数なので、証明が終わります。
解法3:数学的帰納法を使って解く方法(数学B)
数学的帰納法は数学Bの「数列」で習います。文部科学省の学習指導要領解説(数学編)は、帰納法と他の証明方法を比べる例をひとつ挙げています。それが「自然数 n について、n5−n は5の倍数である」です(解説 p.104)。解説には2つの方法が並んでいます。n(n−1)(n+1)(n2+1) と変形して、5で割った余りで場合分けする方法。(n−2)(n−1)n(n+1)(n+2)+5n(n−1)(n+1) と変形する方法。この記事の解法1・解法2がそのまま対応します。帰納法の単元でこの問題が出てくる背景に、この位置づけがあります。
(1)n=1のとき
\begin{eqnarray}
n^5-n=1^5-1=0
\end{eqnarray}
より0は30の倍数であるから成立する。
(2)n=kの時、n5-nは30の倍数であることを仮定すると、k5-k=30m(mは0以上の整数)と表せる。
ここでn=k+1の時を考えると、
\begin{eqnarray}
&&(k+1)^5ー(k+1)\\
&=& k^5+5k^4+10k^3+10k^2+5k+1-k-1\\
&=&(k^5-k)+(5k^4+10k^3+10k^2+5k)\\
&=&30m+5k(k^3+2k^2+2k+1)\\
&=&30m+5k(k+1)(k^2+k+1)\\
&=&30m+5k(k+1)\{(k^2+2k)-(k-1)\}\\
&=&30m+5\{k^2(k+1)(k+2)-(k-1)k(k+1)\}\\
\end{eqnarray}
ここで k, k+1, k+2 および (k-1), k, k+1 はいずれも連続する3つの整数なので、その積は6の倍数です(k=1のとき k-1=0 となりますが、0も6の倍数なので問題ありません)。したがって、
\begin{eqnarray}
&&30m+5\{k^2(k+1)(k+2)-(k-1)k(k+1)\}\\
\end{eqnarray}
は30の倍数と言える。
よって、n=k+1の時も成立する。
(1)(2)より全ての自然数で成り立つことが証明された。
(1)n=1のとき
\begin{eqnarray}
n^5-n=1^5-1=0
\end{eqnarray}
より0は30の倍数であるから成立する。
(2)n=kの時、n5-nは30の倍数であることを仮定すると、k5-k=30m(mは0以上の整数)と表せる。
ここでn=k+1の時を考えると、
\begin{eqnarray}
&&(k+1)^5ー(k+1)\\
&=& k^5+5k^4+10k^3+10k^2+5k+1\\
&&-k-1\\
&=&(k^5-k)+(5k^4+10k^3+10k^2+5k)\\
&=&30m+5k(k^3+2k^2+2k+1)\\
&=&30m+5k(k+1)(k^2+k+1)\\
&=&30m+5k(k+1)\{(k^2+2k)\\
&&-(k-1)\}\\
&=&30m+5\{k^2(k+1)(k+2)\\
&&-(k-1)k(k+1)\}\\
\end{eqnarray}
ここで k, k+1, k+2 および (k-1), k, k+1 はいずれも連続する3つの整数なので、その積は6の倍数です(k=1のとき k-1=0 となりますが、0も6の倍数なので問題ありません)。したがって、
\begin{eqnarray}
&&30m+5\{k^2(k+1)(k+2)\\
&&-(k-1)k(k+1)\}\\
\end{eqnarray}
は30の倍数と言える。
よって、n=k+1の時も成立する。
(1)(2)より全ての自然数で成り立つことが証明された。
帰納法の途中「k(k+1)(k^2+k+1) が6の倍数」の別ルート
上の答案では、途中で出る k(k+1)(k2+k+1) を k2(k+1)(k+2)−(k−1)k(k+1) に変形しました。この変形が思いつかなくても、余りで分ければ書けます。
k(k+1) は連続する2整数の積なので2の倍数です。3の倍数は、k を3で割った余りで分けます。
| k を3で割った余り | 3の倍数になる因数 | 確認(m は整数) |
|---|---|---|
| 0 | k | k=3m |
| 1 | k2+k+1 | 1+1+1=3 なので余り0 |
| 2 | k+1 | k+1=(3m+2)+1=3(m+1) |
どの場合も k(k+1)(k2+k+1) は2の倍数かつ3の倍数、つまり6の倍数です。よって 5k(k+1)(k2+k+1) は30の倍数になり、30m と足しても30の倍数のままです。
3つの解法の比較|答案にはどれを書くか
3つの解法は、使う単元と記述量が違います。定期テストなら習った単元の解法、入試の記述なら解法1か解法2が基本です。
| 解法 | 使う単元・記述量 | つまずきやすい所 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 解法1 場合分け | 数学A(整数の約数・倍数)。長め(余り5通り) | (5k+2)2+1 の展開ミス | 高1・確実に書き切りたい人 |
| 解法2 式変形 | 数学A。短い | (n+2)(n−2)+5 の発想 | 変形を覚えた人。最短で終わる |
| 解法3 数学的帰納法 | 数学B(数列)+二項定理(数学II)。長い・計算が重い | (k+1)5 の展開と6の倍数の処理 | 帰納法の練習として。数Bの定期テスト向け |
| 合同式(解法1の別表現) | 数学A(指導要領解説に記載なし)。最短(余りの表) | 記号の断りを忘れる | 余りの計算に慣れた人 |
単元の対応は、文部科学省の学習指導要領解説で確認しました。整数の約数や倍数は数学A「数学と人間の活動」の内容です。二項定理は数学II「いろいろな式」、数学的帰納法は数学B「数列」で扱います。

定期テストなら習った単元の解法で書くのが安全です。入試の記述では解法1か解法2。帰納法で書くと (k+1)5 の展開で計算量が増えて時間を失うので、私は勧めていません。
数学A・数学Bの単元の対応は、階乗の記事でも整理しています。

なぜ30なのか|n^3-nは6、n^5-nは30、n^7-nは42になる規則
n5−n を「いつでも割り切る最大の数」が30です。指数を変えると、この数も変わります。n=1〜59 を代入した nk−n の値59個すべての最大公約数、つまり「いつでも割り切る最大の数」を計算した結果が下の表です。
| 式 | いつでも割り切れる最大の数 | 素因数 | 理由(連続整数の積で言えるもの) |
|---|---|---|---|
| n2−n | 2 | 2 | n(n−1) は連続2整数の積 |
| n3−n | 6 | 2×3 | (n−1)n(n+1) は連続3整数の積 |
| n5−n | 30 | 2×3×5 | 連続3整数の積+n2+1 の場合分け(この記事) |
| n7−n | 42 | 2×3×7 | (n−1)n(n+1)(n2+n+1)(n2−n+1)。7の倍数は余りで場合分け |
| n9−n | 30 | 2×3×5 | 7は入らない(n=2 で 510=2×3×5×17) |
| n13−n | 2730 | 2×3×5×7×13 | 大学の整数論で有名 |
※最大公約数は筆者が計算して検算した値。
素数 p について、np−n は p の倍数になります(フェルマーの小定理)。n5−n が5の倍数なのは、この p=5 の場合です。一般に nk−n をいつでも割り切る素数 p は、「p−1 が k−1 を割り切る」もの。k=5 なら k−1=4 の約数は 1, 2, 4。それぞれに1を足した 2, 3, 5 は全部素数なので、2×3×5=30 です。k=7 なら 6 の約数 1, 2, 3, 6 に1を足して 2, 3, 4, 7。素数でない4を除いて 2×3×7=42。k=9 なら 8 の約数 1, 2, 4, 8 から 2, 3, 5, 9。9を除いて30なので、7は入りません。k=13 なら 12 の約数から 2, 3, 4, 5, 7, 13。4を除いて 2×3×5×7×13=2730 です。
フェルマーの小定理は高校の範囲外です(学習指導要領解説に記載がありません)。答案では使わず、検算と「なぜ30か」の理解に使ってください。
n^5 と n は一の位が同じ
n5−n は30の倍数なので、10の倍数でもあります。つまり n を5乗しても、一の位は変わりません。中学生でも確かめられる「30の倍数」の実感です。
| n | n5 | 一の位 |
|---|---|---|
| 2 | 32 | 2 |
| 3 | 243 | 3 |
| 7 | 16,807 | 7 |
| 8 | 32,768 | 8 |
| 12 | 248,832 | 2 |
30の倍数の見分け方と、検算に使う n=1〜10 の表
30の倍数は「2の倍数かつ3の倍数かつ5の倍数」です。見分け方は2段階で済みます。一の位が0(=10の倍数)で、各位の和が3の倍数なら30の倍数です。
| 数 | 一の位が0か | 各位の和 | 30の倍数か |
|---|---|---|---|
| 210 | ○ | 3 | ○(30×7) |
| 1,020 | ○ | 3 | ○(30×34) |
| 3,120 | ○ | 6 | ○(30×104) |
| 100 | ○ | 1 | ×(3の倍数でない) |
| 75 | ×(一の位が5) | 判定不要 | ×(10の倍数でない) |
正の30の倍数を小さい順に並べると、30, 60, 90, 120, 150, 180, 210, 240, 270, 300 と続きます。n5−n に n=2 を入れた30が、正の30の倍数の最初の数です。
証明を書く前に、小さい n で実際に30で割れるか確かめておくと安心です。n=1〜10 の値を表にしました。
| n | n5−n | 30で割った商 |
|---|---|---|
| 1 | 0 | 0(0=30×0 も30の倍数) |
| 2 | 30 | 1 |
| 3 | 240 | 8 |
| 4 | 1,020 | 34 |
| 5 | 3,120 | 104 |
| 6 | 7,770 | 259 |
| 7 | 16,800 | 560 |
| 8 | 32,760 | 1,092 |
| 9 | 59,040 | 1,968 |
| 10 | 99,990 | 3,333 |

証明を書く前に n=2, 3, 4 くらいを代入して30で割れることを確かめる生徒は、式変形のミスにも早く気づきます。代入は証明にはなりませんが、検算には有効です。
(5k+2)2 の展開ミスなど、計算ミスの型を絞る方法は受験数学の計算ミスを減らす方法で書いています。
同じ考え方で解ける類題3つ(n^3-n・n^2が5の倍数・n^7-n)
類題1:n^3-n は6の倍数
n3−n=n(n2−1)=(n−1)n(n+1) で、連続する3整数の積です。だから6の倍数になります。入試では「(1) n3−n は6の倍数」「(2) n5−n は30の倍数」と小問が続く形をよく見ます。(1) の結果を (2) の6の倍数の部分で使う流れです。
類題2:n^2 が5の倍数ならば n は5の倍数
対偶「n が5の倍数でないならば、n2 は5の倍数でない」を示します。n が5の倍数でないとき、n=5k±1 または n=5k±2(k は整数)と書けます。
\begin{eqnarray}
(5k\pm1)^2&=&25k^2\pm10k+1\\
&=&5(5k^2\pm2k)+1\\
(5k\pm2)^2&=&25k^2\pm20k+4\\
&=&5(5k^2\pm4k)+4
\end{eqnarray}
どちらも5で割ると1または4が余るので、n2 は5の倍数ではありません。対偶が示せたので、元の命題も成り立ちます。この結果は「√5 が無理数である」ことの証明でも使います。
類題3(発展):n^7-n は42の倍数
42=2×3×7 なので、6の倍数と7の倍数に分けます。因数分解は次の形です。
\begin{eqnarray}
n^7-n&=&n(n^6-1)\\
&=&n(n^3-1)(n^3+1)\\
&=&(n-1)n(n+1)\\
&&\times(n^2+n+1)(n^2-n+1)
\end{eqnarray}
(n−1)n(n+1) で6の倍数は済みます。7の倍数は、n を7で割った余りで分けます。
| n を7で割った余り | 7の倍数になる因数 | 確認(余りを代入) |
|---|---|---|
| 0 | n | — |
| 1 | n−1 | — |
| 6 | n+1 | — |
| 2 | n2+n+1 | 4+2+1=7 |
| 5 | n2−n+1 | 25−5+1=21 |
| 3 | n2−n+1 | 9−3+1=7 |
| 4 | n2+n+1 | 16+4+1=21 |
余りが7通りあっても、因数が5つあるので表1枚で終わります。6と7は互いに素なので、n7−n は42の倍数です。
整数の性質のほか、条件を忘れやすい公式・定理は総復習の記事で確認できます。

n^5-n の証明でよくある質問
- n5−n はなぜ30の倍数になるのですか?
-
n5−n=(n−1)n(n+1)(n2+1) と因数分解します。(n−1)n(n+1) は連続3整数の積で6の倍数です。n を5で割った余りで分けると、n、n−1、n+1、n2+1 のどれかが5の倍数になります。6と5は互いに素なので30の倍数です。
- 「連続する3つの整数の積は6の倍数」は証明なしで答案に書いていいですか?
-
塾で答案を見てきた私の見解では、理由を1行添えれば足ります。「連続する3つの整数の積なので6の倍数」と書きます。数学Aの「整数の約数や倍数」で扱う範囲の性質です。心配なら「3つのうちに2の倍数と3の倍数が必ず含まれるから」を括弧で足してください。
- n=1 のとき n5−n=0 ですが、0は30の倍数ですか?
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高校の整数では、0=30×0 なので0も30の倍数に含めます。小学校の算数で「倍数は1倍、2倍、3倍…」と習った感覚のまま「0は倍数ではない」と書く生徒が塾でも多いですが、この答案は誤りです。帰納法の出発点(n=1)は 0=30×0 で成立します。
- 6の倍数かつ5の倍数なら、なぜ30の倍数と言えるのですか?
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6と5が互いに素(共通の素因数が無い)だからです。互いに素でないと言えません。4の倍数かつ6の倍数は12の倍数ですが、24の倍数とは限りません(12がその例)。答案では「6と5は互いに素なので」を必ず書きます。
- 数学Bを習っていなくても解けますか?
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解けます。解法1(余りの場合分け)と解法2(式変形)は数学Aの整数の範囲です。数学的帰納法は数学B「数列」で習います。(k+1)5 の展開に使う二項定理は数学IIです(文部科学省の学習指導要領解説で確認)。高1なら解法1で書いてください。
今回の記事は以上になります。
この記事で確認した資料
次の3点は、文部科学省の高等学校学習指導要領解説 数学編で確認しました(2026年9月16日確認)。数学的帰納法が数学B「数列」の内容であること。整数の約数や倍数が数学A「数学と人間の活動」で、二項定理が数学II「いろいろな式」で扱われること。「自然数 n について n5−n は5の倍数である」が、帰納法と他の証明方法を比較する例として挙げられていること(p.104)。表の数値(n5−n の値、nk−n がいつでも割り切れる最大の数、一の位)は筆者が計算して検算したものです。解法の選び方・答案の書き方は塾での指導に基づく筆者の見解です。
文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編」(PDF)
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