因数分解の公式は、展開の公式を右から左に読んだものです。文部科学省の中学校学習指導要領解説も、「因数分解の公式は、一次式の乗法や式の展開の公式の逆であることを理解」すると書いています。
この記事では、因数分解の公式を中3・数学I・数学IIのどこで習うかで分けて一覧にします。区分は、文科省の学習指導要領解説(数学編)に書かれている公式の範囲に合わせました。
後半には、項の数で公式を選ぶやり方と、答えつきの練習問題20問を載せています。
結論:因数分解の公式は中3で4個、数学Iで1個、数学IIで4個
中3:x2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)/a2+2ab+b2=(a+b)2/a2−2ab+b2=(a−b)2/a2−b2=(a+b)(a−b)
数学I:acx2+(ad+bc)x+bd=(ax+b)(cx+d)(たすき掛け)
数学II:3乗の和と差、3乗の展開の逆の4個

公式を9個まとめて暗記するより、「展開の公式を逆に読む」と覚えるほうが忘れません。展開ができる人は、因数分解の答えを展開して確かめられます。
因数分解の公式一覧【中3・数学I・数学II】

中3で習う因数分解の公式(4個)
中学校の指導要領解説は、第3学年で扱う展開の公式として次の4つを挙げています。因数分解の公式は、これを逆にした形です。
| 名前 | 因数分解の公式 | 見分け方 |
|---|---|---|
| 和と積の公式 | x2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b) | 足してxの係数、かけて定数項になる2数 |
| 和の平方 | a2+2ab+b2=(a+b)2 | 両端が2乗で、真ん中が2×a×b |
| 差の平方 | a2−2ab+b2=(a−b)2 | 和の平方の真ん中がマイナス |
| 和と差の公式 | a2−b2=(a+b)(a−b) | 2乗−2乗の2項だけ |
解説は、この公式のよさを数の計算で実感させる例として、1012=(100+1)2=10201、132−122=(13+12)(13−12)=25を挙げています。
132−122は、和と差の公式を使うと25×1で終わります。
因数分解の公式は,一次式の乗法や式の展開の公式の逆であることを理解し,その方法を見いだすことができるようにする。
文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」第3学年 A 数と式
数学Iで習う因数分解の公式(たすき掛け)
高校の数学Iでは、「二次の乗法公式及び因数分解の公式の理解を深めること」が内容になっています。解説は、中学校で扱った公式に加えて、次の形の展開と因数分解を数学Iで扱ったと書いています。
| 名前 | 因数分解の公式 | 見分け方 |
|---|---|---|
| たすき掛け | acx2+(ad+bc)x+bd=(ax+b)(cx+d) | x2の係数が1でない3項式 |
数学Iでは、公式を増やすより「式を目的に応じて変形する」ことが重視されます。一つの文字に着目して整理する、同じかたまりを一つの文字に置き換えるという2つの方法は、解説にも例として書かれています。

数学IIで習う因数分解の公式(3乗の4個)
数学IIの「いろいろな式」では、「三次の乗法公式及び因数分解の公式」を扱います。因数分解の向きに並べると、次の4つです。
| 名前 | 因数分解の公式 | 見分け方 |
|---|---|---|
| 3乗の和 | a3+b3=(a+b)(a2−ab+b2) | 3乗+3乗の2項 |
| 3乗の差 | a3−b3=(a−b)(a2+ab+b2) | 3乗−3乗の2項 |
| 和の3乗 | a3+3a2b+3ab2+b3=(a+b)3 | 係数が1・3・3・1の4項 |
| 差の3乗 | a3−3a2b+3ab2−b3=(a−b)3 | 符号が+−+−の4項 |
3乗の和と差は、2つ目のかっこの符号で間違えます。1つ目のかっこと同じ符号が真ん中に来ない(a3+b3なら真ん中は−ab)と覚えてください。

因数分解のやり方:項の数で公式を選ぶ4ステップ
問題を見て、どの公式を使うか迷う人は、次の順番で見てください。最初に共通因数、次に項の数です。
| ステップ | やること | 例 |
|---|---|---|
| 1 共通因数 | 全部の項に共通する数・文字をくくり出す | 2x2−8→2(x2−4) |
| 2 項の数を数える | 2項なら和と差(3乗の和・差)、3項なら和と積か平方、4項なら組み合わせ | x2−4は2項→和と差 |
| 3 公式で分解 | 見分け方の表に当てはめる | 2(x+2)(x−2) |
| 4 展開して確かめる | 答えを展開して元の式に戻るか見る | 2(x2−4)=2x2−8 |
3項式で、x2の係数が1でなければ、たすき掛けを使います。同じかたまり(例えばx+y)が2回出てくる式は、そのかたまりを1つの文字に置き換えると、中3の公式に戻せます。
- 最初に共通因数をくくり出す
- 項の数で公式を選ぶ(2項・3項・4項)
- たすき掛けはx²の係数が1でない3項式
- 最後に展開して答えを確かめる
塾で多い因数分解の3つの間違い

中3と高1の授業で、因数分解の答案を見ていて多い間違いは3つです。どれも、公式を知っていても起きます。
| 間違い | 例 | 直し方 |
|---|---|---|
| 共通因数を先にくくらない | 3x2+6x−24をそのまま探す | 先に3でくくるとx2+2x−8になる |
| 途中でやめる | x4−1=(x2+1)(x2−1)で終わる | x2−1はまだ分解できる |
| 和と積の符号 | 積が負なのに2数を同じ符号で探す | 積が負なら、2数は符号が逆 |

「これ以上分解できないか」を最後に1回見るだけで、途中でやめるミスはほぼ消えます。答えの中に2乗−2乗が残っていないかを見てください。
- 共通因数を先にくくらず探してしまう
- 分解の途中でやめてしまう
- 積が負なのに2数を同じ符号で探す
- 最後にこれ以上分解できないか確認する
因数分解の練習問題20問(答えつき)
中3の公式→共通因数→たすき掛け→置き換え→3乗の順に並べました。答えは、元の式と数値を代入して一致することを確かめてあります。まず答えの列を手で隠して解いてください。
| 番号 | 問題 | 答え | 使う公式 |
|---|---|---|---|
| 1 | x2+5x+6 | (x+2)(x+3) | 和と積 |
| 2 | x2−x−12 | (x+3)(x−4) | 和と積 |
| 3 | x2−8x+15 | (x−3)(x−5) | 和と積 |
| 4 | x2+6x+9 | (x+3)2 | 平方 |
| 5 | x2−10x+25 | (x−5)2 | 平方 |
| 6 | 4x2+12x+9 | (2x+3)2 | 平方 |
| 7 | x2−49 | (x+7)(x−7) | 和と差 |
| 8 | 9x2−4y2 | (3x+2y)(3x−2y) | 和と差 |
| 9 | 2x2−8 | 2(x+2)(x−2) | 共通因数→和と差 |
| 10 | 3x2+6x−24 | 3(x+4)(x−2) | 共通因数→和と積 |
| 11 | ax2−ay2 | a(x+y)(x−y) | 共通因数→和と差 |
| 12 | x4−1 | (x2+1)(x+1)(x−1) | 和と差を2回 |
| 13 | 2x2+7x+3 | (2x+1)(x+3) | たすき掛け |
| 14 | 3x2−5x−2 | (3x+1)(x−2) | たすき掛け |
| 15 | 6x2+x−2 | (2x−1)(3x+2) | たすき掛け |
| 16 | (x+y)2−5(x+y)+6 | (x+y−2)(x+y−3) | 置き換え |
| 17 | xy+x+y+1 | (x+1)(y+1) | 組み合わせ |
| 18 | x3+8 | (x+2)(x2−2x+4) | 3乗の和 |
| 19 | x3−27 | (x−3)(x2+3x+9) | 3乗の差 |
| 20 | x3+6x2+12x+8 | (x+2)3 | 3乗の展開の逆 |
1〜12が中3と高1の定期テストの範囲、13〜17が数学I、18〜20が数学IIの範囲です。12番のx4−1は、和と差の公式を2回使う問題です。1回で止めた人は、上の「途中でやめる」に当てはまります。


共通テストで因数分解は何割が解けたか|令和7年度 数学Ⅰ,数学A 第1問〔1〕の得点率で確かめた
この記事の公式が大学入試でどう出るかを、大学入試センターの公表データで確かめました。
令和7年度(2025年1月)の共通テスト本試験「数学Ⅰ,数学A」第1問〔1〕は、大学入試センターの自己評価(問題評価・分析委員会報告書)が「因数分解によって方程式を解く場面」と書いている問題です。
a、b を含む x の2次方程式 (2a+4b−2)x2+(5a+11)x−b−8=0 を、a や b の値を決めながら因数分解して解きます。解答番号ごとの得点率は次のとおりです。
| 小問 | やること(この記事の公式) | 配点 | 数学Ⅰ,数学A 得点率 | 数学Ⅰ 得点率 |
|---|---|---|---|---|
| (1) ア・イ | a=1 のとき、b について整理した (4x2−1)b+16x−8 を因数分解(和と差の公式+共通因数) | 2点 | 91.1% | 70.3% |
| (2)(i) ウ〜カ | b=2 のとき、(2a+6)x2+(5a+11)x−10 を因数分解(たすき掛け) | 3点 | 79.1% | 45.0% |
| (2)(ii) キ・ク | a=2√2 のときの解を求める(分母の有理化) | 2点 | 60.3% | 23.6% |
| (2)(iii) ケ | 解が1つだけになるための条件(必要条件・十分条件) | 3点 | 55.6% | 45.0% |
※受験者数は「数学Ⅰ,数学A」308,344人、「数学Ⅰ」3,090人。数学Ⅰの第1問〔1〕は数学Ⅰ,数学Aと同じ問題です(自己評価)。得点率は設問別得点率表の値です。

計算
- 因数分解の2問(ア〜カ):配点 2 + 3 = 5点。平均点 1.822 + 2.373 = 4.195点。4.195 ÷ 5 = 83.9%
- その後の2問(キ〜ケ):配点 2 + 3 = 5点。平均点 1.206 + 1.669 = 2.875点。2.875 ÷ 5 = 57.5%
- 因数分解とその後の差:83.9 − 57.5 = 26.4ポイント
- 数学Ⅰ:因数分解 1.405 + 1.35 = 2.755点(2.755 ÷ 5 = 55.1%)、その後 0.472 + 1.35 = 1.822点(1.822 ÷ 5 = 36.4%)
- 答えの検算:(2x−1)(2bx+b+8) を展開すると 4bx2+16x−b−8。(2x+5){(a+3)x−2} を展開すると (2a+6)x2+(5a+11)x−10
- (ii)のもう1つの解:2 ÷ (2√2+3) = 2(3−2√2) ÷ (9−8) = 6−4√2
因数分解そのもの(ア〜カ)は、数学Ⅰ,数学Aの受験者の平均で83.9%取れています。ところが、分解した式から解を出し、条件を考える後半は57.5%に下がりました。
公式を当てはめるところより、分解した後で点が落ちています。
(1)は、この記事で紹介した「一つの文字に着目して整理する」方法そのものです。
x について2次、b について1次なので、b で整理すると (4x2−1)b+8(2x−1) になります。
4x2−1=(2x+1)(2x−1) は中3の和と差の公式で、あとは共通因数 2x−1 をくくるだけです。
(2)(i)は、x2の係数が 2a+6 と文字を含むときのたすき掛けです。
数学Ⅰだけを受けた人では、たすき掛けの(2)(i)が45.0%、有理化の(2)(ii)が23.6%でした。ただし、2つの科目は受験者の層が違うので、得点率の差をそのまま難しさの差とは読めません。
指導要領解説で「9個」の区分を照合した(数学Ⅱの式の印刷に注意)
この記事の結論「中3で4個、数学Iで1個、数学IIで4個」は、解説の本文と一致しました。中学校の解説(138ページ)は、展開の公式として4つを挙げています。
高校の解説(数学Ⅰ、36〜37ページ)は、中学校の公式を除くと新しい公式は (ax+b)(cx+d)=acx2+(ad+bc)x+bd の「のみ」としています。
数学Ⅱ(55ページ)は3乗の公式を4つ挙げています。
ただし、文部科学省が公開している高校の解説PDFの55ページでは、差の3乗が「(a−b)3=a3+3a2b+3ab2−b3」と印刷されています。
a=2、b=1 を代入すると、左辺は (2−1)3 = 1 です。印刷の右辺は 8 + 12 + 6 − 1 = 25 で、合いません。
正しくは a3−3a2b+3ab2−b3 で、8 − 12 + 6 − 1 = 1 となり左辺と一致します。この記事の表は正しい形で載せています。
解説の掲載ページに正誤表は載っていません(公式に記載なし)。解説で公式を確かめるときは、数を代入して符号を検算してください。
- 因数分解はできるが、そこから解を出す問題で止まる人。令和7年度は因数分解の2問が83.9%、その後の2問が57.5%だった(計算)。
- 「AB=0ならばA=0またはB=0」と分母の有理化までを1セットで練習する
- x2の係数に文字が入ると手が止まる人。(2a+6)x2+(5a+11)x−10 のたすき掛けは、数学Ⅰの受験者で45.0%だった。
- 上の練習問題13〜15を、係数を文字に変えて解き直す
- 文字が2つある式を、x だけで整理しようとする人。(1)は1次の文字 b で整理すると、中3の和と差の公式で終わる。どの文字で整理するかを先に決める
なお、大学入試センターの設問別の表には得点率と正答率だけが載っていて、どんな誤答が多かったかの内訳は公表されていません(公式に記載なし)。
また、令和8年度の本試験の第1問〔1〕は集合の問題でした。年度によって因数分解の出方は変わるので、複数年の過去問で確かめてください。
出典:大学入試センター「設問別得点率及び正答率表(令和7年度本試験)」(CSV)/「令和7年度本試験 問題 数学Ⅰ,数学A」(PDF)/「令和7年度本試験の正解 数学Ⅰ,数学A」(PDF)/「令和7年度 問題評価・分析委員会報告書 数学Ⅰ,数学A/数学Ⅰ(自己評価)」(PDF)/「設問別得点率及び正答率表(令和8年度本試験)」(CSV)/文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」(PDF・138ページ)/「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編」(PDF・36〜37ページ、55ページ)/「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説」掲載ページ(2026年10月14日確認)
因数分解でつまずいたら
因数分解で手が止まるときは、たいてい1つ前の「展開」が速くできていません。展開の公式を逆に読むのが因数分解なので、展開を10問続けて間違えずに解けるかを先に確かめてください。
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- 因数分解が苦手なら展開ができているか確認
- 展開を10問続けて解けるか先に確かめる
よくある質問
- 因数分解の公式はいくつありますか?
-
文部科学省の学習指導要領解説の区分では、中3で4個、数学Iでたすき掛けの1個、数学IIで3乗の4個の、合わせて9個です。
- 因数分解は何年生で習いますか?
-
中学3年生です。中学校学習指導要領解説では、第3学年の「数と式」で、公式を用いる簡単な式の展開と因数分解を扱うとしています。3乗の公式は高校の数学IIです。
- 因数分解の公式はどうやって覚えますか?
-
展開の公式を逆に読むと覚えます。解説も「因数分解の公式は、一次式の乗法や式の展開の公式の逆」としています。答えを展開すれば元の式に戻るので、確かめにも使えます。
- どの公式を使うか分かりません。
-
まず共通因数をくくり、次に項の数を数えます。2項なら和と差、3項なら和と積か平方、x2の係数が1でなければたすき掛け、4項なら組み合わせです。
- たすき掛けは中学で習いますか?
-
習いません。中学校の解説が扱う展開の公式は4つで、たすき掛けの形は高校の数学Iで扱います。
- a2+b2は因数分解できますか?
-
実数の範囲の因数分解では、これ以上分解できません。和と差の公式が使えるのは、a2−b2のように引き算の形のときだけです。
- 因数分解は何に使いますか?
-
中3では二次方程式を解くときに使います。解説も、因数分解して一次式の積に変形し、「AB=0ならばA=0またはB=0」を使って解く流れを示しています。
自分で解いた因数分解の答え合わせは、途中式つきの自動計算ツールでできます。


続けて読む:整数の倍数の証明問題と答案の書き方
この記事の更新・訂正
- 森塾の紹介文で成績保証を「1科目+20点の成績保証」「成績保証つき」とだけ書いていたため、英語でも保証されると読める状態でした。公式の条件(英語は対象外、60点以上で入塾した場合は80点以上の保証、講習への毎回の参加などの条件あり)を1文書き足し、森塾の料金の記事へのリンクを付けました
- 東進の「無料」の表記を削除(公式サイトに「無料」の記載を確認できなかったため)
全記事の履歴は「訂正・更新の履歴」、調べ方と書き方は「記事の作り方」にまとめています。
この記事で確認した資料
公式の区分と引用は、次の文部科学省の資料の本文で確認しました。2026年9月23日に開いています。
文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」(PDF):第3学年 A 数と式(式の展開と因数分解)
文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編」(PDF):数学I(1)数と式、数学II(1)いろいろな式


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