数学の証明は、中学2年生の図形の単元で本格的に始まります。「何を書けばいいか分からない」「答えは分かるのに書けない」という声が多い単元ですが、証明には決まった型があります。
この記事では、文部科学省の中学校学習指導要領解説 数学編に書かれている証明の考え方と、国立教育政策研究所の令和7年度 全国学力・学習状況調査の問題別調査結果の数字をもとに、証明の意味・書き方の手順・つまずきやすい所を整理します。
証明とは、「仮定」から、いつでも正しいと認められている事柄(根拠)を使って「結論」を導くことです。書くときは①仮定と結論を分ける ②図に印をつける ③結論から逆向きに方針を立てる ④根拠を添えて1行ずつ並べる、の4つの手順で進めます。中学校では2年生の「図形の合同」で習います。
数学の証明とは:「仮定」から「結論」を根拠で結ぶこと
学習指導要領解説は、証明を次のように説明しています。命題(正しいかどうかを判断できる文)は「仮定」と「結論」からできていて、推論を始める前にその2つをはっきりさせます。
常に成り立つことが認められている事柄を証明の根拠にして,「仮定」から「結論」を導くこと,それが証明である。
文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』第2学年 B(2)図形の合同
たとえば「三角形の内角の和は180°である」は、いくつかの三角形の角を分度器で測っても、全部の三角形で成り立つかは確かめようがありません。
解説は、平行線や角の性質を前提にして導くこと(演繹)が必要だと書いています。
いくつか調べて「たぶん正しい」と分かること(帰納)と、どんな場合でも正しいと言い切れること(証明)は別もの、というのが証明を学ぶ出発点です。
| 言葉 | 意味 | 例(二等辺三角形) |
|---|---|---|
| 仮定 | 「ならば」の前。はじめに分かっていること | AB=AC |
| 結論 | 「ならば」の後。示したいこと | ∠B=∠C |
| 根拠 | 証明に使ってよい正しい事柄 | 合同条件・対頂角の性質など |
- 仮定=はじめに分かっていること
- 結論=示したいこと
- 根拠=使ってよい性質
- 3つを文でつなぐのが証明
証明はいつ習う?中1〜中3の流れ

学習指導要領では、証明に関係する内容は次の順で出てきます。本格的に「証明を書く」のは中学2年生です。
| 学年 | 主な内容 | 証明との関係 |
|---|---|---|
| 中学1年生 | 作図・図形の移動・空間図形 | 証明を書く前の、図形の見方の基礎 |
| 中学2年生 | 平行線や角の性質・三角形の合同条件 | 証明の意味と方法、逆・反例 |
| 中学3年生 | 相似条件・円周角と中心角・三平方の定理 | 相似や円の性質を使った証明 |
中学2年生で新しく出てくる用語は「定義」「証明」「逆」「反例」と記号「≡」(合同)です。
数と式の分野でも、中学2年生で「文字を用いた式で捉え説明すること」を学ぶので、図形だけでなく「連続する整数の和」のような説明(式の証明)も同じ学年で出てきます。
- 中2:対頂角・平行線の性質
- 中2:三角形の合同条件
- 中3:三角形の相似条件
- 中3:円周角と中心角の関係
証明の書き方:4つの手順と例題
学習指導要領解説には「証明をする際には,証明の方針を立てることが大切である」とあり、方針の立て方として「結論を導くために必要な事柄を結論から逆向きに考えたり,仮定や仮定から導かれる事柄を明らかにしたりする」と書かれています。
これを手順にすると、次の4つです。
| 手順 | やること |
|---|---|
| ①仮定と結論を分ける | 問題文の「〜のとき」「〜ならば」の前後に線を引く |
| ②図に印をつける | 等しい辺に同じ印、等しい角に同じ印を書き込む |
| ③方針を立てる | 結論を言うには、どの三角形が合同ならよいかを逆向きに考える |
| ④根拠を添えて並べる | 1行ごとに「仮定より」「対頂角は等しいから」と理由を書く |
例題:線分ABとCDが点Oで交わり、AO=BO、CO=DOのとき、AC=BDを証明しなさい
AO=BO(/)、CO=DO(\\)。△AOC(青の点線)と△BOD(赤の点線)
①仮定は「AO=BO、CO=DO」、結論は「AC=BD」です。②図の等しい辺に印をつけます。
③AC=BDを言うには、ACとBDを辺にもつ△AOCと△BODが合同だと言えればよい、と逆向きに考えます。④あとは合同条件に当てはまる3つを、理由つきで並べます。
△AOCと△BODにおいて
仮定より AO=BO …①
仮定より CO=DO …②
対頂角は等しいから ∠AOC=∠BOD …③
①、②、③より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいので
△AOC≡△BOD
合同な図形の対応する辺は等しいので AC=BD
最初の1行で「どの三角形とどの三角形について述べるか」を宣言し、最後の2行で「合同→対応する辺(角)が等しい」と結論につなげるのが型です。
「したがって」「よって」などの言葉を使って、根拠と結論の関係が読み手に分かるように書きます。
- 「△○と△○において」の1行目
- 各行の理由(仮定より 等)
- 合同条件の名前
- 最後の「対応する辺は等しい」
三角形の合同条件3つと、どれを使うかの見分け方
中学2年生の証明で一番使う根拠が、三角形の合同条件です。問題文と図から「等しいと分かっている部分」を数えて、どれに当てはまるかを選びます。
| 合同条件 | 使う場面の目安 |
|---|---|
| 3組の辺がそれぞれ等しい | 辺の長さの仮定が3つそろうとき |
| 2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい | 辺2つ+対頂角・共通の角があるとき |
| 1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい | 平行線の錯角・同位角が2つ出るとき |
見分けるコツは、仮定から出る「等しい」と、図から出る「等しい」を分けて数えることです。
図から出るものは、対頂角、平行線の錯角・同位角、2つの三角形で共通の辺や角(共通だから等しい)の3種類でほぼ足ります。
例題では、仮定から辺が2つ、図から対頂角が1つ出たので「2組の辺とその間の角」を選びました。
- 対頂角は等しい
- 平行線の錯角・同位角
- 共通の辺・共通の角
- 二等辺三角形の底角
証明はどこでつまずく?全国学力調査の正答率
国立教育政策研究所の令和7年度 全国学力・学習状況調査(中学校3年生の数学、対象生徒数896,785人)では、平行四辺形の証明の問題が出ました。問題別の正答率は次のとおりです。
| 問題 | 正答率 | 無解答率 |
|---|---|---|
| 9(1) 証明を振り返り新たに分かることを選ぶ | 58.8% | 1.1% |
| 9(2) 条件を変えた場合の証明を完成する | 37.0% | 7.1% |
| 9(3) 構想に基づいて証明する | 33.8% | 31.2% |

数学全体の平均正答率は48.8%、図形の領域は47.0%でした。
証明を選ぶ問題は6割近く正解しているのに、自分で書く問題になると3割台に下がり、9(3)では約3人に1人が何も書かずに終わっています。
つまり、証明が苦手な人の多くは「考え方が分からない」より手前の、書き出しで止まっているということです。
書き出しで止まるなら、上の4手順の①と「△○と△○において」の1行目だけでも書く練習が効きます。1行目が書ければ、仮定から出る「等しい」を写すだけで2〜3行は埋まり、部分点の対象になる行が増えます。

白紙で出すのが一番もったいないです。仮定を写して「△○と△○において」まで書けば、そこから先の見通しも立ちやすくなります。
- 選ぶ問題は58.8%正解
- 書く問題は33.8%に下がる
- 書く問題の無解答率31.2%
- 書き出しの型で差がつく
高校入試の証明問題は何割が得点しているか|都立入試5年分(令和4〜8年度)の正答率
上の全国学力調査に続けて、入試本番の結果も見ます。東京都教育委員会は毎年、都立高校入試(共通問題)の小問ごとの正答率を「学力検査結果に関する調査報告書」で公表しています。
令和4〜8年度の5年分から、図形の証明(大問4〔問2〕①・7点)と、文字式を使った説明(大問2〔問2〕・7点)を抜き出しました。
どちらも、この記事の「仮定から根拠をつないで結論を導く」力を問う問題です。
| 年度 | 証明した内容 | 図形の証明 正答率 | 文字式の説明 正答率 | 文字式の説明 無答率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和4年度 | 三角形の合同 | 55.0% | 40.5% | 46.3% |
| 令和5年度 | 三角形の相似 | 61.4% | 21.9% | 55.3% |
| 令和6年度 | 三角形の相似 | 50.1% | 23.9% | 54.9% |
| 令和7年度 | 三角形の合同 | 65.8% | 20.4% | 53.2% |
| 令和8年度 | 三角形の相似 | 44.8% | 34.3% | 52.6% |
※正答率は部分正答を含む割合で、抽出調査の値です。対象は各年2月21日実施の第一次募集・分割前期募集で、全日制を志願し共通問題で受検した人。数学の受検者は令和4年度 33,918人、令和5年度 34,818人、令和6年度 34,465人、令和7年度 31,415人、令和8年度 30,901人です。

計算
- 図形の証明の5年平均:(55.0 + 61.4 + 50.1 + 65.8 + 44.8) ÷ 5 = 277.1 ÷ 5 = 55.42%
- 合同の年(令和4・7年度)の平均:(55.0 + 65.8) ÷ 2 = 60.4%。相似の年(令和5・6・8年度)の平均:(61.4 + 50.1 + 44.8) ÷ 3 = 156.3 ÷ 3 = 52.1%
- 令和7→8年度:65.8 − 44.8 = 21.0ポイント下がった
- 文字式の説明の5年平均:(40.5 + 21.9 + 23.9 + 20.4 + 34.3) ÷ 5 = 141.0 ÷ 5 = 28.2%
- 文字式の説明の無答率の5年平均:(46.3 + 55.3 + 54.9 + 53.2 + 52.6) ÷ 5 = 262.3 ÷ 5 = 約52.5%
- 令和8年度の差(図形の証明 − 文字式の説明):44.8 − 34.3 = 10.5ポイント
読み方は3つです。1つ目は、図形の証明は5年とも4〜6割台で、合同の年の平均60.4%に対し、相似の年は52.1%だったことです。5年のうち3回は相似の証明でした。
中2の合同条件だけでなく、中3の相似条件を根拠にする証明まで練習しておく必要があります。
2つ目は、文字式で説明する問題が、5年とも図形の証明より低いことです。5年平均は28.2%で、無答率は毎年5割前後でした。受検者の約半分が、何も書かずに終わっています。
3つ目は、東京都教育委員会のまとめです。令和7・8年度の報告書は、この2つの問題の正答率から「根拠に基づいた立式や説明をする力が十分ではない」と書いています。
この記事の全国学力調査の節では、証明を書く9(3)の無解答率が31.2%でした。ただし、全国の中学3年生と都立入試の受検者では、対象も問題も違います。
数字をそのまま比べることはできません。共通しているのは、自分で書く問題で白紙が多いという点です。
- 中2の合同の証明しか練習していない人。都立入試の図形の証明は5年のうち3回が相似で、相似の年の平均52.1%は合同の年(60.4%)より低い
- 文字式の説明を「図形ではないから後回し」にしている人。5年平均28.2%で、無答率は46.3%〜55.3%。
- 上の4手順の①(何を示すかを書く)と④(理由を添えて並べる)は、文字式の説明でも同じ
- 正答率が低いからと、証明を白紙で出す人。表の正答率には部分正答も含まれ、報告書は記述式の問題で部分点を与える配慮をしていると書いている。
- 「△○と△○において」と仮定の行だけでも書く
なお、図形の証明(大問4〔問2〕①)の無答率と、部分正答と完全正答の内訳は、報告書に載っていません(公表されていない)。
報告書の注には、記述式の問題は各学校で部分点を与える採点上の配慮をしている、とあります。上の正答率は「満点を取れた割合」ではありません。
また、自校作成問題で入試をする都立高校は、この表の対象外です。志望校が自校作成問題の場合は、その学校の過去問で証明の出方を確かめてください。
出典:東京都教育委員会「令和8年度東京都立高等学校入学者選抜学力検査結果に関する調査報告書」(PDF・4〜5ページ)/「令和7年度 同」(PDF)/「令和6年度 同」(PDF)/「令和5年度 同」(PDF)/「令和4年度 同」(PDF)(2026年10月14日確認)
逆と反例:「いつでも正しい」とは限らないことの示し方

中学2年生では、証明と一緒に「逆」と「反例」も習います。
学習指導要領解説は、命題には常に成り立つ場合と、常に成り立つとは限らない場合があり、常に成り立つことを示すには証明を、成り立たないことを示すには反例を1つ挙げればよい、という関係で説明しています。
| 用語 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 逆 | 仮定と結論を入れかえた命題 | 「合同ならば面積が等しい」の逆は「面積が等しいならば合同」 |
| 反例 | 命題が成り立たない例 | 底辺4・高さ3と底辺6・高さ2の三角形(面積は同じで合同でない) |
全国学力調査でも、「連続する二つの3の倍数の和は9の倍数になる」という予想が成り立たない例を挙げる問題が出て、正答率は63.4%でした。
3と6なら和は9で9の倍数ですが、6と9なら和は15で9の倍数ではありません。
この「6と9」が反例です。正しいことを言うには証明が必要でも、間違いを言うには反例1つで足りる、という違いを押さえておきましょう。
- 逆は仮定と結論の入れかえ
- 正しい命題の逆が正しいとは限らない
- 反例は1つ挙げれば足りる
- 証明は全部の場合で必要
証明が書けない人の練習法:写す→穴埋め→自力
学習指導要領解説には「必要以上に証明の書き方に拘ることをせず,第3学年までを見通し,次第に簡潔・明瞭なものとなるように,段階的に指導していく」とあります。
最初から完璧な答案を目指さず、次の3段階で進めるのが近道です。
| 段階 | やること | できたら次へ |
|---|---|---|
| 写す | 教科書の証明を1行ずつ写し、各行の理由に線を引く | 理由を隠して言える |
| 穴埋め | 理由や合同条件の部分だけ空けた答案を埋める | 5問続けて正解 |
| 自力 | 4手順で白紙から書き、教科書の答案と比べる | 1行目で迷わない |
教科書の練習問題は答えの形が決まっているので、書いた答案と見比べて「どの行が抜けたか」を確かめやすい教材です。
解説にも、推論の過程に誤りのある証明を読んで指摘し改めるなど、証明を評価・改善する活動が挙げられています。友達の答案や自分の古い答案を読み直すのも練習になります。


- 写す(理由に線)
- 穴埋め(理由だけ空ける)
- 自力(4手順で白紙から)
- 答案を読み直して直す
ひとりで進めるのが難しいとき:公式に料金を出している2社

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よくある質問
- 数学の証明とは何ですか?
-
仮定から、常に成り立つことが認められている事柄を根拠にして、結論を導くことです。学習指導要領解説では、命題は「仮定」と「結論」からなり、推論の前にその2つをはっきりさせると説明しています。
- 証明は何年生で習いますか?
-
中学2年生の「図形の合同」で、証明の意味と方法、定義・逆・反例を習います。中学3年生では、相似条件や円周角と中心角の関係などを根拠にした証明に広がります。
- 証明の書き方の手順は?
-
①仮定と結論を分ける ②図に等しい辺や角の印をつける ③結論から逆向きに、どの三角形が合同ならよいかを考える ④「△○と△○において」から書き始め、1行ごとに理由を添えて並べる、の4つです。
- 証明が全く分からないときはどうすればいいですか?
-
まず仮定を写し、「△○と△○において」の1行目を書くところから始めてください。令和7年度の全国学力調査では、証明を書く問題の無解答率が31.2%で、書き出しで止まる人が多いことが分かります。
- 反例とは何ですか?
-
命題が成り立たない例のことです。「連続する二つの3の倍数の和は9の倍数」という予想は、6と9の和が15になるので成り立ちません。この6と9が反例です。
続けて読む:倍数であることの証明の例題/三角形の角の関係式の証明(練習問題つき)
この記事の更新・訂正
- 森塾の紹介文で成績保証を「1科目+20点の成績保証」「成績保証つき」とだけ書いていたため、英語でも保証されると読める状態でした。公式の条件(英語は対象外、60点以上で入塾した場合は80点以上の保証、講習への毎回の参加などの条件あり)を1文書き足し、森塾の料金の記事へのリンクを付けました
全記事の履歴は「訂正・更新の履歴」、調べ方と書き方は「記事の作り方」にまとめています。
この記事で確認した資料
・文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』(第2学年 B(2)図形の合同:証明の必要性と意味及びその方法、証明の方針、反例、用語・記号)
・国立教育政策研究所「令和7年度 全国学力・学習状況調査 問題別調査結果(算数・数学)」(中学校数学 9(1)〜9(3)・6(1) の正答率と無解答率、平均正答率)
いずれも2026年9月30日に確認しました。



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