塾に入れたら成績が下がった|点数と順位を分けて原因を見つける手順

塾に入れたら成績が下がった|点数と順位を分けて原因を見つける手順

塾に通い始めてから成績が下がるのは、珍しいことではありません。原因は「周りが上げてきた」「塾と学校がズレている」「家庭学習が減った」の3つに分かれます。この記事では見分け方と、塾に何を確認すればいいかを整理します。

塾に入れて半年たちますが、成績が上がるどころか下がりました。お金を払っている意味があるのか分からなくなってきています。

まず確認してほしいのが、下がったのは「点数」か「順位」かです。ここを分けないと、塾のせいなのか、そうでないのかが判断できません。

点数と順位の組み合わせによる3つの切り分け。点数が同じで順位だけ下がったなら本人は伸びている、両方下がったなら本当に落ちている、順位が変わらないならテストが難しかっただけ。
図:点数と順位の組み合わせで、塾のせいかどうかが分かれる
この記事の目次

【結論】まず「点数」と「順位」を分ける

起きていること意味
点数は同じ/少し上がった。順位だけ下がった本人は伸びています。周りがそれ以上に伸びただけ。学年が上がるほど起きます
点数が下がった。順位も下がった本当に落ちています。次の3つの原因を切り分けてください
点数は下がったが、順位は変わらないテストが難しかっただけ。平均点を確認すれば分かります

意外に多いのが1行目です。中2から中3にかけては全員が本気になるので、同じ点数を取っていても順位は下がります。ここで塾を疑って辞めると、伸びていた芽を止めることになります。

順位低下の見分け方
  • 点数は同じ/上がったが順位だけ下がった→本人は伸びている
  • 点数も順位も下がった→本当に落ちている、原因を切り分ける
  • 点数は下がったが順位は変わらない→テストが難しかっただけ
  • 中2→中3は全員が本気になるため順位だけ下がりやすい

本当に下がっているときの3つの原因

1
塾に行った分、家で勉強しなくなった

いちばん多い原因です。週2回・1回90分なら塾にいるのは月に12時間。それに対して家庭学習は月に30〜40時間あります。塾に行ったことで「今日は勉強した」と本人が満足してしまうと、多いほうの時間が減ります。

塾にいる時間は週2回×90分で月12時間、家庭学習は平日1時間なら月30〜40時間。家庭学習のほうが3倍近く多い。
図:塾の12時間より、家庭学習の30〜40時間のほうが失う影響が大きい

確認は簡単で、塾に入る前と後で、家で机に向かう時間が減っていないかを思い出してください。減っているなら、原因は塾の質ではありません。

2
塾の内容と、学校のテスト範囲がズレている

進学塾は入試で点を取ることを目的に組まれています。一方、定期テストは学校の進度と先生の作り方に依存します。この2つは自動的には噛み合いません。

とくに塾のほうが進度が速い場合、テスト2週間前に学校の範囲を復習する時間が取れず、点が落ちます。テスト前に塾の課題が普段どおり出ているなら、この可能性が高いです。

3
授業についていけていない

集団塾でクラスが上がった直後や、学年が変わったタイミングで起きます。分からない時間が長くなると、塾にいる時間そのものが無駄になります。

見分け方は「今日は何をやった?」に答えられるかです。答えられないなら、座っているだけの状態が続いています。

成績低下の3つの原因
  • ①塾で満足し家庭学習(月30〜40時間)が減った
  • ②塾の内容と学校の定期テスト範囲がズレている
  • ③授業についていけていない(クラス変更時などに起きやすい)
  • 「今日は何をやった?」に答えられるかが見分け方

塾に確認すること

原因の見当がついたら、塾に確認します。「成績が下がりました」だけだと、塾側も答えようがありません。次の3つを聞いてください。

面談・電話で聞く3つ
  • ①塾での正答率は、入塾時から変わっていますか…塾内での伸びは、学校の順位より先に動きます
  • ②宿題は提出できていますか。中身はどうですか…写している場合、塾側は気づいていることが多いです
  • ③テスト2週間前は、学校の範囲に切り替えられますか…できないなら②のズレが毎回起きます

①を聞くと、その塾が生徒ごとの記録を持っているかどうかまで分かります。すぐに数字が出てくる塾は見ています。「だいたい上がってきています」で終わる塾は、見ていません。

逆に、家庭の側でも記録を残しておくと話が早く進みます。提出物のコメント欄は、その記録を塾に渡す場でもあります。何を書くと読んでもらえて、何を書くと流されるかはこちらに整理しました。

家で机に向かえないことが原因なら、場所を変えるほうが早いことがあります。自習室が使える塾なら、授業を増やさずに時間だけ増やせます。

家でやることは1つだけ

原因が①だった場合、やることは「塾がない日に何をやるか」を決めることだけです。時間を増やす必要はありません。

おすすめは塾の授業でやった問題を、その日のうちにもう一度解くことです。15分で終わります。これをやるかやらないかで、同じ授業を受けても定着がまったく変わります。

「塾に行っているから家では休んでいい」という状態のままだと、週2回の授業がそのまま流れていきます。ここを変えないかぎり、塾を変えても同じことが起きます。

国の調査でも、差がつくのは長さより「やらない日」の数です。全国学力・学習状況調査(令和7年度・中学3年生)は、塾や家庭教師の時間も含めて平日の勉強時間を聞いていて、「全くしない」は7.7%でした(回答結果集計表)。

数学の正答数で上位25%の子は「全くしない」が3.7%、下位25%の子は13.8%です(クロス集計表)。塾のない日を「ゼロの日」にしないことが、いちばん効きます。

なお下がったのが二学期なら、時期特有の要因が重なっています。内容が一段難しくなる時期と、行事で生活リズムが崩れる時期が同時に来るためです。

同じ試験でも平均点は1年で12点動く|都立入試5年分の教科別平均点で確かめた

結論の表の3行目「点数は下がったが、順位は変わらない=テストが難しかっただけ」が、どのくらい起きうるのかを確かめました。使ったのは、東京都教育委員会が毎年出している「都立高等学校入学者選抜 学力検査結果に関する調査報告書」です。毎年3万人以上が同じ形式で受ける試験でも、教科の平均点はこれだけ動きます。

スクロールできます
年度国語数学英語社会理科
令和4年度68.8点59.0点61.1点49.2点61.4点
令和5年度80.8点57.6点62.8点55.6点59.4点
令和6年度75.9点61.7点66.9点55.5点66.8点
令和7年度75.0点60.4点63.7点59.9点59.2点
令和8年度74.9点60.4点61.2点59.9点66.7点
都立入試の教科別平均点が5年間(令和4〜8年度)で動いた幅のグラフ。国語12.0点、社会10.7点、理科7.6点、英語5.8点、数学4.1点(東京都教育委員会の調査報告書から計算)
計算
  • 5年間の幅(最高 − 最低):国語 80.8 − 68.8 = 12.0点、社会 59.9 − 49.2 = 10.7点、理科 66.8 − 59.2 = 7.6点、英語 66.9 − 61.1 = 5.8点、数学 61.7 − 57.6 = 4.1点
  • 1年で最も大きく動いたのは国語の令和4→5年度:80.8 − 68.8 = +12.0点。理科は令和6→7年度に 59.2 − 66.8 = −7.6点、令和7→8年度に 66.7 − 59.2 = +7.5点と、上下を繰り返している
  • 例:理科で前回70点、今回65点だった生徒(5点下がった)。平均点が 66.8点 → 59.2点 と7.6点下がった年なら、平均との差は 70 − 66.8 = +3.2点 から 65 − 59.2 = +5.8点 に広がっている

最後の例のように、点数が5点下がっても、平均との差で見ると前より上ということが起こります。定期テストの平均点がどれくらい動くかを全国で集めた公的な統計は、公表されていません。自分の学校の平均点で確かめるしかありません。

定期テストで点数と順位を分けるときの手順

  • 答案と一緒に返ってくる「学年平均点」を、前回と今回で並べる
  • 自分の点 − 平均点 を、前回と今回で計算する。差が縮んでいなければ、本人の力は落ちていない
  • 順位や偏差値が出る学校・塾のテストなら、点数ではなくそちらの推移を見る
  • 平均点も差も下がっているときだけ、上の「本当に下がっているときの3つの原因」に進む
平均点との差で判断しない方がよい場合
  • 学年平均点が配られない学校。差が計算できないので、順位か、塾の模試の偏差値で見る
  • 受ける人の顔ぶれが前回と大きく違うテスト。平均点の上下が、問題の難しさではなく受けた人の違いから来ている
  • 範囲が狭い小テストや単元テスト。1〜2問の出来で平均点も自分の点も大きく動く
  • 点数も平均との差も2回続けて下がっている場合。テストの難しさでは説明できないので、原因の切り分けを急ぐ

出典:東京都教育委員会「令和8年度 東京都立高等学校入学者選抜学力検査結果に関する調査 報告書」(PDF)/令和7年度(PDF)/令和6年度(PDF)/令和5年度(PDF)/令和4年度(PDF)(2026年10月14日確認)

どれくらい様子を見るか

定期テスト2回分が目安です。1回だと、範囲の得意不得意や当日の調子といった偶然の要素が入ります。

2回続けて変わらず、上の3つも確認して手を打ったのであれば、そこからは塾の形が合っていないと考えて構いません。

とくに①の「家で勉強しない」が原因だった場合、授業を増やしても解決しません。

必要なのはやることを決めて、やったかどうかを確認してくれる仕組みです。【スタディコーチ】無料相談・逆授業の体験のように学習管理を前面に出している塾なら、週単位で「何をどこまでやるか」を決め直したうえで、解けたかではなく説明できるかで確認します。

授業を足すより、こちらのほうが噛み合うケースです。

コマ数を増やすかどうかを検討している場合は、先に回数の考え方を確認してください。家庭学習が減っているケースでは、増やすほど逆に落ちます。

ここで挙げた3つは、定期面談でそのまま聞ける項目です。面談の場で何をどう確かめるかは、別記事に整理しました。

様子見の判断基準
  • 定期テスト2回分が目安(1回だと偶然の要素が入る)
  • 2回変わらなければ塾の形が合っていないと考えてよい
  • 家庭学習の減少が原因なら授業を増やしても解決しない
  • 面談ではやることを決め、やったか確認する仕組みを聞く

よくある質問

入塾して1か月で下がりました。早すぎませんか

1か月では判断できません。むしろ入塾直後は生活のリズムが変わるので、一時的に下がることがあります。塾の曜日と時間が生活に馴染むまで1〜2か月かかるのが普通です。この段階で辞めるのは早すぎます。

塾は「順調です」と言いますが、成績は下がっています

「順調」の中身を数字で聞いてください。塾内の正答率や小テストの点は、記録していれば必ず出てきます。出てこないなら、把握していないということです。授業態度の話しか返ってこない場合も同じです。

コマ数を増やせば戻りますか

原因が③の「ついていけていない」なら効くことがあります。ただし①の家庭学習が減っているケースでは、増やすほど逆効果です。塾にいる時間が増えるぶん、家でやる時間がさらに減るからです。原因を特定してから決めてください。

本人は「塾は分かりやすい」と言っています

これは要注意のサインです。「分かりやすい」は、聞いている側が受け身でも成立します。本当に力がついているかは、その場で解けたかどうかでしか分かりません。「今日は何問自分で解いた?」と聞いてみてください。

下がった科目だけ塾を変えられますか

できますが、いまの塾の宿題が回っていることが条件です。回っていない状態で足すと、課題が2倍になって両方が崩れます。判断の仕方は掛け持ちの記事にまとめています。

まとめ:点数か順位かを分け家庭学習の減少を疑う

塾に行っているのに成績が下がったら、まず点数が下がったのか、順位だけが下がったのかを分けてください。順位だけなら、本人は伸びています。

本当に下がっている場合、いちばん多い原因は塾に行ったことで家庭学習が減ったことです。塾の質の問題ではないので、塾を変えても直りません。

塾には「正答率」「宿題の中身」「テスト前の切り替え」の3つを数字で聞き、定期テスト2回分を見てから判断してください。

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この記事を書いた人

兵庫県の学習塾で塾長を経験。私大理系卒。塾バイト・家庭教師を経て、長年の経験を基に幅広く受験をサポートします。生徒だけでなく、それを支える保護者や先生の力にもなりたいという思いで立ち上げました。

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