中学入学前の春休みにやることは英語・算数・生活リズムの3つだけです。先取りは要りません。この記事では、中1の1学期に実際につまずく場所から逆算して、何をやり、何をやらなくていいかを整理します。

4月から中学生です。何か準備しておいたほうがいいと聞くのですが、英語の先取りをさせたほうがいいのでしょうか。

先取りは要りません。中1の1学期でつまずく子は、内容が難しくて落ちているのではなく「書く量と提出物の量」に追いつけずに落ちています。準備すべきはそこです。
【結論】春休みにやるのは3つだけ
- ①アルファベットを正しく書けるようにする…大文字・小文字、4線の位置まで
- ②小数・分数・割合を確認する…中1の数学はここが前提になっています
- ③起きる時間を入学後に合わせる…部活が始まると、ここが崩れた子から脱落します
逆に言うと、教科書の先取りも、英単語の暗記も、いまはやらなくて構いません。やっても4月に授業でもう一度やります。それより、上の3つができていないほうが後で効きます。
①英語:単語より先に、書ける形にする

小学校の英語は聞く・話すが中心なので、書く練習をほとんどしないまま中学に入ります。ところが中1の1学期は、いきなり書く量が増えます。
とはいえ、小学校で習った単語がゼロというわけではありません。
中学校学習指導要領解説 外国語編では、小学校で600〜700語程度の語を扱い、中学校でそこに1,600〜1,800語程度を加えると整理されています(中学校学習指導要領解説 外国語編)。
春休みは新しい単語より、知っている単語を「書ける」ようにするほうが先です。
- 大文字と小文字を、両方すぐ書けるか…とくに b と d、p と q の区別
- 4線のどこに書くか…g・y・j が下に出る、t・d が上に出る。ここは減点対象になります
- ローマ字と英語の綴りは別物だと知っているか…「し」を si と書く癖が残っていると、後で直すのが大変です

毎年、アルファベットを書くのに時間がかかる子は、それだけで英語が嫌いになります。授業のスピードについていけないからです。中身の理解より前の段階で差がつくので、ここは春休みに終わらせておく価値があります。
単語の先取りは不要です。教科書によって出てくる順番が違ううえ、綴りは文の中で覚えるほうが定着します。やるなら、教科書が配られてからで十分間に合います。
- 大文字・小文字をすぐ書けるか確認する
- 4線のどこに書くかを確認する(g・y・j・t・d)
- ローマ字と英語の綴りは別物と知っておく
- 単語の先取りは不要
②数学:正負の数より、小学校の内容
中1の数学は正負の数から始まりますが、ここでつまずく子はほとんどいません。問題が起きるのは、その後の文字式・方程式に入ってからです。
| 確認する内容 | 中学のどこで効くか |
|---|---|
| 小数のかけ算・わり算 | 方程式の計算でそのまま出てきます |
| 分数のたし算・ひき算(通分) | 文字式で分数が出た瞬間に止まります |
| 割合(○%引き、□倍) | 1次方程式の文章題、理科の濃度。ここがいちばん大きい |
確かめ方は、小学校の教科書やドリルの「割合」の章だけをやらせてみることです。手が止まるようなら、春休みはそこに時間を使ってください。正負の数を先にやるより、確実に効きます。

- 小数のかけ算・わり算を確認する
- 分数のたし算・ひき算(通分)を確認する
- 割合(○%引き・□倍)がいちばん重要
③生活リズム:4月ではなく、3月に戻す

ここがいちばん影響が大きいと考えられます。
中学に入ると、朝の登校が早くなり、放課後は部活が入ります。帰宅は小学校のときより2時間以上遅くなる家庭が多いです。春休みに夜型のまま4月を迎えると、5月の連休明けに一度崩れます。
やることは1つで、入学後に起きる時間で、春休みのうちから起きること。寝る時間は後からついてきます。
寝る時間の目安は、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」にあります。中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保する、とされています。7時に起きるなら、21時〜23時に寝る計算です。
小6の算数は割合・単位量当たりの正答率が34〜53%|全国学力調査で見る、春休みに確かめたい場所
ここまでに「割合を確認する」「書く練習をする」と書きました。この節では、国の調査で確かめます。国立教育政策研究所の令和8年度全国学力・学習状況調査(4月23日実施)は、問題ごとの正答率をExcelで公表しています。2026年10月28日にファイルを開き、小学6年生の算数と、中学3年生の英語から取り出しました。
| 小6算数の問題(令和8年度) | 見る力 | 正答率 |
|---|---|---|
| 2(2) 14匹が全体の20%のとき、全体の数を求める | 割合(基準量を求める) | 53.3% |
| 2(3) 二つの広場の混み具合を表す式の意味 | 単位量当たり | 36.2% |
| 2(4) 1.5倍になっている図を選ぶ | 割合(図で表す) | 34.5% |
| 3(1) 1・5・9のカードで最も大きい小数をつくる | 小数の仕組み | 94.5% |
| 3(2) 6.37−5と5−3.76を計算する | 小数の減法 | 58.4% |
| 3(3) 7/3と7/4の大小を、理由つきで書く | 分数(記述) | 44.3% |
| 3(4) 5/3を表す数直線で、1の目盛りを選ぶ | 分数 | 68.4% |
| 中3英語の問題(令和8年度) | 形式 | 正答率 | 無解答率 |
|---|---|---|---|
| 6 文章を読み、グラフの空所に入る行事を選ぶ | 選択 | 67.7% | 1.1% |
| 11① 情報に基づいて、昨日の出来事を英文で書く | 書く | 59.4% | 2.5% |
| 12 中学生になってからの思い出を、体験と感想で書く | 書く | 48.0% | 8.6% |
| 14 学校で普段行うことを、説明して書く | 書く | 28.5% | 14.0% |
| 10(2) 読んだことについて、考えと理由を書く | 書く | 28.4% | 14.4% |

計算
- 「変化と関係」の3問(割合・単位量当たり、2(2)(3)(4))の単純平均:(53.3 + 36.2 + 34.5) ÷ 3 = 41.3。調査が公表する「変化と関係」の平均は41.4%で、ほぼ一致します(児童数の重みによる差)
- 小数の問題と割合の問題の差:94.5 − 34.5 = 60.0(ポイント)。同じ6年生でも、問題によって正答率はこれだけ違います
- 算数全体の平均と「変化と関係」の差:56.6 − 41.4 = 15.2(ポイント)。割合を含む領域は、全体より低くなっています
- 英語で、書く問題の無解答率を選択式と比べる:14.0 ÷ 1.1 = 12.7(倍)。書く問題は、空欄のまま出す生徒が多くなります
- 書く問題の中での差:59.4 − 28.5 = 30.9(ポイント)。与えられた情報を英文にする問題と、自分で説明を考えて書く問題で、これだけ開きます
- 学習指導要領解説が示す英語の語数:小学校600〜700語と中学校1,600〜1,800語を合わせて 600 + 1,600 = 2,200 から 700 + 1,800 = 2,500(語)。中学校の分を3学年で割ると 1,600 ÷ 3 = 533、1,800 ÷ 3 = 600(語/学年)
読み方は3つです。1つ目は、小6の算数で、割合・単位量当たりの3問は、いずれも5割前後以下だったことです。小数の大きさを決める問題が94.5%なのに対し、「1.5倍」の図を選ぶ問題は34.5%でした。春休みに割合を確かめる意味は、数字から見ても分かります。2つ目は、英語は「選ぶ」より「書く」で空欄が増えることです。書く問題の無解答率は最大で14.4%でした。入学前に文字を書く手を作っておく理由になります。3つ目は、語数の多さに驚かなくてよいことです。文部科学省の解説は、中学校の1,600〜1,800語は主に聞いたり読んだりして分かる語彙の範囲で、全てを話したり書いたりできる必要はないと説明しています。単語の先取りより、書く練習を先にする考え方と合います。
英語の調査は中学3年生の4月に実施したもので、入学直後の中1の力ではありません。小6算数と中3英語は別の学年の調査なので、同じ子どもの追跡ではありません。割合の正答率が低いことと、中1の数学の成績との関係は、この表からは分かりません。語数は学習指導要領解説(平成29年告示)の値で、教科書や学校によって扱いは変わります。
- 「全国の6年生は割合が苦手だから、うちの子も苦手なはず」と決める場合。平均は全国の値で、お子さんの力は小学校のドリルや単元テストで確かめてください
- 英語の語数2,200〜2,500語を、春休みに覚える目標にする場合。解説も、全てを発信できることまでは求めていません。文の中で出会う前の単語暗記は、効果が出にくいです
- 中3の英語の無解答率を、「中1の最初のテストの空欄の割合」と読む場合。学年も時期も違う調査です
- 割合の問題がまったく解けない状態を、春休みの30分で取り戻そうとする場合。小5・小6の教科書の単元から順に戻る方が、遠回りに見えて確実です
出典:国立教育政策研究所「令和8年度全国学力・学習状況調査 問題別調査結果[算数]小学校(全国-児童)」(Excel・26p_301)/同「問題別調査結果[英語3技能]中学校(全国-生徒)」(Excel・26m_301)/文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語編」(PDF・第2章 内容(1)ウ「語,連語及び慣用表現」・冊子33ページ)(2026年10月28日確認)
やらなくていいこと
4月に授業で同じ内容をやります。先に知っていると授業を聞かなくなるほうが問題で、これが中2以降の伸び悩みにつながることがあります。
教科書ごとに出る単語も順番も違います。文のなかで出会う前に単語だけ覚えても、使えるようにはなりません。それより綴りを書ける手を作っておくほうが役に立ちます。
中学に入ると勉強量は自然に増えます。その前に嫌になってしまうと、4月からの3年間がずっと重くなります。春休みは1日30分で十分です。
- 教科書の先取りは授業を聞かなくなる原因になる
- 英単語のまとめ暗記は使えるようにならない
- 春休みの詰め込みは中学に入る前に嫌になる原因に
入学前に塾へ入れるべきか
必須ではありません。ただし、次のどちらかに当てはまるなら検討する価値があります。
- 割合でつまずいている…人に教わったほうが早く終わります。放置すると中1の後半で効いてきます
- 家庭学習の習慣がない…中学は「自分で決める量」が一気に増えるので、最初の定期テストで一度崩れます
時期としては2〜3月に動くと席と曜日が選べます。春期講習をそのまま試用に使えるので、入学後に慌てて探すより条件が良くなります。
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よくある質問
- 中1の最初のテストは、どれくらい取れるものですか
-
範囲が狭いため平均点が高く出るのが普通です。ここで平均を下回ると、あとから戻すのに時間がかかります。逆に言えば、最初のテストは準備した分がそのまま出るので、2週間前から動けば十分に取れます。
- 部活と両立できるか心配です
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1学期は体力的にきついのが普通です。ここで長時間の勉強を求めないでください。平日は30分でも毎日続くほうが、週末にまとめてやるより結果が出ます。入部を決める前に、活動日数だけは確認しておくと計画が立てやすくなります。
- 英語だけ先に塾で習わせるのはどうですか
-
1科目だけ足すなら英語より算数(数学)のほうが効きます。英語は中1の1学期なら学校の授業でも十分追いつけますが、小学校の割合でつまずいている場合、それを授業中に戻してくれる中学の先生はいません。
- 中学に入る前に英検を取らせるべきですか
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急ぐ必要はありません。高校受験で加点される場合でも、対象になるのは3級以上が中心です。中学入学前に取っておく実益は小さいので、それより中1の授業についていける状態を作るほうが優先です。
- 提出物が心配です。何を準備できますか
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中学の提出物は内申点に直結します。準備できることは1つで、「宿題を書き留める場所を1か所に決める」ことです。連絡帳でもスマホでも構いません。中1で提出物を落とす子は、忘れているのではなくどこに書いたか分からなくなっています。
まとめ:先取りより生活リズムと基礎の確認を
中学入学前にやることは、アルファベットを書けるようにする・小学校の割合を確認する・起きる時間を戻すの3つだけです。
先取りは要りません。中1の1学期でつまずく子は、内容が難しいのではなく書く量と提出物に追いつけずに落ちています。準備するのはそこです。
そして春休みは1日30分で十分です。ここで詰め込んで嫌いにさせるほうが、はるかに大きな損失になります。


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