塾の宿題が終わらない|原因を3つに切り分ける方法と、減らしてもらう伝え方

塾の宿題が終わらない|原因を3つに切り分ける方法と、減らしてもらう伝え方

塾の宿題が終わらない原因は「量が多い」「やり方が非効率」「理解できていない」の3つに分かれます。所要時間で切り分ける方法、公的統計と睡眠の推奨から「家で使える上限」を逆算する手順、塾に量を調整してもらう伝え方を、塾5社の公式記載とあわせて整理します。

塾の宿題が毎週終わりません。夜中までかかっているのに間に合わなくて、本人も嫌になってきています。量が多すぎるんでしょうか。

量のせいだと決めつける前に、1問あたりに何分かかっているかを測ってください。ここを測らずに「頑張らせる」と、答えを写す方向に必ず進みます。

塾の宿題が終わらないとき、家庭で最初に出てくるのは「量が多い」か「本人がサボっている」のどちらかです。ところが塾の側から見ると、いちばん多い原因はそのどちらでもありません。

この記事では、終わらない原因を3つに切り分ける方法と、原因別の対処、そして塾に「減らしてほしい」と伝えるときの具体的な言い方までまとめます。

この記事の目次

【結論】「終わらない」は3つに分かれる

終わらない原因は3つだけ
  • ①量が多い…解ける問題を解いているのに時間が足りない。塾に言えばすぐ調整できます
  • ②やり方が非効率…解答を見ずに20分粘る、丸つけを最後にまとめてやる、など
  • ③理解できていない…そもそも手が止まっている。これは宿題では解決しません

家庭から見ると、この3つはすべて「机に向かっているのに終わらない」という同じ景色に見えます。だから「量が多いのでは」という結論になりやすいのですが、②と③を①として扱うと、量を減らしても状況は変わりません。

切り分け方:1問あたりの時間を測る

やることは1つです。宿題を始めるときにタイマーを置き、1ページ終わった時点で経過時間と正答数を記録します。1日だけで構いません。

この「測る」という手順は、家庭側の自己流ではありません。塾の側も、量を調整するときにまず所要時間を見ています。早稲田アカデミーは公式ブログで、家庭学習量の調整について次のように書いています。

塾側が書いている「記録の取り方」

「家庭学習量の調整を行うためには、お子様の状況を正確に把握することが重要になります。そこで一番大切なのは『所要時間』です。(中略)一問一問の時間を記入する必要はありませんが、ページ毎などに所要時間を記入することをお勧めします。その場合、単に時間を『○○分』と書くのではなく、『○○:○○~○○:○○』というように書くようにすると、どの時間帯に集中して取り組めているかなどを考えるときにも役立つはずです」

出典:早稲田アカデミー 『宿題が物足りないのですが…』(公式ブログ・2013年2月/2026年8月13日確認)

ここで拾えるものが1つ増えます。「40分かかった」ではなく「21:20〜22:00」と時刻で書くと、かかった時間に加えて何時からやっているかが残ります。同じ40分でも、20時台の40分と23時台の40分では中身が違います。②のやり方の問題に見えていたものが、実は開始時刻が遅すぎるだけ、というのはよくあります。

出てくる数字原因
手は止まっていない・正答率も高い。ただ量が多い①量の問題
1問に10分以上かかっているが、最終的には解けている②やり方の問題
正答率が半分を切る/白紙が多い③理解の問題

測るのは本人にやらせず、保護者が横で記録してください。本人に測らせると「時間がかかっている自分」を認めたくないので、無意識に速く見せようとします。

原因別の対処

量が多い場合|塾に言えば、その週から変わります

宿題の量をどう決めているかは塾によって違いますが、公式サイトで説明している塾は、そろって「相談してほしい」と書いています(次の見出しに5社ぶんを並べました)。個々の家庭の事情や部活の時期までは、言われないと分かりません。「多いので減らしてほしい」は正当な相談で、印象が悪くなることもありません。

やり方の場合|「5分で止める」を決める

手が止まってから粘る時間に、当塾では「長くて5分」という上限を置いています。5分で解答を見て、解き方を読んで、閉じてもう一度自力で解く。研究に裏付けられた最適値というより、止める時刻を先に決めておかないと20分でも粘ってしまうための運用の線引きです。この形にすると、手が止まる問題が多い日ほど所要時間が縮みます。

あわせて丸つけを1ページごとに変えるだけでも時間が縮みます。最後にまとめて丸つけをすると、間違えたやり方のまま10問解いてしまうからです。

理解の場合|宿題を減らして、戻る時間を作る

いちばん厄介なのがこれです。分かっていない状態で宿題を積んでも、写す作業にしかなりません。この場合は量を減らしてもらったうえで、空いた時間を「前の単元に戻る」ことに使います。

戻る先は、本人に聞いても出てきません。直近の定期テストで失点した単元をさかのぼるのがいちばん確実です。塾に「どこから抜けていますか」と聞ける関係なら、それが最短です。

「多い」を数字にする|平均と、家で使える上限

測った時間が出たら、次はそれが多いのかどうかです。ここを感覚で決めると相談が「なんとなく多い気がする」で終わります。外から当てられる数字が2つあります。ほかの家庭がどれくらいやっているかと、そもそも何時まで起きていていいかです。

① 全国平均と比べる

東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が同じ親子を11年追いかけている調査(子どもの生活と学びに関する親子調査2025・2025年7〜9月実施/小4〜高3の子ども14,585名・保護者20,331名/報告書)が、学校のある日の1日あたりの学習時間を出しています。学校の中でやる時間は除いた数字です。

学校の宿題(2015年→2025年)総学習時間(2015年→2025年)
小4〜6生44分 → 30分83分 → 66分
中学生49分 → 36分107分 → 88分
高校生54分 → 37分119分 → 97分
総学習時間=「学校の宿題」+「宿題以外の勉強(学習塾の時間を除く)」+「学習塾の時間」。同調査より。

この11年で減ったのは宿題と家庭学習のほうで、学習塾に費やす時間は大きな変化がありません(同調査)。つまり、塾の外で机に向かう時間が細っているところへ塾の宿題が乗っているのが今の形です。「昔はみんなやっていた」は前提として成り立ちません。

数字の使い方は単純です。中学生の総学習時間の平均は1日88分。冒頭のような「数学の宿題だけで3時間」は、塾も含めた1日ぶんの平均の2倍以上にあたります。これは「頑張りが足りない」で処理していい差ではありません。逆に、測ったら1教科30分だったなら、量ではなく②か③を疑う番です。

② 起床時刻から、使える時間の上限を逆算する

もう1つは上限です。厚生労働省の健康づくりのための睡眠ガイド2023(令和6年2月・令和6年9月18日一部修正/厚生労働省 睡眠対策のページ)は、推奨事項として「小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保する」と書いています。あわせて、睡眠不足によって学業成績が低下することが報告されているとしています。

同ガイドは、この記事とまったく同じ場面の質問も載せています。「高校生の中には、たくさん勉強しようとすると、8〜10時間の睡眠時間を確保できないこどももいます。どうしたらいいでしょうか?」という問いです。答えは「良質な睡眠を適切な時間確保することで、集中力が増し学習効率が向上します。さらに、睡眠は学習した内容を強固にする役割も果たすため、睡眠時間を確保することでより学習内容が定着しやすくなります。学力の向上と健康維持のためには、勉強時間と睡眠時間のバランスをとることが大切です」。

ここから、逆算で就寝時刻の目安が出ます。中学生・高校生の場合です。

起床時刻8時間なら就寝10時間なら就寝
6:0022:0020:00
6:3022:3020:30
7:0023:0021:00
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」の推奨(中学・高校生8〜10時間)から機械的に引いたもの。8時間は下限側の目安です。

やることは、ここに自分の家の帰宅時刻と、食事・入浴の実時間を入れるだけです。たとえば6:30起床で塾から21:00に帰宅する子なら、下限の8時間でも消灯は22:30。食事と入浴に1時間かかるなら、机に向かえるのは実質30分前後しか残りません。ここに「3時間の宿題」は物理的に入らない、というのが結論になります。

この2つを出しておくと、相談が一気に短くなります。「多いと思うんです」ではなく「測ったら3時間、平均は88分、うちは22:30が限界なので使えるのは30分」まで言えると、塾側は落とす問題をその場で決められます。逆に、この計算をせずに量だけ減らすと、空いた時間はだいたいスマホに消えます。

塾に「宿題を減らしてほしい」と伝える言い方

ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。塾側は「減らしてほしい」だけでは動けません。どこをどう減らすかの判断材料がないからです。

塾は宿題の量をどう決めているか(公式サイトの記載)

相談していいのか迷う方が多いので、大手5社が公式サイトに何と書いているかを実際に当てました。「何ページ出す」という量の基準を公開している塾は1社もありません。そのかわり5社とも、量は個々に合わせて決めるもの・合わなければ言ってほしいという書き方をしています。

形態公式サイトの記載
明光義塾個別「宿題は出ますか?」への回答として「お子さまの学習状況に応じて、適切な量の宿題をお出ししています」
そら塾オンライン個別「授業ごとに、その生徒さんにあった宿題も出させていただきます」
東京個別指導学院個別「宿題のフォロー」を志望校対策などと並ぶ項目として挙げ、「ご本人の現状に合わせて個別の学習計画(オーダーメイドカリキュラム)を作成」と明記
森塾個別「講師は充実の研修により、お子様との会話の仕方から宿題の出し方までしっかり身につけています」(=宿題の出し方は講師側の技術として扱われている)
早稲田アカデミー集団(進学塾)教材の量が多く「扱わない問題もある」とし、量が合わないときは「まずは担当講師までご相談ください」「個別に家庭学習課題を調整させていただくことになります」
いずれも各社公式サイトの記載。2026年8月13日確認。早稲田アカデミーのみ公式ブログ(2013年2月)で、文脈は「宿題が物足りない」場合ですが、調整の手順は同じです。

読み取れることは2つです。1つは、量の調整は例外対応ではなく、塾側が最初から想定している運用だということ。集団の進学塾でさえ「まず担当講師に相談を」と公式に書いています。もう1つは、だからこそ言われるまで動けないということです。「お子さまの学習状況に応じて」と書いてある以上、塾が持っている学習状況の情報は、授業中の様子と提出物だけです。家で何時間かかったかは、家庭からしか入りません。

そのまま使える伝え方

「先週の数学の宿題に3時間かかって、最後まで終わりませんでした。いま部活が週6であるので、平日は1教科40分が限界です。優先順位をつけて、この範囲で回る量に調整していただけませんか。

入っている要素は3つだけです。①実際にかかった時間 ②家庭で確保できる時間 ③調整のお願い。この3つがあると、塾は「どの問題を落とすか」を具体的に決められます。逆に「多いみたいです」だけだと、様子を見ましょうで終わります。

塾の立場で言うと、この相談は歓迎です。終わらない宿題を出し続けるほうが困ります。写して提出されると、こちらは「できている」と誤解したまま次に進んでしまうからです。

もっとも、口頭で伝えられる機会は面談のときくらいで、年に数回しかありません。連絡帳や提出物のコメント欄なら毎回使えます。短い行数で同じ内容を伝える型は、例文つきでこちらにまとめました。

やってはいけない3つ

  • 答えを写して提出する…最悪の対処です。塾側の見立てが狂い、本人にはできない範囲がそのまま残ります
  • 保護者が解き方を教える…短期的には終わりますが、②のやり方は直りません。教えるより時間を測るほうが役に立ちます
  • 睡眠を削って終わらせる…厚生労働省の睡眠ガイドは、睡眠不足で学業成績が低下することが報告されているとしています。翌日の授業の入りが悪くなるぶん、宿題は増える方向に働きます

とくに1つめは、本人を責めても止まりません。終わらせることが目的になっている構造そのものが原因なので、量か、やり方か、理解のどれかを動かすしかありません。

この状態が続くと、次に出てくるのが「塾に行きたくない」です。宿題が終わっていないまま行くと指摘されるので、足が向かなくなります。行き渋りが始まっている場合はこちらもあわせて読んでください。

なおそもそもの回数が多すぎるケースもあります。週3回にすると塾のない日が2日しか残らないので、量の前に回数を見直したほうが早いことがあります。

相談しても変わらないときは、形が合っていない

時間の数字を出して相談したのに「もう少し頑張らせてください」で終わるなら、その塾は一人ひとりの量を調整する運用になっていない可能性があります。悪い塾という意味ではなく、合っていないということです。

その場合に効くのは、授業を足すことではありません。やる内容と量を決めるところまでを見てもらう形に変えることです。【スタディコーチ】無料相談・逆授業の体験のように学習管理を前面に出している塾なら、週単位で「何をどこまでやるか」を決め直したうえで、解けたかではなく説明できるかで確認します。③の「分かっていないのに宿題だけ積み上がる」状態には、この形がいちばん噛み合います。

逆に、宿題が回っていない状態で塾を足すのはいちばんやってはいけない対処です。課題が2倍になって、両方が崩れます。

宿題が回らない状態が続くと、次に出てくるのが成績そのものの低下です。下がったときにどこから見ればいいかは、こちらに手順をまとめました。

量の調整に限らず、塾に何かをお願いするときは伝え方で通り方が変わります。数字と期限に置き換える具体的な言い回しはこちらです。

よくある質問

宿題が終わらないまま塾に行かせていいですか?

行かせてください。そのうえで「どこまでやって、どこで止まったか」が分かるようにしておくのがいちばん有益です。白紙のページに印をつけるだけで構いません。休ませると、次の週はさらに積み上がります。

宿題を減らしてもらうと、成績は下がりませんか?

写して提出している状態なら、減らしたほうが上がります。10問を写すより、3問を自力で解いて解き直すほうが定着します。ただし「減らす」を本人が「やらなくていい」と受け取ると意味がないので、減らした分は必ず解き直しに使うと決めてください。

学校の宿題と塾の宿題、どちらを優先しますか?

中学生は学校が優先です。提出物が内申点に直結するためで、ここを落とすと塾の成果が出ても取り返せません。高校生は志望校によりますが、評定を使う入試方式を考えているなら学校が優先です。どちらにしても、両方が回らないなら塾側に伝える案件です。

個別指導なのに宿題が多いのはなぜですか?

個別指導は週1回・1教科から組めるぶん、授業で扱えない範囲を家庭学習に置く形になりやすいからです。週1回90分は、上で見た中学生の総学習時間の平均88分でいえば1日ぶんにあたります。この回数で範囲を仕上げるには、外側の時間を使う設計にならざるを得ません。ただし個別指導の各社は「お子さまの学習状況に応じて」(明光義塾)「その生徒さんにあった宿題」(そら塾)と公式に書いています。「個別なのに量が一律」なら、公式の説明のほうと食い違っているということなので、遠慮なく相談してください。

本人が宿題をやろうとしません。量の問題ではない気がします

やらないのではなく「開いても分からないから閉じている」ことが大半です。③のパターンを疑ってください。試しに1問だけ横について、手が動くかどうかを見ると分かります。手が動くならやり方の問題、動かないなら理解の問題です。

まとめ

塾の宿題が終わらないとき、まず1問あたりの時間と正答率を1日だけ測ってください。そこで①量・②やり方・③理解のどれかが決まります。

①なら塾に言えば今週から変わります。伝えるときは「かかった時間」と「家で確保できる時間」を数字で出すこと。これがあるかないかで、返ってくる答えがまったく違います。

そして答えを写して提出するのだけは避けてください。塾側の見立てが狂い、分からない範囲がそのまま次の単元に持ち越されます。終わらないこと自体より、そちらのほうがずっと大きな損失です。

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この記事を書いた人

兵庫県のとある学習塾の塾長。私大理系卒。塾バイト・家庭教師を経て、長年の経験を基に幅広く受験をサポートします。生徒だけでなく、それを支える保護者や先生の力にもなりたいという思いで立ち上げました。

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