高校化学の独学がきつくなるのは、化学そのものが難しいからではなく、理論を飛ばす・1冊を完璧にしようとする・聞ける相手がいないの3つで止まりやすいからです。順番を守れば独学できます。この記事では理論→無機・有機→演習という7ステップの参考書ルートと、それぞれにかける期間の目安を示します。

高校化学は独学できます!
「学校の授業の進度が遅いので、化学を独学したい」「学校で化学の授業が履修できない」など化学を独学したい受験生の方は少なくないと思います。
筆者自身も、学校よりも早く進めるために化学を独学していましたが、この方法で化学だけなら偏差値70まで伸ばせました。塾の生徒にも勧めた事がありますが、全員上手くいきましたので続ければ再現性はかなり高いと思います。
化学の独学がきつい理由3つと、きつくならない順番
「化学の独学はきつい」と言われるのは、化学そのものが難しいからではなく、独学だと順番と進め方を間違えやすいからです。塾で独学組を見ていて、止まる原因はほぼ次の3つです。
| きつくなる原因 | 何が起きるか | 対処 |
|---|---|---|
| ①理論を飛ばして無機・有機に入る | 無機の暗記が「ただの暗記」になり、有機の構造決定で手が止まる | 理論化学を先に1周。無機・有機は理論の知識で半分は理解で乗り切れる |
| ②1冊を完璧にしてから次へ進もうとする | 理論の途中で数か月止まり、全体像が見えないまま挫折 | 7割で次へ。化学はつながった学問なので、後の分野が前の分野を補強する |
| ③聞ける相手がいない | 1問に半日かけ、そこで勉強自体が止まる | 学校の先生・塾・得意な友達のどれかを先に確保してから始める |
この3つを避けた順番が、下のSTEP1〜7です。順番どおりに進めれば「きつい」のは最初の理論化学の1〜2か月だけで、無機・有機に入ると急に楽になります。

独学で「きつい」と感じる時期は、たいていSTEP3(理論の基礎)の途中です。ここで完璧を目指さず7割で進んだ生徒は、その後ほぼ全員が最後まで走り切っています。

ここからが具体的な7ステップです。
STEP1 : まずは全体像を掴もう

高校化学という分野は主に3つに大別する事ができます。「理論化学」「無機化学」「有機化学」です。それぞれのジャンルはどんなことを学ぶのか、どんな特徴があるのかを簡単に先に知っておきましょう。
全体像を見る!
理論化学
「理論化学」では、原子・イオンなどの物質の構造から始まり、化学反応論や状態論など「化学の基礎となる理論」を学びます。化学基礎で習った内容の大半は理論化学だと考えるとイメージが湧きやすいでしょうか。
したがって、ここでは様々な法則や公式が登場し、計算問題やグラフの読み取り問題などが出題されます。

全ての基礎となる分野ですので、1番最初に勉強する分野になります!
無機化学
「無機化学」では、元素1つ1つの特徴や、似た性質の元素をグループ分けして特徴を暗記する、化合物の工業的製法を知る,,,など、主に暗記科目です。
一部計算問題もありますが、ほとんどが暗記になります。理論科学の知識を使うことでただの暗記で終わらずに、理解で乗り切れるところがあるので、理論化学の後に勉強するのがおすすめです。

覚える量は3つのジャンルの中で1番多いです。キリがないのでまずは基礎を押さえれば大丈夫です!応用は後から身につけましょう。
有機化学
「有機化学」は、主に炭素・水素・酸素が主役のジャンルです。暗記・計算もさることながら、パズル的に解く問題があります。あまり似た頭の使い方をする科目がなく、ここは慣れが必要ですので基礎から慎重に積み上げましょう。

有機化学を勉強して、化学が好きになる方は大変多いです!極めればきっと楽しいと思えますよ。
共通テスト化学の100点を理論・無機・有機に分けた|令和8年度の配点と得点率
「理論→無機・有機」の順番が点数の面でも筋が通るかを、令和8年度(2026年1月)の共通テスト「化学」で確かめました。大学入試センターの問題冊子と正解表で解答番号1〜33を3分野に分け、試験情報データの設問別の平均点を足しています。分け方は当サイトの判断で、無機・有機の大問の中にある計算(解答番号15の水和物から原子量、17の溶解度積、33のエステル化の平衡定数)は理論に数えました。
| 分野 | 解答番号 | 配点(計算) | 平均点の合計(計算) | 得点率(計算) |
|---|---|---|---|---|
| 理論 | 1〜13・15・17・33 | 54点 | 30.59点 | 56.6% |
| 無機 | 14・16・18・28・29 | 16点 | 8.21点 | 51.3% |
| 有機 | 19〜27・30〜32 | 30点 | 18.05点 | 60.2% |

計算
- 理論:第1問20点+第2問20点+解答番号13・15・17・33(3+3+4+4)=54点
- 無機:解答番号14・16・18・28・29 → 3+3+4+3+3=16点
- 有機:解答番号19〜27・30〜32 → 3+4+2+1+4+3+1+1+1+3+4+3=30点
- 得点率:理論 30.591÷54=56.6%、無機 8.211÷16=51.3%、有機 18.054÷30=60.2%
- 3分野の平均点の合計:30.591+8.211+18.054=56.856 → 公表の平均点56.86点と一致
- 無機で得点率が低かった設問:金属イオンの分離(18)1.334÷4=33.4%、ケイ素とその酸化物(29)1.134÷3=37.8%
- 化学の平均点(令和4〜8年度):47.63→54.01→54.77→45.34→56.86点。最高と最低の差 56.86−45.34=11.52点
理論だけで100点の半分を超えていました。STEP3で理論に先に3ヶ月かけるのは、配点の面からも筋が通ります。一方で無機は16点と少ないのに、得点率は3分野で最も低い結果でした。「無機は暗記だから最後に詰め込む」と後回しにすると、少ない配点もそのまま落としかねません。
- 理論の計算で、解説を読んでも式が立てられない単元が残っている人。令和8年度は気体・電気分解・反応速度・平衡などの計算が7問・27点あった(数えた)。ここは先に質問できる相手を確保する
- 過去問1年分の点だけで自分の位置を決める人。化学の平均点は年で10点以上動いている(上の計算)。2〜3年分を解いて比べる
- 無機を直前の暗記だけで済ませる予定の人。金属イオンの分離のように、操作の手順図と性質を結びつける設問は得点率が低かった(上の計算)
出典:大学入試センター「令和8年度 本試験の問題 化学」/「令和8年度 本試験の正解 化学」/「令和8年度 試験情報データ(本試験)」01_設問別得点率及び正答率表/「共通テスト 受験者数・平均点の推移(本試験)」(2026年10月13日確認)
STEP2 : 化学独学についての心構え

高校化学を独学する上で大切なことが1つあります。それは…
ことです。誤解されそうなので理由を書きます。
高校の化学という分野は化学基礎〜有機化学まで、つながった学問です。特に理論と無機の繋がりは強く、最初無機化学のこと、全然分からなかったけど、理論化学を復習し直したら、なぜか理解できるようになったということはよくあることです。
ですので、ゆっくり進めるのではなくてまずは1周を完成させましょう。その際にいまいち分からないところがあっても、チェックだけつけて、あまり悩みすぎないようにしてください。

独学という性質上、終わりが見えないのはモチベーションの低下にも繋がります。一旦最後まで進みましょう!
STEP3 : 理論化学の基礎を抑えよう(目安 3ヶ月)
おすすめ参考書
まずは理論化学を勉強します。理論化学のおすすめ参考書は、こちらの参考書です。🔽
・『新課程版 セミナー化学基礎+化学』(最新年度版)
👆こちらネット上で売り切れでしたが、メルカリなどを使って探すことをおすすめします。
「橋爪のゼロから劇的!にわかる 理論化学の授業」は、タイトルの通り、化学の勉強をした事がない人でも分かるように0から詳しく解説されているので独学に向いています。さらに扱っている内容も基礎がほとんどですので、基礎固めの為の最初の本としてとても適しています。
この本を疑問や気付いたことを書き込んだりアンダーラインを引きながら、進めていきましょう。また、分からなかった問題には必ずチェックを付けてください。
各章が終わったら、セミナー化学の「基本例題と基本問題」を解いてアウトプットをします。このサイクルを繰り返して3ヶ月ほどで完了させましょう。

発展問題はまだ手をつけなくて大丈夫です。
映像授業も活用しよう

上記の参考書と、映像授業を合わせるのがとてもオススメです。特に理論化学は「なぜそうなるのか?」「問題をどう考えて解くのか?」など、テキストだけでは掴みにくいところです。
参考書だけでも可能ですが、映像授業で口頭での詳しい説明を聞くことで理解が格段に増します。おすすめは「スタディサプリ」です。化学の坂田先生はエネルギッシュでとても分かりやすい解説が好評です。

僕が化学が得意になったのは橋爪先生と坂田先生のおかげです。皆さんからの評判も良く、多くの方に当てはまる勉強法だと感じます。

STEP4 : 無機・有機化学の基礎を抑えよう (目安 3ヶ月)
こちらもおすすめ参考書はこちらです。🔽
・『新課程版 セミナー化学基礎+化学』(最新年度版)
👆こちらネット上で売り切れでしたが、メルカリなどを使って探すことをおすすめします。
「橋爪のゼロから劇的!にわかる 無機・有機化学の授業」は僕が知っている参考書の中でもトップクラスにオススメの参考書です。0からでも独学できて、偏差値50くらいまですぐに届きます。ひたすら読み込んで、メモを書いて、アンダーラインを引いて、とにかくインプットしましょう。
同時にセミナーを用いてアウトプットもします。
分からなかった問題には必ずチェックも付けてください。

こちらも発展は一旦置いておいて、まずは「基本例題と基本問題」を進めましょう!
STEP5 : セミナーの復習をしよう(目安1ヶ月)
ここまできたら偏差値50まではきています。次の1ヶ月で55まで上げます。ここで必要なのは、「セミナーで解けなかった問題の復習」です。間違えた問題にはチェックを付けているはずですので、その問題を重点的に復習します。

分からない問題は先生や塾の先生に聞くなどして、解決しましょう。ここからは理解の密度を上げるために、間違えた問題はスルーしないでください!
スキマ時間にはインプットを
生活の中で生まれる「スキマ時間」には橋爪先生の参考書やその他の本を見て、化学の知識を増やしましょう。化学は単純な知識量も大切ですので、ここは手を抜かないでください!
こちらの記事も併せてどうぞ。🔽

STEP6 : 重要問題集で底力UP!(目安3ヶ月)
言わずと知れた有名参考書です。「重要問題集」は様々な大学の過去問から、特に重要な問題を厳選して、ABCの3段階に分けています。
難易度は少々高めですが、この問題集の問題が解けるようになれば、MARCH・関関同立のレベルは超えるでしょう。こちらも解けなかった問題にはチェックを付けながら、解いていきましょう。

A問題・B問題は完璧にできるといいでしょう!C問題は6割くらいの完成度でも大丈夫です。(余裕があればしましょう)
STEP7 : あとはひたすら過去問

時期にもよりますが、あとは過去問中心になるでしょう。受験する大学・傾向が似ている大学の過去問をたくさん解いてください。
受験まで時間がまだある、もしくは過去問を解き終えたなら、他の難易度の高い参考書もオススメです。2つほどおすすめを紹介します。🔽
ここまで出来たら化学強!
ここまで勉強ができたら、化学は共通テストで80%以上狙えて、難関校を目指せるレベルでしょう。学校の授業がなくても素晴らしい参考書や映像授業がありますので、上手く駆使して独学で化学を極めましょう。
一人で化学が伸びないときの選択肢と料金
独学で同じ単元を何度やっても解けないときは、覚え方ではなく「理解の順番」が崩れていることが多いです。まず独学の順番を見直し、それでも止まるなら、授業を受ける選択肢を料金で比べてください。

映像授業なら【東進ハイスクール・東進衛星予備校】。入学金33,000円+受講料85,800円/講座(2026年度)の積み上げ式で、化学だけ1講座から取れます。資料請求・1日体験・個別相談はそれぞれ公式サイトから申し込めます。
塾・予備校は「月額」ではなく1年間の総額で比べてください。オンライン塾は自習の管理まで含むかどうかで料金の意味が変わります。


化学の独学についてよくある質問
- 高校化学の独学はきついですか?
-
最初の理論化学の1〜2か月がいちばんきついですが、そこを7割の完成度で抜ければ、無機・有機は理論の知識で楽になります。きつくなる原因は「順番を飛ばす」「完璧を目指して止まる」「聞ける相手がいない」の3つです。
- 化学の独学は何か月かかりますか?
-
この記事のルートで理論3か月→無機・有機3か月→セミナー復習1か月→重要問題集3か月、合計10か月前後が目安です。過去問はその後に入ります。
- 化学基礎からやり直すべきですか?
-
化学基礎を履修済みなら、自信がなくても戻る必要はありません。理論化学の基礎(STEP3)の中で化学基礎の内容はもう一度出てくるので、そこで補えます。未履修の人だけ先に化学基礎を押さえてください。
- 独学は映像授業だけでもできますか?
-
説明を聞く段階は映像授業で十分ですが、解く段階は問題集が必要です。映像を見ただけで分かった気になるのが独学の一番の落とし穴なので、見た直後に必ず自分で解いてください。
- 独学で偏差値はどこまで伸びますか?
-
筆者はこの順番で化学だけなら偏差値70まで伸ばせました。塾の生徒にも同じルートを勧めていますが、止まらずに1周できた人はほぼ例外なく伸びています。伸びない場合は順番か聞ける相手のどちらかが欠けています。
おまけ:独学を成功させるコツ
独学は「一人で勉強すること」を指す言葉かと思いますが、分からない問題は聞ける環境を整えておきましょう。学校の先生でも塾の先生でも、得意な友達でも構いません。本当に1人で進めると、思わぬ時間が掛かってしまって成長が遅くなってしまうリスクがあります。
独学するための環境づくりを、参考書を買う前に済ませてください。
この記事の更新・訂正
- 東進の「無料」の表記を削除(公式サイトに「無料」の記載を確認できなかったため)
- 東進の受講料を2026年度の公式の額(85,800円/講座)に訂正
全記事の履歴は「訂正・更新の履歴」、調べ方と書き方は「記事の作り方」にまとめています。
この記事で確認した資料
高校化学が「理論・無機・有機」の3分野で構成されること(物質の状態と平衡、物質の変化と平衡、無機物質の性質、有機化合物の性質、化学が果たす役割)は、文部科学省の高等学校学習指導要領解説 理科編で確認しました。
参考書ルートと期間は、筆者の独学経験と塾での指導経験に基づきます(2026年9月13日確認)。
文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編」(化学)

独学に役立つサイトも下にまとめました。

【補足】暗記のヌケモレは、紙の教材だけで探すと効率が悪くなります。オンライン塾全体の比較はオンライン塾・個別指導塾12社の料金比較で解説しています。
【化学の勉強順序に迷ったら】この記事の内容をどの時期にやるべきかは化学の独学ロードマップ(4ステップ)で全体像を解説しています。
【塾に行かずに受験を考えている方へ】塾なしで受験を乗り切る条件と、足りない部分だけ外注する方法は塾なしで受験は可能?で解説しています。
無機の知識を一気に確認したいときは、一問一答100問が便利です。

有機分野の一問一答も用意しています。

理論分野(計算)の一問一答も用意しています。

高分子分野の一問一答も用意しています。


化学は分野ごとに性質が違うので、やる順番で効率が変わります。全8回の一問一答と、どの分野から手を付けるべきかをまとめました。

無機化学で覚えることの一覧と、暗記を減らす覚える順番は、こちらにまとめています。


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なお、ルートを組み替えて使わなくなった参考書が出てきたときは、捨てる前に買取を確認してください。次の参考書代の足しになります。


