有機化学は、覚える反応の数が多いうえに、入試では構造決定問題として大問1題まるごと出ることが多い分野です。参考書も「読んで分かる本」と「解いて慣れる本」と「構造決定だけの本」に分かれていて、どれから手を付けるかで迷いやすくなります。
この記事では、よく名前が挙がる有機化学の参考書6冊を、出版社の公式ページに載っている定価・ページ数・問題数・発売日だけで比べます。ランキングや口コミは使いません。そのうえで、今の状態に合わせた選び方と使う順番をまとめます。
初めて学ぶ・授業が分からない:宇宙一わかりやすい高校化学 有機化学(568頁)か 鎌田の有機化学の講義(352ページ)
基礎は読んだ・入試問題に慣れたい:坂田薫の有機化学ポラリス[1](20題)か 有機化学演習(例題56問+練習問題60問)
構造決定だけが解けない:ここで差がつく 有機化合物の構造決定問題の要点・演習(20テーマ+16題)
講義系と演習系を1冊ずつそろえても、定価の合計は3,300〜3,465円(計算)です。
有機化学の参考書6冊を公式の書誌情報で比較
6冊の定価・ページ数・中身を、各出版社の書籍ページの記載どおりに並べました。すべて税込で、2026年9月29日に確認した数字です。
| 参考書(出版社) | 定価(公式・税込) | ページ数(公式) | 種類 |
|---|---|---|---|
| 宇宙一わかりやすい高校化学 有機化学 改訂版(Gakken) | 1,870円 | 568頁 | 講義系 |
| 鎌田の有機化学の講義 五訂版(旺文社) | 1,870円 | 352ページ | 講義系 |
| 岡野の化学が初歩からしっかり身につく「無機化学」「有機化学」(技術評論社) | 1,650円 | 448ページ | 講義系(無機と合本) |
| 坂田薫の有機化学ポラリス[1 標準レベル](KADOKAWA) | 1,595円 | 224ページ | 演習系 |
| 有機化学演習 四訂版(駿台文庫) | 1,430円 | 252頁 | 演習系 |
| ここで差がつく 有機化合物の構造決定問題の要点・演習 改訂版(KADOKAWA) | 1,870円 | 272ページ | 構造決定 |
ページ数が多いから難しい、というわけではありません。宇宙一わかりやすい高校化学は左ページが解説、右ページがイラストの図解という作りなので、ページ数のわりに1ページの文字は少なめです。逆に有機化学演習は252頁に116問(56問+60問)が入っている問題集なので、1問ずつの密度が高くなります。
- 講義系は1冊で有機化学の全体が読める
- 演習系は入試問題で使い方を練習する
- 構造決定の本は苦手な人の追加用
- 発売日が新しいほど新課程の用語
講義系の3冊:最初の1冊はどれにするか
講義系は「授業を受けるように読める本」です。学校の授業が分からなかった単元を読み直す、独学で有機化学を始める、というときの1冊目になります。
| 講義系 | 公式の内容紹介の要点 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 宇宙一わかりやすい高校化学 有機化学 | たとえ話の解説(左)とイラストの図解(右)・別冊問題集と章末チェック | 初学者・化学が苦手 |
| 鎌田の有機化学の講義 | 理由がわかる説明・別冊「入試で使える最重要Point整理」(48ページ)付き | 授業は分かる・入試まで使いたい |
| 岡野の化学「無機化学」「有機化学」 | 無機化学と有機化学を1冊で・演習問題と例題のINDEX付き | 無機もまとめて読みたい |
宇宙一わかりやすい高校化学 有機化学 改訂版は、学研の公式ページに「初学者の人も読みやすく勉強しやすい構成」とあり、2023年2月24日の発売です。鎌田の有機化学の講義 五訂版は2024年4月18日発売で、旺文社の紹介では「単なる暗記にとどまらない、理由がわかる説明」が特徴です。入試直前に確認できる赤セルシート対応の別冊がついています。
岡野の化学が初歩からしっかり身につく「無機化学」「有機化学」は2023年11月9日発売で、無機化学と有機化学が1冊になっています。無機化学もこれから、という人は1冊で済みます。

迷ったら、書店で「アルコール」の章を開いて読み比べるのがいちばん確実です。3ページ読んで内容が頭に入るほうが、あなたに合う講義系です。
- 化学が苦手→宇宙一わかりやすい
- 入試まで1冊で通したい→鎌田
- 無機も一緒に→岡野
- 読むのは1冊だけにする
演習系の2冊:入試問題に慣れる

講義系を1周したら、入試問題の形で知識を使う練習に移ります。有機化学の入試問題は、知識を問題文のヒントに当てはめる作業がほとんどなので、読むだけでは点になりません。
| 演習系 | 問題数(公式) | 中身(公式) |
|---|---|---|
| 坂田薫の有機化学ポラリス[1 標準レベル] | 20題 | 有機化合物と高分子化合物から狙われやすいテーマ・構造決定の手順マニュアル |
| 有機化学演習 四訂版 | 例題56問+練習問題60問 | 第1章 基礎知識・第2章 入試の典型問題 |
坂田薫の有機化学ポラリス[1 標準レベル]は2023年10月2日発売の224ページで、KADOKAWAの紹介では「とくに狙われやすいテーマを20題厳選」しています。扱う単元は元素分析・炭化水素・アルコール・アルデヒド・ケトン・エステル・ベンゼン・フェノール・アニリン・芳香族の分離・構造決定の総合問題です。続編に[2 発展レベル]があります。
有機化学演習 四訂版は駿台文庫の問題集で、公式ページに「累計発行部数30万部」とあります。四訂版で新課程の教科書に合わせて用語を変えています。対象は高1〜高3で、公式の紹介は「構造決定問題を苦手とする受験生に最適」です。問題数が多いので、ポラリスで足りなかった人の2冊目にもなります。
- 1題ごとに自分で構造式を書く
- 解説の「知識」を講義系で確認
- 間違えた問題だけ2周目
- 20題なら1日2題で10日
構造決定が解けない人の1冊

構造決定問題は、分子式から不飽和度を出し、反応の結果から官能基を絞り込んでいく問題です。講義系で知識はあるのに点にならない人は、ここでつまずいています。
ここで差がつく 有機化合物の構造決定問題の要点・演習 改訂版は2024年9月11日発売の272ページです。KADOKAWAの紹介では、有機化学からの出題は「構造決定問題」がほとんどで、丸々大問1題となるため配点が高い、としています。第1章「要点整理編」で基礎知識と反応の流れを全20テーマの一問一答形式で確認し、第2章「問題演習編」で16題を解く構成です。
不飽和度の計算があやしい人は、先に当サイトの計算ツールで確認しておくと、構造決定の最初の一歩でつまずかなくなります。

- 講義系は読めたのに点にならない
- 分子式から候補を書き出せない
- 異性体を数え落とす
- 国公立の記述で大問が出る
状態別の参考書ルートと使う順番
今の状態ごとに、使う順番を表にしました。定価の合計は、各出版社の定価を足した額です。
| 今の状態 | 1冊目→2冊目 | 定価の合計(計算) |
|---|---|---|
| 初めて学ぶ | 宇宙一わかりやすい→ポラリス[1] | 3,465円 |
| 授業は分かる | 鎌田の講義→有機化学演習 | 3,300円 |
| 構造決定だけ苦手 | 手持ちの講義系→ここで差がつく | 1,870円(1冊) |
| 無機も終わっていない | 岡野の化学→ポラリス[1] | 3,245円 |
順番は「講義系を1周→演習系→間違えた単元だけ講義系に戻る」です。講義系を2周してから演習に入るより、1周したらすぐ演習に入って、解けなかった単元だけ読み直すほうが時間がかかりません。覚えたかどうかの確認には、当サイトの有機化学の一問一答100問も使えます。

- 講義系は1冊を1周で止めない
- 演習で間違えた単元に戻る
- 一問一答で抜けを確認
- 無機化学は別に時間を取る
参考書と一緒に使いたい無料の問題と記事
参考書を買う前に、今どこが抜けているかを確かめたいときは、当サイトの一問一答が無料で使えます。化学全体の順番は、独学の進め方の記事にまとめています。無機化学の範囲と覚える順番は、学習指導要領解説で確認した記事があります。



ひとりで進めるのが難しいとき:公式に単価を出している東進

独学に授業を足したいなら、大学受験で公式が単価を公表している【東進ハイスクール・東進衛星予備校】
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講座を取りすぎると総額が大きくなります。足りない科目だけ取る前提で見積もってください。

有機化学の参考書についてよくある質問
- 有機化学の参考書は何から始めればいいですか?
-
初めて学ぶなら講義系の1冊からです。化学が苦手なら宇宙一わかりやすい高校化学 有機化学、授業は分かるなら鎌田の有機化学の講義が、公式の内容紹介に合っています。
- 初心者に向いている有機化学の参考書は?
-
学研の公式ページに「初学者の人も読みやすく勉強しやすい構成」とある、宇宙一わかりやすい高校化学 有機化学 改訂版です。左ページが解説、右ページがイラストの図解になっています。
- 有機化学演習とポラリスはどちらがいいですか?
-
ポラリス[1]は20題で、構造決定の手順マニュアルがついています。有機化学演習は例題56問と練習問題60問で量が多い問題集です。先にポラリス、足りなければ有機化学演習の順が進めやすくなります。
- 構造決定問題だけが苦手です。
-
ここで差がつく 有機化合物の構造決定問題の要点・演習 改訂版が、構造決定に絞った1冊です。20テーマの一問一答で知識を確認してから、16題の演習に進みます。
- 有機化学の参考書は何冊必要ですか?
-
講義系1冊と演習系1冊の2冊で足ります。定価の合計は3,300〜3,465円です。構造決定が解けない場合だけ、構造決定の本を足してください。
この記事で確認した出版社の公式ページ
・Gakken「宇宙一わかりやすい高校化学 有機化学 改訂版」(定価・ページ数・発売日・構成)
・旺文社「大学受験Doシリーズ 鎌田の有機化学の講義 五訂版」(定価・ページ数・発売日・別冊)
・技術評論社「岡野の化学が初歩からしっかり身につく「無機化学」「有機化学」」(定価・頁数・発売日)
・KADOKAWA「坂田薫の有機化学ポラリス[1 標準レベル]」(定価・ページ数・題数・単元)
・駿台文庫「有機化学演習 [四訂版]」(価格・頁・例題と練習問題の数)
・KADOKAWA「改訂版 ここで差がつく 有機化合物の構造決定問題の要点・演習」(定価・ページ数・構成)
いずれも2026年9月29日に確認しました。価格は改訂や増刷で変わることがあるので、購入前に出版社のページで確かめてください。



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