モル計算は、化学基礎で最初にぶつかる壁です。質量、粒子の数、気体の体積、モル濃度と、問題ごとに求めるものが変わるので、公式をばらばらに覚えると混乱します。
この記事では、モル計算の公式を「物質量(mol)を真ん中に置く」1枚の図に整理し、例題で手順を確かめます。化学式を入れると途中式つきで計算するツールも置いたので、自分の答え合わせに使ってください。
物質量(mol)=質量(g)÷モル質量(g/mol)
物質量(mol)=粒子の数÷アボガドロ定数(6.02×1023 /mol)
物質量(mol)=気体の体積(L)÷22.4(L/mol)※0℃・1.013×105 Pa
モル濃度(mol/L)=溶質の物質量(mol)÷溶液の体積(L)
どの問題も、わかっている量をいったん mol に直してから、求める量に戻すと解けます。
モル計算ツール(途中式つき)
化学式は元素記号の大文字・小文字を正しく入力(例:H2O CO2 Ca(OH)2 CuSO4・5H2O)。個数は 3.01e23 のように e で指数を入力。
モル濃度の計算
※原子量は日本化学会「4桁の原子量表(2026)」の値、アボガドロ定数は 6.02214076×1023 /mol、気体の体積は 0℃・1.013×105 Pa で 1 mol=22.4 L として計算します。問題文で原子量が指定されているときは、その値で計算した答えを優先してください。

モル計算が苦手な生徒は、公式の数が多いと思い込んでいます。実際は「mol に直す」「mol から戻す」の2方向しかありません。ツールの途中式も、必ず mol を通る順番で出しています。
物質量(mol)とは?粒子6.02×1023個をひとまとめにした量
物質量は、原子や分子などの粒子の数で物質の量を表す考え方で、単位はモル(mol)です。鉛筆12本を「1ダース」とまとめるように、粒子を 6.02×1023 個ずつまとめて「1 mol」と数えます。
この 6.02×1023 /mol をアボガドロ定数といいます。2019年5月の単位の定義改定で、モルはアボガドロ定数に基づいて定義されるようになりました。現在の値は6.02214076×1023 /mol(NIST)で、高校の計算では 6.0×1023 や 6.02×1023 に丸めて使います。
ここでは,粒子の数に基づく量の表し方である物質量の概念を導入し,物質量と質量,物質量と気体の体積との関係について理解させることがねらいである。
文部科学省「高等学校学習指導要領解説 理科編 理数編」化学基礎
文部科学省の高等学校学習指導要領解説 理科編では、化学基礎で物質量とモルを導入し、原子量・分子量・式量やモル質量との関係、気体の体積と物質量、溶液のモル濃度を扱うとしています。中学校で習った質量パーセント濃度の次に来るのが、このモル濃度です。
- 質量(g):モル質量で割る
- 粒子の数(個):アボガドロ定数で割って mol に
- 気体の体積(L):22.4 L/mol で割る(0℃・1.013×105 Pa)
- モル濃度(mol/L):溶液の体積(L)をかける
モル計算の公式一覧|求めたい量ごとの早見表
モル計算で使う公式を、「mol に直す式」と「mol から戻す式」に分けて並べました。左の列の式を右から読めば、逆向きの計算になります。
| わかっている量 | mol に直す式 | mol から戻す式 |
|---|---|---|
| 質量 w(g) | n=w÷M | w=n×M |
| 粒子の数 N(個) | n=N÷(6.02×1023) | N=n×6.02×1023 |
| 気体の体積 V(L) | n=V÷22.4 | V=n×22.4 |
| モル濃度 c(mol/L)と体積 v(L) | n=c×v | c=n÷v |
表の n は物質量(mol)、M はモル質量(g/mol)です。モル質量は、原子量・分子量・式量に単位 g/mol をつけたもので、水 H2O なら分子量 18.02 から 18.02 g/mol になります。
g÷(g/mol)=mol、個÷(個/mol)=mol、L÷(L/mol)=mol。単位が mol になる組み合わせなら、式の向きは合っています。割るかかけるかで迷ったら、単位を書いて確かめてください。
質量から物質量を求める|モル質量は原子量の合計

質量から物質量を出すには、まずモル質量を求めます。化学式に含まれる原子の原子量を、個数分だけ足し合わせます。
日本化学会の「4桁の原子量表(2026)」では、水素 H=1.008、炭素 C=12.01、窒素 N=14.01、酸素 O=16.00、ナトリウム Na=22.99、塩素 Cl=35.45 です。
| 物質 | 化学式 | モル質量の計算 |
|---|---|---|
| 水 | H2O | 1.008×2+16.00=18.02 g/mol |
| 二酸化炭素 | CO2 | 12.01+16.00×2=44.01 g/mol |
| 塩化ナトリウム | NaCl | 22.99+35.45=58.44 g/mol |
| 水酸化カルシウム | Ca(OH)2 | 40.08+(16.00+1.008)×2=74.10 g/mol |
例題:水 9.0 g は何 mol か。モル質量 18.02 g/mol で割って、9.0÷18.02=0.4994… なので、約0.50 molです。
問題文に「H=1.0、O=16」と原子量が指定されていれば、モル質量は 18 g/mol になり、9.0÷18=0.50 mol とぴったり割り切れます。テストでは必ず問題文の原子量を使ってください。4桁の値で計算すると、答えの最後の桁がずれることがあります。
粒子の数から物質量を求める|アボガドロ定数で割る
粒子の数(原子や分子の個数)と物質量は、アボガドロ定数でつながっています。1 mol あたりの粒子の数が 6.02×1023 個なので、個数をこの数で割ると mol になります。
例題:酸素分子 3.01×1023 個は何 mol か。3.01×1023÷(6.02×1023)=0.500 なので、0.500 molです。
逆に、水 0.50 mol に含まれる水分子の数は、0.50×6.02×1023=3.01×1023 個です。原子の数を聞かれたら、分子1個に含まれる原子の数をかけます。水分子1個には原子が3個(H が2個、O が1個)あるので、原子の総数は 3.01×1023×3=9.03×1023 個です。
- 「分子の数」か「原子の数」かを必ず確かめる
- イオンの数は、電離したあとの個数で数える
- 指数の計算は 10 の肩の数を足し引きする
- 答えの有効数字は問題文の数字にそろえる
気体の体積から物質量を求める|22.4 L と 22.7 L の違い

気体は、種類に関係なく同じ温度・同じ圧力なら、同じ物質量で同じ体積になります。0℃・1.013×105 Pa では、気体 1 mol の体積が22.4 Lです。
例題:0℃・1.013×105 Pa で二酸化炭素 11.2 L は何 mol か。何 g か。11.2÷22.4=0.500 mol。質量は 0.500×44.01=22.0 g です。
ここで注意したいのが、「標準状態」の圧力の決め方です。NISTの値では、0℃(273.15 K)・101.325 kPa のとき気体 1 mol の体積は 22.413 969 54 L ですが、0℃・100 kPaでは 22.710 954 64 L になります。
| 条件 | 1 mol の体積 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 0℃・1.013×105 Pa(101.325 kPa) | 22.4 L | 高校化学で「0℃・1.013×105 Pa」とある問題 |
| 0℃・1.000×105 Pa(100 kPa) | 22.7 L | 問題文が 100 kPa を条件にしている場合 |
| 0℃・1.013×105 Pa 以外 | その都度計算 | 気体の状態方程式 PV=nRT を使う(化学) |
問題文に温度と圧力が書いてあるかを必ず確かめてください。0℃・1.013×105 Pa 以外の条件では 22.4 L は使えず、化学(化学基礎の次の科目)で習う気体の状態方程式で計算します。学習指導要領解説でも、化学では理想気体の状態方程式を扱い、気体の分子量測定にも触れるとしています。
モル濃度の計算|溶質の mol を溶液の L で割る
モル濃度は、溶液 1 L に溶けている溶質の物質量で、単位は mol/L です。ポイントは、分母が溶媒(水)の体積ではなく、溶液全体の体積であることです。
例題:塩化ナトリウム 5.844 g を水に溶かして 500 mL の水溶液にした。モル濃度は何 mol/L か。物質量は 5.844÷58.44=0.1000 mol。体積を L に直すと 500 mL=0.500 L。モル濃度は 0.1000÷0.500=0.200 mol/Lです。
例題:0.10 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液を 250 mL つくるには、NaOH が何 g 必要か。必要な物質量は 0.10×0.250=0.025 mol。NaOH のモル質量は 22.99+16.00+1.008=40.00 g/mol なので、0.025×40.00=1.0 gです。
mL を L に直し忘れて、0.1000÷500 と計算してしまうミスです。体積は必ず L に直してから割る。ツールでも、途中式に「500 mL=0.5 L」と書き出しています。
質量パーセント濃度とモル濃度を行き来する問題では、溶液の密度(g/cm3)が問題文に与えられます。溶液 1 L(1000 cm3)の質量を密度から出し、その中の溶質の質量→物質量の順に計算します。
化学反応式とモル計算|係数の比は物質量の比

化学反応式の係数の比は、物質量の比を表します。質量の比ではない点に注意してください。学習指導要領解説も、係数の比が質量の比ではなく物質量の比を表していることに気付かせる、と書いています。
たとえば 2H2+O2→2H2O では、水素 2 mol と酸素 1 mol が反応して水 2 mol ができます。水素 4.0 g(問題文の原子量 H=1.0 なら 2.0 mol)を燃やすと、水は 2.0 mol、質量にして 2.0×18=36 g できます。
- わかっている物質の量を mol に直す
- 係数の比で、求める物質の mol を出す
- 求める物質の mol を、g・L・個に戻す
- 係数の合わせ方は化学反応式の記事で確認
係数の合わせ方に自信がないときは、化学反応式の覚え方と係数の合わせ方を先に読んでください。物質量の用語を一問一答で確かめたいときは、理論化学 一問一答が使えます。
モル計算が苦手な人の練習の順番
モル計算は、公式を覚えただけでは解けるようになりません。塾では次の順番で練習させています。
| 順番 | 練習すること | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | 化学式からモル質量を出す | H2O・CO2・NaCl など身近な物質で |
| 2 | 質量⇔物質量の変換 | g と mol を往復する |
| 3 | 粒子数・気体の体積⇔物質量 | 指数の計算に慣れる |
| 4 | モル濃度 | mL→L の変換を毎回書く |
| 5 | 化学反応式の量的関係 | mol→係数の比→mol の流れ |
1と2で迷うなら、上のツールで自分の答えを確かめながら進めてください。途中式のどこで数字がずれたかが見えると、計算ミスなのか、考え方のミスなのかが分かります。化学全体の進め方は化学の独学ロードマップにまとめています。
ひとりで進めるのが難しいとき:公式に単価を出している東進
独学に授業を足したいなら、大学受験で公式が単価を公表している【東進ハイスクール・東進衛星予備校】
があります。入学金33,000円+受講料77,000円/講座の積み上げ式で、高3で4講座なら年447,700円が目安。資料請求・1日体験・個別相談がそれぞれ無料です。
講座を取りすぎると総額が大きくなります。足りない科目だけ取る前提で見積もってください。

モル計算についてよくある質問
- モル計算の公式は何がありますか?
-
物質量(mol)=質量÷モル質量、=粒子の数÷アボガドロ定数、=気体の体積÷22.4(0℃・1.013×105 Pa)、モル濃度=溶質の物質量÷溶液の体積(L)です。どれも「いったん mol に直す」ための式です。
- モル質量と分子量の違いは何ですか?
-
分子量は単位のない相対的な質量で、モル質量はそれに g/mol をつけたものです。水の分子量が 18.02 なら、モル質量は 18.02 g/mol です。
- 22.4 L はいつでも使えますか?
-
使えるのは、気体が 0℃・1.013×105 Pa のときだけです。0℃・100 kPa なら約 22.7 L、それ以外の温度や圧力では気体の状態方程式で計算します。
- 原子量は H=1.008 と H=1.0 のどちらを使えばよいですか?
-
テストや入試では、問題文に書かれた原子量を使います。指定がないときの参考値として、日本化学会の4桁の原子量表(H=1.008 など)があります。
- モル濃度の計算で mL のまま割ってはいけませんか?
-
いけません。モル濃度の単位は mol/L なので、溶液の体積は L に直してから割ります。500 mL なら 0.500 L です。
この記事で確認した資料
物質量・モル質量・気体の体積・モル濃度・化学反応式の係数の扱いは、文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 理科編 理数編」の化学基礎・化学で確認しました。原子量は日本化学会 原子量専門委員会「原子量表(2026)」の4桁の原子量表、アボガドロ定数と気体のモル体積は NIST のアボガドロ定数・モル体積(101.325 kPa)・モル体積(100 kPa)のページの値です(2026年9月29日確認)。




コメント