- 向かい合う角の和は180°(∠B=120° なら ∠D=60°)。cos D=−cos B になる
- 外接円の半径R…対角線で三角形に分けて正弦定理 R=a/(2 sin A)
- 内接円の半径r…三角形の面積を2通りに表して S=(1/2)r(a+b+c) から
- 辺の長さは余弦定理。対角線を2つの三角形から2通りに表すのが定番
円に内接する四角形の性質4つ
「円に内接する四角形」は、4つの頂点がすべて1つの円の上にある四角形です。次の4つの性質は、そのまま問題の入口になります。
| 性質 | 内容 | 問題での使い方 |
|---|---|---|
| ① 対角の和 | 向かい合う角の和は 180°(∠A+∠C=∠B+∠D=180°) | ∠B が分かれば ∠D が出る。cos D=−cos B |
| ② 外角 | 1つの外角は、その内対角(向かいの内角)に等しい | 角度を追う問題・証明問題 |
| ③ 円周角 | 同じ弧に対する円周角は等しい(∠BAC=∠BDC など) | 相似・角度の問題 |
| ④ トレミーの定理 | AC×BD=AB×CD+AD×BC(対角線の積=対辺の積の和) | 対角線の長さを一発で出す(検算にも使える) |
逆に、対角の和が180°なら、その四角形は円に内接する(性質①の逆)も成り立ちます。「四角形が円に内接することを示せ」という問題は、ほぼこれで解きます。

この記事の問題(AB=5, BC=3, CD=5, AD=8, AC=7)でトレミーの定理を使うと、もう1本の対角線は BD=(5×5+8×3)/7=7 と出ます。試験で使う機会は少ないですが、検算の道具として持っておくと安心です。
四角形の外接円の半径Rの求め方【正弦定理】
四角形の外接円は、対角線で分けた三角形の外接円と同じ円です。だから三角形1つを取り出して正弦定理を使えば、四角形の外接円の半径が求まります。
正弦定理:a/sin A=2R → R=a/(2 sin A)
(a はある辺、A はその辺に向かい合う角)
この記事の問題では、△ABC で AC=7、∠B=120° なので
R=AC/(2 sin B)=7/(2 sin 120°)=7/√3=7√3/3
「辺」と「その向かいの角」のペアが1組分かれば求まります。分かっているペアがなければ、先に余弦定理で辺を出してから正弦定理に入ります。
内接円の半径rの求め方【面積を2通りに表す】
内接円は「図形の内側で3辺(または4辺)に接する円」です。三角形の内接円の半径は、面積を2通りに表すことで求めます。
三角形の面積 S=(1/2)ab sin C = (1/2)r(a+b+c)
→ r=2S/(a+b+c)
この記事の問題の △ACD は AC=7、CD=5、AD=8、∠D=60° なので、S=(1/2)×5×8×sin 60°=10√3。よって r=2×10√3/(7+5+8)=√3 です。
- 四角形に内接円が存在するのは AB+CD=BC+AD(向かい合う辺の和が等しい)とき
- そのとき半径は r=2S/(AB+BC+CD+DA)(面積を4つの三角形に分けて足す)
- 高校の定期テストで問われるのはほぼ「三角形の内接円」。四角形版は発展として知っておけば十分

外接円は正弦定理、内接円は面積。この2行だけでも覚えて帰ってください。(3)(4)で手が止まる生徒は、ほぼこの2つを取り違えています。
定期テスト頻出の問題:AB=5, BC=3, CD=5, ∠B=120°
円に内接する四角形ABCDにおいて、 AB=5 BC=3 CD=5 B=120°である時の値を求めよ。
(1)AC (2)AD (3)円の半径R (4)△ACDの内接円の半径r
主に定期テストで問われることが多いタイプの問題です。必ずマスターしましょう!
解答例
まずは図示してみましょう。フリーハンドでなるべく正確に書くとおおよその検討がつくため、練習から丁寧に図を描いてみましょう。

では以降順番に解いていきます。解答に至る発想もご紹介していきます。
(1) ACの大きさ

ACはこの四角形の対角線ですのでACを結んでみます。すると△ABCにて余弦定理が使えます。
AC2 = 52+32-2×5×3×cos120° = 25+9+15 =49
ここでACは辺の長さなので、必ず正になることに注意すると、AC=7 となります。

cos120°の値がわからないという方は、そこを先に復習した方が良いです!
(2) ADの大きさ
ADを求める前に重要事項を確認しましょう。円に内接する四角形の対角の和は180°になります。とても重要な性質になりますので覚えておきましょう。今回その性質を使うと角ADCは60°になります。(下図)

ここで△ACDにて再度余弦定理を使いましょう。
72 = AD2+52-2×AD×5×cos60°
49 = AD2+25-5AD
(AD+3)(AD-8) = 0
ここでAD>0 ですので AD = 8となります。

対角のsinは同じ値に、cosは符号が反対になることを覚えておくと時短に繋がりますよ!
(3) 円の半径R
今回のように、三角形に外接する円のことを「外接円」といいます。外接円の半径を求める問題では「正弦定理」を使いましょう。すると計算は以下のようになります。
2R = 7 / sin60°
= 14/√3
よって R = 7/√3 = 7√3/3
(4) △ACDの内接円の半径r
△ACDの内接円を図にすると以下のようになります。

ここで、内接円の半径 r を求める以下の公式があります。三角形の3辺の長さをa, b, c、三角形の面積をSとすると
S=r/2×(a+b+c)
従って、まずは三角形の面積Sを求めます。三角形の面積公式 S=1/2×a×b×sinCを用いると
S (△ACD)
= (1/2)×5×8×sin60°
= 20×(√3/2)
= 10√3 となります。
次に公式の右辺の計算で面積Sを計算すると
S (△ACD)
= (1/2)×r×(7+8+5)
= 10r となります。
この2つは当然同じですのでイコールで結んで答えが得られます。
10r = 10√3
よって r = √3
定理の使い分けフローチャート
図形問題で手が止まる原因は、知識不足ではなく「どの定理を使えばいいか判断できない」ことです。三角比の分野で使う定理は実質4つしかないので、条件から選べるように整理しておきましょう。
| 与えられている条件 | 使う定理 | 求まるもの |
|---|---|---|
| 2辺とその間の角 | 余弦定理 | 残りの1辺 |
| 3辺 | 余弦定理(変形) | 角のcos |
| 1辺と両端の角(または対角) | 正弦定理 | 他の辺 |
| 外接円の半径を求めたい | 正弦定理 | R = a /(2sinA) |
| 内接円の半径を求めたい | 面積の2通り表現 | S = (1/2)r(a+b+c) から r |
| 面積を求めたい | S=(1/2)ab sinC | 面積S |
※この表を頭に入れておけば、問題文を読んだ瞬間に方針が立ちます。
- 向かい合う角の和は180°…∠B=120°なら∠D=60°。この性質を使わないと解けない問題がほとんどです
- cos D = −cos B…180°−θの関係なのでcosの符号が逆になります。ここが最頻出のミス
- 対角線で2つの三角形に分ける…四角形のままでは扱えないので、必ず対角線を引いて三角形に持ち込みます
- 共通の対角線を2通りで表す…両方の三角形から同じ対角線を余弦定理で表し、等式を作るのが定番の解法

この問題で差がつくのは(3)と(4)です。外接円は正弦定理、内接円は面積から——この2つは混同しやすいので、セットで覚えてください。
類題で確認しよう
同じ考え方で解ける類題です。上のフローチャートを使って方針を立ててみてください。
【類題】円に内接する四角形ABCDにおいて、AB=4、BC=5、CD=7、∠B=60°のとき、(1)AC (2)AD (3)四角形ABCDの面積 を求めよ。
- (1) △ABCで2辺と間の角が既知 → 余弦定理でAC
- (2) ∠D=180°−60°=120°。△ACDでcos120°=−1/2を使い、ADについての2次方程式を解く
- (3) 2つの三角形の面積の和。S=(1/2)ab sinC をそれぞれに適用
- ※(2)で2次方程式の解が2つ出たら、長さは正という条件で片方を除外するのを忘れずに
この単元でよくある失点
①cosの符号ミス
鈍角のcosは負です。∠D=120°のとき cos D = −1/2。ここで符号を落とすと、以降の計算がすべてずれます。90°より大きい角が出てきたら符号を疑う癖をつけてください。
②2次方程式の解の吟味を忘れる
辺の長さを求めて2つの解が出た場合、負の解は必ず除外します。また、正の解が2つ出た場合は問題の条件(他の辺との関係や角の大きさ)で吟味が必要なこともあります。
③外接円と内接円の混同
外接円=四角形の外側を通る円(正弦定理)、内接円=三角形の内側に接する円(面積から)。問題文の「外接」「内接」を線で囲んでから解き始めると間違いません。
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円に内接する四角形のよくある質問
- 円に内接する四角形の性質は何ですか?
①対角の和が180°、②外角は内対角に等しい、③同じ弧の円周角は等しい、④トレミーの定理(AC×BD=AB×CD+AD×BC)の4つです。問題で最も使うのは①です。
- 四角形の外接円の半径はどう求めますか?
対角線で三角形に分け、正弦定理 R=a/(2 sin A) を使います。四角形の外接円と、分けた三角形の外接円は同じ円です。
- 円に内接する四角形の内接円の半径は?
問題で問われるのはふつう「対角線で分けた三角形の内接円」で、r=2S/(a+b+c)(Sは三角形の面積)で求めます。四角形自体に内接円があるのは AB+CD=BC+AD のときだけです。
- 円に内接する四角形の辺の長さはどう求めますか?
余弦定理です。対角線を引いて2つの三角形を作り、同じ対角線を両方の三角形から余弦定理で表して等式を作ると、未知の辺についての2次方程式になります。
- 円に内接する四角形は何年生で習いますか?
性質(対角の和180°など)は数学A「図形の性質」、正弦定理・余弦定理で辺や半径を求めるのは数学I「図形と計量」です。どちらも高1で扱う学校が多く、学習指導要領解説にも両者の関連に配慮するよう書かれています。
まとめ:辺は余弦定理・外接円は正弦定理・内接円は面積
円に内接する四角形の問題は、①対角の和180°で角を出す → ②対角線で三角形に分けて余弦定理 → ③外接円は正弦定理、内接円は面積の順で必ず解けます。定期テストではこの型がそのまま出ます。
この記事で確認した資料
正弦定理・余弦定理が数学I「図形と計量」、円に内接する四角形の性質が数学A「図形の性質」で扱われることは、文部科学省の高等学校学習指導要領解説 数学編で確認しました。問題と解答は塾で使っている定期テスト対策のものです(2026年9月13日確認)。
文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編」
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