大学の志望理由書で「800字」はよく見る字数ですが、設問の文は大学ごとに違います。「志望理由と学ぶ意義」を聞く大学もあれば、「卒業後の未来像」を先に書かせる大学、「自己アピール」まで一緒に求める大学もあります。
この記事では、2027年度の募集要項で800字の設問を実際に確かめ、設問のタイプ別に例文を3本載せます。例文は、当サイトが作った架空の見本です。そのまま写すと、あなたの経験と合わないうえ、大学によっては不正行為になります。構成と字数の配分だけを参考にしてください。
結論:800字の志望理由書は、設問が3タイプに分かれる
| 大学(2027年度) | 800字の設問(要項の文) | タイプ |
|---|---|---|
| 立正大学 総合型 | 志望する学科の志望理由とその学科で学ぶ意義 | ①志望理由+学ぶ意義 |
| 東京農業大学 総合型 | 卒業後の未来像と、それを実現するために志望学科で学ぶ理由 | ②将来像+学ぶ理由 |
| 明治学院大学 自己推薦AO(心理学科) | アドミッション・ポリシーに照らした志望理由と自己アピール | ③志望理由+自己アピール |
立正大学の出願書類は「800字以内でまとめなさい」、東京農業大学の募集要項は「800字以内で入力してください」、明治学院大学の要項は「800字程度でまとめてください」と書いています。同じ800字でも、「以内」と「程度」、手書きと入力の違いがあります。
文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項も、大学入学希望理由書を使う場合は、入学希望理由や入学後に学びたい内容・計画、大学卒業後を見据えた目標等を記載させるよう大学に求めています。3タイプとも、この「なぜ・何を・その先に」を800字に収める点は共通です。
- 設問の文をそのまま書き写す
- 「以内」か「程度」か
- 手書きか入力か
- アドミッション・ポリシーの有無
800字の字数配分(当サイトの目安)
800字は、原稿用紙2枚分です。4つのブロックに分けると書きやすくなります。次の配分は要項の決まりではなく、当サイトが例文を作るときに使った目安です。
| ブロック | 字数の目安 | 書くこと |
|---|---|---|
| ①結論 | 60〜100字 | 何を学びたくて志望するか |
| ②きっかけ | 200〜250字 | 具体的な経験と、そこで生まれた疑問 |
| ③大学で学ぶこと | 250〜300字 | その大学・学科でしか解けない理由 |
| ④将来 | 120〜180字 | 卒業後の目標と、最後の一文 |
タイプ②(将来像)は④を冒頭に置き、タイプ③(自己アピール)は③と④の間に強みを150字ほど入れます。以下の例文は、この配分で書いています。
- きっかけの経験談が長すぎる
- 大学の説明がパンフレットの写し
- 将来が「社会に貢献したい」だけ
- 最後に結論を言い直さない
例文①「志望理由と学ぶ意義」型(法学部・793字)
立正大学のように「志望理由とその学科で学ぶ意義」を聞く設問の見本です。「意義」を聞かれたら、学んだ結果自分に何ができるようになるかまで書きます。
私が法学科を志望する理由は、身近な人が契約のトラブルに巻き込まれたとき、法律の知識があれば早く助けられると実感したからです。
高校二年の夏、一人で暮らす祖母の家に、屋根の点検を名目にした業者が訪れ、高額な工事の契約を結んでしまいました。祖母は断り方が分からず、家族に相談したのは数日後でした。母と一緒に消費生活センターに電話し、訪問販売にはクーリング・オフという制度があると教わり、契約を解除できました。このとき私は、制度があっても、知らなければ使えないという事実に強い衝撃を受けました。
その後、学校の図書館で消費者法の入門書を読み、契約は当事者の合意で成り立つ一方、情報や交渉力に差がある場合には、法律が弱い立場の人を守る仕組みを用意していることを知りました。ただ、なぜその線引きになっているのかという理由までは、独学では理解しきれませんでした。たとえば、同じ契約でも、店で結ぶ場合と自宅で勧誘されて結ぶ場合とで扱いが変わる理由を、自分の言葉で説明できませんでした。
貴学の法学科では、一年次から民法の基礎を学び、判例を読み込むゼミで議論できると知りました。私は消費者と事業者の契約の問題を、条文と判例の両面から学びたいと考えています。とくに、高齢者が当事者になる契約で、本人の意思をどう確かめるかという問題を深めたいです。授業で学んだことを、実際の相談事例に当てはめて考える力もつけたいです。
私にとって法学科で学ぶ意義は、知識を増やすことだけではなく、困っている人の話を聞き、どの制度が使えるかを筋道立てて説明できる力を養えることにあります。祖母のときに私ができたのは電話をかけることだけでしたが、次は自分で説明できる人になりたいです。
卒業後は、自治体の消費生活相談の分野で働き、制度を知らずに困る人を減らすことを目標にしています。その土台を貴学の法学科で築きたいと考え、志望しました。

「学ぶ意義」は、法学の一般的な意義ではなく、あなたにとっての意義を書く欄です。例文では「祖母のときは電話しかできなかった」という経験と結びつけています。
「貴学の法学科では〜」の部分は、実際の大学のカリキュラムやゼミの名前に置き換えてください。大学のホームページやシラバスに書かれていないことは書かないでください。
例文②「将来像と学ぶ理由」型(農学部・768字)

東京農業大学のように「卒業後の未来像」と「志望学科で学ぶ理由」をセットで聞く設問の見本です。未来像から書き始め、そこから逆算して「だから今この学科で学ぶ」とつなげます。
私は将来、地域の農家と協力しながら、使われなくなった畑を再び作物が育つ土地に戻す仕事に就きたいと考えています。
私の住む町では、高齢を理由に農業をやめる家が増え、通学路沿いにも草に覆われた畑が目立つようになりました。高校の総合的な探究の時間に、その畑の持ち主に話を伺ったところ、「もう一度耕したいが、土が固くなって何から手をつければよいか分からない」と言われました。持ち主の方は、子どもの世代も町を離れていて、畑を引き継ぐ人がいないとも話していました。放置された畑は、草を刈るだけでは元に戻らないと初めて知りました。
そこで探究の授業で、耕作されている畑と放置された畑の土を少しずつ持ち帰り、水はけの違いを比べる簡単な実験をしました。放置された畑の土は水が染み込むまでに明らかに時間がかかり、見た目では分からない変化が起きていることを確かめられました。一方で、なぜそうなるのか、どうすれば改善できるのかは、高校の知識では説明できませんでした。
貴学の農学科では、土壌や作物について実習を通して学べると知りました。私は土の性質を測る方法と、土を回復させる栽培の工夫を体系的に学び、探究で抱いた疑問に答えを出したいと考えています。また、実際に農地を再生させるには、持ち主や地域の人との合意も欠かせないため、農業経営や地域の制度についても学びを広げたいです。学んだ方法は、地元の畑で試しながら確かめたいと考えています。
卒業後は、自治体の農業振興の部署や農業法人で、放置された畑を地域の人と一緒に再生する取り組みに関わりたいです。十年後には、私の町の通学路沿いの畑で、再び作物が育っている姿を見ることが目標です。探究で話を伺った持ち主の方にも、学んだ成果を伝えに行くつもりです。その未来を現実のものとするために、貴学の農学科で学びたいと考えています。
このタイプは、未来像が大きすぎると学科とのつながりが弱くなります。例文では「通学路沿いの畑」という身近な場所を目標にして、学ぶ内容(土壌・栽培・地域の制度)を具体的にしています。探究の授業で調べたことがあれば、その結果と、分からなかったことをはっきり分けて書きます。
- 未来像が1文で言える
- 学科で学ぶ内容とつながる
- 探究の結果と疑問を分けた
- 最後に未来像に戻っている
例文③「志望理由と自己アピール」型(心理学部・770字)
明治学院大学の心理学科のように、アドミッション・ポリシーに照らして志望理由と自己アピールをまとめる設問の見本です。自己アピールは、大学での学び方に役立つ強みを1つだけ選びます。
私が心理学科を志望するのは、人が悩みを言葉にできるようになるまでの過程を、科学的な方法で学びたいからです。
高校ではバスケットボール部のマネージャーを三年間務めました。二年の冬、試合に出られない時期が続いた部員が、練習に来なくなったことがあります。最初は「大丈夫?」と声をかけても返事がありませんでしたが、練習メモの内容に触れて「この前のシュート練習、回数を増やしていたね」と具体的に話しかけると、少しずつ自分の考えを話してくれるようになりました。同じ気づかいでも、言葉のかけ方で相手の反応が大きく変わることに驚きました。
この経験から、人の心の動きに関心を持ち、心理学の入門書を読みました。そこで、心理学は実験や調査によって人の心の働きを確かめる学問であると知り、私が部活で感じたことも、方法を学べば確かめられるのではないかと考えるようになりました。たとえば、声のかけ方によって相手が話しやすくなるかどうかは、条件をそろえて比べれば確かめられるはずです。
貴学科のアドミッション・ポリシーに示された、人への関心を学問として深める姿勢は、私の目指す学び方と重なります。入学後は、研究法と統計の基礎を身につけたうえで、人が相談しやすくなる条件を調べる研究に取り組みたいです。
私の強みは、相手の小さな変化に気づき、記録して次に生かせることです。マネージャーとして部員一人ひとりの練習メモを毎日つけ、調子の波を顧問の先生と共有してきました。練習メモは三年間でノート数冊分になり、部員から「ちゃんと見てくれている」と言われたことが自信になりました。この習慣は、観察した事実をもとに考える心理学の学びにも役立つと考えています。
将来は、学校や地域で、悩みを抱えた人が早く相談できる仕組みづくりに関わりたいです。そのために貴学科で学びたいと考え、志望しました。
アドミッション・ポリシーは、各大学のホームページや募集要項に載っています。例文の「人への関心を学問として深める姿勢」の部分は、実際のポリシーの言葉を読み、あなたの経験と重なる部分を選んで書き換えてください。
手書きか入力か:2027年度の要項の決まり
800字の志望理由書は、書く中身だけでなく、書き方の決まりも大学ごとに違います。確認した要項の決まりは次のとおりです。
| 大学 | 書き方 | 訂正のしかた |
|---|---|---|
| 立正大学 | 自筆・横書き・黒のボールペン(消せるボールペン不可) | 修正液等で訂正 |
| 東京農業大学 | 入力(募集要項掲載サイトの様式) | 入力なので書き直せる |
| 明治学院大学(心理学科) | 自筆・黒のペンまたはボールペン | 修正液またはテープ可 |
立正大学と明治学院大学は、どちらもA4サイズの紙に片面印刷して提出する様式です。手書きの場合は、下書きを800字ちょうどで仕上げてから清書すると、書き直しの回数を減らせます。
- 下書きをパソコンで字数確認
- 消せるボールペンを使わない
- 訂正方法を要項で確認
- 清書は1段落ずつ区切って書く
生成AIと例文の使い方:要項のルール
2027年度の要項では、生成AIの扱いも明記されています。東京農業大学は、原則として生成AIにより生成された文章等をそのまま使用することは認めないとしています。明治学院大学も、生成AIによって生成されたものをそのまま使用することは、受験生独自の成果物とはみなさないと書いています。
生成 AI によって生成されたものをそのまま使用することは、受験生独自の成果物とはみなしません。
明治学院大学「2027年度 自己推薦AO入学試験要項」
この記事の例文も同じ扱いです。書き写すのではなく、「結論→きっかけ→大学で学ぶこと→将来」の順番と、各ブロックの字数だけを借りて、あなたの経験で書いてください。書き方の基本と書き出しの型は、次の記事でまとめています。

800字に収まらない・足りないときの直し方
800字の志望理由書で多いのは、「きっかけ」を書きすぎて大学で学ぶことが入らない失敗と、「将来」が抽象的で字数が足りない失敗です。
| 困っていること | 直し方 |
|---|---|
| 800字を超える | きっかけの説明を1場面に絞る |
| 大幅に足りない | 大学で学びたい授業・ゼミを具体的に書く |
| どの大学にも出せる文になる | その学科の授業名や方針の言葉を入れる |
| 「程度」の幅が分からない | 大学の入試課に問い合わせる |
「800字程度」の幅について、確認した要項には何字から何字までという定めは書かれていませんでした。迷ったら800字に近づけ、大学に確認するのが確実です。総合型選抜の仕組みそのものや、評定平均の出し方は次の記事で確認できます。


よくある質問
- 志望理由書の800字は、何割書けばよいですか?
-
確認した要項には下限の定めはありませんでした。「以内」なら800字を超えないこと、「程度」なら800字に近づけることを目安にし、迷ったら大学の入試課に確認してください。
- 800字の志望理由書の構成は?
-
当サイトの目安は、結論60〜100字、きっかけ200〜250字、大学で学ぶこと250〜300字、将来120〜180字の4ブロックです。設問が将来像から聞く場合は、将来を冒頭に置きます。
- 例文をそのまま使ってもいいですか?
-
使わないでください。あなたの経験と合わないうえ、東京農業大学や明治学院大学の要項では、生成AIの文章をそのまま使うことも認めない、または独自の成果物とみなさないとしています。例文は構成と配分の参考にとどめてください。
- 手書きと入力のどちらですか?
-
大学によって違います。2027年度の要項では、立正大学と明治学院大学(心理学科)は自筆、東京農業大学は入力でした。
- 「志望理由」と「学ぶ意義」の違いは?
-
志望理由は「なぜこの学科を選んだか」、学ぶ意義は「学んだ結果、自分に何ができるようになるか」です。立正大学のように両方を聞く設問では、2つを分けて書きます。
この記事で確認した資料
・立正大学「2027年度 総合型選抜入学試験 出願書類(エントリーシート・志望理由書)」
・東京農業大学「総合型選抜 全学部 募集要項 2027」
・明治学院大学「2027年度 自己推薦AO入学試験要項」
・文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」
いずれも2026年10月1日に確認しました。例文3本は当サイトが作成した架空の見本です。


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