「内申点が低いから、もう行ける高校がない」「当日のテストで取り返せるなら内申点は関係ないのでは」。どちらも、中3の秋によく出てくる疑問です。
答えは、公立高校の一般入試なら内申点(調査書点)はほぼ必ず使われる。ただし、合否に占める割合は都道府県と学校で大きく違うです。
この記事では、令和9年度(2027年春)入試の都立高校の実施要綱・千葉県の一般入学者選抜・埼玉県の選抜要領の原文で、学力検査と内申点の配点を確かめます。
「計算」と書いた数字は、要綱の配点から出したものです。
結論:都立・千葉・埼玉の一般入試は内申点を使う。割合は2〜4割
| 都県(令和9年度) | 学力検査 | 内申点(調査書) |
|---|---|---|
| 東京(都立) | 700点(7:3) | 300点 |
| 千葉 | 500点 | 135点×K(0.5〜2) |
| 埼玉(共通選抜) | 500点 | 200・300・400点 |
3都県とも、一般入試の合否は学力検査の点と内申点を足した合計で決まります。内申点を全く使わない一般入試は、この3都県の要綱にはありません。
ただし例外があります。都立高校の一部は、受検者ごとに7:3と10:0(学力検査だけ)の両方で計算して、高いほうを使うと要綱に書かれています。この学校なら、内申点が低くても当日点だけで勝負できます。
- 3都県の一般入試は内申点を使う
- 割合は2〜4割(計算)
- 都立に10:0も使う学校がある
- 推薦入試は内申点の比重が大きい

「内申点は関係ない」と言われるのは、当日点の比重のほうが大きいからです。関係ないのではなく、内申点の差を当日点で取り返せる幅がある、と考えるのが正確です。
都立高校:原則7:3、一部の学校は10:0と比べて高いほう

都立高校の一般入試(第一次募集・分割前期募集)は、学力検査の得点と調査書点の合計が1000点満点で、これにスピーキングテスト(ESAT-J)の20点を足した1020点が総合得点です。
全日制の比率は原則として7:3で、芸術と体育の学科は6:4です(令和9年度 都立高等学校入学者選抜実施要綱)。
受検者ごとに7:3と10:0のそれぞれの比率に基づき学力検査の得点と調査書点の合計を算出した上で、どちらか高い方を当該受検者の選考に用いる学校については、別表4による。
東京都教育委員会「令和9年度 東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目」
つまり、この方式の学校では、内申点が低い受検者は「学力検査だけ(10:0)」の計算のほうが高くなり、それが選考に使われます。
どの学校が該当するかは、要綱の別表に学校ごとに載っています。志望校がこの方式かどうかは、中学校の進路の先生か、その高校の募集案内で確認してください。
分割後期募集と第二次募集は、原則6:4で、内申点の比重が上がります。こちらにも6:4と10:0の高いほうを使う学校があります。
| 都立の募集 | 学力検査:調査書 | 例外 |
|---|---|---|
| 第一次・分割前期(全日制) | 7:3 | 7:3と10:0の高い方の学校 |
| 芸術・体育の学科 | 6:4 | ― |
| 分割後期・第二次(全日制) | 6:4 | 6:4と10:0の高い方の学校 |
- 志望校が10:0も使う学校か
- 分割後期・第二次は6:4
- 調査書は中3の評定
- ESAT-Jの20点も加わる
都立の内申点1つは、当日点の何点分?(計算)
都立高校の調査書点は、中学3年生(12月31日現在)の評定から出します。学力検査を行う5教科は評定をそのまま、行わない4教科(音楽・美術・保健体育・技術家庭)は評定を2倍にして合計します。
| 都立(5教科受検・7:3) | 満点 | 1つ上がると(計算) |
|---|---|---|
| 評定の合計(素点) | 5×5+4×5×2=65 | ― |
| 5教科の評定1つ | 調査書点300点 | 約4.6点 |
| 実技4教科の評定1つ | 調査書点300点 | 約9.2点 |
| 学力検査1点 | 500点→700点 | 1.4点 |
実技教科の評定を1つ上げると調査書点が約9.2点上がり、これは学力検査に直すと約6.6点分です(計算)。逆にいえば、実技の評定が1つ低い分は、当日のテストで7点ほど多く取れば取り返せます。
5教科すべての評定が1つずつ低い(65点満点で5点低い)場合、調査書点で約23点、学力検査に直すと約16.5点の差です(計算)。「内申点が低いから無理」と決める前に、この幅で考えてみてください。
- 実技の評定1つ=当日点約6.6点
- 5教科の評定1つ=当日点約3.3点
- 実技の評定は2倍で効く
- 差は当日点で取り返せる幅

千葉県:内申点は135点×K。Kの値で比重が変わる
千葉県の一般入学者選抜では、学力検査は5教科各100点の500点です。
内申点(調査書の得点)は、9教科の評定の全学年の合計(135点満点)に、学校ごとのKを掛けたものです。
Kは原則1で、学校の特色に応じて0.5以上2以下の範囲で決めます(令和9年度 千葉県公立高等学校 一般入学者選抜)。
| 千葉のK | 内申点の満点 | 内申点の割合(計算) |
|---|---|---|
| K=0.5 | 67.5点 | 約11.9% |
| K=1(原則) | 135点 | 約21.3% |
| K=2 | 270点 | 約35.1% |
割合は、学力検査500点と内申点の合計に対する内申点の割合です(学校設定検査と記載事項の加点は除いた計算)。
このほか、各高校は調査書の記載事項(部活動・生徒会・検定など)で50点まで加点でき、面接や作文などの学校設定検査を10〜100点で行います。
千葉県では、Kが0.5の学校を選べば内申点の比重は1割程度になります。どの学校がいくつのKにしているかは、選抜要綱の付表に学校ごとに載っています。
- 志望校のKの値
- 中1からの評定が入る
- 記載事項の加点(最大50点)
- 学校設定検査の配点
埼玉県:令和9年度から共通選抜。内申点は200〜400点

埼玉県は令和9年度入試から、一般募集を「共通選抜」と「特色選抜」に分けます。共通選抜では、学力検査500点、調査書、面接の合計で選抜します(令和9年度 埼玉県公立高等学校 入学者選抜要領)。
| 埼玉(共通選抜) | 配点 | 学校が選ぶもの |
|---|---|---|
| 学力検査 | 500点 | ― |
| 調査書 | 200・300・400点 | 学年の比率1:1:1・1:1:2・1:1:3 |
| 面接 | 30点 | 2倍の60点も可 |
調査書は、各学年の評定の合計(9教科×5段階=45点満点)に学年ごとの比率を掛けて足し、それを200点・300点・400点のどれかに換算します。
学年の比率を1:1:3にした学校は、中3の成績の比重が大きくなります。
内申点の割合は、調査書200点・面接30点の学校で約27.4%、調査書400点・面接30点の学校で約43.0%です(計算)。埼玉は、同じ共通選抜でも学校によって内申点の重さが倍近く違います。
- 調査書が200・300・400点のどれか
- 学年の比率(中3重視か)
- 面接が30点か60点か
- 特色選抜の配点
神奈川県:内申と当日点の比率は学校ごとに7:3〜3:7。全日制普通科92の内訳を数えた
神奈川県の公立高校の共通選抜は、内申(調査書の評定)と学力検査の比率を、学校が決めます。県の令和9年度の実施要領は、比率の係数を「f+g=10 を満たす2以上の整数」と定めています。つまり内申:学力検査は、8:2から2:8までのどれかです(2026年10月15日確認)。
では、実際の学校はどの比率を選んでいるのか。県が公表している令和9年度の「選考基準(共通選抜・全日制)」から、全日制の普通科(クリエイティブスクールを除く)の92行(学校・学科等)を1行ずつ数えました。
| 内申:学力検査(第1次選考) | 学校・学科等の数 | 92行に占める割合(計算) |
|---|---|---|
| 7:3(内申が重い) | 4 | 4.3% |
| 6:4 | 10 | 10.9% |
| 5:5 | 44 | 47.8% |
| 4:6 | 26 | 28.3% |
| 3:7(当日点が重い) | 8 | 8.7% |

いちばん多いのは5:5の44行で、ほぼ半分です。8:2や2:8を選んだ普通科はありませんでした。同じ神奈川でも、7:3の学校と3:7の学校では、内申の重さが倍以上違います。選考基準には比率と検査の内容が載っていますが、合格者の内申や得点の分布は記載がありません。合格の目安を知りたい場合は、学校説明会や中学校の進路の先生に聞くことになります。
中3の評定1つは、当日点の何点分か(計算)
神奈川の内申は「第2学年の9教科の評定の合計+第3学年の9教科の評定の合計×2」で、満点は45+90=135です。これを100点満点に直した値に、比率の係数を掛けます。学力検査も500点満点を100点満点に直して係数を掛けます。ここから、中3の評定を1つ上げたときの重さを、学力検査の点数に直しました(教科の重点化と特色検査がない学校の場合)。
| 内申:学力検査 | 中3の評定1つ(計算) | 中2の評定1つ(計算) |
|---|---|---|
| 7:3 | 当日点 約17.3点分 | 約8.6点分 |
| 6:4 | 約11.1点分 | 約5.6点分 |
| 5:5 | 約7.4点分 | 約3.7点分 |
| 4:6 | 約4.9点分 | 約2.5点分 |
| 3:7 | 約3.2点分 | 約1.6点分 |
計算
- 内申の満点:45 + 45 × 2 = 135
- 中3の評定1つは内申で2点。100点満点に直すと 2 ÷ 135 × 100 = 1.481
- 学力検査1点を100点満点に直すと 100 ÷ 500 = 0.2
- 5:5の場合:1.481 × 5 = 7.41、学力検査1点は 0.2 × 5 = 1.0 なので、7.41 ÷ 1.0 = 7.4点分
- 7:3の場合:1.481 × 7 = 10.37、0.2 × 3 = 0.6、10.37 ÷ 0.6 = 17.3点分
- 3:7の場合:1.481 × 3 = 4.44、0.2 × 7 = 1.4、4.44 ÷ 1.4 = 3.2点分
- 5:5の行の割合:44 ÷ 92 × 100 = 47.8%
志望校が5:5の場合は、中3の評定が1つ低い分は、当日のテストで約7.4点多く取れば取り返せます。7:3の学校なら約17.3点、3:7の学校なら約3.2点です。都立高校(7:3)の実技教科の評定1つ(約6.6点分)と比べても、神奈川の内申の重さは学校によって大きく上下します。
定員の約1割は、評定を使わずに選ぶ
神奈川にはもう1つ特徴があります。実施要領では、まず共通選抜の募集人員の90%までを、内申と学力検査(と特色検査)の合計で決めます(第1次選考)。残りは第2次選考で、式は「学力検査×g+主体的に学習に取り組む態度×h」です。第2次選考の式には、評定(a)が入っていません。
使われるのは、中3の各教科の「主体的に学習に取り組む態度」の評価(A=3、B=2、C=1)です。普通科92行のうち71行が、第2次選考を学力検査8:態度2にしています。「内申点が関係ない」に一番近いのは、この第2次選考です。ただし、合格者の約9割は第1次選考で決まります。
- 志望校が教科の重点化をしている場合。例えば市ケ尾は実技4教科のうち点数の高い1教科を2倍、横浜市立金沢は英語1.5倍・数学1.2倍にしていて、評定1つの重さが変わる
- 特色検査をする学校の場合。普通科92行のうち20行が特色検査(自己表現検査・面接など)を行い、その点も合計に入るので、内申の割合は下がる
- クリエイティブスクールと県立横浜国際高校。選考の方法が別で、この計算は使えない
- 第2次選考を当てにして、中3の評定を上げる努力をやめる場合。第2次選考は定員の約1割で、態度の評価も中3の調査書から取られる
行の数は学校・学科等の数で、募集人員の大きさは反映していません。比率は令和9年度のもので、年度ごとに学校が見直します。
出典:神奈川県教育委員会「令和9年度神奈川県公立高等学校の入学者の募集及び選抜実施要領」(PDF・§1 Ⅴ 6 選抜の方法)/同「令和9年度 選考基準 共通選抜(全日制)」(PDF)/同「令和9年度神奈川県公立高等学校入学者選抜選考基準及び特色検査の概要」(2026年10月15日確認)
推薦入試は内申点の比重が大きい
一般入試と違い、推薦入試は内申点を中心に選びます。
都立高校の推薦に基づく選抜では、調査書、個人面接、小論文・作文などを総合した成績で選考し、調査書は評定か観点別評価のどちらかを点数化します。
自己PRカードは点数化しません。
内申点に自信がない場合は、推薦より一般入試で勝負するほうが、当日点で取り返せる幅が大きくなります。推薦入試の仕組みと面接の中身は、次の記事で確認しています。


私立高校は「内申点が関係ない」のか
私立高校の入試で内申点をどう扱うかは、都道府県の要綱ではなく、学校ごとの募集要項で決まります。
一般入試で当日の筆記試験を中心に選ぶ学校もあれば、推薦や併願優遇のように内申点の基準を出願の条件にする学校もあります。
東京都の私立高校の併願優遇では、内申点の基準が学校ごとに決まっています。内申点の基準の実物は次の記事で確認しています。一般入試の扱いは、志望校の募集要項の「一般入試の選考方法」で確かめてください。

不登校などで調査書に評定がつかない場合の扱いは、次の記事にまとめています。

内申点が低いときにやること
ここまでの配点から、内申点が低いときの動き方を整理します。
| やること | 理由 |
|---|---|
| 志望校の比率を調べる | 都立の10:0併用校や千葉のK=0.5の学校がある |
| 実技教科の評定を上げる | 都立では2倍で効く |
| 一般入試の当日点を伸ばす | 学力検査の配点のほうが大きい |
| 三者面談で基準を聞く | 学校ごとの目安を知っている |
中3の2学期の成績は、都立の調査書にそのまま入ります。まだ間に合う時期なら、評定を1つ上げる努力と、当日点を伸ばす勉強を並行してください。内申点の上げ方は次の記事で扱っています。


ひとりで進めるのが難しいとき:公式に料金を出している2社
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よくある質問
- 高校受験で内申点が関係ない高校はありますか?
-
公立の一般入試では、東京・千葉・埼玉とも内申点を使います。ただし都立高校の一部は、受検者ごとに7:3と10:0(学力検査だけ)で計算して高いほうを使うので、内申点が低くても当日点だけで選ばれます。
- 内申点が足りなくても受かりますか?
-
一般入試なら、当日点で取り返せる幅があります。都立高校(7:3)では、実技教科の評定1つの差は学力検査の約6.6点分です(計算)。
- 都立高校の内申点は何年生の成績ですか?
-
中学3年生の12月31日現在の評定です。学力検査を行う5教科は評定をそのまま、行わない4教科は2倍にして調査書点を出します。
- 千葉県の内申点は何年生の成績ですか?
-
9教科の評定の全学年の合計(135点満点)に、学校ごとのKを掛けます。中1からの成績が入り、Kは原則1で0.5〜2の範囲です。
- 埼玉県の内申点はどれくらい重いですか?
-
令和9年度の共通選抜では、学力検査500点に対して調査書は200・300・400点のどれかで、学校が選びます。内申点の割合は、面接30点の学校で約27.4%〜43.0%、面接60点の学校で約26.3%〜41.7%です(計算)。


この記事の更新・訂正
- 「公立の一般入試で内申点が関係ない県はない」は確かめたのが3都県だけで、都立には10:0(学力検査だけ)と比べる学校、神奈川には評定を使わない第2次選考があるので、「都立・千葉・埼玉の一般入試は内申点を使う」に直しました
- 面接30点の学校だけで計算していた割合に、面接60点の学校の場合(約26.3%〜41.7%)を足しました
- 併願優遇の校数を令和8年度の「179校のうち142校」のまま書いていました。令和9年度の実施要項を数えた併願優遇の記事と同じ「181校のうち140校」に直し、記事カードの見出しも合わせました
この記事の残り1件と全記事の履歴は「訂正・更新の履歴」、調べ方と書き方は「記事の作り方」にまとめています。
この記事で確認した資料
・東京都教育委員会「令和9年度 東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目」(学力検査と調査書点の比率・7:3と10:0の併用・調査書点の算出・推薦の選考)
・千葉県教育委員会「令和9年度 千葉県公立高等学校 一般入学者選抜」(学力検査の配点・調査書の得点とK・学校設定検査)
・埼玉県教育委員会「令和9年度 埼玉県公立高等学校 入学者選抜要領」(共通選抜・特色選抜の得点の算出)
いずれも2026年9月30日に確認しました。



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