受験生になると「寝る時間がもったいない」と感じます。けれど、国が出している睡眠の目安は、多くの受験生が思っているよりずっと長いです。この記事では、厚生労働省の睡眠ガイドと文部科学省の調査を読んで、受験生の睡眠時間の目安と、入試本番に向けた寝る時刻の決め方をまとめます。
目安:厚生労働省の睡眠ガイドは、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保するとしています。
実態:文部科学省の調査では、高校生の47%が深夜0時以降に寝ています。
本番:共通テストは両日とも9時30分開始。入試の2〜3週間前から、起きる時刻を本番の日に合わせて固定してください。
国の目安:中学・高校生は8〜10時間
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」のこども版には、「小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保する」と書かれています。これは米国睡眠医学会の推奨にもとづく数字で、多くの国で参考にされている目安だと説明されています。
同じガイドには、成長期である高校生までは成人よりも長い睡眠時間を必要とすること、睡眠時間が足りないと学業成績が低下することが報告されている、とも書かれています。

塾で受験生に「何時間寝ている?」と聞くと、6時間前後の子がいちばん多い印象です。国の目安の8時間から見ると、毎日2時間ずつ足りないことになります。
実際の高校生は47%が深夜0時以降に寝ている

文部科学省が小学5年生から高校3年生までの約2万3千人に行った「睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査」(平成26年度)では、次のような結果が出ています。
| 項目 | 中学生 | 高校生 |
|---|---|---|
| 深夜0時以降に寝ている | 22.0% | 47.0% |
| 自分の睡眠時間が「十分ではない」 | 24.8% | 31.5% |
| 学校がある日とない日で、起きる時刻が2時間以上ずれることが「よくある」 | — | 31.4% |
高校生は2人に1人が日付をまたいでから寝ていて、3人に1人が睡眠が足りないと感じています。休日に起きる時刻が2時間以上ずれることが「よくある」「ときどきある」高校生は、合計すると64.8%(計算)です。調査は平成26年度のものなので、スマホがさらに広がった今は、もっと遅くなっている可能性があります。
「勉強すると8時間も寝られない」への国の答え
睡眠ガイドには、まさに受験生の悩みにあたる質問があります。「高校生の中には、たくさん勉強しようとすると、8〜10時間の睡眠時間を確保できないこどももいます。どうしたらいいでしょうか?」という質問です。
答えの要点は、良い睡眠を適切な時間とると集中力が増して学習効率が上がること、睡眠には学習した内容を定着させる役割があること、だから勉強時間と睡眠時間のバランスをとることが大切だ、というものです(睡眠ガイド2023 こども版のQ&A)。
受験生の1日で、睡眠より先に削れる時間はたいていあります。寝る前のスマホ、帰宅後の長い仮眠、だらだら続く食事や入浴の3つです。睡眠ガイドも、デジタル機器は寝室に持ち込まず、電源を切って別の部屋に置くことを勧めています。
5時間睡眠・「4当5落」はどうなのか

「4時間睡眠なら合格、5時間寝たら不合格」という「4当5落」という言葉がありますが、国の目安とは大きくかけ離れています。睡眠ガイドは、睡眠不足で学業成績が低下することや、抑うつ傾向が強くなることが報告されていると書いています。
寝る時刻がそろっているかどうかでも差が出ます。令和7年度の全国学力・学習状況調査(中学3年生)では、「毎日、同じくらいの時刻に寝ていますか」に「している」と答えた子の数学の平均正答率は50.2%、「全くしていない」子は36.9%でした(国立教育政策研究所 クロス集計表)。調査は関係を示すもので原因までは分かりませんが、寝る時刻が毎日ばらばらな子ほど点数が低い傾向ははっきりしています。

5時間睡眠で夜中まで勉強している子の答案を見ると、夜に解いた問題ほどケアレスミスが多いです。勉強時間が長く見えても、翌日の授業で寝ていれば差し引きはマイナスです。
帰宅後の仮眠は「長く・遅く」が逆効果
文部科学省の同じ調査では、学校から帰ったあとに仮眠をとることがよくある子ほど、「午前中調子が悪い」ことがある割合が高いという結果が出ています。夕方に長く寝ると、夜に眠れなくなり、翌朝がつらくなるという悪循環です。
どうしても眠いときは、夕食前に短く済ませてください。夜9時以降に「少しだけ」と横になると、そのまま朝になるか、夜中に目が覚めて寝られなくなります。
共通テストに合わせて朝型にする

まず本番の開始時刻を確認します。令和9年度(2027年1月)の共通テスト本試験は1月16日(土)・17日(日)で、試験は両日とも9時30分に始まります(大学入試センター 令和9年度試験)。会場への移動と、起きてから頭が働くまでの時間を考えると、多くの人は6時〜6時30分ごろに起きることになります。
| 起きる時刻 | 8時間寝るなら寝る時刻 | 7時間なら |
|---|---|---|
| 6:00 | 22:00 | 23:00 |
| 6:30 | 22:30 | 23:30 |
| 7:00 | 23:00 | 0:00 |
ここからは塾での経験にもとづく目安ですが、夜型の子がいきなり2時間早く寝ようとしても眠れません。入試の2〜3週間前から、起きる時刻を先に本番の日に合わせて固定し、寝る時刻は数日ごとに15〜30分ずつ前にずらしてください。睡眠ガイドも、休日も普段と同じ時間に起きて日光を浴びることを勧めています。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 入試の3週間前 | 平日・休日とも、起きる時刻を本番の日と同じにする |
| 2週間前 | 寝る時刻を15〜30分前にずらす。寝る1時間前にスマホを別の部屋へ |
| 1週間前 | 本番と同じ時間割で過去問を解く(9時30分から地理歴史・公民) |
| 前日 | いつもの時刻に寝る。早く寝すぎて眠れなくなるのを避ける |
高校受験の人も考え方は同じです。受ける学校の集合時刻から逆算して、起きる時刻を先に決めてください。中学生の睡眠時間については中学生の睡眠時間で詳しく書いています。
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受験生の睡眠時間についてよくある質問
- 受験生は何時間寝ればいいですか?
-
厚生労働省の睡眠ガイドは、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保するとしています。まずは起きる時刻を決め、そこから8時間さかのぼった時刻に寝ることを目標にしてください。
- 5時間睡眠で勉強時間を増やしたほうが合格に近いですか?
-
おすすめしません。睡眠ガイドは、睡眠不足で学業成績が低下することが報告されていると書き、睡眠には学習した内容を定着させる役割があるとしています。削るなら、寝る前のスマホや帰宅後の長い仮眠が先です。
- 夜型ですが、朝型に変えたほうがいいですか?
-
入試は朝に始まるので、本番の2〜3週間前までには朝型に寄せてください。共通テストは両日とも9時30分開始です。起きる時刻を先に固定し、寝る時刻を少しずつ前にずらすと無理なく変えられます。
- 休日に寝だめしてもいいですか?
-
おすすめしません。睡眠ガイドは、休日も普段と同じ時間に起きて日光を浴びることを勧めています。休日に起きる時刻がずれると、月曜の朝がつらくなります。
- 昼寝や仮眠はしてもいいですか?
-
短く、早い時間ならかまいません。文部科学省の調査では、帰宅後の仮眠がよくある子ほど「午前中調子が悪い」割合が高い結果でした。夕方の長い仮眠と、夜遅い時間の仮眠は避けてください。

この記事で確認した資料
睡眠時間の目安は厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(厚生労働省 睡眠対策のページ)、高校生の就寝時刻などは文部科学省「睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査(概要)」、寝る時刻と正答率は国立教育政策研究所の令和7年度 全国学力・学習状況調査 クロス集計表、共通テストの日程と時間は大学入試センター 令和9年度試験のページと実施要項で確認しました(2026年9月27日)。朝型への切り替えの手順は、塾での経験にもとづく目安です。





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