中学3年生の冬になると、多くの学校で卒業文集の原稿を書く時間があります。「3年間の思い出」や「将来の夢」とテーマを言われても、原稿用紙を前に手が止まる人は少なくありません。
この記事では、テーマの選び方、はじめ・なか・おわりの組み立て方、書き出しの例文、そのまま型として使える例文の見本を順に紹介します。書き方の観点は、文部科学省の中学校学習指導要領(平成29年告示)で中学3年生の「書くこと」に挙げられている内容に合わせました。
卒業文集は、3年間の出来事を全部書こうとすると、どれも浅くなります。いちばん心に残っている場面を1つだけ選び、①そのときの具体的な場面 ②そこで気づいたこと・変わったこと ③高校やこれからにどうつなげるか、の順に書くと、字数が少なくても読み手に伝わります。
書き終えたら、友達や先生に読んでもらって直すところまでが、中学3年生の「書くこと」の学習です。

卒業文集は、何年もたってから自分や友達が読み返す文章です。うまく書くより、そのときの自分の言葉で書くことを優先してください。
卒業文集はいつ書く?学校の実例で見る流れ
卒業文集の時期や字数は学校ごとに違いますが、学校が公開している記事から、おおまかな流れが分かります。
| 時期 | 学校の実例(学校公式サイト) |
|---|---|
| 1月ごろ | 3年生が教室で卒業文集の原稿を書いていた(小平市立上水中学校) |
| 2月ごろ | 編集委員の有志が、先生から回収した原稿を台紙に貼り付けていた(郡山市立安積中学校) |
| 3月ごろ | 学年だよりで「TEAM 卒業文集」が、みんなの原稿の見直しや特集ページ作りをしていると紹介(大阪市立築港中学校) |
高校入試の直前や直後に書くことになる人も多いので、冬休みのうちにテーマとメモだけ作っておくと、原稿の時間に慌てずにすみます。字数・用紙・締め切りは、必ず学校の指示を確認してください。
- 字数(原稿用紙何枚か)
- テーマの指定があるか
- 題名を自分でつけるか
- 手書きか、データ提出か
- 締め切りの日
中学生の卒業文集のテーマ例30(過去・今・これから)

テーマは「過去の思い出」「今の自分」「これからの自分」のどれかに寄せると決めやすくなります。自分に当てはまるものを3つ選び、その中でいちばん具体的な場面が思い浮かぶものを1つに絞ってください。
過去:3年間の思い出から選ぶ
| テーマ | 書くときの切り口 |
|---|---|
| 部活動の最後の大会 | 結果より、負けた日・勝った日の気持ち |
| 修学旅行 | 見た場所より、班で起きた出来事 |
| 体育祭・合唱コンクール | 練習でうまくいかなかった時期 |
| 文化祭 | クラスで意見が分かれたときのこと |
| 入学した日の自分 | 3年前の不安と今の違い |
| 委員会・生徒会 | 引き受けた理由と、やってみて分かったこと |
| 友達とのけんか | 仲直りのきっかけ |
| 忘れられない先生の一言 | その言葉を言われた場面 |
| 休み時間・給食 | 毎日の何気ない時間 |
| 一度だけ休んだ日・転校 | いつもと違う日に気づいたこと |
今:中学生の自分について書く
| テーマ | 書くときの切り口 |
|---|---|
| 3年間でいちばん成長したこと | 「前はできなかった」具体例 |
| 受験勉強 | 点数が伸びなかった時期の過ごし方 |
| 苦手を乗りこえた教科 | やり方を変えたきっかけ |
| 自分の性格 | 友達に言われて気づいたこと |
| 家族への感謝 | 直接は言えなかったこと |
| 好きなこと・趣味 | それが自分に何をくれたか |
| 習い事・地域の活動 | 学校の外で出会った人 |
| 中学校の好きな場所 | そこで過ごした時間 |
| クラスの仲間 | クラスの雰囲気が変わった瞬間 |
| ずっと続けてきたこと | やめたくなった日 |
これから:高校や将来について書く
| テーマ | 書くときの切り口 |
|---|---|
| 将来の夢 | 夢を持ったきっかけの場面 |
| 高校でやりたいこと | 中学でできなかったことの続き |
| 10年後の自分へ | 今の悩みを書き残しておく |
| 後輩へのメッセージ | 1年生の自分に言いたいこと |
| 大人になっても忘れたくないこと | 中学で覚えた気持ち |
| これから挑戦したいこと | 今はまだできない理由 |
| なりたい大人 | 身近な大人の姿 |
| 高校で続けたい部活 | 中学で得たもの |
| 地元・ふるさと | 離れても覚えていたい景色 |
| 卒業する今の気持ち | 寂しさと楽しみの両方 |
- 思い浮かぶ場面が1つある
- 会話や音まで思い出せる
- 人の悪口にならない
- 自分の変化が書ける
卒業文集の書き方:はじめ・なか・おわりの構成
組み立ては「はじめ・なか・おわり」の3つで十分です。字数が決まっている場合は、なかをいちばん長くします。
| まとまり | 書くこと | 字数の目安(配分) |
|---|---|---|
| はじめ | テーマと、いちばん伝えたいこと | 全体の約2割 |
| なか | 具体的な場面1つと、そのときの気持ち | 全体の約6割 |
| おわり | 気づいたこと・これからの自分・感謝 | 全体の約2割 |
たとえば原稿用紙1枚(400字)なら、はじめ約80字・なか約240字・おわり約80字(2割・6割・2割で計算)。2枚(800字)なら、はじめ約160字・なか約480字・おわり約160字です。
中学校学習指導要領の中学3年生の「書くこと」には、次の5つが並んでいます。卒業文集の手順に置きかえると、書く前から書いた後まで、何をすればよいかが分かります。
| 指導要領(第3学年 B書くこと) | 卒業文集での手順 |
|---|---|
| 題材を決め、伝えたいことを明確にする | テーマを1つに絞り、一文で言えるようにする |
| 論理の展開などを考え、構成を工夫する | はじめ・なか・おわりのメモを作る |
| 表現の仕方を考え、分かりやすく伝わるよう工夫する | 場面を会話や音で具体的に書く |
| 目的や意図に応じた表現かを確かめ、文章全体を整える | 読み返して、言い回しと誤字を直す |
| 読み手からの助言を踏まえ、よい点や改善点を見いだす | 友達や先生に読んでもらい、直す |
- テーマ(一言)
- いちばん伝えたいこと(一文)
- 場面(いつ・どこで・誰と)
- そのときの気持ち
- これからどうしたいか
中学3年の「書くこと」は国語105時間のうち20〜30時間|1・2年との違いを学習指導要領で比べた
卒業文集を書く3年生は、国語の授業で「書くこと」をどのくらい、何を目標に学んでいるのか。文部科学省の中学校学習指導要領(平成29年告示)の国語と、同じPDFに載っている学校教育法施行規則の別表第二(授業時数)を学年ごとに並べました。
| 学年 | 国語の年間授業時数 | 「書くこと」の配当 | 題材を選ぶ範囲(ア) | 言語活動の例(⑵) |
|---|---|---|---|---|
| 1年 | 140 | 30〜40単位時間程度 | 日常生活の中から | 引用して説明・記録/行事の案内や報告/詩の創作・随筆 |
| 2年 | 140 | 30〜40単位時間程度 | 社会生活の中から(多様な方法で集めた材料) | 意見を述べる/手紙や電子メール/短歌・俳句・物語の創作 |
| 3年 | 105 | 20〜30単位時間程度 | 社会生活の中から(材料の客観性や信頼性を確認) | 関心のある事柄を批評/情報を編集して文章にまとめる |

計算
- 1・2年の「書くこと」の割合:30 ÷ 140 = 21.4%、40 ÷ 140 = 28.6%
- 3年の「書くこと」の割合:20 ÷ 105 = 19.0%、30 ÷ 105 = 28.6%
- 3年の配当の上限は1年の 30 ÷ 40 = 75%
- 3年間の合計:30+30+20 = 80 〜 40+40+30 = 110単位時間
- 1単位時間は50分(別表第二の備考)。3年の配当を時間にすると 20×50 ÷ 60 = 約16.7時間 〜 30×50 ÷ 60 = 25時間
3年生は国語の時間そのものが1・2年より35時間少なく、「書くこと」に充てる時間も年20〜30単位時間程度です。そのうえ、3年の言語活動の例は「批評」と「情報を編集してまとめる」で、思い出を書く随筆は1年の例(詩を創作したり随筆を書いたりする活動)に入っています。卒業文集は、1年で学んだ随筆の書き方を、3年の「文章全体を整える」「読み手からの助言を踏まえる」で仕上げる文章だと考えると、何を意識すればよいかが分かります。
なお、学習指導要領(国語)の本文に「文集」という語は出てきません(公式に記載なし)。卒業文集を国語の授業で書くか、学級活動などの時間に書くかは学校が決めます。
- 高校入試の作文で「あなたの意見」を問われたとき。2年の言語活動の例は「多様な考えができる事柄について意見を述べる」、3年は「批評」。体験を書くだけでなく、意見とその根拠を先に示す
- 「資料を読んで考えを書く」形式の作文。3年の指導事項ウは「資料を適切に引用したりする」ことを挙げている。資料の数字や語を引いてから、自分の考えにつなげる
- 学校から「〜について」とテーマを指定された文集。3年の指導事項アは「目的や意図に応じて」題材を決めるとしている。指定に合う場面かどうかを先に確かめる
出典:文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」(国語 第2 各学年の目標及び内容、第3 指導計画の作成と内容の取扱い、学校教育法施行規則 別表第二)(2026年10月13日確認)
書き出しの例文5つ
書き出しで迷ったら、次の5つの型から選んでください。どれも、最初の1〜2文で「何の話か」が分かるようにしています。
| 型 | 書き出しの例文 |
|---|---|
| 会話から入る | 「最後まで走れ。」三年生の夏、顧問の先生の声がグラウンドに響いた。 |
| 場面から入る | 修学旅行の二日目、私たちの班は駅で道に迷っていた。 |
| 問いかけから入る | 三年前の自分に、今の自分はどう見えるだろうか。 |
| 結論から入る | 私が中学校の三年間でいちばん変わったのは、人前で話せるようになったことだ。 |
| 数字から入る | 毎朝七時に家を出て、三年間で何回この坂道を上っただろう。 |
- 「私の三年間の思い出は」だけで始める
- 「書くことがない」から始める
- 辞書の意味の説明から入る
- 最初から感謝の言葉を並べる
卒業文集の例文の見本(中学生・約400字)

部活動をテーマにした例文です。登場する人物は架空です。そのまま写すのではなく、場面と気持ちを自分の体験に入れかえて使ってください。
三年生の夏の最後の大会、私はベンチでタオルを握りしめていた。レギュラーになれなかった私の仕事は、声を出すことと、スコアをつけることだった。
正直に言うと、二年生の冬までは、部活をやめようと思っていた。
練習しても試合に出られない。朝の自主練習に来るのも、いつの間にか私だけではなくなっていた。そんなとき、キャプテンが「スコアを見ると、次に何をすればいいか分かる」と言って、私のノートを持っていった。
次の試合で、そのノートに書いた相手のくせを見て、チームは一点を取った。
試合に出る人だけがチームを作っているのではない。
そう分かってから、ベンチの声も、スコアの一本の線も、私にとって大事な仕事になった。
高校では、もう一度レギュラーを目指したい。そして、出られない日があっても、あのノートのように、自分にできる一本を見つけられる人でいたい。
この例文は、はじめ(最後の大会の場面)・なか(やめたかった時期と、ノートが役に立った出来事)・おわり(分かったことと高校での目標)の3つに分かれています。「成長しました」と書かずに、場面で成長が伝わるようにしているのがポイントです。
卒業文集で書くことがないときのネタの見つけ方
「特別な思い出がない」と感じる人ほど、毎日の小さな出来事の中に書けることがあります。次の質問に、メモで答えてみてください。
| 質問 | 答えから書けるテーマ |
|---|---|
| 3年前の自分と、今の自分で違うところは? | 成長したこと |
| 中学校でいちばん笑ったのはいつ? | 友達・クラスの思い出 |
| やめたくなったけど、やめなかったことは? | 続けてきたこと |
| 誰かに言われて、今も覚えている言葉は? | 先生・家族・友達の一言 |
| 高校で、中学と変えたいことは? | これからの目標 |
答えが出にくいときは、写真フォルダや生徒手帳、部活のノートを見返すと、場面を思い出しやすくなります。家の人に「中学に入ってから、どこが変わったと思う?」と聞くのも一つの方法です。
- 写真やノートを見返す
- 質問に一言ずつ答える
- いちばん場面が浮かぶものを選ぶ
卒業文集で避けたいNG例と、生成AIの使い方
卒業文集は、同級生・先生・家族が読み、何年も残ります。次のような書き方は避けましょう。
| NG例 | 直し方 |
|---|---|
| 特定の人の失敗やあだ名をネタにする | 本人が読んでも笑える内容かを考える |
| クラスの一部にしか分からない内輪ネタ | 場面の説明を一文足す |
| 「楽しかったです」の連続 | なぜ楽しかったかを場面で書く |
| ネット上の例文をそのまま写す | 場面と気持ちを自分の体験に入れかえる |
生成AIについては、文部科学省の初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)が、作文やレポートなどを課題にするときの注意点を示しています。
生成AIの利用を想定していない作品について、生成AIの出力をそのまま自分の成果物として提出することは、評価基準や規約によっては不適切又は不正な行為に当たり、活動を通じた学びが得られず、自分のためにならない、という内容です。
また、評価の視点として「自分自身の経験を踏まえた記述になっているか」が例に挙がっています。

卒業文集は、自分の経験を書く文章です。使うとしても、書いた文章の誤字を確かめる程度にとどめ、使ってよいかは先生の指示に従ってください。
中高生の生成AIの使い方は、別の記事で詳しくまとめています。

卒業文集の題名(タイトル)のつけ方
題名は、本文を書き終えてからつけると決めやすくなります。本文の中から、いちばん印象に残る言葉を短く抜き出すのが基本です。
| つけ方 | 題名の例 |
|---|---|
| 本文の会話から取る | 「最後まで走れ」 |
| キーワード1つ | 坂道・スコアノート |
| これからの目標 | 次の一本へ |
| 問いかけ | 三年前の私へ |
「三年間の思い出」「中学校生活」のような題名は、ほかの人と重なりやすくなります。自分の文章にしかない言葉を選んでください。
書いた後の見直しと、高校生活への準備
書き終えたら、声に出して読み返すと、読みにくい所や同じ言葉の繰り返しに気づきやすくなります。指導要領にもあるとおり、読み手からの助言を踏まえて直すところまでやると、文章がぐっと読みやすくなります。
- 誤字・脱字はないか
- 一文が長すぎないか
- 同じ言葉が続いていないか
- 人を傷つける表現はないか
- 字数と締め切りを守れているか
作文の書き方は、読書感想文や高校の志望理由書にもそのまま使えます。高校入試で作文が出る人は、高校入試の作文の模範解答で字数と採点の観点も確かめておくと安心です。

卒業から高校入学までの春休みは、高校の勉強の準備にも使える時期です。高校の授業を先取りしたいなら、スタディサプリ高校・大学受験講座のような映像授業で、数学や英語の最初の単元だけ見ておく方法もあります。
よくある質問
- 中学生の卒業文集には何を書けばいいですか?
-
「過去の思い出」「今の自分」「これからの自分」のどれかに寄せてテーマを決め、いちばん心に残っている場面を1つだけ選んで書くと、読み手に伝わりやすくなります。
- 卒業文集の構成はどうすればいいですか?
-
はじめ・なか・おわりの3つで十分です。はじめにテーマ、なかに具体的な場面とそのときの気持ち、おわりに気づいたことやこれからの自分を書きます。なかをいちばん長くします。
- 書き出しが思いつきません。
-
会話・場面・問いかけ・結論・数字の5つの型から選んでください。最初の1〜2文で何の話かが分かるようにすると書きやすくなります。
- 書くことがないときはどうすればいいですか?
-
3年前の自分と今の自分の違い、やめたくなったけれど続けたこと、今も覚えている誰かの言葉など、質問に一言ずつ答えてみてください。写真やノートを見返すのも効果的です。
- 卒業文集を生成AIで書いてもいいですか?
-
文部科学省のガイドラインは、生成AIの出力をそのまま自分の成果物として提出することは、評価基準や規約によっては不適切又は不正な行為に当たり、自分のためにならないとしています。使ってよいかは先生の指示に従ってください。
小学校の卒業文集を書く弟や妹がいるなら、小学生向けのテーマ例と例文を別にまとめています。

文集にイラストを入れるなら、無料素材サイトの規約(何点まで使えるか・クレジット表記)と、白黒印刷でもきれいに出る手書きの描き方を先に確認しておきましょう。

この記事で確認した資料
文部科学省 中学校学習指導要領(平成29年告示) / 文部科学省 初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0 / 小平市立上水中学校 学校ブログ / 郡山市立安積中学校 卒業文集編集 / 大阪市立築港中学校 3年学年だより


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