高校化学の有機分野から、入試で問われやすい50問を一問一答形式でまとめました。問題をタップすると答えが開きます。
- まず答えを見ずに1周…分からなくても止まらず進んでください
- 2周目以降は間違えた問題だけ…印をつけて絞り込みます
- ★は難問…1周目で落としても大丈夫です
- Part1と内容は重複していません…両方やれば有機の頻出範囲をほぼ網羅できます

有機で差がつくのは、暗記量ではなく「級数」「酸の強さ」「構造で判断する」の3つの考え方です。この50問はそこを厚くしてあります。丸暗記しようとせず、なぜそうなるかを一緒に確認してください。


全8回の一覧と、どの分野から解くべきかは次の記事にまとめています。


アルコールとエーテル(問1〜10)
1. アルコールを1級・2級・3級に分類する基準は何か。
ヒドロキシ基 -OH が結合している炭素に、炭素原子がいくつ結合しているかです。0個または1個なら1級、2個なら2級、3個なら3級です。
2. 1級アルコールを酸化すると何が得られるか。さらに酸化するとどうなるか。
まずアルデヒド、さらに酸化するとカルボン酸になります。
3. 2級アルコールを酸化すると何が得られるか。
ケトンです。ケトンはそれ以上酸化されにくいのが特徴です。
4. 3級アルコールが酸化されにくい理由を答えなさい。
-OH が付いた炭素に水素原子が結合していないためです。酸化は「-OHの水素とCの水素が取れる」反応なので、Cに水素がないと進みません。
5. エタノールに濃硫酸を加えて約160〜170℃で加熱すると何が得られるか。
エチレンです。1分子から水が取れる分子内脱水が起こります。
6. エタノールに濃硫酸を加えて約130〜140℃で加熱すると何が得られるか。★
ジエチルエーテルです。2分子から水が取れる分子間脱水です。温度で生成物が変わるのが頻出ポイントで、高温=エチレン/低温=エーテルと整理してください。
7. アルコールにナトリウムの単体を加えると発生する気体は何か。
水素です。-OH を持つことの確認に使われます(エーテルは反応しません)。
8. メタノールを誤って飲むと危険な理由を簡単に答えなさい。
体内で酸化されてホルムアルデヒドやギ酸になり、失明や死に至ることがあるためです。エタノールとは毒性がまったく異なります。
9. アルコールが同程度の分子量の炭化水素より沸点が高い理由を答えなさい。
分子間で水素結合を形成するためです。
10. エチレングリコールとグリセリンは、それぞれ何価のアルコールか。
エチレングリコールは2価、グリセリンは3価です。グリセリンは油脂の構成成分でもあります。



アルコールは級数(1級・2級・3級)で酸化の行き先が決まるのが最重要です。ここが分かれば構造決定で迷いません。
アルケン・アルキンと元素分析(問11〜20)
11. エチレンに臭素水を加えるとどうなるか。
臭素水の赤褐色が消えます(脱色)。二重結合への付加反応が起こるためで、不飽和結合の検出に使えます。
12. アセチレンの実験室的製法を答えなさい。
炭化カルシウム(カーバイド)CaC2 に水を加えます。同時に水酸化カルシウムが生じます。
13. アセチレンに水を付加させると最終的に何が得られるか。★
アセトアルデヒドです。いったんビニルアルコールができますが不安定ですぐ異性化(転位)してアセトアルデヒドになります。
14. アセチレンに酢酸を付加させると得られる化合物は何か。
酢酸ビニルです。これを付加重合するとポリ酢酸ビニルになります。
15. プロペンに塩化水素を付加させると、主にどちらの生成物ができるか。またその規則を何というか。★
2-クロロプロパンが主生成物です。水素が多く付いている炭素に、さらに水素が付くというマルコフニコフ則によります。
16. 元素分析の実験で、燃焼で生じた気体を通す2つの吸収管の中身と順番を答えなさい。
先に塩化カルシウム管(水を吸収)、次にソーダ石灰管(二酸化炭素を吸収)です。
17. 問題16で、順番を逆にしてはいけない理由を答えなさい。★
ソーダ石灰は二酸化炭素だけでなく水も吸収してしまうためです。先に置くと水と二酸化炭素の量を区別できなくなります。
18. 元素分析から求まるのは組成式である。分子式を決めるためにさらに必要な情報は何か。
分子量です。分子量が組成式量の何倍かで分子式が決まります。
19. 炭素・水素・酸素からなる化合物の元素分析で、酸素の質量はどのように求めるか。
試料の質量から、求めた炭素と水素の質量を引きます。酸素は直接測定できません。
20. メタンやエタンなどのアルカンが、光を当てた塩素と起こす反応を何というか。
置換反応です。アルカンは安定なので付加反応は起こりません。



元素分析は吸収管の順番を問う問題が定番です。「水が先、二酸化炭素が後」と手順ごと覚えてください。
アルデヒド・ケトンとヨードホルム反応(問21〜30)
21. 銀鏡反応とは何か。何を検出する反応か。
アンモニア性硝酸銀水溶液に還元性を持つ物質を加えると、銀が析出して器壁が鏡のようになる反応です。アルデヒドの検出に使います。
22. フェーリング液を還元したときに生じる沈殿の化学式と色を答えなさい。
酸化銅(Ⅰ) Cu2O の赤色沈殿です。
23. ヨードホルム反応を示すのは、どのような構造を持つ化合物か。★
CH3CO- の構造、またはCH3CH(OH)- の構造を持つ化合物です。
24. ヨードホルム反応で生じる沈殿の色と特徴を答えなさい。
黄色の沈殿で、特有のにおいがあります。生じるのはヨードホルム CHI3 です。
25. ヨードホルム反応を示す代表的な化合物を4つ挙げなさい。★
アセトアルデヒド・アセトン・エタノール・2-プロパノールです。メタノールと1-プロパノールは示しません。ここが引っかけどころです。
26. アセトンを実験室で得る方法を1つ答えなさい。
2-プロパノールを酸化する方法があります(酢酸カルシウムの乾留でも得られます)。
27. ホルムアルデヒドの水溶液が防腐剤に使われる理由を簡単に答えなさい。
タンパク質を変性させるためです。生物標本の保存などに使われます。
28. アルデヒドが還元性を示す理由を答えなさい。
-CHO(ホルミル基)が酸化されてカルボキシ基になりやすいためです。相手を還元しながら自身は酸化されます。
29. 酸化されにくく、銀鏡反応もフェーリング反応も示さないのは、アルデヒドとケトンのどちらか。
ケトンです。カルボニル基の両側が炭素で塞がれており、水素がないためです。
30. ギ酸が還元性を示す理由を答えなさい。★
カルボキシ基だけでなくホルミル基(アルデヒド基)も併せ持つためです。カルボン酸でありながら銀鏡反応を示す特殊な例です。



ヨードホルム反応は構造で判断する問題が出ます。物質名を丸暗記するより、CH3CO- と CH3CH(OH)- の形を覚えるほうが応用が利きます。
カルボン酸・エステル・セッケン(問31〜40)
31. カルボン酸とアルコールから水が取れて結合する反応を何というか。また触媒は何か。
エステル化(脱水縮合)で、触媒は濃硫酸です。
32. エステルに水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱する反応を何というか。
けん化です。カルボン酸の塩とアルコールが生じます。
33. マレイン酸とフマル酸はどのような関係か。
シス・トランス異性体(幾何異性体)の関係です。マレイン酸がシス形、フマル酸がトランス形です。
34. マレイン酸だけが加熱で酸無水物になる理由を答えなさい。★
シス形で2つのカルボキシ基が同じ側にあり、近いためです。トランス形のフマル酸は離れているので分子内で脱水できません。
35. 酢酸に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えるとどうなるか。
二酸化炭素が発生します。カルボン酸が炭酸より強い酸であるためで、カルボン酸の検出に使えます。
36. セッケンの分子は、どのような2つの部分からできているか。
水になじむ親水基(-COO–)と、油になじむ疎水基(炭化水素基)です。この構造が汚れを落とすはたらきを生みます。
37. セッケンを硬水で使うと泡立ちが悪くなる理由を答えなさい。★
硬水に含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオンと結びついて水に溶けにくい塩を作るためです。
38. セッケン水が弱塩基性を示す理由を答えなさい。
弱酸(脂肪酸)と強塩基(NaOH)の塩なので加水分解するためです。そのため絹や羊毛の洗濯には適しません。
39. 低級エステルに共通する性質を1つ答えなさい。
果実のような芳香を持つことです。香料に使われます。
40. 有機化合物の混合物を分液漏斗で分けるとき、水層に移すためにはどうすればよいか。
酸や塩基を加えて塩(イオン)に変えることです。塩になると水に溶けるようになります。



エステルとセッケンは油脂とつながる分野です。けん化まで一続きで理解しておくと高分子でも楽になります。
芳香族化合物の分離と反応(問41〜50)
41. エーテルに溶かしたアニリンを水層に移すには、何を加えればよいか。
塩酸(希塩酸)です。アニリン塩酸塩となって水層に移ります。
42. 安息香酸とフェノールの混合エーテル溶液に、炭酸水素ナトリウム水溶液を加えるとどちらが水層に移るか。★
安息香酸だけが移ります。フェノールは炭酸より弱い酸なので、炭酸水素ナトリウムとは反応しません。この差が分離に使われます。
43. 問題42のあと、残ったフェノールを水層に移すには何を加えればよいか。
水酸化ナトリウム水溶液です。ナトリウムフェノキシドとなって水層に移ります。
44. ニトロベンゼンやトルエンは、酸や塩基を加えてもエーテル層に残る。その理由を答えなさい。
中性の物質で、酸とも塩基とも反応せず塩にならないためです。
45. サリチル酸が持つ2つの官能基は何か。
カルボキシ基 -COOH と ヒドロキシ基 -OHです。2つ持つため、カルボン酸としてもフェノール類としても反応します。
46. サリチル酸に無水酢酸を作用させると得られる化合物と、その用途を答えなさい。
アセチルサリチル酸で、解熱鎮痛剤(アスピリン)として使われます。
47. フェノール類の検出に使う試薬と、そのときの色を答えなさい。
塩化鉄(Ⅲ) FeCl3 水溶液を加えると青紫〜赤紫色を呈します。
48. ベンゼンに濃硝酸と濃硫酸の混合物を作用させると得られる化合物は何か。
ニトロベンゼンです。この反応をニトロ化といいます。
49. ニトロベンゼンをスズと塩酸で還元すると、最終的に何が得られるか。
アニリンです(いったんアニリン塩酸塩になるので、強塩基を加えて遊離させます)。
50. トルエンを過マンガン酸カリウムで酸化すると得られる化合物は何か。★
安息香酸です。側鎖のメチル基が酸化されてカルボキシ基になります。



ここまでお疲れさまでした。残り10問です。分液の問題は毎年どこかで出ます。酸の強さの順さえ押さえれば確実に取れます。
50問おつかれさまでした
有機は覚える量より、判断の手順を持っているかで差がつく分野です。解けなかった問題は、答えを覚えるのではなく「どこで判断すればよかったか」を確認してください。



構造決定の問題が解けない人の多くは、知識ではなく手順がないだけです。①分子式から不飽和度を出す→②官能基の検出結果を見る→③つなげる、の順で必ず進めてください。


ほかの一問一答50問ノック








化学の勉強の進め方


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