総合型選抜で受けると決めたものの、専門の塾に通うべきか迷っている高校生と保護者の方は多いはずです。検索すると「塾に行くべき」という記事が並びますが、その多くは総合型選抜の塾自身が書いたものです。
この記事では、文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項で「総合型選抜で必ず評価されること」を確かめ、その1つずつについて学校で足りるか、塾が要るかを分けて考えます。
総合型選抜では①本人が書く資料(志望理由書など) ②面接 ③学力を測る評価(小論文・共通テスト・英検など)の3つが必ず使われます。担任や進路の先生が志望理由書の添削と面接練習をしてくれるなら、塾なしでも準備できます。添削してくれる人がいない、志望校が小論文や英語の資格を求める、部活で書類を見直す時間が取れないなら、その部分だけ塾に頼る価値があります。
総合型選抜で塾が要るか:3つの必須項目で分けて考える
実施要項は、総合型選抜について「詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせる」入試だと定めたうえで、次の3つを必ず行うよう大学に求めています。
| 必須項目 | 中身 | 学校で足りる目安 |
|---|---|---|
| ①本人が書く資料 | 活動報告書・大学入学希望理由書・学修計画書など | 先生が2回以上添削してくれる |
| ②面接 | ディベート・集団討論・プレゼン・口頭試問など | 本番形式の練習を先生とできる |
| ③学力を測る評価 | 個別テスト・共通テスト・小論文・資格検定のどれか1つ以上 | 志望校の課す形式の対策ができる |
塾の記事は「総合型選抜は独学では難しい」とひとまとめにしがちですが、実際には3つのうちどれが自分に足りないかで答えが変わります。3つとも学校で見てもらえる人は塾なしで準備でき、1つだけ足りない人は、その1つだけを塾や通信の添削で補えば足ります。

まず担任の先生に「志望理由書を何回見てもらえますか」「面接練習はいつからできますか」と聞いてみてください。答え次第で、塾が要るかどうかがほぼ決まります。
- 志望理由書の添削は何回まで
- 面接練習はいつから何回
- 小論文を見てくれる先生はいるか
- 去年の総合型の受験者はいるか
総合型選抜の入学者は約5人に1人:塾がなくても受ける人は多い
文部科学省の令和7年度 国公私立大学入学者選抜実施状況によると、令和7年度に総合型選抜で大学に入学した人は次のとおりです。
| 区分 | 総合型選抜の入学者 | 入学者全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 国立大学 | 7,714人 | 7.7% |
| 公立大学 | 2,183人 | 6.0% |
| 私立大学 | 116,869人 | 22.8% |
| 計 | 126,766人 | 19.5% |
大学入学者のおよそ5人に1人が総合型選抜で入っていて、私立大学では22.8%を占めます。同じ年の学校推薦型選抜の入学者は221,415人(34.1%)でした。これだけの人数が受けている入試なので、総合型選抜は「専門の塾に通う一部の人のための入試」ではありません。高校の進路指導でも普通に扱われる入試になっています。
一方で、国立大学は7.7%、公立大学は6.0%と私立より割合が小さく、国公立を総合型選抜で狙う場合は募集人数が少ない学部で競うことになります。国公立志望で、共通テストや小論文を課す学部を受けるなら、書類と面接に加えて学力側の準備も要ります。

- 入学者の約5人に1人が総合型
- 私立では22.8%
- 国公立は7.7%・6.0%と狭い
- 学校推薦型は34.1%
塾なしで準備できる人・塾を考えたほうがいい人
上の3つの必須項目と、学校の支援の厚さで分けると次のようになります。
| 状況 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 学校に総合型の受験者が毎年いて、添削・面接練習の仕組みがある | 塾なしで準備できる | 必須の①②を学校で見てもらえる |
| 先生は見てくれるが、志望校が小論文を課す | 小論文だけ外部で補う | ③の形式に合わせた練習が要る |
| 英語の資格(英検など)が出願条件や加点にある | 英語だけ先に取る | 資格は出願前に結果が要る |
| 学校に総合型の受験者がほとんどいない | 塾を考える | ①②を見てくれる人がいない |
| 部活や課外活動で、書類を見直す時間が取れない | 塾を考える | 締め切りの管理を外に任せられる |
大事なのは、塾に行くかどうかを全部か0かで決めないことです。実施要項では、学力を測る評価は「個別テスト・共通テスト・小論文等・資格検定のうち少なくともいずれか一つ」とされていて、どれを使うかは大学・学部ごとに違います。志望校の募集要項を見て、自分に足りない項目だけを補う形でも十分です。


- 学校に総合型の前例がない
- 添削してくれる人がいない
- 志望校が小論文・資格を課す
- 書類の締め切りを守れない
塾に行くならいつから?出願の日程から逆算する

実施要項では、総合型選抜の入学願書の受付は令和8年9月1日以降、合否の発表は11月1日以降と決められています(令和9年度入学の場合)。夏休みが明けるとすぐ出願が始まるので、書類は夏休み中に仕上がっている必要があります。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 高2の冬〜高3の春 | 志望校を決め、募集要項で必須の書類・試験を確認 |
| 高3の5〜7月 | 志望理由書の下書き、英語資格の受験、オープンキャンパス |
| 高3の夏休み | 志望理由書の完成、面接・小論文の練習 |
| 高3の9月以降 | 出願、面接・試験。11月以降に合否発表 |
総合型選抜の専門塾ホワイトアカデミー高等部は、公式サイトのよくある質問で入塾時期を「3年生の夏休み期間前後が1つの目安」と答えています。ただしこれは書類の仕上げから始める場合の話で、英語の資格や評定平均が出願条件にある大学を狙うなら、高2のうちに条件を満たしておく必要があります。

夏休みに志望理由書を初めて書き始めると、添削の往復が間に合わないことがあります。遅くとも高3の6月には下書きを1本作っておくと安心です。

- 高2冬:志望校と募集要項を確認
- 高3春:志望理由書の下書き
- 高3夏:書類の完成と面接練習
- 9月以降:出願・試験
総合型選抜の塾の料金:公式サイトに金額が出ていないことが多い
「総合型選抜の塾はいくらかかるのか」は多くの人が気にする点ですが、専門塾の公式サイトを開いても金額が載っていないことがよくあります。
| 塾 | 公式サイトの料金の載せ方 |
|---|---|
| AOI(総合型選抜専門塾) | 「現状をヒアリングし、料金プランを作成」。無料の受験相談で提示 |
| ホワイトアカデミー高等部 | コースの紹介はあるが金額の掲載なし。無料の受験相談で案内 |
AOIの高3料金プランのページは、志望校や併願数に合わせて料金プランを作るため、金額は無料の受験相談で提案するという書き方です。ホワイトアカデミー高等部も、6種類のコースの内容は載っていますが、金額は載っていません。
料金が相談の場で決まる塾では、その場で申し込まず、見積もりを持ち帰って比べるのが基本です。聞くときは、次の4点を同じ条件でそろえてください。
- 出願までの総額(入会金込み)
- 志望理由書の添削は何回まで
- 面接練習は何回・誰が担当
- 不合格だった場合の扱い
「合格保証」「全額返金」は条件を読んでから判断する

総合型選抜の塾には、不合格なら授業料を返す制度をうたうところがあります。ホワイトアカデミー高等部は「規定のカリキュラムを完遂しても合格できなかった場合は授業料を全額返金」と書き、よくある質問で条件を次のように説明しています。
当スクールの講師が各生徒様に課している独自カリキュラムを全て消化し、複数の大学を受験したものの、受験校に一校も合格しなかった場合に当スクールの返金規約に基づき、授業料をご返金する
ホワイトアカデミー高等部 公式サイト「よく頂くご質問」
つまり返金の対象になるのは、課題を全部こなし、複数校を受け、1校も受からなかった場合です。1校でも受かれば対象外で、課題を1つでも残すと対象外になり得ます。細かい条件は返金規約で決まるので、申し込む前に規約そのものを見せてもらい、「複数」が何校か、どこまでが「カリキュラム」かを確かめてください。
また、どの塾に通っても、書類を書くのは本人です。AOIは公式サイトで「代筆はしません」と約束しています。文部科学省の実施要項Q&Aでも、面接はAI面接やペーパーインタビューで代わりにできないとされていて、最後に大学が見るのは本人の言葉です。塾は添削と練習の相手として使うもので、書類を作ってもらう場所ではありません。
- 返金規約の本文を見せてもらう
- 「複数の大学」は何校か
- 課題の「完遂」の基準
- 1校合格なら対象外か
一般選抜と併願するなら:学力の準備は別に要る
総合型選抜の合否は早ければ11月に出ますが、不合格だった場合は一般選抜に切り替えることになります。実施要項では総合型選抜でも共通テストを使えることになっているので、志望校の募集要項で共通テストが課されるかも確かめておきます。
専門塾で一般選抜の教科まで見てもらえるかは塾によって違います。ホワイトアカデミー高等部は、総合型選抜で結果が出なかった場合の一般入試のサポートに追加料金はかからないとしていますが、どの塾でも同じとは限りません。一般選抜と併願する人は、教科の勉強をどこでするかも申し込む前に決めておきます。学校の授業と自習で足りない科目があれば、その科目だけ予備校や映像授業で補う形が現実的です。

- 総合型:書類と面接
- 一般:教科の勉強を並行
- 足りない科目だけ外部で補う
- 11月の発表後すぐ切り替え
ひとりで進めるのが難しいとき:公式に単価を出している東進

独学に授業を足したいなら、大学受験で公式が単価を公表している【東進ハイスクール・東進衛星予備校】
があります。入学金33,000円+受講料77,000円/講座の積み上げ式で、高3で4講座なら年447,700円が目安。資料請求・1日体験・個別相談がそれぞれ無料です。
講座を取りすぎると総額が大きくなります。足りない科目だけ取る前提で見積もってください。

よくある質問
- 総合型選抜は塾に行かないと受かりませんか?
-
塾が必須ではありません。令和7年度には126,766人が総合型選抜で大学に入学していて、学校の先生の添削と面接練習で準備する人も多くいます。学校で志望理由書や面接を見てもらえない場合に、足りない所だけ塾で補うのが無駄のない使い方です。
- 総合型選抜の塾はいつから通うべきですか?
-
出願は9月1日以降に始まるので、書類は高3の夏休みまでに仕上げる必要があります。専門塾のホワイトアカデミー高等部は「3年生の夏休み期間前後が1つの目安」としていますが、英語の資格や評定平均が出願条件にある大学を狙うなら高2のうちから準備します。
- 総合型選抜の塾の料金はいくらですか?
-
AOIやホワイトアカデミー高等部のように、公式サイトに金額を載せず、無料の受験相談で料金プランを提示する塾が多いです。出願までの総額・添削の回数・面接練習の回数・不合格時の扱いをそろえて見積もりを比べてください。
- 合格保証のある塾なら安心ですか?
-
返金の条件を確かめてからにしてください。ホワイトアカデミー高等部の場合、独自カリキュラムを全て消化し、複数の大学を受けて1校も合格しなかった場合に、返金規約に基づいて授業料を返すとしています。
- 塾に志望理由書を書いてもらえますか?
-
書いてもらうものではありません。AOIは「代筆はしません」と公式に約束しています。面接では本人が直接答えるので、塾は添削と練習の相手として使います。
この記事で確認した資料
・文部科学省『令和9年度大学入学者選抜実施要項』(総合型選抜の必須事項、出願と発表の日程)
・文部科学省『令和9年度大学入学者選抜実施要項等に関するQ&A』(面接の扱い)
・文部科学省「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」(総合型選抜・学校推薦型選抜の入学者数と割合)
・AOI 高3料金プラン、ホワイトアカデミー高等部 公式サイト(料金の載せ方、合格保証の条件、入塾時期)
いずれも2026年9月30日に確認しました。



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