「集中力を高める食べ物」で調べると、チョコレート、バナナ、青魚、ナッツ、ラムネと、たくさんの食べ物が並びます。ただ、どれを食べればどれだけ集中できるのかは、記事によって言うことがばらばらです。
この記事では、厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)、農林水産省の食育の推進に役立つエビデンス、食品安全委員会のカフェインのファクトシートなど、公的な資料に書かれていることだけを使います。そのうえで、勉強の場面ごとに何を食べればよいかに落とし込みます(2026年9月27日確認)。
- 朝食を毎日食べる習慣は、学力や生活リズムと関係(農林水産省)
- カフェインは眠気覚ましになるが、取り過ぎると不眠や心拍数の増加
- 「これを食べれば集中力が上がる」という1品は、公的資料にない
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公的な資料で確かめられるのは、次の3つです。①脳は通常ぶどう糖をエネルギー源にしていて、必要量は1日に少なくとも100gと推定されている(厚生労働省)。
②朝食を毎日食べる習慣は、学力や生活リズムと関係しているという研究が複数ある(農林水産省)。
③カフェインは眠気覚ましになる一方、取り過ぎると不眠や心拍数の増加などが起こる(厚生労働省)。「これを食べれば集中力が上がる」という1品は、確認した公的資料には書かれていません。

塾で受験生を見ていても、集中が続かない原因は「何を食べたか」より「朝を抜いた」「夜更かしした」「おなかが空いたまま」のことがほとんどです。まず睡眠と食事をそろえてから、おやつや飲み物を工夫する順番がおすすめです。
集中力を高める食べ物は?公的資料で分かっていること
よく名前が挙がる食べ物と、公的資料で確かめられることを並べました。
| よく言われること | 公的資料で確かめられること |
|---|---|
| ご飯・パン・ラムネで頭が働く | 脳は通常ぶどう糖しかエネルギー源として使えない(食事摂取基準) |
| 朝ごはんを食べると成績が上がる | 朝食を毎日食べる習慣は学力と「関係している」という研究が複数(農林水産省) |
| コーヒーで集中できる | カフェインの量の目安と、取り過ぎの症状が示されている(厚生労働省・食品安全委員会) |
| チョコ・ナッツ・青魚で集中力アップ | 確認した資料には、集中力が上がるという記載なし |
4行目の食べ物が体に悪いという意味ではありません。「集中力が上がる」とまで言える根拠が、今回確認した公的資料には無いということです。おやつとして食べるのは問題ありませんが、効き目を期待しすぎないほうが、あとでがっかりしません。
- 公的資料に書かれていることだけを根拠にする
- 「関係している」と「原因になる」は分けて読む
- 食べ物の効果より、食べる時間と量を重視する
- 体調や持病がある場合は医師に相談する
脳のエネルギーはぶどう糖。ご飯・パン・果物で切らさない
厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)の炭水化物の章には、脳や神経組織などは、通常ぶどう糖(グルコース)しかエネルギー源として利用できないと書かれています。
同じ章によると、脳は体の重さに比べて多くのエネルギーを使い、基礎代謝のおよそ5分の1を消費します。基礎代謝が1日1,500kcalの場合、脳の消費は約300kcalで、ぶどう糖75gに相当します。脳以外の組織もぶどう糖を使うため、ぶどう糖の必要量は1日に少なくとも100gと推定されています。
ぶどう糖は、ご飯やパンのでんぷんが消化されてできます。つまり、ふだんの食事で主食をきちんと食べていれば、特別な食べ物を足さなくても補えます。勉強中に「頭が回らない」と感じたときは、まず前の食事から時間が空きすぎていないかを見てください。
休憩中に少しだけ補いたいときは、ぶどう糖でできたラムネが手軽です。何粒までが目安かは、ラムネの食べ過ぎは1日何粒から?で計算しています。

- 脳は通常ぶどう糖をエネルギー源にする
- 必要量は1日に少なくとも100gと推定
- ご飯・パンの主食で補える
- 休憩のおやつは少量を
朝ごはんと学力の関係:農林水産省がまとめた研究
農林水産省は、日本人を対象にした研究を集めて、朝食を毎日食べるとどんないいことがあるの?という資料にまとめています。そこでは、朝食を食べる習慣が次の4つと関係していると紹介されています。
| 朝食を毎日食べる習慣と関係していること | 資料で紹介されている研究の例 |
|---|---|
| 学力・学習習慣や体力 | 岡山県内の中学1〜3年生648人:中2・中3で朝食をほとんど毎日食べる子は、通信簿(9教科45点満点)の平均点が高い |
| 生活リズム | 幼児〜高校生:朝食を毎日食べる人は、早寝・早起きの人が多い |
| 栄養バランス | 中学生や大学生、成人:穀類・野菜類・卵類などの摂取量が多い |
| 心の健康 | 中学生、成人:ストレスを感じていない人が多い |
ここで大事なのは、資料の言葉が「関係しています」だという点です。朝食を食べる子は早寝早起きで生活が整っていることも多いので、朝食だけで成績が上がるとまでは言えません。とはいえ、朝を抜いて午前の授業や模試に臨むのは、ぶどう糖の面から見ても不利です。
朝がつらくて食べられない場合は、前の晩の寝る時間から見直すのが近道です。朝の眠気については朝の勉強が眠いときで、前の晩にやることをまとめています。

- 主食(ご飯・パン)を抜かない
- 卵や豆類のおかずを1品足す
- 食べられない日は前夜の就寝時間を見直す
- 「朝食だけで成績が上がる」とは言えない
コーヒー・緑茶・エナジードリンク:カフェインの量の目安

眠気覚ましにコーヒーやエナジードリンクを飲む受験生は多いですが、量には注意が必要です。食品安全委員会のファクトシートに載っている、主な飲み物のカフェインの量です。
| 飲み物 | カフェインの量(100mlあたり) |
|---|---|
| コーヒー | 60mg |
| インスタントコーヒー | 57mg |
| 玉露 | 160mg |
| 紅茶 | 30mg |
| せん茶・ウーロン茶 | 20mg |
| エナジードリンク・眠気覚まし用飲料 | 32〜300mg(製品による) |
日本では、カフェインを1日にどれだけ取ってよいかの基準(一日摂取許容量)は決められていません。ファクトシートでは海外の目安として、カナダ保健省の値が紹介されています。
| 年齢(カナダ保健省) | 1日の目安 |
|---|---|
| 10〜12歳 | 85mg以下 |
| 13歳以上の青少年 | 体重1kgあたり2.5mg以下 |
| 健康な成人 | 400mg以下 |
たとえば体重50kgの中高生なら、2.5mg×50kg=1日125mgが目安です(計算)。コーヒーなら約200ml、マグカップ1杯弱にあたります。エナジードリンクは製品によってコーヒーの数倍のカフェインを含むことがあるので、ラベルの表示を必ず確かめてください。
厚生労働省のカフェインの過剰摂取についてのQ&Aには、取り過ぎるとめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気などが起こると書かれています。また、ファクトシートで紹介されている欧州食品安全機関の意見では、子どもや10代でも寝る前のカフェインで睡眠障害が起こり得るとされています。

夜にコーヒーを飲んで勉強時間を延ばしても、寝つきが悪くなって翌日の授業で眠くなったら、差し引きでマイナスです。カフェインは午後の早い時間までにして、夜は寝るほうが、結果的に勉強時間が取れます。
- 中高生は体重1kgあたり2.5mgが目安(カナダ保健省)
- エナジードリンクはラベルで量を確認
- 夜・寝る前は避ける
- めまい・動悸が出たらすぐやめる
勉強の場面別:何をいつ食べるかの早見表

ここまでの内容を、勉強の場面ごとにまとめます。どれも「特別な食べ物」ではなく、ふだんの食事の組み立て方です。
| 場面 | 食べるとよいもの | 避けたいこと |
|---|---|---|
| 朝(登校・模試の前) | ご飯やパン+卵や豆類のおかず | 朝食を抜く |
| 勉強の前 | ふだんの食事をきちんと取っておく | 空腹のまま長時間始める |
| 休憩のおやつ | ラムネ少量、果物 | 甘い物のだらだら食べ |
| 夜・寝る前 | 温かい飲み物はカフェインの無いもの | コーヒー・エナジードリンク |
果物は、厚生労働省のe-ヘルスネットで、健康日本21(第三次)の目標として1日200gの摂取がすすめられています。おやつを果物に置きかえると、甘い物を食べ過ぎずに済みます。
食べ物と同じくらい効くのが睡眠です。中学生にどれくらいの睡眠が必要かは中学生の睡眠時間で整理しています。

食べ物より効く、集中が続く勉強の組み立て方

食べ物を整えても、勉強の中身がつらいままだと集中は続きません。集中が切れやすい人は、1回の勉強時間を短く区切って、終わったら休憩でおやつという流れにすると、食べる時間も自然に決まります。
何から手をつけてよいか分からず集中できない場合は、授業動画で1単元ずつ区切って進める方法もあります。高校生ならスタディサプリ高校・大学受験講座のように、1本の講義が短く区切られている教材だと、休憩の区切りを作りやすくなります。
よくある質問
- 集中力を高める食べ物は何ですか?
-
確認した公的資料には、「これを食べれば集中力が上がる」という1品は書かれていません。資料で確かめられるのは、脳が通常ぶどう糖をエネルギー源にすること、朝食を毎日食べる習慣が学力と関係していること、カフェインは量に注意が必要なことです。
- 勉強前に食べるとよいものは?
-
勉強の前に特別な物を食べるより、ふだんの食事で主食をきちんと取っておくことが大切です。脳が使うぶどう糖は、ご飯やパンのでんぷんから作られます。
- 中学生・高校生はコーヒーを飲んでもいいですか?
-
食品安全委員会のファクトシートで紹介されているカナダ保健省の目安では、13歳以上は体重1kgあたり1日2.5mg以下です。体重50kgなら125mgで、コーヒー約200mlにあたります(計算)。夜や寝る前は避けてください。
- チョコレートやナッツは集中力に効きますか?
-
今回確認した厚生労働省・農林水産省・食品安全委員会の資料には、チョコレートやナッツで集中力が上がるという記載はありませんでした。おやつとして適量を食べる分には問題ありません。
- 朝ごはんを食べると成績は上がりますか?
-
農林水産省の資料では、朝食を毎日食べる習慣は学力と「関係している」と紹介されています。朝食だけで成績が上がるとまでは言えませんが、朝食を抜くと脳のエネルギーになるぶどう糖が不足しやすくなります。

続けて読む:チョコは勉強に逆効果?/音楽を聴きながら勉強するのはOK?
この記事で確認した資料
厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2025年版)炭水化物 / 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2025年版)報告書 / 農林水産省 食育の推進に役立つエビデンス / 農林水産省 朝食を毎日食べるとどんないいことがあるの? / 食品安全委員会 食品中のカフェイン / 厚生労働省 食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A / e-ヘルスネット 果物1日200gのすすめ


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