「通信制高校から大学に行けるのか」「全日制より不利なのか」。この疑問に、学校の宣伝ではなく国の統計の生データで答えます。
使うのは、文部科学省の学校基本調査(令和7年度・確定値)です。e-Statで公開されている高等学校(通信制)状況別卒業者数・大学・短期大学等への進学者数・大学・短期大学への入学志願者数のExcelファイルから、数字をそのまま取り出しました(2026年9月25日確認)。
令和6年度に通信制高校を卒業した91,809人のうち、大学等に進学したのは26,301人(28.6%)です。全日制・定時制の62.6%と比べると低く見えます。ところが、大学(学部)を志願した23,617人に対して、大学(学部)に進学したのは20,445人で、割合を計算すると86.6%です。差がつくのは「受かるかどうか」より「受験までたどり着くかどうか」だと、数字は示しています。

通信制の生徒の相談を受けると、「通信制だと入試で不利になりますか」とよく聞かれます。統計で見る限り、出願までたどり着いた人はちゃんと進学しています。問題は、そこまでの3年間の過ごし方のほうです。
通信制高校の卒業後の進路(全国・令和6年度間)
学校基本調査の「状況別卒業者数」の全国計です。通信制は年度の途中でも卒業できるため、「令和6年度間」(2024年4月〜2025年3月)の卒業者で集計されています。
| 進路 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 卒業者 | 91,809人 | — |
| 大学等進学者 | 26,301人 | 28.6% |
| 専修学校(専門課程)進学者 | 21,013人 | 22.9% |
| 上記以外の者(進学も就職もしていない等) | 23,995人 | 26.1%(計算) |
大学等進学者26,301人の内訳は、大学(学部)20,445人・短期大学(本科)1,796人・大学・短期大学の通信教育部3,982人などです。通信教育部を除いた進学率は24.3%と、統計表に別に載っています。
専門学校(専修学校の専門課程)に進む人も22.9%いて、大学等と合わせると約半分が進学しています。「通信制から進学する人は少ない」というイメージは、少なくとも専門学校まで含めると当てはまりません。
全日制・定時制と比べると、何が違うのか
同じ調査の全日制・定時制(状況別卒業者数)と並べます。全日制・定時制は令和7年3月の卒業者です。
| 項目 | 通信制 | 全日制・定時制 |
|---|---|---|
| 卒業者 | 91,809人 | 929,157人 |
| 大学等進学率 | 28.6% | 62.6% |
| 専修学校(専門課程)進学率 | 22.9% | 14.8% |
| 上記以外の者 | 23,995人 | 44,070人 |
| 上記以外の者の割合(計算) | 26.1% | 4.7% |
いちばん大きな違いは、大学等進学率より「上記以外の者」の割合です。進学も就職もしていない卒業生が、全日制・定時制では4.7%なのに対し、通信制では26.1%います(どちらも人数を卒業者数で割って計算)。
この中には、アルバイトをしながら次の年に受験する人や、家の事情で進路をいったん保留した人も含まれます。ただ、4人に1人が進路を決めないまま卒業している事実は、通信制で大学を目指すなら「進路を決める時期」を自分で前倒しする必要があることを示しています。
- 大学等進学率は通信制28.6%、全日制・定時制62.6%
- 「上記以外の者」は通信制26.1%、全日制・定時制4.7%
- 通信制は4人に1人が進路未定のまま卒業
- 大学目指すなら進路決定を自分で前倒しが必要
志願者と進学者を比べると「不利」の正体が見える
入学志願者数の表には、大学(学部)・短期大学(本科)を志願した人の数が、卒業年別に載っています。令和6年度間の卒業者だけで比べます。
| 区分 | 志願者 | 進学者 | 進学者÷志願者(計算) |
|---|---|---|---|
| 大学(学部) | 23,617人 | 20,445人 | 86.6% |
| 短期大学(本科) | 1,918人 | 1,796人 | 93.6% |
大学(学部)を志願した人の86.6%が、大学(学部)に進学しています。志願者数は「受けた大学の数」ではなく人数なので、受けた人の大半はどこかの大学に入っているということです。
また、令和5年度に卒業した人のうち1,376人、令和4年度以前に卒業した人のうち529人も、大学(学部)を志願しています。通信制を卒業してから1年以上かけて受験する人も、一定数いることが分かります。

ここから言えるのは、通信制だから入試で落とされる、という構図ではないことです。落とし穴は「レポートとスクーリングで卒業はできるけれど、受験勉強の時間を誰も管理してくれない」ことにあります。
- 大学(学部)志願者23,617人中20,445人が進学(86.6%)
- 短期大学は志願者1,918人中1,796人が進学(93.6%)
- 通信制卒業後1年以上かけて受験する人も一定数いる
- 「入試で落とされる」構図ではない
公立と私立で、進学率に差がある

| 設置者 | 卒業者 | 大学等進学率 | 上記以外の者の割合(計算) |
|---|---|---|---|
| 公立 | 9,443人 | 17.1% | 36.9% |
| 私立 | 82,366人 | 30.0% | 24.9% |
通信制の卒業者の約9割は私立です。私立は大学等進学率が30.0%で、公立の17.1%より高くなっています。私立の広域通信制には、大学受験向けの授業やコースを用意している学校が多いことも、差の一因と考えられます。
- 公立の大学等進学率17.1%、私立30.0%
- 卒業者の約9割は私立
- 私立は大学受験向けコースがある学校が多いことが一因
都道府県別に見るときの注意
都道府県別の数字は、生徒が住んでいる場所ではなく学校の所在地で集計されています。全国から生徒を集める広域通信制の本校がある県に、卒業者が集まります。
| 都道府県 | 卒業者 | 大学等進学率 |
|---|---|---|
| 茨城県 | 13,305人 | 32.8% |
| 北海道 | 8,566人 | 33.7% |
| 沖縄県 | 7,083人 | 39.0% |
| 大阪府 | 5,968人 | 25.6% |
| 鹿児島県 | 5,683人 | 25.1% |
| 千葉県 | 5,425人 | 26.9% |
| 東京都 | 3,751人 | 24.8% |
| 山梨県 | 3,184人 | 43.5% |
卒業者が多い8都道県を並べました。県の数字は、その県にある数校の実績でほぼ決まります。「〇〇県の通信制は進学率が高い」とは読めないので、学校選びでは各校が公表している進路実績を見てください。
通信制から大学に進学するためにやること

1. 高1のうちに、目指す入試の方式を決める
大学入試には、学力試験中心の一般選抜のほかに、学校推薦型選抜と総合型選抜があります。推薦や総合型では、高校の成績や活動の記録が評価の材料になります。通信制でも出願できますが、高1からの成績と活動を積み上げておくことが前提です。
2. レポート以外の勉強時間を、毎週の予定に入れる
通信制の卒業に必要なのは、レポート・スクーリング・単位認定試験です。これだけでは大学入試の範囲をカバーできません。卒業のための学習とは別に、受験勉強の時間を週単位で決めておくことが必要です。
3. 進捗を見てくれる人を、外につくる
全日制なら担任や周りの友達が受験の空気をつくりますが、通信制では自分で作るしかありません。学校の進学コース、塾、家庭教師など、週に1回でも進み具合を確認してくれる大人がいるだけで、「進路未定のまま卒業」を避けやすくなります。
学費と進学コースの費用の関係は、N高の学費の記事で、就学支援金の対象になる費用とならない費用に分けて整理しています。不登校から高校を選ぶ段階の人は、不登校の高校受験も参考にしてください。
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よくある質問
- 通信制高校から大学に進学できますか?
-
できます。令和6年度に通信制高校を卒業した91,809人のうち、26,301人が大学等に進学しています(学校基本調査)。
- 通信制高校は大学受験で不利ですか?
-
進学率は全日制・定時制より低いものの、大学(学部)を志願した23,617人のうち20,445人が大学(学部)に進学しています。受験までたどり着けるかどうかが大きな差です。
- 通信制高校の大学進学率は何%ですか?
-
全国で28.6%です。大学・短期大学の通信教育部への進学を除くと24.3%です。
- 公立と私立の通信制で違いはありますか?
-
大学等進学率は、公立が17.1%、私立が30.0%です。卒業者の約9割は私立です。
この記事で確認した資料
学校基本調査 297 状況別卒業者数(通信制) / 299 大学・短期大学等への進学者数(通信制) / 301 大学・短期大学への入学志願者数(通信制) / 283 状況別卒業者数(全日制・定時制) / e-Stat 学校基本調査 令和7年度


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