古文単語は、英単語と同じやり方で覚えると失敗します。英単語は1語1訳で回せますが、古文単語は1語に意味が3つも4つもあるからです。「あはれ」「をかし」「ゆかし」を訳語で丸暗記した人は、本文に出た瞬間にどの意味か選べなくなります。
この記事では、多義語を「元の意味1つ」から派生させて覚える方法と、1日何語・何周で回すかの具体的な数字、そして定番の単語帳3冊を出版社の公式データだけで比較した結果を書きます。口コミの評価は使っていません。
結論:覚えるのは「訳語」ではなく「元の意味」。1日30語×3周で1ヶ月
| 項目 | やること |
|---|---|
| 覚える単位 | 1語につき「元の意味」を1つ。訳語はそこから場面で派生させる |
| 1日の個数 | 新規30語+前日の30語の復習(合計60語・20分) |
| 周回 | 1周目:意味を見る/2周目:隠して言う/3周目:例文で訳す。3周で315語なら約1ヶ月 |
| 判定 | 例文の中で訳せたら「覚えた」。単語だけ言えても数えない |

塾で見ていると、古文単語で伸びない子は「訳語を3つ覚えた」状態で止まっています。本文では3つのどれかを選ぶ必要があるので、選ぶ基準=元の意味を持っていないと使えません。覚える量を減らして、派生させる練習に時間を回してください。
古文単語の覚え方:多義語は「元の意味」から派生させる

①元の意味を1つだけ覚える
たとえば「あはれ」は「しみじみとした情趣」が元で、場面によって「悲しい」「かわいい」「趣がある」に振れます。覚えるのは「しみじみ心が動く」の1つだけ。あとは文脈で「良い方向か悪い方向か」を決めます。
「をかし」も同じで、元は「心がひかれる」。明るい方向に振れて「趣がある・おもしろい・かわいい」。「あはれ」は湿った感動、「をかし」は乾いた感動。この対比で2語まとめて片づきます。

②プラスかマイナスかで振り分ける
古文単語の多義は、元の意味が「良い方向」「悪い方向」のどちらに振れたかで整理できます。単語帳の訳語を見たら、+か−かを横に書き込んでください。訳語を覚える代わりに、方向を覚えます。
③例文の中で訳せたら「覚えた」
単語だけ見て意味が言えても、本文では使えません。3周目は必ず例文を隠さず読み、その場で訳すところまでやってください。ここで初めて「元の意味→場面の意味」の変換が身につきます。
訳語を全部暗記する/1周目から書いて覚える(時間がかかり、1日の個数がこなせない)/単語帳を最初から順に1周だけ(後半に着く頃に前半が消える)。1日30語で区切って、翌日に前日分を重ねる「重ね回し」にしてください。
単語帳3冊を公式データで比較

定番の3冊を、出版社の公式ページに書かれている数字だけで並べました(2026年9月6日確認)。
| 重要古文単語315 四訂版 | Key&Point 古文単語330 四訂版 | 新・ゴロゴ古文単語 | |
|---|---|---|---|
| 出版社 | 桐原書店 | いいずな書店 | ゴロゴネット |
| 定価(税込) | 990円 | 1,133円 | 880円 |
| 収録 | 見出し語315+関連語・慣用句315=630語 | 330語を5章で段階的に。巻末「慣用表現」を増補 | 公式ページに語数の明記なし |
| 判型・頁数 | B6判・320頁 | B6判変型・352頁 | — |
| 覚え方の仕掛け | イラスト・図で意味を解説。見開きごとのQRで例文音読動画と入試問題 | 各語の「KEY(イメージの幹)」と「POINT(留意点)」、図解とイラスト | ゴロ合わせ。音声と公式読み上げ動画あり |
| 対象 | 中学生〜大学・社会人 | 高校1年生〜難関入試 | — |
| 刊行 | 2022年10月(2024年1月に価格改定) | 2023年10月 | — |

この記事の覚え方(元の意味から派生)と相性がいいのは330です。各語に「KEY」として意味の幹が書いてあるので、そのまま使えます。315は関連語を含めて630語と量が多く、例文音読動画がQRで見られるので3周目の例文訳に向きます。ゴロゴは元の意味より訳語を先に入れる型なので、記憶の取っかかりが欲しい人向けです。
どれを選ぶか
| 状況 | 選ぶ |
|---|---|
| 古文が苦手で、まず単語の意味の幹をつかみたい | 330(KEYで幹が書いてある) |
| 関連語まで含めて量をこなしたい・例文音読で覚えたい | 315(630語+QR音読動画) |
| 活字だと入らない。語呂で取っかかりが欲しい | ゴロゴ(ゴロ合わせ音声・読み上げ動画) |
どれを選んでも、1冊を3周してください。2冊目に手を出すのは3周終わってからです。
共通テストの古文45点のうち15点は「語句の解釈」3問|令和7・8年度の正解・配点表と問題冊子で確かめた
古文単語を覚えると、試験で何点分に直接つながるのか。大学入試センターが公表している令和7年度・令和8年度 共通テスト「国語」の正解・配点表と問題冊子で確かめました(2026年10月15日確認)。国語は200点満点で、古文は第4問(45点)です。両年度とも、第4問の問1は「傍線部の解釈として最も適当なもの」を選ぶ3問で、1問5点でした。
| 年度 | 傍線部(問題冊子の表記) | 正解の選択肢 | 配点 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度 | (ア)いはけなくより | 幼いころから | 5点 |
| 令和7年度 | (イ)なかなか | かえって | 5点 |
| 令和7年度 | (ウ)呼ばひののしる | 大声を出して叫び続ける | 5点 |
| 令和8年度 | (ア)騒がしければ、えなむ | 騒がしいので、弾くことができません | 5点 |
| 令和8年度 | (イ)はしたなげにぞあめる | 体裁が悪いように思います | 5点 |
| 令和8年度 | (ウ)風邪ひきたまひてむ | 風邪をおひきになってしまうでしょう | 5点 |
| 令和8年度 第4問(古文) | 解答番号 | 配点 |
|---|---|---|
| 問1(語句の解釈・3問) | 23〜25 | 15点(5点×3) |
| 問2 | 26 | 7点 |
| 問3 | 27 | 7点 |
| 問4 | 28 | 8点 |
| 問5 | 29 | 8点 |
| 合計 | — | 45点 |

計算
- 問1の配点:5 × 3 = 15(点)
- 古文45点に占める問1の割合:15 ÷ 45 = 0.333 → 33.3%
- 国語200点に占める問1の割合:15 ÷ 200 = 0.075 → 7.5%
- 第4問の合計(令和8年度):15 + 7 + 7 + 8 + 8 = 45(点)
- 国語の平均点を200点満点に戻す:令和7年度 63.33 × 2 = 126.66(点)、令和8年度 58.18 × 2 = 116.36(点)
- 2年の平均点の差:126.66 − 116.36 = 10.30(点)
- この記事の回し方で315語を1周する日数:315 ÷ 30 = 10.5 → 11日
読み方です。古文45点のうち3分の1(15点)は、傍線部の意味を選ぶ問題でした。国語200点全体で見ると7.5%です。問1の選択肢はどれも傍線部の言い換えなので、語の意味と文法の知識がそのまま使えます。単語を「元の意味」で覚えておく効果が、いちばん直接に出る場所です。
令和7年度の(イ)「なかなか」の正解は「かえって」でした。現代語の「なかなか(かなり)」の感覚で読むと外れます。この記事の①②で書いた「訳語を丸暗記せず、元の意味と方向で覚える」が効くのは、こういう語です。
一方で、令和8年度の3問は、単語の意味だけでは決まりません。(ア)の選択肢は「弾くことができません」と「弾くのをやめてください」で分かれ、(ウ)は「おひきになる」と「ひかせ申し上げる」で分かれています。「できない」を表す言い方や、尊敬・謙譲の敬語が分かっていないと、単語を知っていても選べません。単語帳を3周したら、助動詞と敬語に進む理由がここにあります。
なお、大学入試センターの「受験者数・平均点の推移」に載っているのは国語全体の平均点(100点満点換算で令和7年度63.33点、令和8年度58.18点)だけで、古文の大問や問1ごとの平均点・正答率は公表されていません。問1で受験生が何割取れているかは、この資料からは分かりません。
- 「単語帳だけで問1の15点が取れる」と考える場合。令和8年度の問1は、「できない」の言い方や敬語で選択肢が分かれていた
- 現代語訳を自分で書く試験(記述式の大学)の対策の比重を決める場合。ここで見たのは共通テストの選択式の配点だけ
- 2年分の配点で、次の年の配点を決めつける場合。問2以降の配点は令和7年度と令和8年度で並び方が違い、毎年同じとは限らない
- 国語の平均点の差(10.30点)を古文の難しさの差と読む場合。平均点は国語全体の数字で、どの大問で差がついたかは公表されていない
出典:大学入試センター「令和8年度 本試験の正解 国語」(PDF)/同「令和7年度 本試験の正解 国語」(PDF)/同「令和8年度 本試験の問題 国語」(PDF・第4問 問1)/同「令和7年度 本試験の問題 国語」(PDF・第4問 問1)/同「受験者数・平均点の推移(本試験)」(2026年10月15日確認)
単語の次にやること

単語だけでは古文は読めません。助動詞と敬語を押さえたら、無料で使える古文・漢文のサイトで演習に移ってください。


よくある質問
- 古文単語は何語覚えれば足りますか?
-
共通テストと一般的な私大なら、単語帳1冊(315〜330語)を3周すれば足ります。600語超の帳は関連語を含めた数なので、見出し語ベースで比べてください。
- 1日何個覚えればいいですか?
-
新規30語+前日の30語の復習が目安です。315語なら約11日で1周、3周で1ヶ月強。1日100語は1回の量が多く、前日分の復習まで回らなくなるので勧めません。
- ゴロ合わせで覚えても本文で使えますか?
-
取っかかりとしては有効ですが、ゴロから訳語に飛ぶだけだと多義語で止まります。ゴロで覚えた語も、元の意味とプラス・マイナスの方向を後から書き足してください。
- アプリだけで覚えられますか?
-
スキマ時間の1周目・2周目には向きます。3周目の「例文で訳す」は紙のほうが速いので、最後は単語帳の例文に戻ってください。

この記事の更新・訂正
- 「時間が10倍かかる」「1日100語は翌日に残らない」は根拠を示せないので、数字と言い切りを外しました
全記事の履歴は「訂正・更新の履歴」、調べ方と書き方は「記事の作り方」にまとめています。
この記事で確認した公式ページ
価格・収録数・仕様は各出版社の公式ページで2026年9月6日に確認しました。改定されることがあるので、購入前にご確認ください。

