「指定校推薦は評定平均がいくつあれば取れるのか」「4.0ないと無理なのか」。高1・高2の三者面談や、高3の夏に校内の募集が出た時期によく出てくる疑問です。
先に大事な事実を書きます。指定校推薦の評定平均の基準は、大学が指定した高校に知らせるもので、大学のサイトや募集要項には載っていません。ネットで見かける「早慶は4.2以上」といった数字は、どれも公式の資料ではない目安です。この記事では、文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項と入学者選抜実施状況をもとに、評定平均がどう計算され、どう使われるのかを確かめます。
指定校推薦で見られるのは、調査書の「全体の学習成績の状況」(評定平均)です。高1からの全科目の評定を合計して評定の数で割り、小数点以下第2位を四捨五入します。高3は出願時点の直近の成績が入ります。基準の数字は大学ごとに高校へ届くので、自分の高校の進路指導室で確認するのが唯一の正確な方法です。公開されている公募制の例では「3.5以上」が出てきます。
指定校推薦とは:国の要項では「非公募型の学校推薦型選抜」
大学入試は、国の実施要項で「一般選抜」「総合型選抜」「学校推薦型選抜」の3つに分かれています。指定校推薦はこのうち学校推薦型選抜の1つで、要項では非公募型と呼ばれます。大学が高校を指定し、その高校の校長が推薦した生徒だけが出願できる方式です。
高等学校との緊密な連携により、意欲や適性等を含め丁寧なマッチングが図られていると考えられる非公募型の学校推薦型選抜であって合格した際には入学することを入学志願者が確約して受験するものについては、大学の実情に応じて面接の要否を判断することができる。
文部科学省『令和9年度大学入学者選抜実施要項』第3-1(3)①
つまり指定校推薦は、合格したら入学すると約束して受ける入試です。一方で要項は、学校推薦型選抜では調査書や推薦書だけで決めず、小論文・口頭試問・実技・共通テストなどの評価方法を少なくとも1つ使うよう求めています。「評定平均さえあれば書類だけで決まる」わけではありません。
| 区分 | 誰が出願できるか | 評定平均の基準 |
|---|---|---|
| 指定校推薦(非公募型) | 大学が指定した高校の生徒 | 大学から高校へ通知 |
| 公募推薦(公募制) | 条件を満たせば全国の高校から | 募集要項で公開 |
| 総合型選抜 | 本人の意志で出願 | 条件なしの大学もある |
- 大学が高校を指定する
- 合格したら入学を約束する
- 基準は高校にだけ届く
- 書類以外の評価も1つ以上
評定平均の出し方:全科目の評定の合計÷評定の数

指定校推薦で使う評定平均は、大学に出す調査書の「全体の学習成績の状況」です。調査書記入上の注意事項は、出し方を次のように決めています。
すべての教科・科目の評定の合計数をすべての評定数で除した数値(小数点以下第2位を四捨五入)を記入すること。
文部科学省『令和9年度大学入学者選抜実施要項』調査書記入上の注意事項等 8(4)
要項に載っている計算例では、評定の合計が120、評定の数が31なら、120÷31=3.87…で、四捨五入して3.9です。単位数で重みをつける計算ではなく、評定1つを1として数える単純な平均です。体育のように高1〜高3で続けて履修する科目は、学年ごとに1つずつ数えます。
| 評定の合計÷評定の数 | 計算結果 | 調査書の値 |
|---|---|---|
| 120÷31 | 3.870… | 3.9 |
| 108÷31 | 3.483… | 3.5 |
| 107÷31 | 3.451… | 3.5 |
| 106÷31 | 3.419… | 3.4 |
2行目以降は、評定の数を31に固定して当サイトで計算した例です。四捨五入なので、3.45以上なら調査書の値は3.5になります。ただし、大学や高校が四捨五入前の値や別の条件で判断する場合もあるので、「ギリギリ」のときは進路の先生に計算のしかたを確認してください。

- 全科目の評定を合計
- 評定の数で割る
- 小数第2位を四捨五入
- 単位数の重みはつけない
評定平均はいつの成績まで?高3は「直近の成績」が入る
学校推薦型選抜の願書は、要項で11月1日以降に受け付けると決まっています。この時点では高3の成績がまだ確定していません。そこで調査書記入上の注意事項は、次のように決めています。
卒業見込みの者で、最終学年の成績が未決定である場合は、当該学年における直近の成績を総合し、高等学校として判定した成績を、最終学年の成績として記入すること。
文部科学省『令和9年度大学入学者選抜実施要項』調査書記入上の注意事項等 7(4)
つまり評定平均には、高1・高2の全科目と、高3の出願時点までの成績が入ります。前期・後期の2学期制か3学期制かで「直近」がいつになるかは高校によって違います。校内選考の時期と、そこで使う成績の範囲は、自分の高校の募集案内で確かめてください。
| 学年 | 評定平均に入るか | 動かせるか |
|---|---|---|
| 高1 | 全科目が入る | 確定済み |
| 高2 | 全科目が入る | 確定済み(高3の春以降) |
| 高3 | 出願時点の直近の成績 | 1学期(前期)の定期テストで動く |

高3になってからでも、直近の成績が入る分は動かせます。ただ、高1・高2の科目数が多いほど1科目で動く幅は小さくなるので、評定平均は高1の1学期から積み上がる数字だと考えてください。
- 高1・高2の全科目
- 高3は直近の成績
- 校内選考の時期は高校ごと
- 高1の1学期から積み上がる
基準はどこで分かる?公開されているのは公募制の数字

指定校推薦の基準は、大学から高校に届く推薦依頼に書かれていて、高校の進路指導室で校内募集として発表されます。同じ大学・学部でも、高校ごとに基準や枠の数が違うことがあります。そのため、ネットの一覧の数字を自分の高校に当てはめることはできません。
参考として、大学が公開している公募制の学校推薦型選抜の条件を見ると、評定平均の水準の感覚がつかめます。たとえば国際医療福祉大学の学校推薦型選抜[公募制]は、次のように公開しています。
高校での全体の学習成績の状況が3.5以上(一部の学科については3.0以上)の方が出願できます。
国際医療福祉大学「学校推薦型選抜[公募制]」
また要項は、大学が重要と判断する教科・科目を指定し、一定水準以上の評定を出願の条件にできるとしています(第13の2(2))。指定校推薦でも「全体の評定平均と、英語の評定平均の両方に下限がある」ように、全体と教科別の2つの条件がつくことがあります。校内募集の掲示を見るときは、全体の数字だけでなく教科の条件まで読んでください。
- 進路指導室の校内募集を見る
- 全体と教科別の両方を確認
- 欠席日数などの条件も見る
- ネットの一覧は当てにしない

評定平均とA〜Eの学習成績概評の対応
調査書には評定平均のほかに、学年全員の成績を5段階に分けた学習成績概評も載ります。要項の区分は次のとおりです。
| 学習成績概評 | 全体の学習成績の状況 |
|---|---|
| A | 5.0〜4.3 |
| B | 4.2〜3.5 |
| C | 3.4〜2.7 |
| D | 2.6〜1.9 |
| E | 1.8以下 |
公募制で多い「3.5以上」は、概評でいうとBの下限にあたります。4.3以上がAです。指定校推薦の基準も、この区分と同じ物差しで書かれた数字だと考えると、校内募集の掲示が読みやすくなります。
- 4.3以上がA
- 3.5〜4.2がB
- 3.4以下はC以下
- 調査書に人数分布も載る
推薦で入学する人はどれくらいいるか
文部科学省の令和7年度 国公私立大学入学者選抜実施状況の概要によると、学校推薦型選抜(指定校推薦と公募推薦の合計)で入学した人は次のとおりです。指定校推薦だけの人数は、この資料には分かれて載っていません。
| 大学の種類 | 学校推薦型の入学者 | 入学者全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 国立 | 12,706人 | 12.7% |
| 公立 | 9,732人 | 26.9% |
| 私立 | 198,977人 | 38.8% |
| 合計 | 221,415人 | 34.1% |
私立大学では入学者のおよそ4割が学校推薦型選抜で入っています。同じ年の私立大学の総合型選抜は116,869人(22.8%)です。推薦・総合型を合わせると、私立大学の入学者の半分以上が一般選抜以外の入試で入っている計算になります。
- 私立の約4割が学校推薦型
- 国立は12.7%
- 私立の総合型は22.8%
- 指定校だけの人数は非公表
評定平均が足りない・ギリギリのときの選び方
校内募集の基準に届かない、または届いていても希望者が多いときは、次の順で考えます。
| 状況 | 考えること |
|---|---|
| 高3の出願前 | 直近の成績が入るので定期テストで上げる |
| 基準に0.1〜0.2足りない | 四捨五入の扱いと別の大学の枠を先生に聞く |
| 希望者が多い | 校内選考の基準(評定以外)を確認 |
| 届かない | 公募推薦・総合型選抜・一般選抜を並べる |
公募推薦は条件が公開されているので、自分で出願できるか判断できます。総合型選抜は、評定平均の条件をつけない大学もあります。総合型と学校推薦型の違いと準備の時期は、次の記事で整理しています。


指定校推薦は「合格したら入学を約束する」入試です。要項は、専願や学校推薦型選抜に合格して在学契約を結んだ人を、3月31日までに辞退したときの授業料等の返還の原則から外しています。本当に行きたい大学かどうかを決めてから校内選考に出てください。

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よくある質問
- 指定校推薦の評定平均の基準はどこで分かりますか?
-
大学から高校に届く推薦依頼に書かれていて、高校の進路指導室の校内募集で発表されます。大学のサイトや募集要項には載っていないので、自分の高校で確認してください。
- 評定平均は高3のいつの成績まで入りますか?
-
高1・高2の全科目と、高3の出願時点までの直近の成績です。文部科学省の実施要項は、最終学年の成績が決まっていないときは直近の成績を総合して高校が判定すると決めています。
- 評定平均3.45は3.5になりますか?
-
調査書の全体の学習成績の状況は小数点以下第2位を四捨五入するので、3.45は3.5と書かれます。ただし高校や大学が四捨五入前の値で判断する場合もあるので、進路の先生に確認してください。
- 指定校推薦は評定平均だけで決まりますか?
-
決まりません。実施要項は、学校推薦型選抜で調査書や推薦書だけでなく、小論文や口頭試問などの評価方法を少なくとも1つ使うよう求めています。校内選考でも評定以外の条件が見られることがあります。
- 指定校推薦で合格したら辞退できますか?
-
指定校推薦は合格したら入学すると約束して受ける入試です。実施要項は、学校推薦型選抜に合格して在学契約を結んだ人を、授業料等の返還の原則の対象から外しています。
この記事で確認した資料
・文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(学校推薦型選抜・非公募型・調査書記入上の注意事項・学習成績概評・入学辞退者の授業料等)
・文部科学省「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」(学校推薦型選抜・総合型選抜の入学者数と割合)
・国際医療福祉大学「学校推薦型選抜[公募制]」(公募制の出願条件)
いずれも2026年9月30日に確認しました。



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