中学生の自由研究は、テーマ選びで半分決まります。そして、先生がいちばん見ているのは「すごい実験」ではなく、条件をそろえて比べたかと結果から何を言えたかです。
この記事では、中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編に書かれている「探究の過程」に沿って、テーマ30個を「変える条件」と「測るもの」の表にしました。1日で終わるものから、人とかぶらないデータ系のテーマまで入れています。
自由研究で評価が分かれるのは、変える条件を1つにして、ほかの条件をそろえたかです。「10円玉を何できれいにできるか」なら、変えるのは液体の種類だけ、10円玉の数や漬ける時間はそろえます。1日で終わらせたいなら物理・化学のテーマ、人とかぶらせたくないなら気象庁のデータやサイコロなどのデータ系のテーマが向いています。

塾で自由研究の相談を受けると、「何を調べたいか」より先に「何を比べるか」を決めてもらいます。比べるものが決まれば、テーマはほぼ完成です。
先生が見るポイント:学習指導要領の「探究の過程」
中学校の理科は、学習指導要領解説で「課題の把握(発見)→課題の探究(追究)→課題の解決」という探究の過程で学ぶことになっています。自由研究のレポートも、この順に書くと先生に伝わります。
| 探究の過程 | 自由研究でやること |
|---|---|
| 課題の設定 | 気づいたことから「何を調べるか」を1文で書く |
| 仮説の設定 | 「〜だから、〜になるはず」と予想を書く |
| 検証計画の立案 | 変える条件・そろえる条件・測るものを決める |
| 観察・実験の実施 | 同じ条件で3回以上くり返す |
| 結果の処理 | 表とグラフにする |
| 考察・推論 | 仮説が合っていたか、なぜそうなったかを書く |
| 表現・伝達 | レポートや模造紙にまとめる |
学習指導要領解説では、3年間を通して学年ごとに重視する過程も示されています。学年に合わせて、力を入れる部分を変えると評価されやすくなります。
| 学年 | 理科の授業時間数 | 重視する過程 | 自由研究で力を入れる所 |
|---|---|---|---|
| 中1 | 105時間 | 自然の事物・現象に進んで関わり、その中から問題を見いだす | 身近な疑問から課題を作る |
| 中2 | 140時間 | 解決する方法を立案し、その結果を分析して解釈する | 条件のそろえ方と、表・グラフの読み取り |
| 中3 | 140時間 | 探究の過程を振り返る | 失敗した点と、次にやるならどう変えるか |
探究の過程は,必ずしも一方向の流れではない。
文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編」
- 中1は身近な疑問から課題を作る
- 中2は条件のそろえ方と表・グラフの読み取り
- 中3は探究の過程を振り返る(反省と次の課題)
- 同じ条件で3回以上くり返すと結果が信用される
分野別:中学生の自由研究テーマ30選

表の「時間」は、準備から結果が出るまでのおおよその長さです(レポートを書く時間は含みません)。どのテーマも、同じ条件で3回以上くり返すと結果が信用されます。
物理(1日で終わるものが多い)
| テーマ | 変える条件 | 測るもの | 時間 |
|---|---|---|---|
| 振り子が1往復する時間は何で決まるか | 糸の長さ・おもりの重さ・振れ幅(1つずつ) | 10往復の時間 | 半日 |
| 輪ゴムはおもりの数に比例して伸びるか | つるすおもりの数 | 伸びた長さ | 半日 |
| 斜面の角度とビー玉が転がる速さ | 斜面の角度 | 下まで転がる時間 | 半日 |
| 氷を長持ちさせる包み方 | 包む素材(アルミ・新聞紙・タオル) | 一定時間後に残った氷の重さ | 1日 |
| 水を入れたびんの音の高さ | 入れる水の量 | 音の高さ(チューナーアプリ) | 2時間 |
| 紙飛行機の折り方と飛ぶ距離 | 折り方(翼の形) | 飛んだ距離 | 半日 |
化学(台所の材料でできる)
| テーマ | 変える条件 | 測るもの | 時間 |
|---|---|---|---|
| 10円玉をきれいにする液体はどれか | 液体(酢・レモン汁・ソース・塩水) | 色の変化と、変わるまでの時間 | 半日 |
| 紫キャベツ液で身の回りの液体を調べる | 液体の種類 | 色(酸性・中性・アルカリ性) | 半日 |
| 水の温度と、溶ける砂糖・食塩の量 | 水の温度 | 溶けきった量 | 半日 |
| ミョウバンの大きな結晶を作る | 冷やす速さ | 結晶の大きさ・形 | 3〜7日 |
| 使い捨てカイロが温まるしくみ | 空気に触れさせるかどうか | 温度の変化 | 1日 |
| りんごの切り口が茶色くなるのを防ぐ | つける液(水・塩水・レモン汁) | 色が変わるまでの時間 | 1日 |
化学の実験は、手順を図にするとレポートが一気に見やすくなります。器具の絵は当サイトの化学実験のイラスト集と理科の実験器具のイラスト集を使えます。
生物(日数がかかるので早めに始める)
| テーマ | 変える条件 | 測るもの | 時間 |
|---|---|---|---|
| 豆苗は光の当たり方で伸び方が変わるか | 光(窓際・室内・箱の中) | 伸びた長さ・色 | 7日 |
| パンにカビが生えやすい条件 | 置く場所の温度・湿り気 | カビが見えるまでの日数 | 7〜10日 |
| だ液はデンプンを分解するか | 温める温度 | ヨウ素液の色の変化 | 半日 |
| ダンゴムシは分かれ道でどちらに曲がるか | 分かれ道の形(直前の曲がり方) | 左右に曲がった回数 | 1日 |
| 葉の表と裏で気孔の数は違うか | 葉の表・裏、植物の種類 | 顕微鏡で数えた気孔の数 | 1日 |
| 切り花が色水を吸い上げる速さ | 茎の長さ・色水の色 | 花びらに色がつくまでの時間 | 1日 |
地学(外で観察する・データを使う)
| テーマ | 変える条件 | 測るもの | 時間 |
|---|---|---|---|
| 1日の気温と湿度はどう変わるか | 時刻 | 気温・湿度 | 1日 |
| 住んでいる町の気温は昔より上がったか | 年(気象庁のデータ) | 月ごとの平均気温 | 半日 |
| 雲の形から翌日の天気を予想できるか | 雲の種類 | 翌日の天気 | 1〜2週間 |
| 土の種類と水のしみこみ方 | 土(砂・園芸用の土・校庭の土) | 水がしみこむ時間 | 半日 |
| 月の形と見える時刻・方角 | 日付 | 月の形・方角・時刻 | 2週間 |
| 水の中で土砂はどの順に積もるか | 粒の大きさ(れき・砂・泥) | 積もった順番と層の厚さ | 2時間 |
データ・数学(人とかぶらない)
| テーマ | 変える条件 | 測るもの | 時間 |
|---|---|---|---|
| サイコロの目は本当に同じ割合で出るか | 振る回数 | それぞれの目が出た割合 | 半日 |
| 睡眠時間と翌日の小テストの点 | 寝た時間 | 小テストの点 | 2週間 |
| 通学路の信号待ちは時間帯で変わるか | 時間帯 | 待った時間 | 1週間 |
| スマホの歩数計はどれくらい正確か | 歩き方(ポケット・手に持つ) | 実際に数えた歩数との差 | 1時間 |
| 家の冷蔵庫を開ける回数と時間帯 | 時間帯・曜日 | 開けた回数 | 1週間 |
| 紙を何回折れるか、紙の大きさで変わるか | 紙の大きさ・厚さ | 折れた回数 | 2時間 |
人とかぶらないテーマにする3つの方法

テーマ一覧のサイトに載っているネタは、同じクラスの誰かと重なりがちです。かぶらないようにするには、テーマそのものを変えるより条件を変えるほうが確実です。
| 方法 | 例 |
|---|---|
| 変える条件を自分の身近なものにする | 10円玉×「家にある調味料を全部」、豆苗×「自分の部屋の窓の向き」 |
| 公的なデータを使う | 気象庁の過去の気象データで、住んでいる町と別の町を比べる |
| 自分の生活を記録する | 睡眠時間と小テスト、通学路の信号待ちなど、自分にしか取れないデータ |
とくに気象庁の「過去の気象データ検索」は、地点と年月を選ぶだけで気温や降水量の記録を表で見られます。自分の住む町のデータは、ほかの人とまずかぶりません。
読売新聞社の日本学生科学賞のサイトには、過去の受賞作品を探せる「理科自由研究データベース」があります。受賞作品のタイトルと調べ方を見ると、「同じテーマでも条件の選び方で差がつく」ことがよく分かります。
自由研究のまとめ方:レポートの型
まとめ方は、学校から指定がなければ次の順で書けば足ります。先ほどの探究の過程と同じ順番です。
| 見出し | 書くこと |
|---|---|
| 題名 | 「〜は〜で変わるか」のように、比べるものが分かる題名 |
| 調べようと思ったきっかけ | 気づいたこと・疑問に思ったこと |
| 予想(仮説) | 「〜だから、〜になると思う」 |
| 方法 | 用意したもの/変えた条件/そろえた条件/測ったもの |
| 結果 | 表とグラフ。写真があれば添える |
| 考察 | 予想は合っていたか。なぜそうなったか |
| 反省と次の課題 | うまくいかなかった点、次にやるなら変えたいこと |
| 参考にしたもの | 本・サイトの名前 |
評価が下がりやすいのは、結果と考察が同じことを言っているレポートです。結果には「何が起きたか」だけを書き、考察で「なぜそうなったか」を書き分けてください。

中3なら「反省と次の課題」を厚めに書くのがおすすめです。学習指導要領で中3は「探究の過程を振り返る」学年とされていて、そこを書けるかどうかで差がつきます。
- 題名→きっかけ→予想→方法→結果→考察→反省の順
- 結果には何が起きたかだけを書く
- 考察でなぜそうなったかを書き分ける
- 中3は反省と次の課題を厚めに書く
コンクールに出すなら:日本学生科学賞の応募方法
自由研究をコンクールに出す場合、中学生が応募できる代表的なものが日本学生科学賞(読売新聞社)です。応募方法のページで確認できたのは次のとおりです。
| 項目 | 公式の記載 |
|---|---|
| 応募資格 | 中学・高校の生徒(国・公・私立は問わない) |
| 分野 | 物理/化学/生物/地学/広領域/情報・技術/応用数学の7分野 |
| 受付 | 9月から10月にかけて都道府県ごとに受け付け(地方審査) |
| 代表作品 | 都道府県ごとに原則として中学の部・高校の部で各3点(北海道・千葉・埼玉・東京・神奈川・愛知・大阪・兵庫・福岡は各6点) |
受付期間や応募の基準は都道府県ごとに違うので、学校が所在する都道府県の案内を確認してください。多くの場合、学校を通して応募します。
実験の前に守る安全のルール

| 注意すること | 理由と対策 |
|---|---|
| 火を使う実験は大人と一緒に | やけど・火災を防ぐ。加熱はできるだけ湯せんで |
| 薬品や洗剤を混ぜない | 有毒なガスが出る組み合わせがある |
| カビの実験は袋を開けない | 胞子を吸い込まないよう、密閉したまま観察して捨てる |
| 食べ物を使った実験は食べない | 実験に使った物は口に入れない |
生物のテーマは結果が出るまで1週間以上かかるものがあるので、休みの前半に始めると安心です。休み全体の計画の立て方は夏休みの勉強計画の立て方で、週単位の表にしています。

理科の実験問題は、定期テストや高校入試でも「条件をそろえる」考え方がそのまま出ます。自由研究で比べ方が分かった子は、テストでも強くなります。定期テストの理科を1対1で見てほしいなら、中学生は【森塾】
が1科目+20点の成績保証つきで、無料体験があります。

- 火を使う実験は大人と一緒に、加熱は湯せんで
- 薬品や洗剤を混ぜない
- カビの実験は袋を開けずに観察して捨てる
- 食べ物を使った実験の材料は食べない
よくある質問
- 中学生の自由研究で1日で終わるテーマは?
-
物理と化学のテーマが向いています。振り子の周期、輪ゴムの伸び、10円玉をきれいにする液体、紫キャベツ液で酸性・アルカリ性を調べる実験などは、半日から1日で結果が出ます。
- 人とかぶらない自由研究にするには?
-
テーマを変えるより、変える条件を自分の身近なものにするのが確実です。気象庁の過去の気象データで自分の町を調べる、睡眠時間と小テストの点を記録するなど、自分にしか取れないデータを使う方法もあります。
- 自由研究のまとめ方の順番は?
-
題名、きっかけ、予想、方法(変えた条件・そろえた条件・測ったもの)、結果、考察、反省と次の課題、参考にしたもの、の順です。学習指導要領解説の探究の過程と同じ順番です。
- 実験は何回やればいいですか?
-
同じ条件で3回以上くり返すと、偶然ではないことを示せます。結果は平均を出して表とグラフにまとめます。
- 自由研究を出せるコンクールはありますか?
-
中学生が応募できる代表的なものに日本学生科学賞があります。物理・化学・生物・地学・広領域・情報・技術・応用数学の7分野で、9月から10月にかけて都道府県ごとに受け付けています。
この記事で確認した資料
文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 理科編」(PDF) / 文部科学省 中学校学習指導要領解説の一覧 / 日本学生科学賞 応募方法 / 気象庁 過去の気象データ検索


コメント