今回解説する問題はこちらです。重要な問題ですので、「数学Aの整数」を習った方は是非1度チャレンジしてみましょう。
整数問題の中では、比較的有名で、いろいろな解法があります。過去に熊本大学や弘前大学での出題もされています。今回はこの問題を3通りの方法で解説します。
解法1:5で割った余りに注目して解く方法
\begin{eqnarray}
n^5-n&=&n(n^4-1)\\
&=&n(n^2-1)(n^2+1)\\
&=&n(n-1)(n+1)(n^2+1)
\end{eqnarray}
ここで、n(n-1)(n+1)は連続する3つの自然数になるので、この3つの中に必ず1つは2の倍数、3の倍数が存在します。したがってn(n-1)(n+1)は6の倍数となりますので、あとは(n2+1)が5の倍数になることを言えれば良いですね。
(1)nが5の倍数、つまりn=5k (以下、kは自然数)の時
n(n-1)(n+1)が5の倍数かつ6の倍数で30の倍数となる。
(2)nが5で割って1余る数、つまりn=5k+1の時
n-1=5k となり、n(n-1)(n+1)が5の倍数かつ6の倍数で30の倍数となる。
(3)nが5で割って2余る数、つまりn=5k+2 の時
\begin{eqnarray}
&&n^2+1=(5k+2)^2+1\\
&=&25k^2+20k+4+1\\
&=&25k^2+20k+5\\
&=&5(5k^2+4k+1)
\end{eqnarray}
ここでkは自然数ですので、5k2+4k+1も自然数となります。したがって、5(5k2+4k+1)は5の倍数ですから、n2+1は5の倍数となり、n(n−1)(n+1)(n2+1)は30の倍数になります。
(4)nが5で割って3余る数、つまりn=5k+3 の時
\begin{eqnarray}
&&n^2+1\\
&=&(5k+3)^2+1\\
&=&25k^2+30k+9+1\\
&=&25k^2+30k+10\\
&=&5(5k^2+6k+2)
\end{eqnarray}
ここでkは自然数ですので、5k2+6k+2も自然数となります。したがって、5(5k2+6k+2)は5の倍数ですから、n2+1は5の倍数となり、n(n−1)(n+1)(n2+1)は30の倍数になります。
(5)nが5で割って4余る数、つまりn=5k+4 の時
n+1=5k+5=5(k+1) となり、k+1が自然数であることから、n(nー1)(n+1)が5の倍数かつ6の倍数で30の倍数となる。
以上よりnがどんな自然数であっても、n5-nは30の倍数であることを示せました。
解法2:うまく式を変形して導く方法
\begin{eqnarray}
&&n^5-n\\
&=&n(n^4-1)\\
&=&n(n^2-1)(n^2+1)\\
&=&n(n-1)(n+1)[(n+2)(n-2)+5]\\
&=&n(n-1)(n+1)(n+2)(n-2)+5n(n-1)(n+1)
\end{eqnarray}
ここで、前半のn(n-1)(n+1)(n+2)(n−2)は、(n-2)(n-1)n(n-1)(n+2)と並び替えることで、連続する5つの自然数の積とわかり、5の倍数といえます。
また、後半の5n(nー1)(n+1)は明らかに5の倍数です。したがって、n(n-1)(n+1)(n+2)(n-2)+5n(n-1)(n+1)は5の倍数といえます。
さらに前半のn(n-1)(n+1)(n+2)(n−2)と、後半の5n(n-1)(n-2)はどちらも連続する3つの自然数の積を含みますので6の倍数になることから、5の倍数かつ6の倍数ということで、全体のn5-nは30の倍数であることを示せます。
\begin{eqnarray}
&&n^5-n\\
&=&n(n^4-1)\\
&=&n(n^2-1)(n^2+1)\\
&=&n(n-1)(n+1)[(n+2)(n-2)+5]\\
&=&n(n-1)(n+1)(n+2)(n-2)\\
&&+5n(n-1)(n+1)
\end{eqnarray}
ここで、前半のn(n-1)(n+1)(n+2)(n−2)は、(n-2)(n-1)n(n-1)(n+2)と並び替えることで、連続する5つの自然数の積とわかり、5の倍数といえます。
また、後半の5n(nー1)(n+1)は明らかに5の倍数です。したがって、n(n-1)(n+1)(n+2)(n-2)+5n(n-1)(n+1)は5の倍数といえます。
さらに前半のn(n-1)(n+1)(n+2)(n−2)と、後半の5n(n-1)(n-2)はどちらも連続する3つの自然数の積を含みますので6の倍数になることから、5の倍数かつ6の倍数ということで、全体のn5-nは30の倍数であることを示せます。
解法3:数学的帰納法を使って解く方法(数学B)
(1)n=1のとき
\begin{eqnarray}
n^5-n=1^5-1=0
\end{eqnarray}
より0は30の倍数であるから成立する。
(2)n=kの時、n5-nは30の倍数であることを仮定すると、k5-k=30m(mは自然数)と表せる。
ここでn=k+1の時を考えると、
\begin{eqnarray}
&&(k+1)^5ー(k+1)\\
&=& k^5+5k^4+10k^3+10k^2+5k+1-k-1\\
&=&(k^5-k)+(5k^4+10k^3+10k^2+5k)\\
&=&30m+5k(k^3+2k^2+2k+1)\\
&=&30m+5k(k+1)(k^2+k+1)\\
&=&30m+5k(k+1)\{(k^2+2k)-(k-1)\}\\
&=&30m+5\{k^2(k+1)(k+2)-(k-1)k(k+1)\}\\
\end{eqnarray}
ここでk,k+1,k+2及び、(k-1),k,(k+1)は連続する3つの自然数であるので、いずれも6の倍数となるので、
\begin{eqnarray}
&&30m+5\{k^2(k+1)(k+2)-(k-1)k(k+1)\}\\
\end{eqnarray}
は30の倍数と言える。
よって、n=k+1の時も成立する。
(1)(2)より全ての自然数で成り立つことが証明された。
(1)n=1のとき
\begin{eqnarray}
n^5-n=1^5-1=0
\end{eqnarray}
より0は30の倍数であるから成立する。
(2)n=kの時、n5-nは30の倍数であることを仮定すると、k5-k=30m(mは自然数)と表せる。
ここでn=k+1の時を考えると、
\begin{eqnarray}
&&(k+1)^5ー(k+1)\\
&=& k^5+5k^4+10k^3+10k^2+5k+1\\
&&-k-1\\
&=&(k^5-k)+(5k^4+10k^3+10k^2+5k)\\
&=&30m+5k(k^3+2k^2+2k+1)\\
&=&30m+5k(k+1)(k^2+k+1)\\
&=&30m+5k(k+1)\{(k^2+2k)\\
&&-(k-1)\}\\
&=&30m+5\{k^2(k+1)(k+2)\\
&&-(k-1)k(k+1)\}\\
\end{eqnarray}
ここでk,k+1,k+2及び、(k-1),k,(k+1)は連続する3つの自然数であるので、いずれも6の倍数となるので、
\begin{eqnarray}
&&30m+5\{k^2(k+1)(k+2)\\
&&-(k-1)k(k+1)\}\\
\end{eqnarray}
は30の倍数と言える。
よって、n=k+1の時も成立する。
(1)(2)より全ての自然数で成り立つことが証明された。
今回の記事は以上になります。
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