今回の問題
△ABCの3つの内角∠A、∠B、∠Cの大きさを、それぞれA,B,Cとするとき、次の等式が成り立つことを証明せよ。
\begin{eqnarray}
\sin \frac{A}{2}=\cos\frac{(B+C)}{2}
\end{eqnarray}
定期テストでよく出るタイプの証明問題です。問題文の cos(B+C)/2 は、cos((B+C)/2)(B+C を2で割った角の cos)の意味です。
- 三角形の内角の和から A=180°−(B+C)
- 両辺を2で割って A/2=90°−(B+C)/2
- sin(90°−θ)=cosθ を使うと、sin(A/2)=cos((B+C)/2)
下の解答例と考え方の流れで、1行ずつ確認してください。
解答例
このあと、この問題を解くための考え方の流れも説明します。

思考のプロセス
まずは証明したい式に B+C があるので、それを作ることを考えます。三角形の内角の和は180°ですので
\begin{eqnarray}
A=180°-(B+C)
\end{eqnarray}
そのあとは両辺を2で割って、さらに目的の式に近づけます。そして両辺のsinをとって、問題の式にそろえます。
\begin{eqnarray}
\sin\frac{A}{2}=\sin(90°-\frac{B+C}{2})
\end{eqnarray}
ここで、
\begin{eqnarray}
\sin(90°-θ)=\cosθ
\end{eqnarray}
の関係式を使いましょう。この式は理想は暗記ではなく導出です。できなければ重要な関係式ですので、復習してください。そうすることで目的の式が証明できました。
練習問題
(1)△ABCの3つの内角∠A、∠B、∠Cの大きさを、それぞれA,B,Cとするとき、次の等式が成り立つことを証明せよ。
\begin{eqnarray}
\cos \frac{A}{2}=\sin\frac{(B+C)}{2}
\end{eqnarray}
(2)△ABCの3つの内角∠A、∠B、∠Cの大きさを、それぞれA,B,Cとするとき、次の等式が成り立つことを証明せよ。
\begin{eqnarray}
\tan \frac{A}{2}\tan \frac{B+C}{2}=1
\end{eqnarray}
練習問題の解答例


(1) cos(A/2)=sin((B+C)/2) の解答
本問と同じく、A+B+C=180° から A/2=90°−(B+C)/2 です。両辺の cos をとります。
\begin{eqnarray}
\cos\frac{A}{2}=\cos(90°-\frac{B+C}{2})
\end{eqnarray}
cos(90°−θ)=sinθ を使うと、右辺は sin((B+C)/2) になり、証明できました。
\begin{eqnarray}
\cos\frac{A}{2}=\sin\frac{B+C}{2}
\end{eqnarray}
(2) tan(A/2)tan((B+C)/2)=1 の解答
同じく A/2=90°−(B+C)/2 から、両辺の tan をとります。
\begin{eqnarray}
\tan\frac{A}{2}=\tan(90°-\frac{B+C}{2})
\end{eqnarray}
tan(90°−θ)=1/tanθ を使うと、tan(A/2)=1/tan((B+C)/2)。両辺に tan((B+C)/2) を掛けて、証明できました。
\begin{eqnarray}
\tan\frac{A}{2}\tan\frac{B+C}{2}=1
\end{eqnarray}
0°<(B+C)/2<90° なので tan((B+C)/2) は0にならず、両辺に掛けても問題ありません。
tan(90°−θ)=1/tanθ は、tan=sin/cos に sin(90°−θ)=cosθ、cos(90°−θ)=sinθ を入れると出てきます。
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角度を入れて検算する|3つの等式を5つの三角形で確かめ、共通テストの出題と照らした
本問と練習問題(1)(2)の等式が本当に成り立つかを、具体的な角度を入れて計算しました。値は小数第4位まで(第5位を四捨五入)です。
| A, B, C | sin(A/2) | cos((B+C)/2) | cos(A/2) | sin((B+C)/2) | tan(A/2)tan((B+C)/2) |
|---|---|---|---|---|---|
| 60°, 60°, 60° | 0.5000 | 0.5000 | 0.8660 | 0.8660 | 1.0000 |
| 90°, 45°, 45° | 0.7071 | 0.7071 | 0.7071 | 0.7071 | 1.0000 |
| 120°, 30°, 30° | 0.8660 | 0.8660 | 0.5000 | 0.5000 | 1.0000 |
| 30°, 50°, 100° | 0.2588 | 0.2588 | 0.9659 | 0.9659 | 1.0000 |
| 20°, 70°, 90° | 0.1736 | 0.1736 | 0.9848 | 0.9848 | 1.0000 |
5つとも、左右の値が一致しました。
一方、内角の和が180°にならない角(A=B=C=100°)を入れると、sin50°=0.7660、cos100°=−0.1736 で一致しません。
この等式は「A+B+C=180°」が前提です。
同じ変形は、2026年1月の共通テスト「数学Ⅰ,数学A」第1問〔2〕(図形と計量)にも出ました。
A+C=180°(解答記号コ)から sin C=sin(180°−A)=sin A を使い、面積を sin A だけで表す問題です。
大学入試センターの設問別の平均点から、得点率を出しました。
| 解答記号 | 内容(問題冊子・正解表) | 配点 | 得点率 |
|---|---|---|---|
| ク | △ABDの面積 (1/2)AB・AD sin A | 2 | 91.3% |
| ケ | △BCDの面積 (1/2)BC・CD sin C | 2 | 91.7% |
| コ・サ | A+C=180°、sin C=sin A から四角形の面積 | 3 | 74.8% |
| シ〜ソ | 円の接線と四角形PMOKの面積から sin P | 3 | 45.8% |
| タ〜テ | 同じ考えで sin Q | 2 | 43.8% |
| ト〜ヌ | PR:QR | 2 | 28.4% |
| ネ〜ハ | RL の長さ | 2 | 25.7% |
| ヒ〜ヘ | 交点Rが反対側にあるときの RL | 4 | 2.7% |

計算
- A=30°, B=50°, C=100°:A÷2=15°、(B+C)÷2=150°÷2=75°。sin15°=0.2588、cos75°=0.2588 で一致
- tan の積(A=30°):tan15°×tan75°=0.2679×3.7321=1.0000
- A=B=C=100°(三角形にならない):A÷2=50°、(B+C)÷2=200°÷2=100°。sin50°=0.7660、cos100°=−0.1736 で不一致
- 得点率=平均点÷配点:コ・サ 2.243÷3=74.8%、シ〜ソ 1.374÷3=45.8%、ヒ〜ヘ 0.107÷4=2.7%
- 第1問〔2〕の合計:配点 2+2+3+3+2+2+2+4=20点、平均点の合計 9.342点。9.342÷20=46.7%
180°−θ の変形そのもの(コ・サ)は74.8%が取れていました。得点率が下がったのは、そのあと円の接線や辺の比と組み合わせる設問です。
本問の3つの等式は、入試では次の計算に進むための1行として出ます。
証明を覚えるより、「A+B+C=180°を見たら角を入れ替える」を手で書けるようにしておくと先に進めます。
- 「証明せよ」の答案。5つの三角形で一致しても、すべての三角形で成り立つことの証明にはならない。答案は A=180°−(B+C) から書く
- 角の条件が「三角形の内角」でない問題。A=B=C=100°のように和が180°でなければ等式は成り立たない(上の計算)
- 三角比を鈍角まで広げた所が不安な人。
- 学習指導要領解説は sin A=sin(180°−A)、cos A=−cos(180°−A) を鈍角の相互関係として挙げている(p.39)。
- 共通テストのコ・サもこの関係だった
出典:大学入試センター「令和8年度 本試験の問題 数学Ⅰ,数学A」p.6〜9/「令和8年度 本試験の正解 数学Ⅰ,数学A」/「令和8年度 試験情報データ(本試験)」/「01_設問別得点率及び正答率表」(CSV)/文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編」p.39(2026年10月13日確認)
三角形の内角でよく使う変形一覧
この問題は「A=180°−(B+C)」から始まる変形の1つです。同じ出発点から、次の式がすべて作れます。どれも定期テストで「証明せよ」の形で出ます。
| 出発点 | 作れる式 | 使う関係 |
|---|---|---|
| A=180°−(B+C) | sin A=sin(B+C) | sin(180°−θ)=sinθ |
| A=180°−(B+C) | cos A=−cos(B+C) | cos(180°−θ)=−cosθ |
| A/2=90°−(B+C)/2 | sin(A/2)=cos((B+C)/2) | sin(90°−θ)=cosθ(本問) |
| A/2=90°−(B+C)/2 | cos(A/2)=sin((B+C)/2) | cos(90°−θ)=sinθ(練習問題1) |
| A/2=90°−(B+C)/2 | tan(A/2)tan((B+C)/2)=1 | tan(90°−θ)=1/tanθ(練習問題2) |
右の列の関係は、高校の数学Ⅰで「三角比の基本的な相互関係」として扱います。
文部科学省の学習指導要領解説には、sin A=cos(90°−A)、cos A=sin(90°−A)、sin A=sin(180°−A)、cos A=−cos(180°−A) が例として挙がっています(高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編 p.39)。
tan の式は、tan=sin/cos にこれらを入れて出した計算です。
sin(A/2) の値を求めるには:2倍角の公式から出す
この問題は sin(A/2) を (B+C) の式に書き換える証明でした。
「sin(A/2) の値そのもの」を求めたいときは、数学Ⅱで習う2倍角の公式 cos 2θ=1−2sin²θ を、θ=A/2 として使います。
\begin{eqnarray}
\cos A=1-2\sin^2\frac{A}{2}
\end{eqnarray}
これを sin²(A/2) について解き、三角形では 0°<A/2<90° で sin(A/2)>0 なので、正の平方根をとります。
\begin{eqnarray}
\sin\frac{A}{2}=\sqrt{\frac{1-\cos A}{2}}
\end{eqnarray}
いわゆる「半角の公式」で、2倍角の公式を変形しただけの式です。知っている角で確かめると次のとおりです。
| A | cos A | 式で出した sin(A/2) |
|---|---|---|
| 60° | 1/2 | √((1−1/2)/2)=1/2(sin30°と一致) |
| 90° | 0 | √(1/2)=√2/2(sin45°と一致) |
| 120° | −1/2 | √((1+1/2)/2)=√3/2(sin60°と一致) |
3辺の長さ a, b, c が分かっているときは、余弦定理 cos A=(b²+c²−a²)/(2bc) を入れると、角を求めずに計算できます。
\begin{eqnarray}
\sin^2\frac{A}{2}=\frac{a^2-(b-c)^2}{4bc}=\frac{(a-b+c)(a+b-c)}{4bc}
\end{eqnarray}
例:a=7, b=5, c=8 なら (7−5+8)(7+5−8)/(4×5×8)=40/160=1/4 で、sin(A/2)=1/2。
cos A=(25+64−49)/80=1/2 で A=60° なので、sin30°=1/2 と一致します。
- 「〜を証明せよ」で B, C が出てくる…A=180°−(B+C) から始める(この記事の本問)
- cos A が分かっていて sin(A/2) の値…√((1−cos A)/2)
- 3辺が分かっている…余弦定理を入れた (a−b+c)(a+b−c)/(4bc) の平方根
2倍角の公式は、文部科学省高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編で数学Ⅱ「三角関数」の内容(「三角関数の加法定理や2倍角の公式,三角関数の合成について理解すること」p.62)に挙がっています。
半角の公式はそこから変形して出す式です。
よくある質問
- cos(B+C)/2 と cos((B+C)/2) は同じ意味ですか?
-
この問題では同じ意味で、B+C を2で割った角の cos です。答案では cos((B+C)/2) のように、角の部分をかっこでくくって書くと誤解がありません。
- sin(90°−θ)=cosθ は暗記すべきですか?
-
直角三角形で、1つの鋭角がθなら、もう1つの鋭角は90°−θです。θの向かいの辺は、90°−θから見ると隣の辺になるので、sin と cos が入れ替わります。図を1回描いて確認すれば、暗記に頼らずに出せます。
- A/2 が鋭角なのはなぜですか?
-
A は三角形の内角なので 0°<A<180°、2で割ると 0°<A/2<90° です。(B+C)/2 も同じく0°より大きく90°より小さいので、tan の値が0にも「定義されない」にもなりません。
- この問題は数学Ⅰと数学Ⅱのどちらの範囲ですか?
-
90°−θ、180°−θ の変形は数学Ⅰの三角比の範囲です。数学Ⅱの三角関数でも同じ形が出てきます。
この問題で使う定理の見分け方
図形問題は「どの定理を使うか」の判断でほとんど決まります。三角形の問題で使う主要な定理を、問題文の条件から逆引きできるように整理しました。
| 問題文にこれがあれば | 使う定理 |
|---|---|
| 角の二等分線 | 角の二等分線の定理(AB:AC = BD:DC) |
| 2辺とその間の角 | 余弦定理 |
| 1辺と両端の角 | 正弦定理 |
| 3辺の長さ | 余弦定理(cosを求める形) |
| 面積を求めたい | S = (1/2)ab sinC |
| 外接円の半径 | 正弦定理(a/sinA = 2R) |
| 内接円の半径 | S = (1/2)r(a+b+c) |
| チェバ・メネラウスの形 | チェバの定理/メネラウスの定理 |
※この対応表を暗記するのではなく、問題を解きながら「どれを使ったか」を記録していくと自然に身につきます。
- ①図を大きく描き直す…小さい図では見えない関係が見えます
- ②分かっている数値を全部書き込む…書き込むだけで次の一手が見えることが多い
- ③補助線は「二等分線・垂線・平行線」から試す…闇雲に引かず、この3種類を順に検討
この記事の更新・訂正
- 学習指導要領解説 数学編の参照先を「p.51」と書いていましたが、これはPDFの通し枚数で、冊子の印刷ページは p.39 でした。同じ記事のほかの参照(p.62)と同じく印刷ページにそろえました
全記事の履歴は「訂正・更新の履歴」、調べ方と書き方は「記事の作り方」にまとめています。

