【練習問題付き】sinA/2=cos(B+C)/2の証明

今回の難易度(定期テスト対策・入試基礎レベル)
総合評価
( 2 )

今回の問題

△ABCの3つの内角∠A、∠B、∠Cの大きさを、それぞれA,B,Cとするとき、次の等式が成り立つことを証明せよ。
\begin{eqnarray}
\sin \frac{A}{2}=\cos\frac{(B+C)}{2}
\end{eqnarray}

定期テストでよく出るタイプの証明問題です。問題文の cos(B+C)/2 は、cos((B+C)/2)(B+C を2で割った角の cos)の意味です。

【結論】3行で証明できる
  • 三角形の内角の和から A=180°−(B+C)
  • 両辺を2で割って A/2=90°−(B+C)/2
  • sin(90°−θ)=cosθ を使うと、sin(A/2)=cos((B+C)/2)

下の解答例と考え方の流れで、1行ずつ確認してください。

解答例

このあと、この問題を解くための考え方の流れも説明します。

sin(A/2)=cos((B+C)/2)の証明 手書き解答(1)

思考のプロセス

まずは証明したい式に B+C があるので、それを作ることを考えます。三角形の内角の和は180°ですので

\begin{eqnarray}
A=180°-(B+C)
\end{eqnarray}

そのあとは両辺を2で割って、さらに目的の式に近づけます。そして両辺のsinをとって、問題の式にそろえます。

\begin{eqnarray}
\sin\frac{A}{2}=\sin(90°-\frac{B+C}{2})
\end{eqnarray}

ここで、

\begin{eqnarray}
\sin(90°-θ)=\cosθ
\end{eqnarray}

の関係式を使いましょう。この式は理想は暗記ではなく導出です。できなければ重要な関係式ですので、復習してください。そうすることで目的の式が証明できました。

練習問題

(1)△ABCの3つの内角∠A、∠B、∠Cの大きさを、それぞれA,B,Cとするとき、次の等式が成り立つことを証明せよ。
\begin{eqnarray}
\cos \frac{A}{2}=\sin\frac{(B+C)}{2}
\end{eqnarray}

(2)△ABCの3つの内角∠A、∠B、∠Cの大きさを、それぞれA,B,Cとするとき、次の等式が成り立つことを証明せよ。
\begin{eqnarray}
\tan \frac{A}{2}\tan \frac{B+C}{2}=1
\end{eqnarray}

練習問題の解答例

練習問題(1) cos(A/2)=sin((B+C)/2) の手書き解答
練習問題(2) tan(A/2)tan((B+C)/2)=1 の手書き解答

(1) cos(A/2)=sin((B+C)/2) の解答

本問と同じく、A+B+C=180° から A/2=90°−(B+C)/2 です。両辺の cos をとります。

\begin{eqnarray}
\cos\frac{A}{2}=\cos(90°-\frac{B+C}{2})
\end{eqnarray}

cos(90°−θ)=sinθ を使うと、右辺は sin((B+C)/2) になり、証明できました。

\begin{eqnarray}
\cos\frac{A}{2}=\sin\frac{B+C}{2}
\end{eqnarray}

(2) tan(A/2)tan((B+C)/2)=1 の解答

同じく A/2=90°−(B+C)/2 から、両辺の tan をとります。

\begin{eqnarray}
\tan\frac{A}{2}=\tan(90°-\frac{B+C}{2})
\end{eqnarray}

tan(90°−θ)=1/tanθ を使うと、tan(A/2)=1/tan((B+C)/2)。両辺に tan((B+C)/2) を掛けて、証明できました。

\begin{eqnarray}
\tan\frac{A}{2}\tan\frac{B+C}{2}=1
\end{eqnarray}

0°<(B+C)/2<90° なので tan((B+C)/2) は0にならず、両辺に掛けても問題ありません。

tan(90°−θ)=1/tanθ は、tan=sin/cos に sin(90°−θ)=cosθ、cos(90°−θ)=sinθ を入れると出てきます。

もし、解説に不備などありましたら、公式X(https://twitter.com/takata_juku)までお願いいたします。

【補足】映像授業は「見るだけで勉強した気になる」「続かない」が最大の弱点です。

続けられない・一人だと理解の穴が見つからないタイプは、映像より日時固定のオンライン個別や、つまずいた単元を特定して戻れる形のほうが向いています。

タイプ別の選び方はオンライン塾12社の比較記事にまとめました。

角度を入れて検算する|3つの等式を5つの三角形で確かめ、共通テストの出題と照らした

本問と練習問題(1)(2)の等式が本当に成り立つかを、具体的な角度を入れて計算しました。値は小数第4位まで(第5位を四捨五入)です。

スクロールできます
A, B, Csin(A/2)cos((B+C)/2)cos(A/2)sin((B+C)/2)tan(A/2)tan((B+C)/2)
60°, 60°, 60°0.50000.50000.86600.86601.0000
90°, 45°, 45°0.70710.70710.70710.70711.0000
120°, 30°, 30°0.86600.86600.50000.50001.0000
30°, 50°, 100°0.25880.25880.96590.96591.0000
20°, 70°, 90°0.17360.17360.98480.98481.0000

5つとも、左右の値が一致しました。

一方、内角の和が180°にならない角(A=B=C=100°)を入れると、sin50°=0.7660、cos100°=−0.1736 で一致しません。

この等式は「A+B+C=180°」が前提です。

同じ変形は、2026年1月の共通テスト「数学Ⅰ,数学A」第1問〔2〕(図形と計量)にも出ました。

A+C=180°(解答記号コ)から sin C=sin(180°−A)=sin A を使い、面積を sin A だけで表す問題です。

大学入試センターの設問別の平均点から、得点率を出しました。

スクロールできます
解答記号内容(問題冊子・正解表)配点得点率
ク△ABDの面積 (1/2)AB・AD sin A291.3%
ケ△BCDの面積 (1/2)BC・CD sin C291.7%
コ・サA+C=180°、sin C=sin A から四角形の面積374.8%
シ〜ソ円の接線と四角形PMOKの面積から sin P345.8%
タ〜テ同じ考えで sin Q243.8%
ト〜ヌPR:QR228.4%
ネ〜ハRL の長さ225.7%
ヒ〜ヘ交点Rが反対側にあるときの RL42.7%
2026年1月共通テスト数学Ⅰ,数学A第1問〔2〕の解答記号ごとの得点率のグラフ。ク91.3%、ケ91.7%、コ・サ74.8%、シ〜ソ45.8%、タ〜テ43.8%、ト〜ヌ28.4%、ネ〜ハ25.7%、ヒ〜ヘ2.7%(大学入試センターの設問別得点率から)
計算
  • A=30°, B=50°, C=100°:A÷2=15°、(B+C)÷2=150°÷2=75°。sin15°=0.2588、cos75°=0.2588 で一致
  • tan の積(A=30°):tan15°×tan75°=0.2679×3.7321=1.0000
  • A=B=C=100°(三角形にならない):A÷2=50°、(B+C)÷2=200°÷2=100°。sin50°=0.7660、cos100°=−0.1736 で不一致
  • 得点率=平均点÷配点:コ・サ 2.243÷3=74.8%、シ〜ソ 1.374÷3=45.8%、ヒ〜ヘ 0.107÷4=2.7%
  • 第1問〔2〕の合計:配点 2+2+3+3+2+2+2+4=20点、平均点の合計 9.342点。9.342÷20=46.7%

180°−θ の変形そのもの(コ・サ)は74.8%が取れていました。得点率が下がったのは、そのあと円の接線や辺の比と組み合わせる設問です。

本問の3つの等式は、入試では次の計算に進むための1行として出ます。

証明を覚えるより、「A+B+C=180°を見たら角を入れ替える」を手で書けるようにしておくと先に進めます。

数字を入れた検算だけで終わりにしない方がよい場合
  • 「証明せよ」の答案。5つの三角形で一致しても、すべての三角形で成り立つことの証明にはならない。答案は A=180°−(B+C) から書く
  • 角の条件が「三角形の内角」でない問題。A=B=C=100°のように和が180°でなければ等式は成り立たない(上の計算)
  • 三角比を鈍角まで広げた所が不安な人。
  • 学習指導要領解説は sin A=sin(180°−A)、cos A=−cos(180°−A) を鈍角の相互関係として挙げている(p.39)。
  • 共通テストのコ・サもこの関係だった

出典:大学入試センター「令和8年度 本試験の問題 数学Ⅰ,数学A」p.6〜9/「令和8年度 本試験の正解 数学Ⅰ,数学A」/「令和8年度 試験情報データ(本試験)」/「01_設問別得点率及び正答率表」(CSV)/文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編」p.39(2026年10月13日確認)

三角形の内角でよく使う変形一覧

この問題は「A=180°−(B+C)」から始まる変形の1つです。同じ出発点から、次の式がすべて作れます。どれも定期テストで「証明せよ」の形で出ます。

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出発点作れる式使う関係
A=180°−(B+C)sin A=sin(B+C)sin(180°−θ)=sinθ
A=180°−(B+C)cos A=−cos(B+C)cos(180°−θ)=−cosθ
A/2=90°−(B+C)/2sin(A/2)=cos((B+C)/2)sin(90°−θ)=cosθ(本問)
A/2=90°−(B+C)/2cos(A/2)=sin((B+C)/2)cos(90°−θ)=sinθ(練習問題1)
A/2=90°−(B+C)/2tan(A/2)tan((B+C)/2)=1tan(90°−θ)=1/tanθ(練習問題2)

右の列の関係は、高校の数学Ⅰで「三角比の基本的な相互関係」として扱います。

文部科学省の学習指導要領解説には、sin A=cos(90°−A)、cos A=sin(90°−A)、sin A=sin(180°−A)、cos A=−cos(180°−A) が例として挙がっています(高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編 p.39)。

tan の式は、tan=sin/cos にこれらを入れて出した計算です。

sin(A/2) の値を求めるには:2倍角の公式から出す

この問題は sin(A/2) を (B+C) の式に書き換える証明でした。

「sin(A/2) の値そのもの」を求めたいときは、数学Ⅱで習う2倍角の公式 cos 2θ=1−2sin²θ を、θ=A/2 として使います。

\begin{eqnarray}
\cos A=1-2\sin^2\frac{A}{2}
\end{eqnarray}

これを sin²(A/2) について解き、三角形では 0°<A/2<90° で sin(A/2)>0 なので、正の平方根をとります。

\begin{eqnarray}
\sin\frac{A}{2}=\sqrt{\frac{1-\cos A}{2}}
\end{eqnarray}

いわゆる「半角の公式」で、2倍角の公式を変形しただけの式です。知っている角で確かめると次のとおりです。

スクロールできます
Acos A式で出した sin(A/2)
60°1/2√((1−1/2)/2)=1/2(sin30°と一致)
90°0√(1/2)=√2/2(sin45°と一致)
120°−1/2√((1+1/2)/2)=√3/2(sin60°と一致)

3辺の長さ a, b, c が分かっているときは、余弦定理 cos A=(b²+c²−a²)/(2bc) を入れると、角を求めずに計算できます。

\begin{eqnarray}
\sin^2\frac{A}{2}=\frac{a^2-(b-c)^2}{4bc}=\frac{(a-b+c)(a+b-c)}{4bc}
\end{eqnarray}

例:a=7, b=5, c=8 なら (7−5+8)(7+5−8)/(4×5×8)=40/160=1/4 で、sin(A/2)=1/2。

cos A=(25+64−49)/80=1/2 で A=60° なので、sin30°=1/2 と一致します。

証明と値の求め方の使い分け
  • 「〜を証明せよ」で B, C が出てくる…A=180°−(B+C) から始める(この記事の本問)
  • cos A が分かっていて sin(A/2) の値…√((1−cos A)/2)
  • 3辺が分かっている…余弦定理を入れた (a−b+c)(a+b−c)/(4bc) の平方根

2倍角の公式は、文部科学省高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編で数学Ⅱ「三角関数」の内容(「三角関数の加法定理や2倍角の公式,三角関数の合成について理解すること」p.62)に挙がっています。

半角の公式はそこから変形して出す式です。

よくある質問

cos(B+C)/2 と cos((B+C)/2) は同じ意味ですか?

この問題では同じ意味で、B+C を2で割った角の cos です。答案では cos((B+C)/2) のように、角の部分をかっこでくくって書くと誤解がありません。

sin(90°−θ)=cosθ は暗記すべきですか?

直角三角形で、1つの鋭角がθなら、もう1つの鋭角は90°−θです。θの向かいの辺は、90°−θから見ると隣の辺になるので、sin と cos が入れ替わります。図を1回描いて確認すれば、暗記に頼らずに出せます。

A/2 が鋭角なのはなぜですか?

A は三角形の内角なので 0°<A<180°、2で割ると 0°<A/2<90° です。(B+C)/2 も同じく0°より大きく90°より小さいので、tan の値が0にも「定義されない」にもなりません。

この問題は数学Ⅰと数学Ⅱのどちらの範囲ですか?

90°−θ、180°−θ の変形は数学Ⅰの三角比の範囲です。数学Ⅱの三角関数でも同じ形が出てきます。

この問題で使う定理の見分け方

図形問題は「どの定理を使うか」の判断でほとんど決まります。三角形の問題で使う主要な定理を、問題文の条件から逆引きできるように整理しました。

問題文にこれがあれば使う定理
角の二等分線角の二等分線の定理(AB:AC = BD:DC)
2辺とその間の角余弦定理
1辺と両端の角正弦定理
3辺の長さ余弦定理(cosを求める形)
面積を求めたいS = (1/2)ab sinC
外接円の半径正弦定理(a/sinA = 2R)
内接円の半径S = (1/2)r(a+b+c)
チェバ・メネラウスの形チェバの定理/メネラウスの定理

※この対応表を暗記するのではなく、問題を解きながら「どれを使ったか」を記録していくと自然に身につきます。

図形問題で手が止まったときの3手
  • ①図を大きく描き直す…小さい図では見えない関係が見えます
  • ②分かっている数値を全部書き込む…書き込むだけで次の一手が見えることが多い
  • ③補助線は「二等分線・垂線・平行線」から試す…闇雲に引かず、この3種類を順に検討

図形が苦手な人は図が小さすぎることが本当に多いです。ノート半ページ使って描くだけで正答率が上がります。関連する定理はメネラウスの定理やチェバの定理の記事も参考に。

この記事の更新・訂正

  • 学習指導要領解説 数学編の参照先を「p.51」と書いていましたが、これはPDFの通し枚数で、冊子の印刷ページは p.39 でした。同じ記事のほかの参照(p.62)と同じく印刷ページにそろえました

全記事の履歴は「訂正・更新の履歴」、調べ方と書き方は「記事の作り方」にまとめています。

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この記事を書いた人

兵庫県の学習塾で塾長を経験。私大理系卒。塾バイト・家庭教師を経て、長年の経験を基に幅広く受験をサポートします。生徒だけでなく、それを支える保護者や先生の力にもなりたいという思いで立ち上げました。