「トーマス 塾 やばい」で検索すると、「料金が高い」「昔、事件があった」「講師のバイトがきつい」という話が同じ画面に並びます。この3つは、それぞれ別の話です。混ぜたまま読むと、通わせるかどうかの判断がつきません。
この記事では、TOMASの公式サイトに書いてある金額と条件、金融庁が公表した2014年の課徴金納付命令、運営会社リソー教育グループの有価証券報告書、グループの講師募集要項、学習塾の契約を縛る特定商取引法、文部科学省が集めた家庭の支出額。この6つだけを材料にして、「やばい」と言われている中身を1つずつ確かめます。口コミサイトの評価と、第三者サイトが書いた料金表は使っていません。
結論:「やばい」は3種類。家庭が確かめるべきなのは「前払い」の扱い
| 検索結果で見かける「やばい」 | 中身 | 通わせる家庭に関係するか |
|---|---|---|
| 料金が高い・サイトに載っていない | 入会金27,500円は公式に明記。指導料は学年・回数・科目で決まり、面談で提案される | 関係する。見積もりを書面でもらってから比べる |
| 事件があった | 2014年に金融庁が課徴金納付命令。中身は前払いされた授業料(前受金)を売上に計上した会計の問題 | 関係する。契約書の「前受金の保全に関する事項」を見る理由になる |
| 講師のバイトがやばい | 講師募集要項の時給と勤務条件。働く側の話 | 関係しない。家庭が払う金額とは別。ただし「誰が教えるか」は面談で確かめる |
検索上位でいちばん目を引くのは「事件」です。ですが、金融庁のページを読めば、いつ・何が・いくらだったかが全部書いてあります。そしてその中身は、家庭が塾に前払いするお金の扱いに直結しています。順に見ていきます。

うちの塾にも「トーマスって高いんですよね」「昔なにかあったんですよね」と聞きに来る保護者の方がいます。答えは「公式と金融庁のページを読めば分かる」です。噂で判断する必要はありません。
料金がやばい?公式に載っている金額と、載っていない金額
TOMASの料金で、公式サイトに金額や条件として書かれているのは次の項目です。
| 項目 | 公式の表記 | 出典ページ |
|---|---|---|
| 入会金 | 27,500円(税込)。本人かきょうだいがリソー教育グループの正会員として入会金を払ったことがあれば全額免除 | 指導料について |
| 指導料(授業料) | 未取得。「お子様の学年や通塾回数・受講科目によって異なります」。面談のあとに提案される | 指導料について |
| 教材費・設備費 | 「ご負担いただく料金は入会金と指導料のみ。教材費や設備費はいただきません」 | 指導料について |
| 授業の形 | 講師一人に生徒一人の完全1対1。発問・解説中心の80分授業 | TOMASとは |
| 通う回数 | 「週1回・1教科からご希望の回数で」。受講回数分を月謝制で支払う | 指導料のお問い合わせ |
| 自習室 | 常時開放。授業日以外も使え、受講科目に関係なく質問できる | よくある質問 |
| 特待生 | 対象模試でB判定以上などの基準を満たすと指導料30%免除(年度内有効) | 特待生制度 |
| クーリングオフ | 「契約開始日から8日以内にお申し出いただければ対応可能」 | 指導料について |
つまり、公式サイトで確定できるのは「入会金27,500円」「教材費と設備費はない」「80分の完全1対1」「週1回1教科から」までです。肝心の指導料は、公式サイトのどこにも金額がありません。「1時間いくら」と書いている記事は、公式以外の情報です。
なぜ指導料がサイトに無いのか:面談で見積もる型だから
指導料のページには、提案の流れが3段階で書かれています。志望校と成績資料を見る面談、希望者は無料体験授業、そのあとに通塾回数と受講科目に応じた指導料の提案。この順番です。同じページに「「面談」=「入会」ではありません」ともあります。
この型の塾では、公式サイトを何時間見ても月額は出てきません。面談に行って、通塾回数と科目を決めて、見積もりを書面でもらう。それが金額を知る唯一の方法です。逆に言えば、面談で出た見積もりが、その家庭にとっての「公式の料金」になります。
よくある質問の「指導料(料金)が高いと聞いていますが……?」に対して、公式は「80分間すべて完全1対1の個別指導であること、質の高い講師による固定指導であること、志望校に向けたオーダーメイドカリキュラムであること」を挙げ、「他塾と比べてコストパフォーマンスは優れていると自負しています」と答えています。高いこと自体は否定せず、中身で説明する立場です。
「高い」を測る物差し:1対1の単価と、塾に払っている家庭の平均
完全1対1の塾の料金を測るときは、月額ではなく1回(80分)あたりの単価で見てください。見積もりの月額を、その月の授業回数で割るだけです。1対1で単価を公開している塾と並べると、高いのか普通なのかが分かります。

もう1つの物差しは、文部科学省の「子供の学習費調査」です。よく引用される平均額は、塾に通っていない家庭の0円を含んだ数字です。同じ調査の学習塾費の金額分布表には、塾に払っている家庭だけの平均も載っています。
| 区分 | 塾費0円の家庭の割合 | 塾に払っている家庭だけの年間平均 |
|---|---|---|
| 公立小学校 | 61.0% | 19万3千円 |
| 公立中学校 | 34.0% | 34万9千円 |
| 公立高校(全日制) | 61.4% | 38万1千円 |
公立中学校で塾に払っている家庭の年間平均は34万9千円。月に直すと約2万9千円です。この数字には入会金、授業料、講習会費、教材費、模擬テスト代、交通費がすべて含まれます。TOMASの見積もりをもらったら、入会金と講習の分を足した年間の総額を、この数字と並べてください。

「事件」の中身:2014年の課徴金4億1,477万円は、前払いされた授業料の扱いだった
「トーマス塾 事件」で出てくるのは、運営会社の株式会社リソー教育(当時)に対して、金融庁が2014年4月21日に出した課徴金納付命令です。金融庁のページに、金額と手口が書かれています。
| 項目 | 金融庁・証券取引等監視委員会の公表内容 |
|---|---|
| 勧告 | 2014年3月7日、証券取引等監視委員会が課徴金納付命令を勧告 |
| 決定 | 2014年4月21日、金融庁が課徴金納付命令を決定。納付すべき課徴金の額 4億1,477万円。納付期限は同年6月19日 |
| 対象の書類 | 平成21年2月期の有価証券報告書から平成25年8月の第2四半期報告書まで、虚偽記載のある開示書類が続いた |
| 手口1 | 毎月の授業料の請求で計上した売上について、年度末に未実施の授業分の入金を前受金に戻すべきところ、「授業料の返還義務が発生しない当日欠席が多数あった」などと仮装して売上を過大に計上 |
| 手口2 | 子会社で、無料で実施した授業や値引きした契約分を、正規の授業料単価で計算して売上を過大に計上 |
本来であれば、事業年度末において未実施の授業数に対応する入金分を前受金として処理した上で、売上を取り消すべきであったにもかかわらず、授業料の返還義務が発生しない当日欠席が多数あったなどと仮装することにより、売上を過大に計上するなどした。
金融庁「株式会社リソー教育に係る有価証券報告書等の虚偽記載に対する課徴金納付命令の決定について」(平成26年4月21日)
専門用語を外すと、こういうことです。家庭が先に払った授業料のうち、まだ授業をしていない分は、会社にとって「預かっているお金(前受金)」です。それを「もう売り上げた」ことにしていた。株主に対する数字の問題であって、家庭に授業料を二重に請求したという話ではありません。ただし、前払いされた授業料をどう扱うかが問題の中心だったことは、家庭にとって無関係ではありません。
リソー教育のトップメッセージには、第三者委員会の調査報告が2014年2月10日に公表されたこと、再発防止対策委員会を設置したことが書かれています。
2024年にも過年度の訂正があった。ただし中身は「引当金」と「減損」
2024年7月12日、リソー教育は2021年2月期から2024年2月期までの有価証券報告書の訂正報告書を提出しました。新しい監査法人から「債務超過となっている子会社の債権に対して貸倒引当金を計上するべきだった」「減損の兆候の把握方法に誤りがある」と指摘されたためです。同じ日に、その4期の内部統制報告書を「有効である」から「開示すべき重要な不備に該当し、有効でない」に訂正しています。
そして2025年5月26日に、2025年2月期末時点で内部統制が有効であることを確認したと公表し、管理企画局経営企画部内に内部統制課を新設したと書いています。こちらは授業料の売上計上の話ではなく、子会社への貸付と固定資産の評価の話です。2014年の事件とは中身が違います。
今の運営会社:2025年9月から持株会社体制、親会社はヒューリック
| 項目 | 有価証券報告書(2026年2月期)・会社概要の記載 |
|---|---|
| 運営 | 株式会社リソー教育グループ(東証プライム)の子会社、株式会社TOMASが「完全1対1の進学個別指導塾「TOMAS」」を運営。2025年9月1日に持株会社体制へ移行 |
| 親会社 | 「当社は親会社であるヒューリック株式会社」と記載 |
| TOMAS事業の売上高 | 17,855百万円(2026年2月期・前期比1.0%増)。連結売上高は34,240百万円 |
| TOMAS事業の従業員 | 392(就業人員)。準社員・アルバイト講師・パートの年間平均は外書きで6,317 |
| 校舎 | 公式サイトのフッターで「首都圏に111校」。有価証券報告書は「首都圏(1都3県)を重点地域」 |
| 沿革 | 1990年3月に「完全個室(全室黒板付)の1対1の個人教授システム」を開発。1997年1月に愛称「TOMAS」 |
特定商取引法では、学習塾の概要書面と契約書面に「前受金の保全に関する事項」と「中途解約に関する事項」を書くことが義務づけられています。さらに、前払方式で5万円を超える契約をする事業者は、貸借対照表や損益計算書など「業務及び財産の状況を記載した書類」を消費者が閲覧できるようにしておく義務があります。2014年の事件の中身が前受金だったからこそ、契約書のこの行を読み、必要なら財務書類の閲覧を求める。それが家庭にできる確認です。
講師がやばい?時給と応募資格を、公式の求人サイトで見る
「トーマス 塾 時給」「塾バイト」で出てくる話は、講師として働く側の条件です。TOMASの公式サイトからつながる公式のアルバイト求人サイトに、金額がそのまま載っています。
| 講師の区分 | 公式求人サイトの記載 |
|---|---|
| 大学生・大学院生講師 | 授業時給1,600円〜3,200円。事務時給1,226円。1授業(90分)2,400円〜4,800円。研修期間中は授業時給1,400円〜 |
| 社会人一般講師 | 4年制以上の大学を卒業している方。授業時給1,600円〜3,200円。経験・実力を考慮のうえ決定 |
| 社会人プロ講師 | 授業時給2,500円〜4,100円。1授業(90分)3,750円〜6,150円 |
| 医学部受験指導講師(社会人) | 授業担当 時給4,000円以上 |
| 共通 | 「実際の授業は80分です。前後5分(計10分)の準備業務等にも給与が発生」。3か月に1度の査定による昇給制度。週1日1コマから |
つまり講師は、大学生講師・社会人一般講師・社会人プロ講師の3つの区分があり、時給の幅で見ると大学生と社会人一般は同じ枠です。公式サイトの講師陣のページは「業界トップクラスの厚待遇」「適性検査や筆記試験、面接などの厳しい選考」と書き、採用後は「現場研修・板書研修・模擬授業を義務づけ」としています。時給の水準をどう評価するかは働く側の話で、家庭の判断材料にはなりません。
家庭にとって意味があるのは、自分の子どもの担当が誰になるかは、面談のあとに決まるという点です。入会までの流れには、個人面談のカルテをもとに教科別の専任講師を選定し、「性別や人柄などのご要望もふまえ」て提案する、成果が出ない場合は「異なる角度から講師を再選定し、速やかに変更」とあります。

1対1の塾は、講師の当たり外れがそのまま成果になります。体験授業で教わった先生が、入会後も担当になるのか。これは面談で必ず聞いてください。「担当は別途選定」なら、初回授業から数回の試行期間で合わなければ替えてもらう約束を、その場で確認しておきます。
公式は担任システムも書いています。講師とは別に担任社員が成績を管理し、家庭と教室の電話のホットラインを設ける、という仕組みです。講師が替わっても担任が引き継ぐ、という説明が面談で出るかどうかも見ておくとよいところです。

やめるときの請求額は、法律で上限が決まっている
学習塾は特定商取引法の「特定継続的役務」にあたります。期間が2か月を超え、入学金・受講料・教材費などを合計した契約金の総額が5万円を超える契約が対象です。TOMASは入会金27,500円があり、月謝制で通うので、週1回でも数か月通えば多くの場合この対象に入ります。対象になると、やめるときに塾が請求できる金額に法定の上限がつきます。
| 場面 | 消費者庁の特定商取引法ガイドの記載 |
|---|---|
| クーリング・オフ | 契約書面を受け取った日から8日以内なら、書面または電磁的記録で解除できる。TOMASの公式も「契約開始日から8日以内」と明記 |
| 中途解約:授業が始まる前 | 塾が請求できる上限は1万1000円 |
| 中途解約:授業が始まった後 | 提供済みの授業の対価に加えて、2万円か1か月分の授業料相当額のいずれか低い額まで |
| 上限を超えて受け取っていた場合 | 残額を返還しなければならない |
入会金27,500円を払ったあと、授業が始まる前にやめた場合、法の上限は1万1000円です。上限を超えて受け取っていた分は返還しなければならない、と消費者庁は書いています。契約書の「中途解約に関する事項」に、この上限と整合する金額が書かれているかを確認してください。

向く家庭・向かない家庭
| 家庭の状況 | 判断 |
|---|---|
| 集団塾のクラスに合わず、志望校の過去問対策を1対1で組みたい | 合う。公式が「志望校から逆算した個人別カリキュラム」を80分の完全1対1で行うと明記 |
| 講師が立って板書する授業形式を求めている | 合う。公式が「講師は立って板書をしながら」「質問対応型ではなく授業形式」と書いている |
| 授業のない日も自習室に通わせたい | 合う。自習室は常時開放、受講科目に関係なく質問できる |
| 公式サイトで月額を確認してから問い合わせたい | 合わない。指導料はサイトに金額が無く、面談で提案される |
| 首都圏以外に住んでいる | 合わない。校舎は首都圏に111校。有価証券報告書も「首都圏(1都3県)を重点地域」 |
| 理科・社会も全部1対1で受けたい | 要確認。公式は理科・社会の知識分野に「映像講座やグループ授業などリーズナブルなコース」を設けている |

面談で確認する5つ
| 確認すること | なぜ |
|---|---|
| 指導料の見積もりを書面で。月額と、その月の授業回数 | 公式サイトに金額が無い。1回あたりの単価に直して他の1対1の塾と比べる |
| 講習(夏期・冬期・志望校対策講座)の追加費用 | 公式は「入会金と指導料のみ」。講習が指導料に含まれるのか、別の見積もりになるのかを聞く |
| 体験授業の講師が、入会後の担当になるか | 担当講師は面談後に選定される。合わなかった場合の変更手順も聞く |
| 契約書の「前受金の保全に関する事項」と「中途解約に関する事項」 | 特定商取引法で記載が義務。2014年の事件の中身が前受金だった |
| 特待生制度の対象模試と基準 | 対象模試でB判定以上などの基準で指導料30%免除。受ける模試を先に決めておく |
よくある質問
- トーマスの事件とは何ですか?
-
運営会社の株式会社リソー教育(当時)が、前払いされた授業料のうち未実施の授業分を前受金として処理せず、当日欠席が多数あったなどと仮装して売上を過大に計上していたとして、2014年4月21日に金融庁から4億1,477万円の課徴金納付命令を受けた件です。対象は平成21年2月期から平成25年8月の第2四半期までの開示書類です。金融庁と証券取引等監視委員会のページに全文があります。
- 今も同じ問題がありますか?
-
2024年7月12日に、2021年2月期から2024年2月期までの有価証券報告書の訂正報告書を出しています。ただし中身は子会社の債権に対する貸倒引当金と、固定資産の減損の兆候の把握方法で、授業料の売上計上の話ではありません。2025年5月26日に、内部統制が有効であることを確認したと公表しています。
- 入会金はいくらですか?
-
公式の指導料ページに「入会金は27,500円(税込み)です」とあります。本人かきょうだいがリソー教育グループの正会員として入会金を払ったことがあれば全額免除です。
- 指導料(月謝)はいくらですか?
-
公式サイトには金額がありません。「お子様の学年や通塾回数・受講科目によって異なります」とあり、面談のあとに通塾回数と受講科目に応じた指導料が提案されます。教材費と設備費はかからないと公式に書かれています。
- 講師はアルバイトの大学生ですか?
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公式の求人サイトには、大学生・大学院生講師、社会人一般講師(4年制以上の大学を卒業している方)、社会人プロ講師の区分があります。大学生講師の授業時給は1,600円〜3,200円です。公式サイトは「社会人プロ講師、有名大学・院生講師の中から最適なマッチング」と書いているので、大学生も社会人もいます。担当講師は面談後に選定され、成果が出なければ変更できると公式に書かれています。
- 途中でやめたら、いくら請求されますか?
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学習塾は特定商取引法の対象で、授業が始まる前の中途解約なら上限1万1000円、始まった後なら提供済み分に加えて2万円か1か月分の授業料相当額の低い方までです。契約書面を受け取ってから8日以内ならクーリング・オフもできます。
この記事で確認した公式ページ
金額・条件は2026年9月12日に各公式ページと文書で確認しました。改定されることがあるので、契約前に必ずご自身で確認してください。文部科学省の数字は、令和5年度子供の学習費調査の「調査結果の概要」(令和8年1月16日差替版)の表8-2から引いています。
金融庁 株式会社リソー教育に係る有価証券報告書等の虚偽記載に対する課徴金納付命令の決定について(平成26年4月21日)
証券取引等監視委員会 課徴金納付命令勧告について(平成26年3月7日)
リソー教育 トップメッセージ「第三者委員会の報告を受けて」(2014年2月10日)
リソー教育 過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出に関するお知らせ(2024年7月12日)

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