
勉強に集中したいけど、なかなかやる気が入らない…
という方は結構多いです。筆者も当時その1人でした。しかし今回紹介した方法を実践したことで、集中できることが増えたんです。
突然ですが皆さんは、勉強を始めるときの「ルーティーン」はありますか?今回ご紹介するのは勉強前にぜひ行ってほしいルーティーンになります。では早速結論を書きますね。
勉強前に10分間の散歩をしよう!

タイトルの通り、10分間の散歩をすることで、その後の勉強効率を上げる事ができるんです。では何故散歩が勉強効率と関係があるのでしょうか?その理由を詳しく解説していきます。
運動すると脳の血流がよくなり、脳が活性化する!
実際の研究の紹介
実際にこんな研究があるのでご紹介します。
サラスらは、こんな実験をしています。
【実験内容】
被験者群を2つに分けて、名詞を記憶するテストを実施した。覚える前に、一方のグループは10分歩き、もう一方のグループは10分座って風景写真を見た。名詞を覚えた後、もう10分間、それぞれ同じ行動をしてからテストを実施した。
結果は、歩いたグループのほうが、座っていたグループよりも25%よい成績になりました。ちなみに、覚えた後の行動を、歩いたグループは風景写真を見るというように逆にしても、結果は変わりませんでした。
https://ddnavi.com/serial/768120/a/ より
出典と、研究チームの所属
実験の条件と数字を表で確認
論文の要旨を紹介した英国心理学会の記事と、この研究を表にまとめたレビュー論文で、実験の条件と数字を確認しました(2026年10月11日に確認)。
| 項目 | 論文に書かれている内容 | 読み方 |
|---|---|---|
| 参加者 | 大学生80人(うち女性46人) | 中高生ではなく大学生での結果 |
| 組み合わせ | 覚える前(歩く/座る)×テスト前(歩く/座る)の4グループ | 歩くタイミングごとの効果を分けて比べられる |
| 歩き方 | 10分間の早歩き(座る側は10分間、風景などの画像を見る) | 「約束に遅れそうなときの速さ」と指示 |
| 覚えたもの | 英語の名詞30語(1語6秒ずつ表示) | 覚えた直後に「どれくらい思い出せそうか」も答える |
| 思い出せた割合 | 覚える前に歩いた:平均0.45/座った:平均0.36 | 差が出たのは「覚える前」の行動 |
| テスト前に歩く | 歩いても座っても成績に差なし | 歩くなら、テスト前ではなく勉強の前 |
| 手応え | 「どれくらい覚えられたか」の自己評価は変わらず | 効いていても本人は気づきにくい |
「25%」の計算:0.45÷0.36=1.25なので、座っていたグループより25%多く思い出せたことになります。30語に当てはめると、0.45×30=13.5語、0.36×30=10.8語で、差は約2.7語です(平均の割合に30を掛けた目安で、論文が語数で示した値ではありません)。
歩いたグループのほうが成績が高かった
つまり、実験的に10分間の散歩をすると、その後の勉強がより効果が高まるということが分かっています。逆の実験を行なっても、結果が変化しなかったことも、この説の裏付けになっていますね。
成績は上がったのに、本人は手応えを感じなかった
この論文には、もう一つ大事なことが書かれています。
散歩したグループは成績が25%上がったのに、「自分がどれくらい覚えられたか」という手応えは、座っていたグループと変わらなかったのです(論文タイトルの後半「but not judgement-of-learning」がこの部分です)。
つまり効果はあるのに、本人には効いている実感がない。これが、散歩がいいと知っていても続かない理由だと思っています。
「やった感じがしない」からやめてしまう。手応えではなく、結果が出ているかで判断してください。
どういう仕組みが働いているのか?
脳は酸素と糖分を燃料として動いています。酸素は、血液に乗って脳に運ばれます。ですから、勉強をする前に歩いて体の血液を巡らせると、脳にどんどん血液が送られてエンジンがかかり、勉強の効率がアップするわけです。
https://ddnavi.com/serial/768120/a/ より
ただし、ここは注意して読んでください。上の研究が確かめたのは「歩いたほうが成績が良かった」という結果までで、血流や酸素が原因かどうかまでは検証していません。
仕組みの説明は、あくまで有力な仮説として受け取ってください。「効果があった」ことと「なぜ効いたか」は別の話です。
また、体の血液は下半身に多く集まっているそうです。ストレッチでも良いのですが、散歩によって脚を動かすことで、下半身に溜まった血流を循環させる事ができます。

脳に酸素を送る、他の方法として、「ゆっくり深呼吸」するのも効果的なようです。外出できない場合は是非試してみてください。
実際にやるときの注意点
研究の話はここまでです。実際にやると、たいてい別のところでつまずきます。塾の自習室で試してもらって分かったことを書きます。
帰ってきたら、すぐ座る
いちばん多い失敗がこれです。散歩から帰って、水を飲んで、スマホを見て、そのまま30分。これでは意味がありません。
対策は単純で、出かける前に、やる教材を開いて机に出しておくことです。帰ってきて座った瞬間に始められる状態にしておきます。散歩そのものより、この準備のほうが効きます。

集中が切れた生徒を外に出すことがありますが、「10分で戻っておいで」と時間を切って送り出さないと、まず戻ってきません。自分でやるときも、スマホのタイマーを10分でかけてから出てください。
歩きながらスマホで暗記、はやめてください
「せっかくなら単語も覚えよう」と考える人がいますが、これは2つの意味でおすすめしません。
1つは単純に危険だからです。もう1つは、この10分の目的が、頭を勉強から離すことだからです。
歩きながら暗記アプリを見ていると、休憩にも切り替えにもなりません。音声を聴くだけなら、周囲の音が聞こえる音量で。それ以外は何も持たずに出るほうが効果があります。
夜・雨の日にどうするか
受験生の勉強時間は、そもそも夜が中心です。外に出られない日のほうが多いと思ってください。
- 階段を2〜3往復する…短時間で息が上がるので、時間がないときはこれが一番速いです
- その場で足踏みを3分…音が気になる場合は、立ってスクワットでも構いません
- 座ったままなら、深呼吸を10回…上の2つには及びませんが、何もしないよりは切り替わります
共通しているのは「立ち上がって、体を動かして、机に戻る」という形です。散歩でなければいけない、ということではありません。

ひとつだけ補足を。これは「勉強が始められない」ときの対策であって、勉強時間そのものを増やす方法ではありません。散歩を挟んだぶん、時間は減ります。すでに机に向かえている人が、わざわざ取り入れる必要はありません。
気分転換になるため、リフレッシュできる

普段の勉強は、室内で机に向かって下を向くという、縮こまった姿勢をとっている事が多いですよね。続けていると体の疲れだけではなく、どうしてもメンタル的にも疲弊してしまいます。
しかし、あえて外に出て散歩して開放的な空間に場所を移すことで、気分転換できます。散歩している間は、勉強のことも考えるもよし、また勉強とは全く違ったことを考えても良いです。
とにかく外の空気を浴びて気持ちをリセットできることが大切なんです。
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なぜ10分間なのか?
10分間と定めていますが、時間が長過ぎると逆効果になってしまうこともあります。
なぜなら1時間など長い時間散歩すると、シンプルに体の疲れが勝ってしまい、勉強に取り組めなくなること。また本来の目的である勉強時間が少なくなってしまうことが懸念されるからです。
ですので、最初の10分間だけに留めておきましょう。その10分でその後の数時間の勉強を効果的にするのです。

疲れてしまうという、同様の理由で “ランニング” などの激しめの運動には注意してください!
休憩方法としても散歩は優秀
勉強を始める前だけでなく、途中の休憩でもぜひ散歩を取り入れてみてください。この場合は、気分転換がより強く感じられてその後の勉強も集中が続きやすくなりますので、とてもおすすめです。
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中学生はふだんどれくらい体を動かしている?全国調査と国の目安で見る「10分の散歩」
上の研究は大学生の実験でした(Salas ほか 2011、Journal of Cognitive Psychology 23巻4号 507〜513ページ)。では中学生は、ふだんどれくらい体を動かしているのでしょうか。スポーツ庁「令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の、保健体育の授業を除いた1週間の総運動時間を見ました(2026年10月15日確認)。対象は中学2年生の全員で、令和7年4〜7月に実施、男子442,851人・女子425,075人が答えています。
| 1週間の総運動時間(体育の授業を除く) | 男子 | 女子 |
|---|---|---|
| 0分 | 8.1% | 17.4% |
| 1〜60分未満 | 1.8% | 4.3% |
| 60分未満の合計 | 9.9% | 21.7% |
| 60〜420分未満 | 14.8% | 23.7% |
| 420分以上 | 75.4% | 54.6% |

女子では5人に1人が、体育以外で週60分も体を動かしていません。一方で、男子の4人に3人は週420分以上動いています。同じ「勉強前に10分歩く」でも、運動部で毎日動いている子と、ほとんど動いていない子とでは、意味が違います。ほとんど動いていない子の場合は、10分の散歩が1週間の運動のほぼ全部になります。
週に1分も運動していない生徒が答えた理由
同じ調査では、月曜から日曜まで全部「0分」と答えた生徒に、運動していない理由を聞いています(当てはまるものを全部選ぶ形式)。
| 運動していない理由(複数回答) | 男子 | 女子 |
|---|---|---|
| 運動が好きではないから | 47.6% | 59.5% |
| 運動する時間がないから | 30.2% | 40.9% |
| 運動する場所がないから | 17.6% | 26.0% |
| 一緒に運動する友達がいないから | 17.6% | 20.2% |
| その他 | 16.1% | 11.5% |
「好きではない」「時間がない」「場所がない」「友達がいない」は、どれも10分の散歩なら問題になりにくい理由です。速さも競わず、道具も相手もいりません。運動が苦手な子が勉強の前に体を動かすなら、散歩はいちばん始めやすい形です。ただし、「時間がない」が理由の場合は、散歩の10分も負担に感じるはずです。そのときは、勉強を始める前の1回だけに絞ってください。
国の目安と比べると、10分はどれくらいか
| 国のガイドに書かれていること | 中身 | 10分の散歩と比べると |
|---|---|---|
| こども版の推奨事項 | 身体を動かす時間が少ないこどもには、何らかの身体活動を少しでも行うことを推奨する | 0分の子にとっては、10分でも推奨に沿った一歩になる |
| 参考として載っているWHOの目安 | 中強度以上(3メッツ以上)の身体活動を1日60分以上 | 10分は1日分の6分の1 |
| 歩行の強さ | 歩行は3メッツ。中強度は3〜5.9メッツ | 普通に歩くだけで中強度の下限に届く |
| 座りっぱなし | 座りっぱなしの時間、特にスクリーンタイムを減らす | 勉強の合間に立って歩くこと自体が、この目安に沿う |
| 注意点 | 激しすぎる運動やオーバーユース(使いすぎ)に注意する | 走らず、歩く速さで十分 |
計算
- 60分未満の合計(女子):17.4 + 4.3 = 21.7%(約5人に1人)。男子:8.1 + 1.8 = 9.9%
- 毎日10分歩くと、1週間で 10 × 7 = 70分。散歩を運動として数えれば、0分の区分から「60〜420分未満」の区分に移る量です
- WHOの目安を1週間に直すと 60 × 7 = 420分。調査の「420分以上」の線と同じです。10分はその 10 ÷ 60 = 約0.17(6分の1)
- 女子で週420分に届いていない割合:100 − 54.6 = 45.4%(男子は 100 − 75.4 = 24.6%)
- 「時間がない」を理由に挙げた割合の男女差:40.9 − 30.2 = 10.7ポイント
この調査は中学2年生だけが対象で、高校生の数字は含まれていません。また、運動時間が長い子ほど勉強ができる、という関係を示した調査でもありません。散歩した日としなかった日の勉強の成果を中高生で比べた全国データは公表されていないため、ここで言えるのは「動いていない子が多い」「10分なら始めやすい」までです。
- 部活で週420分以上動いている場合(男子の75.4%、女子の54.6%がこの区分)。体を動かす量は足りているので、疲れている日は散歩をしない方がよい。休む方を優先する
- 夜遅くて暗い道しか歩けない場合は、外に出ない。前の項の「階段を2〜3往復」「その場で足踏み3分」に替える
- 体調が悪い日や、けがをしている場合は休む。ガイドも「激しすぎる運動やオーバーユース」に注意するよう書いています
- 散歩から戻ってもスマホに流れてしまう場合は、まだ散歩に向いていません。前の項のとおり、教材を机に開いてから出る形にできるまでは、散歩より「立って深呼吸10回」の方が向いている
出典:スポーツ庁「令和7年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査 報告書」調査結果の概要(PDF・第1章 p.45 2-2〈2〉1週間の総運動時間別の生徒の割合)/同 生徒質問紙(xlsx・質問5-2 運動していない理由・全国集計)/同 表紙・目次・調査の概要(PDF・調査対象者と実施児童生徒数)/厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(PDF・p.11 こども版)/Salas, Minakata & Kelemen (2011) DOI:10.1080/20445911.2011.532207(2026年10月15日確認)
勉強前の散歩についてよくある質問
- 勉強前の散歩は何分がいいですか?
-
10分です。1時間など長く歩くと体の疲れが勝ってしまい、勉強時間も減ります。ランニングなどの激しめの運動にも注意してください。
- 散歩の効果は研究で確かめられていますか?
-
Salas ほか(2011)の実験では、覚える前に10分早歩きした大学生のほうが、座っていたグループより思い出せた割合が25%高くなりました。ただし一つの研究・大学生80人の結果で、血流が原因かどうかまでは検証されていません。
- テストの直前に歩いても効果はありますか?
-
この研究では、テスト前に歩いても座っても成績に差はありませんでした。歩くなら、テストの前ではなく勉強の前です。
- 夜や雨の日はどうすればいいですか?
-
階段を2〜3往復する、その場で足踏みを3分、座ったままなら深呼吸を10回、が代わりになります。共通しているのは「立ち上がって、体を動かして、机に戻る」という形です。


