無気力症候群(スチューデント・アパシー)は、勉強や進路など「本業」にだけ力が入らなくなり、遊びや友達づきあいは今までどおり楽しめる状態を指す言葉です。病名ではありません。
この記事では、うつ病・五月病・起立性調節障害との見分け方と、文部科学省の令和6年度調査の数字を先に置きます。そのうえで、受験生が締切だけは落とさない方法と、塾で見てきた抜け出す3つの手順を書きます。
- 本業(勉強・進路)にだけ力が入らず、遊びは楽しめる→ 無気力症候群の型。叱っても戻りません。やることを小さくする(下の手順1〜3)
- 好きなことも楽しめない、眠れない、食べられないが2週間以上→ 厚生労働省の9項目で5つ以上なら、うつ病を疑って専門家へ
- 朝だけ起きられず、午後は元気→ 起立性調節障害(OD)の可能性もあります。立ち上がったときに血圧や脈を調節する自律神経(体を自動で調節している神経)がうまく働かない、体の病気です。まず小児科に相談してください
- 受験生→ 勉強は止めてもいい。ただし、出願と検定料の締切だけは親がカレンダーに入れる。2027年度共通テストの出願(登録と検定料の支払い)は、2026年10月2日までです
大学生を対象にした研究でも、学業への無気力は、2つに分けられると報告されています(狩野・津川 2011、教育心理学研究)。「抑うつを伴う無気力」と、「抑うつを伴わないスチューデント・アパシー的な無気力」です。この記事の「見分ける」は、この区別に沿っています。

僕自身経験がありますが、なかなか自分では気づきにくいです。当てはまるところがあれば、次の見分け方から読んでください。
まず切り分ける:うつ病・五月病とは別のものです
検索してここに来た方がいちばん知りたいのは、たぶん「自分(うちの子)はどれなのか」だと思います。似た言葉が並ぶので、まずそこを分けます。
| 何に対して無気力か | きっかけ・期間 | |
|---|---|---|
| 無気力症候群 (スチューデントアパシー) | 本業(勉強・進路)にだけ。友達と遊ぶ・バイト・趣味は楽しめる | はっきりしたきっかけが無いことも多い |
| うつ病 | 本業も遊びも含めて、すべてに対して。好きだったことも楽しめない | 長く続く。医療機関の領域 |
| 五月病 | 新しい環境への適応がうまくいかない。学業に限らない | 連休前後に出やすく、環境に慣れるにつれて軽くなることが多い |
| 燃え尽き (部活引退・受験終了の後) | 大きな目標が終わった直後に、勉強も遊びも含めて空っぽになる | きっかけがはっきりしている。下の体験談の事例3がこの型 |
| 起立性調節障害 (OD) | 朝の起床困難・立ちくらみ・頭痛・だるさ。午前に強く、午後に軽くなる | 自律神経の不調で起きる体の病気。まず小児科へ。判定は新起立試験(寝た状態と立った状態で血圧・脈を測る検査) |

勉強はまったくしないのに、友達とは普通に遊びに行くんです。サボっているだけに見えてしまって……

まさにそこが、この状態のいちばん分かりにくいところです。遊べているから「怠けている」と見えてしまう。でも「本業にだけ力が入らない」というのが、この状態の特徴そのものなんです。叱っても動かないのは、意志の問題ではないからです。
この「学生が本業に対して選択的に退却する」という捉え方は、スチューデントアパシーという概念として古くから知られています。アメリカの精神科医ウォルターズが提唱したとされるもので、学業や進路という「やらなければいけないこと」からだけ気持ちが引いていくのが特徴です。
厚生労働省の9項目|5つ以上が2週間以上なら、うつ病を疑って専門家へ
「うつ病かどうか」は、自分で決めるものではありません。ただ、相談に行く目安は厚生労働省が公開しています。次の9項目を、本人と一緒に数えてください。
- 悲しく憂うつな気分が一日中続く
- これまで好きだったことに興味がわかない、何をしても楽しくない
- 食欲が減る、あるいは増す
- 眠れない、あるいは寝すぎる
- イライラする、怒りっぽくなる
- 疲れやすく、何もやる気になれない
- 自分に価値がないように思える
- 集中力がなくなる、物事が決断できない
- 死にたい、消えてしまいたい、いなければよかったと思う
判定:このうち5つ以上(1の「憂うつな気分」か2の「楽しめない」のどちらかを含む)が2週間以上続いていたら、専門家に相談する
うつ病は、日本人の約15人に1人が一生のうちにかかる、ありふれた病気です(厚生労働省)。症状は朝がいちばん悪く、午後から夕方にかけて改善することがよくあります。朝起きられず学校を休んだのに、午後は元気に見える。だから周囲には「サボっているだけ」に見えます。ここが、無気力症候群と一番混同されるところです。
「午前はつらそう、午後は元気」はサボりではなく、3通りある
同じ「午前がつらく、午後は元気」でも、立ちくらみ・頭痛・朝の起床困難などがそろうなら話が変わります。日本小児心身医学会の項目で3つ以上あれば、起立性調節障害(OD)の疑いです。学会が示す有病率は、中学生の約10%。こちらは自律神経の不調で起きる体の病気で、新起立試験(寝た状態と立った状態で血圧・脈を測る検査)で判定します。まず小児科に相談してください。
| 朝と午後の様子 | 一緒に出ているもの | 行き先 | |
|---|---|---|---|
| 無気力症候群の型 | 起きられないというより、起きても本業に手がつかない。勉強以外なら午後も元気で、遊び・バイトは普通にできる | 体の症状が目立たない。避けるのは「本業」だけ | 後半の「1週間の記録表」をつけて、担任・スクールカウンセラーへ |
| うつ病 | 朝がいちばん悪く、午後から夕方にかけて改善することがよくある | 好きなことも楽しめない・眠れない・食欲の変化が2週間以上 | 9項目で5つ以上なら専門家へ(下の相談先①〜④の順) |
| 起立性調節障害 | 午前に強く、午後に軽減する | 立ちくらみ・頭痛・朝の起床困難・食欲不振などが3つ以上 | まず小児科へ。新起立試験で判定 |
※うつ病の目安は厚生労働省「こころもメンテしよう」、起立性調節障害の目安は日本小児心身医学会のページで確認しました。
- 上の9項目のうち5つ以上が2週間以上続いているなら、厚生労働省の目安では専門家に相談する段階です
- 眠れない・食べられない・体が重いが一緒に出ているなら、早めに専門家へ
- この記事は見分けるための目安を書いたもので、診断ではありません。判断は専門家に委ねてください
【塾長から】叱っても戻りません。やることを小さくするしかない
塾でこの状態の子を見てきて、はっきり言えることが1つあります。「やる気を出させよう」とする働きかけは、ほぼ全部逆効果です。本人がいちばん、自分が動けていないことを分かっているからです。
効いたのは、いつもやることを馬鹿らしいほど小さくしたときでした。
「1日1問」でもまだ重いです。座るところまでを目標にしてください。座れた日を数えるだけで構いません。動けない状態から動く状態への一歩は、量ではなく回数で作ります。
ここで苦手教科から始めさせるのが、いちばん多い失敗です。できない問題は、いまの状態の子には重すぎます。「解ける」という感覚を取り戻すのが先で、内容は何でも構いません。
自室は「動けなかった記憶」が積み重なっている場所です。リビング・図書館・塾の自習室——どこでもいいので物理的に変えると、それだけで動く子がいます。意志ではなく環境の問題として扱ってください。

保護者の方へ。この時期にいちばん効くのは「勉強の話をしないこと」です。声をかけるなら生活のことにしてください。起きた・食べた・外に出た——そこが戻れば、勉強は後からついてきます。順番が逆だと、どちらも戻りません。
無気力症候群の原因とは?

無気力症候群の原因は様々ですが、主な原因としては以下のようなものが考えられます。
- ストレス: 受験や進路、人間関係など、様々なストレスを抱えることによります。
- 睡眠不足: 睡眠不足は、集中力や思考力低下、意欲減退などの原因となります。
- 栄養不足: 栄養バランスの偏った食事は、脳の機能に悪影響を及ぼします。
- 運動不足: 運動不足は、気分の落ち込みや意欲減退などの原因となります。
- 精神的な問題: うつ病などの精神疾患が原因で、無気力状態になることもあります。
塾で見ていると、きっかけは決まって「目標が終わった直後」です。部活の引退、受験の終了、志望校を下げた日。やることが無くなったのではなく、やる理由が一度消えた状態です。次の理由が見つかるまで、「量」を求めても動きません。

数字で見ると、これは「よくある詰まり方」です
「うちの子だけがこうなっているのでは」という相談が多いので、先に公的な数字を置きます。文部科学省の令和6年度調査(「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」結果の概要、令和7年10月29日公表・令和8年1月16日一部修正)では、高等学校の不登校生徒は67,782人(1,000人当たり23.3人)です。学校が把握した事実で最も多いのが、「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった」26.9%でした。
| 不登校の高校生について、学校が把握していたこと(多い順に4つ) | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった | 18,236人 | 26.9% |
| 生活リズムの不調に関する相談があった | 17,787人 | 26.2% |
| 不安・抑うつの相談があった | 10,827人 | 16.0% |
| 学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた | 8,654人 | 12.8% |
※不登校生徒67,782人に対する割合。当てはまるものをすべて回答する形式です。文部科学省 令和6年度調査の結果概要より。
「やる気が出ない」と「生活リズムの不調」が1位・2位で、「学業不振」は4位です。「成績が落ちた」として把握された子より、「やる気が出ない」「生活リズムが崩れた」として把握された子のほうが多い、ということです。塾長の手順で「勉強の話をせず、起きた・食べた・外に出たを戻す」のは、この表の並びに合わせた塾長の判断です。
同じ調査で、高校の中途退学者は44,571人(中途退学率1.4%)でした。理由の内訳は次のとおりです。
| 中途退学の理由 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 進路変更 | 18,505人 | 41.5% |
| 学校生活・学業不適応 | 15,618人 | 35.0% |
| 学業不振 | 2,814人 | 6.3% |
「学業不振」=成績が理由で辞めた子は6.3%しかいません。学業不振(6.3%)より、学校生活・学業不適応(35.0%)のほうがずっと多い、ということです。いま起きていることは、めずらしい詰まり方ではありません。

この数字を保護者の方にお見せすると、ほとんどの方が少しほっとされます。「勉強ができないから動けない」のではなく、「動けないから勉強に手がつかない」という順番なんです。順番を取り違えると、対応も逆になります。
不登校になった高校生のうち、中途退学に至ったのは10,566人(15.6%)、原級留置(=留年)は2,963人(4.4%)です。裏返せば、不登校になっても8割以上は中途退学に至っていません。小・中学校の不登校は353,970人(過去最多)、1,000人当たり38.6人です。ただし不登校が翌年も続いた割合は、小学校71.7%(前年度75.2%)、中学校77.1%(前年度80.7%)と、どちらも前年度から下がりました。長引くほど戻りにくい一方で、戻っている子も確実にいます。
無気力症候群の実体験

無気力症候群について、実際になった方への調査を行ってみました。同じような症状に悩む方の助けになれば嬉しいです。4つをご紹介します。
事例1:高校入学後に… (原文そのまま)
高校受験に失敗して誰でも入れるような私立の普通科に進学したのですが、そこで待ち構えていたのはどこにも受け入れてくれない偏差値の低いその地域の問題児のような生徒が集まるクラスでした。当然そのような状況では、志の高い生徒はおらずいじめやカツアゲをすることが日常茶飯事でした。自分自身も何の目標もなく何となく選んだ学校だったので、目標のようなものもなく淡々と過ごす学生生活を繰り返し次第と無気力になっていきました。
それが段々とエスカレートして、高校二年あたりから学校に行かなくなることが多くなりました。
家で毎日ご飯を食べて寝るを繰り返していくうちに、このままではいけないという焦りが芽生え始めました。
それまでは、大人の敷いてくれたレールの上をひたすら走るだけの人生だったので特別考えることもなく与えられた課題をこなしていました。
しかし、そのままではこの先の人生を自分の足で歩いていけないことを悟り夏休みに色々な予備校に行きこれからの進路を考えてみました。予備校ではデザインの大学へ進学するコースがあって、もともと美術が好きだということもあり美術系の大学に進学する目標がうっすらと見えてきました。しかし予備校は授業料が高くとても親に出してもらうことを切りだすこともできなかったので、独学でコツコツと勉強していくこととしました。
当時はインターネットは無かったので、書店や美術の先生に相談して参考書やデッサンの練習を重ねました。今までこれほど自分から動いて切り開くことは無かったのですが、人頼りではなく自分で調べたり勉強したりして行動していくことが解決策としては一番大切なのではないかと思います。
幸い今の時代はインターネットが普及しているのでなんでも調べられます。狭い視野にとらわれずに、自分自身で切り開く経験は何事にも代えがたい経験だと思います。
学生で無気力で悩んでいる方がいらっしゃったら、自分自身で行動してその中に光るものがあればそれを追い求めていくことが無気力から脱出する策になると考えます。
事例2:大学入学後に… (原文そのまま)
大学生時代、学校の為に地元を離れて一人暮らしを始めました。始めのうちは、学校に部活動やサークル活動、そしてバイトの掛け持ちなどをして寝る間も惜しんで日々の生活を送っていました。ですが学校の授業になかなかついていけなくなってきたと感じ始めた時から焦りと共に慣れない生活に鬱のような症状が出てきました。
朝、ベットから起きるのが辛くなり体が常に重く感じ始め、バイトやサークルだけではなく学校の授業にすら出席がなかなか出来ないようになってきました。そのうち、人と会ったり喋ったりすることも億劫になり食べ物を食べる事も意味がないような事に思えてきて体重も激減しました。何もする気がおきず無気力でした。
そんな時に祖母の家に1か月程いき畑仕事を手伝う事になりました。土を触っていると不思議と活力が湧いてきて無気力症候群は治っていきました。1か月後にはすっかり元の精神状態に戻り、学校に行く事が出来るようになりました。
事例3:部活を引退した後に… (原文そのまま)
自分自身が高校3年生のころ。ソフトテニスの部活に中学から高校にかけて、一生懸命取り組んでいました。高3の最後の大会が終わり、自分の青春の1ページが終わったなと感じました。さあ、次は大学受験に向けて頑張らねば……、と展開していくべきところだったのですが、まったく勉強に対して意欲が沸かなくなっていました。文武両道で、部活と勉強を両立させていたときは、それなりに勉強もがんばっていました。しかし、部活が終わってしまうと、勉強にも取り組めなくなっている自分がいました。それどころか、色んな事に対する情熱が冷めていました。食欲もあまりない。遊ぶ元気も沸かない。何とか高校にはゾンビのように通っていましたが、色んな物事に対するパッションを失っていました。2か月ぐらい無気力症候群にはまり込んでいた気がします。今、振り返ってみると、劇的な解決方法があったのか、よくわかりませんが、2か月という時間が自分の人生の中に、必要だったのだと思います。そして、その2か月の中でやったことが、ヒントになれば幸いです。
やったこと①:友人に薦められて、海を見にいって、ボーっとしていた。
やったこと②:近所の図書館にボーっとしにいった。
①も②も、ボーっとするだけなんですが、海という自然のエネルギーや図書館で頑張っている人たちの情熱などを吸収することができたような気がします。いい歳した今でも、海の散歩や図書館通いは、人生に刺激を与えてくれるので、チャージが必要な時に行くようにしています。
事例4:無気力症候群を解決したのは…?(原文そのまま)
学生時代に無気力症候群を解決したのは、イメージでした。
まず、根本的に私がなにもする気力がない状態や、意欲のない状態になったのは、自分が勉強をやるべき理由が見つからないのが原因でした。
自分が勉強をやるべき理由が見つからなかったのは、自分が将来なるべき姿、なりたい姿というもののイメージ、想像力が欠如していたからでした。
そこで、自分の今というのが将来の生活に直結しているのを自覚することから始めて、色々なものに触れて、色々なものを学ぶことをしました。それらが例えテレビであったり、本であったとしても、自分の琴線に触れたものをメモしたり、ジャーナリングしたりしていました。
そうして自分の中に具体的なイメージ、もっといえばモデルケースとなる人を見つけました。
そのモデルケースにたどり着く為には、今はどういった学校を目指すべきか、どういった勉強をするべきかと同じ目標を持った人達の中に飛び込んでいって勉強をする事ができました。
実は筆者も高校生の時に、無気力症候群を経験しました。高校1年生から自主勉強を継続していたのですが、高校3年生の夏休みに受験勉強で大きなプレッシャーを感じてしまいました。その結果、勉強への意欲が全く湧かなくなり、何もやる気が起きない状態になりました。

受験の天王山である夏休みに1日中勉強しない日もありました。今思えばこの「無気力症候群」でした。
この期間が2週間ほど続いたのですが、奇跡的にうまく対処でき、また受験勉強を再開できました。その方法を次の章に書きます。
どうやって無気力症候群を解決するか?
ここからは、筆者が自分で試したことと、上の体験談で効いていたことを書きます。塾長の3手順と並行して構いません。
専門家に見てもらう機会を作る
最初に書くのは、専門家の意見をもらうことです。いまはオンラインで診療や相談ができます。受験生は焦りますが、上の9項目に当てはまる日が続くなら、勉強より先に相談を入れてください。相談先の順番は、この記事の後半にまとめています。
睡眠時間を先に確保する
筆者の場合、当時は「勉強しなきゃ!」という意識からあまり睡眠できていませんでした。家に着くのが9時ごろ。寝るのが1時ごろ。起きるのが6時半だったので慢性的な睡眠不足でした。
ここを回復しなければという意識があったので、まずは8時間ほど夜は寝ていました。

無気力の間の2週間は昼寝も頻繁にしていましたが、あまり気にせずにとにかく寝て回復に努めていました。
悩みを友人に話す
受験勉強なら、近い悩みを抱えている仲間が同じ教室にいます。そういった近い境遇にいる人と話してみるのも効果的に感じます。筆者はそこまで進学校というわけではなかったですが、友人と話したり、ネットで同じような悩みを抱えている方を見つけて気分転換しながら、アイデアをもらっていました。

先生にも相談したことがあるのですが、気分転換したほうがいい!とアドバイスをもらって、ただひたすら好きなことをしていた時もあります。
適度に運動してみる
体験談の中にも、「畑仕事をする」ことで改善したというお話がありましたね。外に出て体を動かすことでリフレッシュに繋がるようです。
また、やる気がない時は部屋から出たくなくなるのですが、何となく思い立ってした散歩がとても良いとのお話がありました。実は筆者も行っていたのですが、なんとこれがとても効果がありました。
ずっと部屋の中にいると気持ちも閉ざされてしまうような感覚があったのですが、外を歩いてみると気持ちがリセットされて、また頑張ってみようかなという気持ちになれました。
散歩の凄さについてはこちらでも詳しくご紹介しています。おすすめですので是非ご覧ください。

勉強を再開させるとき、いきなり集団塾に戻すのはたいてい失敗します。人のいる場所へ行くこと自体が、いまは負担になっているからです。再開するなら1対1で、できれば家か画面越しのほうが現実的です。オンライン東大家庭教師友の会
のような形には無料体験があるので、まずは「30分、人と勉強の話ができるか」だけを見てください。授業を受けさせることが目的ではありません。なお上の9項目のうち5つ以上が2週間以上続く場合は、学習より先に専門家に相談してください。
受験生(高3・中3)が無気力になったら|止めるもの・残すもの・親が押さえる締切
受験まで数か月の時期に止まると、本人も親も「今止まったら終わり」と思い込みます。塾で見ていると、取り返しがつかないのは止まった期間ではありません。止まっている間に、締切を落とすことです。だから、止めるものと残すものを先に分けます。
| 止める(いったん手放す) | 残す(これだけは守る) | |
|---|---|---|
| 勉強 | 勉強時間のノルマ(「1日何時間」という決め方)/苦手教科/模試の全受験 | 得意教科の解ける問題を1日1問(上の手順2) |
| 塾・学校 | 塾の全コマ出席/集団授業に戻すこと | 担任・スクールカウンセラーと週1回の接点(保護者だけでも可) |
| 生活 | 早起きの強制/勉強の話 | 起きた時刻・食事・外出の3つを記録する(次の「1週間の記録表」) |
| 手続き | 志望校の話/進路の結論 | 出願と検定料の締切(親がカレンダーに入れる) |
高3・既卒(高校を卒業してから受験する人)で共通テストを受けるなら、次の日程だけは親が押さえてください。本人が動けない時期でも、締切は動きません。
| 2027年度 大学入学共通テスト | 日程(2026年) |
|---|---|
| マイページの作成 | 7月1日(水)10時〜10月2日(金)17時 |
| 出願内容の登録 | 9月15日(火)10時〜10月2日(金)17時 |
| 検定料等の支払い | 9月15日(火)10時〜10月2日(金)23時59分。払わないと出願は完了しない |
| 出願内容の確認・訂正 | 10月9日(金)10時〜10月16日(金)17時 |
| 受験票の取得 | 12月4日(金)10時〜(マイページで取得し、紙に印刷して持参) |
| 本試験 | 2027年1月16日(土)・17日(日) |
※大学入試センター「大学入学共通テスト出願サイト(Web出願)について」より(2026年9月16日確認)。出願は志願者本人のマイページで行います。横に座って一緒に進めて構いません。日程は毎年変わるので、翌年以降は9月に必ず確認してください。
高校受験は、都道府県ごとに出願期間が違います。中学の担任が管理しているので、保護者が「願書の締切日を教えてください」と一言聞けば足ります。三者面談の使い方は、下の記事に書きました。

学校を休ませるなら、担任に「あと何日休めますか」と数字で聞いてください。高校では、科目の単位を認めるか(単位認定)の基準に欠席日数の上限があり、その上限は学校ごとの決まり(内規)で違うからです。数字が分かると、本人も親も落ち着きます。塾を休ませるかどうかは、下の記事で判断してください。


受験生でも、やることは同じです。座るところから。締切だけ親が持っていれば、2週間ほど止まっても間に合った子を、塾で何人も見てきました。志望校の話は、座れる日が続いてからで間に合います。残り時間を数え直すなら、下のシミュレーターを使ってください。


相談に持っていく「1週間の記録表」|担任・スクールカウンセラーに事実で伝える

相談窓口で「やる気がない」と言っても、先生も医師も判断できません。「起きた時刻が11時台の日が5日」なら判断できます。記録するのは保護者です。評価は書かない。勉強の量も書かない。事実だけを7日分そろえます。
| 記録する項目 | 月(記入例) | 書き方 |
|---|---|---|
| 起きた時刻 | 11:20 | 布団から出た時刻。目が覚めた時刻ではない |
| 朝食 | × | 食べた○・食べない× |
| 外に出た | × | コンビニでも○ |
| 机に座った回数 | 1回 | 教材を開かなくても数える(上の手順1) |
| 寝た時刻 | 翌2:00 | 深夜なら「翌」を付ける |
| 本人の一言 | 「別に」 | 本人が言ったままを書く |
※同じ6項目を、火〜日まで7日分そろえます。ノートでもスマホのメモでも構いません。
厚生労働省の目安は「2週間以上続く」なので、この表を2週間分そろえると、そのまま医療機関でも使えます。無気力症候群の型でも、2週間つけて「座った回数」が増えないなら、学習の話をやめて相談を優先してください。寝た時刻が毎日ずれていくなら、先に睡眠を戻します。

どこに相談すればいいか(順番があります)
「病院に行くほどなのか分からない」という段階でも、相談できる先はあります。いきなり医療機関ではなく、次の順で当たるのが現実的です。
- ① 担任・学年主任… 出席や課題の扱いを調整できるのはここです。「やる気がない」ではなく「朝、起きられない日が◯日続いている」と事実で伝えると話が早く進みます
- ② スクールカウンセラー(SC)… 多くの学校に配置されています。本人が行かなくても、保護者だけで相談できるのが普通です。まずここを使ってください
- ③ 精神保健福祉センター・保健所… 自治体の窓口です。医療につなぐかどうかを含めて相談できます
- ④ 電話の相談窓口… 下にまとめました。厚生労働省の相談先一覧にまとめられているものです
- 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省)
0120-0-78310 24時間・無料 - こどもの人権110番(法務省)
0120-007-110 平日8:30〜17:15・無料 - こころの健康相談統一ダイヤル(厚生労働省)
0570-064-556 曜日・時間は都道府県で異なる/050のIP電話は不可・通話料あり - よりそいホットライン
0120-279-338 24時間・無料
まず0120-0-78310(24時間子供SOSダイヤル)で構いません。文部科学省の窓口で、24時間つながって無料です。本人がかけてもいいですし、保護者がかけても構いません。
高校生本人が読む場合は、厚生労働省「こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~」に、若い人向けの説明と相談先がまとまっています。
- 眠れない、または寝すぎる状態が続いている
- 食べられない、体重が明らかに減った
- 勉強だけでなく好きだったことも楽しめない(この記事の表の「うつ病」側です)
- 2週間以上、状態が変わらない(厚生労働省の目安)
- 本人が「消えたい」といった言葉を口にした
ひとつでも当てはまるなら、塾や勉強の相談より先に、上の①〜④に当たってください。同じ調査では、令和6年度に自殺した児童生徒は413人、うち高校生が294人(前回調査260人)と増えています。「もう少し様子を見よう」の期間を長く取りすぎないでください。

私は塾の人間なので、ここから先は専門ではありません。勉強を再開させる話と、心身の状態を診てもらう話は、別々に進めて構いません。順番を待つ必要はないので、相談は早めに、学習は小さく、で並行させてください。
無気力症候群から抜け出すために、今日やること
やることは3つだけです。①型を見る…遊びは楽しめるか、眠れて食べられるか。9項目で5つ以上が2週間以上なら専門家へ。②勉強の話をやめて、座るところから数える…上の記録表で「座った回数」だけ追う。③受験生は、締切だけ親が持つ…志望校の話は、座れる日が続いてから。
【あわせて読みたい】勉強のやる気・継続の悩みは、根性ではなく計画の立て方で解決するのが確実です。塾で配っている計画テンプレートを「計画倒れしない週単位の勉強計画」の記事で公開しています。
【保護者の方へ】家庭での声かけや環境づくりについては「勉強しなさい」は逆効果|塾長が教える子どもへの声かけにまとめています。
【塾を続けるか迷っている方へ】判断基準と辞める前にやるべきことは塾を辞めるべきか迷ったらで解説しています。
よくある質問
- 無気力症候群は、病気ですか?
- 医学的な診断名ではありません。学生が本業にだけ力を失う状態を、スチューデント・アパシーと呼んできました。大学生を対象にした研究では、学業への無気力は「抑うつを伴う群」と「伴わない群(スチューデント・アパシー的)」に分けられます(狩野・津川 2011)。遊びも楽しめない・眠れない・食べられないが2週間以上なら、うつ病の側です。スクールカウンセラーか医療機関に相談してください。
- 病院に行く目安はありますか?
- 厚生労働省の目安は、「9項目のうち5つ以上(最初の2つ『憂うつな気分が続く』『楽しめない』のどちらかを含む)が2週間以上続く」です。無気力症候群の型でも、記録表を2週間つけて座る回数が増えなければ相談してください。朝だけ動けず午後は元気なら、起立性調節障害の可能性もあります。まず小児科に相談し、新起立試験で判定してもらってください。
- 叱ってはいけないのですか?
- 叱って戻るなら、とっくに戻っています。「意志が弱い」のではなく本業にだけ力が入らない状態なので、責める言葉は関係を切るだけになりがちです。やることを小さくして、できた事実を積むほうが結果的に速いです。
- 塾に行かせれば戻りますか?
- いきなり集団塾に戻すのは、たいてい失敗します。人のいる場所へ行くこと自体が負担になっているためです。再開するなら1対1で、家か画面越しのほうが現実的です。まずは「30分、人と勉強の話ができるか」だけを見てください。
- 受験生です。受験はあきらめるべきですか?
- 決めるのは今ではありません。止めるのは勉強の量で、残すのは締切と生活です。2027年度の大学入学共通テストは、出願内容の登録も検定料の支払いも10月2日が締切です。1対1で30分、勉強の話ができる日が続いてから、志望校の話をしてください。
- 高校を辞めたいと言っています。
- 文部科学省の令和6年度調査では、高校の中途退学理由のうち「学校生活・学業不適応」が35.0%(15,618人)で、「学業不振」の6.3%を大きく上回っています。不登校になった高校生のうち、中途退学に至ったのは15.6%です。成績の問題として扱わないでください。転学・通信制を含めた進路変更も41.5%あります。担任とスクールカウンセラーに、辞める前の選択肢を一度出してもらってください。
この記事で確認した資料
高校の不登校生徒数と学校が把握した事実、中途退学の人数と理由、自殺した児童生徒数は、文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」(令和7年10月29日公表、令和8年1月16日一部修正)のPDFで確認しました。うつ病を疑う9項目と「朝が悪く、午後に改善する」という記述は、厚生労働省「こころもメンテしよう」のページにあります。相談窓口の電話番号は厚生労働省「電話相談」、共通テストの日程は大学入試センター、起立性調節障害は日本小児心身医学会、無気力の分類は狩野・津川(2011)で確認しました(いずれも2026年9月16日確認)。塾長の手順と見解は塾での指導に基づく定性的なもので、本記事は診断や治療を目的としたものではありません。

