映像授業に集中できないのは、あなたの集中力の問題ではなく、「見る」だけの受け身の時間が長すぎるからです。
この記事では、集中が切れる原因4つと原因別の対処、見るだけで終わらせない受け方(見る前・見ている間・見た後)、環境と習慣の整え方を、塾で映像教材を使う生徒を見てきた立場からまとめます。
- 見る前に問題を1問開く…「この問題を解くために見る」と決めると、目的が生まれて受け身にならない
- 解説の途中で止めて自分で解く…講師が解き始めたら一時停止。答えを見る前に手を動かす
- 見終わったら白紙に書き出す…3分で要点を書けなければ、見ただけで入っていない
- 1本が長いなら区切る…予備校の講座は1コマ90分が標準。20〜30分ごとに止めて上の3つを回す
映像授業に集中できない原因4つ|原因別の対処表
「集中できない」の中身は1つではありません。自分がどれに当てはまるかで、効く対処が変わります。
| 原因 | 見分け方 | 対処 |
|---|---|---|
| ①受け身で見ている | 見終わっても何を習ったか言えない。手が止まったまま | 見る前に問題を開き、途中で止めて解く(下の「受け方」) |
| ②1本が長い | 後半になると内容が入ってこない | 20〜30分で区切る。予備校の講座は1コマ90分(東進の通期講座は90分×20回)が標準なので、通しで見る前提にしない |
| ③環境に誘惑がある | スマホ・SNS・マンガに手が伸びる。自室だと止まる | スマホは別の部屋。リビングか自習室で受ける(対処法1・2) |
| ④レベルが合っていない | 説明が速すぎる/簡単すぎて飽きる | 1つ下の講座から。判断できないならコーチのつくサービスで講座を決めてもらう(対処法7) |

塾で映像教材を使う生徒を見ていると、集中が切れる人の9割は①です。ノートも取らず画面を眺めているだけの状態は、集中力があっても15分で切れます。
- ①受け身で見ている→見る前に問題を開き途中で止めて解く
- ②1本が長い→20〜30分で区切る
- ③環境に誘惑がある→スマホは別の部屋、リビングか自習室で受ける
- ④レベルが合っていない→1つ下の講座かコーチに決めてもらう
見るだけで終わらせない受け方【見る前・見ている間・見た後】
| タイミング | やること | ねらい |
|---|---|---|
| 見る前(1分) | その回の確認テストか教材の問題を1問開いて、解けるか試す | 「解けない」を確認してから見ると、説明を探しながら聞ける |
| 見ている間 | 講師が例題を解き始めたら一時停止して自分で解く。解けたら再生して答え合わせ | 受け身の時間をなくす。倍速にするより効く |
| 見た後(3分) | 教材を閉じて、白紙に要点と解き方を書き出す | 書けなければ見ただけ。書けなかった部分だけもう一度見る |
| 翌日 | 見る前に開いた問題を、何も見ずに解き直す | 解けたら定着。解けなければその回だけ見直す |
この受け方にすると1本にかかる時間は1.5倍ほどになりますが、もう一度見直す回数が減るので、合計の時間はむしろ短くなります。
- 見る前1分:確認テストを1問解いてみる
- 見ている間:講師が例題を解き始めたら一時停止して自分で解く
- 見た後3分:白紙に要点と解き方を書き出す
- 翌日:見る前に開いた問題を何も見ずに解き直す
「止めて解く」で、ぼんやりする割合は約半分に|動画講義の実験2本の数字から、90分講座の区切り方を計算した
この記事の「途中で止めて自分で解く」が本当に効くのかを、動画講義を使った実験で確かめました。読んだのは2本の論文の本文です。
1本目は、ハーバード大学の学生が21分の統計学の講義動画を見た実験(Szpunar ら、2013年)。
2本目は、再生速度を変えて理解度を比べた実験(Murphy ら、2022年)です。
実験1:講義を4つに区切り、区切りごとに小テストをした
Szpunar らの実験2(48人)では、21分の講義を約5.5分ずつ4つに区切りました。
区切りのあとに、①その部分の小テスト(6問・2分)を解く、②答えつきの問題を読むだけ、③講義と関係ない計算問題をする、の3グループに分けています。
講義中には4回、「今、講義から気がそれていたか」をその場で答えてもらいました。
| グループ | 気がそれていた割合 | メモを書き足したスライドの割合 | 4つ目の部分の正答率 |
|---|---|---|---|
| 区切りごとに小テスト | 19% | 24% | 89% |
| 答えつきの問題を読むだけ | 39% | 9% | 65% |
| 小テストなし(計算問題) | 41% | 7% | 70% |

小テストのグループは、気がそれた割合がほかの約半分でした。メモも多く取り、最後の4つ目の部分の正答率も高くなっています。
実験1・2をまとめた最後の総合テスト(4つの部分すべて)でも、小テストのグループは90%、答えを読むだけは76%、小テストなしは68%でした。
注目したいのは、答えつきの問題を読み直したグループは、何もしないグループとほとんど差がなかった点です。
論文は、効いたのは見直しではなく「自分で思い出すこと」だとまとめています。この記事の「答えを見る前に手を動かす」は、この差にあたります。
実験2:止めずに倍速で見ると、理解はどう変わるか
Murphy らの実験1では、大学生231人が約13分と約14分の講義動画2本を、1倍・1.5倍・2倍・2.5倍のどれかの速さで見ました。
このとき一時停止もメモも禁止です。見た直後と1週間後に、20問ずつのテストを受けています。
| 再生速度 | 1分間に話す語数(動画2本) | 直後のテストの正答率 | 1週間後の正答率 |
|---|---|---|---|
| 1倍 | 157・166 | 65% | 59% |
| 1.5倍 | 210・234 | 60% | 54% |
| 2倍 | 314・332 | 62% | 53% |
| 2.5倍 | 393・416 | 55% | 50% |
統計的に差があったのは、1倍と2.5倍の間だけでした。2倍までは大きくは下がりません。ただし、上がってもいません。
倍速は時間を短くする道具で、集中を高める道具ではない、というこの記事のよくある質問の答えと同じ向きです。
90分の講座を何分ごとに止めるか(計算)
実験の区切り(約5.5分)と小テストの時間(2分)を、予備校の90分講座に当てはめて計算しました。
| 止める間隔 | 90分で止める回数(計算) | 解く時間の合計(計算) | 1講座にかかる時間(計算) |
|---|---|---|---|
| 約5.5分(実験と同じ) | 約16回 | 32分 | 122分 |
| 15分 | 6回 | 12分 | 102分 |
| 30分 | 3回 | 6分 | 96分 |
計算
- 気がそれていた割合:19 ÷ 41 = 約0.46。小テストなしの約半分。差は 41 − 19 = 22ポイント
- 最後の総合テスト:小テスト90% − 小テストなし68% = 22ポイントの差
- 実験の区切り:21分 ÷ 4 = 約5.3分(論文の表記は約5.5分)
- 約5.5分ごと:90 ÷ 5.5 = 約16回。16回 × 2分 = 32分。90 + 32 = 122分。122 ÷ 90 = 約1.4倍
- 15分ごと:90 ÷ 15 = 6回、6 × 2 = 12分。30分ごと:90 ÷ 30 = 3回、3 × 2 = 6分
- 2倍速で見て、内容5.5分ぶんごとに止める場合:90 ÷ 2 = 45分。45 + 32 = 77分で、等速で止めずに見る90分より短い
- 直後のテストの1倍と2倍の差:65 − 62 = 3ポイント。1倍と2.5倍の差:65 − 55 = 10ポイント
この記事の「20〜30分ごとに止める」は、実験の5.5分より長い区切りです。1講座が96〜102分に収まるので続けやすい一方、止める回数は少なくなります。
苦手な単元や、前半で気がそれたと感じた日は、15分か、実験と同じ約5分まで縮めてください。
約5分ごとにすると1講座は約1.4倍の時間になり、本文の「1.5倍ほど」とほぼ同じです。
- 初めて習う単元を、止めずに倍速で見る場合。
- Murphy らの実験は止めない条件で、2倍の直後の正答率は1倍より3ポイント低かった(統計的な差はない範囲)。少なくとも上がってはいない
- 2.5倍以上に上げる場合。1倍との差がはっきり出た唯一の条件で、直後の正答率は65%から55%に下がった
- 小テストの代わりに「解説をもう一度読む」で済ませる場合。答えつきで読み直したグループは、気がそれた割合が39%で、小テストなし(41%)とほぼ同じだった
- どちらの実験もアメリカの大学生が、21分や約13〜14分の動画で受けたもの。90分の講座や高校生では試されていない。数字は目安として使う
なお、何分ごとに小テストを入れるのが最もよいかは、Szpunar らの論文に記載がありません。論文は「テストの頻度」を今後の課題としています。
上の15分・30分の行は、当サイトが講座の長さから計算したものです。
出典:Szpunar, Khan, Schacter (2013) Interpolated memory tests reduce mind wandering and improve learning of online lectures. PNAS 110(16), 6313–6317. doi:10.1073/pnas.1221764110(PMC 公開版・Results)/Murphy, Hoover, Agadzhanyan, Kuehn, Castel (2022) Learning in double time: The effect of lecture video speed on immediate and delayed comprehension. Applied Cognitive Psychology 36(1), 69–82. doi:10.1002/acp.3899(著者公開版・Table 1・Table 2)(2026年10月14日確認)
映像授業に集中できないときの対処法 7選
映像授業に集中できないときの対処法は以下の通りです。
- 誘惑のあるものは遠ざける
- 人に見られやすい環境で授業を受ける
- 映像授業を受ける環境設備を整える
- 学習目標をしっかりと立てる
- 映像授業を受けることを習慣化する
- カメラをオンにできる学習サービスを選ぶ
- レベルに合わせた授業を選ぶ
それぞれの対処法について、以下で詳しく解説します。
1. 誘惑のあるものは遠ざける

映像授業で集中できない最大の原因となるのは、SNSやインターネットサーフィン、マンガ、雑誌などの誘惑に負けてしまうからです。
映像授業の休憩中に少し見るだけあればいいのですが、ついつい長時間見てしまうことも多いため、映像授業が終わるまでは誘惑のあるものは遠ざけるといいでしょう。

とくに自宅で映像授業を受ける場合は誘惑が多いため、自分の部屋ではなくリビングやカフェなどの誘惑の少ない環境で行うことが集中力アップの鍵になります。
スマホは自分の部屋に置いたままにせず、別の部屋に置いてください。
アメリカの消費者研究の学術誌に載った2017年の実験(参加者520人)では、スマホを「机の上」「かばんやポケット」「別の部屋」に置いて課題を解かせたところ、別の部屋に置いた人の成績がいちばん良くなりました(Ward et al., 2017)。
2. 人に見られやすい環境で授業を受ける

映像授業で集中できない理由のひとつとして、監視されにくくサボっていても注意されないということが挙げられます。
サボっていても誰にも気づかれないと、サボっても問題ないというメンタルになってしまうため集中力が続かなくなってしまいます。
そのため、通塾タイプの映像授業の場合は通路付近の席を確保して他の生徒や講師から監視されやすい環境で映像授業を受けること、自宅であればリビングなど家族から監視され安い場所で映像授業を受けることなどが主な対策となります。

また、授業が終わった後に講師に質問できる環境があるのであれば、「3つ質問する」などと決めてから授業を受けるとより集中できるでしょう。
3. 映像授業を受ける環境設備を整える

映像授業はモニター・イヤホン(ヘッドフォン)・インターネット環境(Wi-Fi)が必須環境になりますが、これらの環境が悪いと授業に集中できないこともあります。
モニターの場合は大きすぎず小さすぎずのサイズを選ぶ必要があり、目が疲れる場合は画面の明るさなどを調整することが必要です。
イヤホンは音が聞こえればなんでもいいと勘違いされがちですが、自分にあっていないイヤホンを選んでしまうと耳が痛くなってしまったり、違和感が出てしまうため、長時間つけていても問題ないイヤホンやヘッドフォンを選ぶことが大切です。
インターネット環境は見落とされがちですが、映像授業は容量の多い動画を利用するため、ポケットWi-Fiや置くだけタイプのWi-Fiを使用すると途中で動画が止まったり、画質を落として動画が再生されてしまうことがあります。

映像が乱れると集中力を欠いてしまうため、インターネット環境を整えることは非常に大切です。
- モニターは大きすぎず小さすぎないサイズを選ぶ
- 画面の明るさを調整して目の疲れを防ぐ
- 自分に合ったイヤホン・ヘッドフォンを選ぶ
- ポケットWi-Fiなど不安定な回線は動画が止まる原因になる
4. 学習目標をしっかりと立てる

映像授業を受けるときに学習目標をしっかりと立てることは非常に大切です。
明確な目標に向かって授業を受けることで、なんとなく授業を進めるよりも集中力を保って受けることができます。
5. 映像授業を受けることを習慣化する

集中力に自信がないという方は映像授業を受けることを習慣化することがおすすめです。 人間は習慣化することで自然と取り組むことができます。
とはいえ、習慣化するためには一般的に1ヶ月〜3ヶ月ほどの期間がかかることが多いため、まずは意識的に毎日映像授業を受けるようにしましょう。

できたらカレンダーに⭕️をつけるなど、習慣を目に見えるようにするといいですよ!
6. カメラをオンにできる学習サービスを選ぶ
映像授業を自宅で受ける場合、カメラをオンにできる学習サービスを選ぶことがオススメです。
カメラをオンしながら映像授業を受けることで、強制的にスマホやタブレットを使用できなくするだけではなく、ほかの受講者が勉強しているのが目に入るため、自分もやらなきゃという気持ちになりやすいです。
スタディコーチには、カメラをオンにして自習できるオンライン自習室があり、東大生に予約制で質問できます(公式のよくある質問)。
7. レベルに合わせた授業を選ぶ

映像授業では講義を自分のレベルに合わせて選ぶことができることが多いですが、中にはレベルの合っていない授業を選んでしまったからということが原因で内容が理解できずに集中できないということも多いです。
そのため、明確に学習レベルが分かっていない場合は、併走して学習プランを組んでくれるサービスを選ぶといいでしょう。 この場合もやはりスタディコーチをお勧めしたいです。
豊富なコースと、東大生・早慶生コーチによるサポートがとても心強いです。

自分だけではなかなか判断が難しいので、スタディコーチのように、精通している方に助言をもらうのがお勧めです。

映像授業の集中についてよくある質問
- 映像授業に集中できないのはなぜですか?
-
多いのは受け身で見ている・1本が長い・環境に誘惑がある・レベルが合っていないの4つです。本文の表で当てはまるものを見分けて、対処を1つだけ試してください。
- 映像授業を集中して受けるコツは?
-
見る前に問題を1問開く→講師が解き始めたら止めて自分で解く→見終わったら白紙に要点を書くの3つです。ノートを取るより、止めて手を動かすほうが集中が続きます。
- 倍速で見てもいいですか?
-
説明が分かっている単元なら構いませんが、倍速で集中が上がるわけではありません。集中が切れる原因が「受け身」なら、速くしても同じです。止めて解く時間を入れるほうが効きます。
- 1本90分の授業は長すぎて集中が続きません。
-
20〜30分ごとに一時停止して、そこまでの内容を白紙に書く形で区切ってください。通しで見る前提にしないだけで、後半の内容が入るようになります。
- 自分に合うレベルの講座が分かりません。
-
1つ下のレベルから始めてください。簡単すぎたら上げるのは早いですが、難しすぎると止まります。判断がつかないなら、コーチが講座を決めてくれるサービス(本文の対処法6・7)を使うのが早いです。
まとめ:集中できないなら「止めて解く」を入れる
映像授業で集中が切れる原因の大半は「受け身で見ていること」です。見る前に問題を開く・途中で止めて解く・見た後に白紙に書くの3つを入れるだけで、同じ授業が別物になります。
環境と習慣は、そのあとで整えれば十分です。
この記事で確認した資料
予備校の映像講座の長さ(通期講座は90分×20回で1講座)は、東進ハイスクール・東進衛星予備校の公式サイトで確認しました。
受け方と対処法は、塾で映像教材を使う生徒を指導してきた経験に基づきます(2026年9月13日確認)。
東進ハイスクール・東進衛星予備校 公式サイト「合格システム」の学費(通期講座 90分×20回)

【補足】映像授業は「見るだけで勉強した気になる」「続かない」が最大の弱点です。
続けられない・一人だと理解の穴が見つからないタイプは、映像より日時固定のオンライン個別や、AIが穴を特定して演習させる【atama+ オンライン塾】
(14日間無料体験)の方が向いています。タイプ別の選び方はオンライン塾12社の比較記事にまとめました。


