近年話題の英語ディベート。部活としての活動に留まらず、中高の授業の中でも取り入れる例が増えています。
そんな英語ディベートですが、受験にはどのような形で役立つのでしょうか?今回は7つに分けて「受験に役立つ理由」をご紹介します。

今回の記事は「大学生英語即興ディベート界隈」に所属しており、複数回「高校英語即興ディベート界隈」に参加した有識者の方に執筆していただきました。
- 議題を調べて議論するので、知識と分析力が身につく
- 審査員を説得する練習が、面接や英作文の組み立てにつながる
- 高校の「論理・表現」の授業にもディベートが入っている
筆者の経歴
Tasuku Arai
芝浦工業大学大学院 修了
2016年~2020年:
当時アジア最大規模 国際基督教大学英語部?主宰ICU T ベスト8決定審査員
および国内決勝トーナメント審査員または招待審査員12回
2023年:
慶応義塾大学英語ディベート部主宰Keio debate open 準優勝/決勝戦トーナメント初参加者部門賞 受賞
ディベートは、高校の英語の授業にも入っています。
文部科学省の高等学校学習指導要領解説(外国語編)では、「論理・表現Ⅰ」「論理・表現Ⅱ」でスピーチ、プレゼンテーション、ディベート、ディスカッションなどを通して、論理の構成や展開を工夫して伝え合えるようにすることを目標にしています(高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 外国語編)。
同じ解説の本文を読むと、ディベートは科目が進むほど求められる水準が上がる書かれ方をしています。「論理・表現」の3科目の目標(1の(1)のイ)を並べると、次のとおりです。
| 科目 | 支援の程度 | 使う語句や文 | 目標に書かれた伝え方 | 解説の頁 |
|---|---|---|---|---|
| 論理・表現Ⅰ | 多くの支援を活用すれば | 基本的な語句や文 | 意見や主張などを、論理の構成や展開を工夫して話して伝え合う | 88頁 |
| 論理・表現Ⅱ | 一定の支援を活用すれば | 多様な語句や文 | 意見や主張に加えて課題の解決策なども、論理の構成や展開を工夫して詳しく話して伝え合う | 103頁 |
| 論理・表現Ⅲ | 支援をほとんど活用しなくても | 多様な語句や文(複数の資料を活用) | 意見や主張、課題の解決策などを、聞き手を説得できるよう詳しく話して伝え合う | 113頁 |
解説は、ディベートを「賛成又は反対の立場を明確にして、自分の立場の意見や考えに妥当性や優位性があることを述べる活動」と説明し、生徒に賛否両方の立場を経験させると、その話題を多様な観点から考える力の育成にもつながる、と書いています(論理・表現Ⅰの解説・88頁)。論理・表現Ⅲの解説では、肯定側と否定側に分かれ、一定のルール・進行・制限時間に従って、自分たちの立場の正当性を聴衆に受け入れてもらうための対立型の言語活動と定義しています(113頁)。2026年10月9日に、文部科学省の公開PDFで確認しました。
受験に必要な能力とは?


はじめに、受験に必要だと考えられる要素を考察していきましょう。
①知識:受験科目に関する広範囲かつ深い知識
②理解力:受験科目のトピックに対してどの程度説明できるかなどアウトプットできるレベルの理解力
③応用力:蓄えた知識を新しい問題に適用して解答する応用力
④記憶力:重要な情報やデータを記憶して試験の時に思い出す記憶力
⑤分析力:問題を分析して論理的な結論を導く分析力
⑥集中力:長時間において注意を維持し、気を散らすことなく問題に取り組む集中力
⑦対ストレス力:受験のプレッシャーに対して冷静に問題を解答する対ストレス力
などが上げられると思います。これらに対して、「必要がない!」と思われる方は少ないはずです。
それでは、なぜ英語ディベートはこれらの項目を満たして学生のみなさまを成長させ、受験に対しても良い影響を与えるのでしょうか。
英語ディベートによる受験に必要な能力の向上とは?

ここからは、競技英語ディベートの基本的な進め方をご存じの前提でお伝えしていきます。それでは、一つずつ考察していきましょう。
①知識:受験科目に関する広範囲かつ深い知識
英語ディベートでは、様々なトピックに対して議論を行います。特に、英語即興ディベートでは、その傾向が強いです。例として、「環境問題」、「フェミニズム」、「LGBTQ」、「倫理問題」などを取り扱うことがあります。
競技ディベートですので、勝敗が決定します。これらの勝敗の決定で、勝ち星を得たい皆様はリサーチを行うはずです。
このことから、アクティブラーニングで様々な知識を吸収しているのと同じ効果が見込まれます。このようにして、英語ディベートでは”知識”に対して良い影響を与えます。
②理解力:受験科目のトピックに対してどの程度説明できるかなどアウトプットできるレベルの理解力
英語ディベートでは、審査員がいます。スピーカーは、必ずこの審査員を説得しなければなりません。このことから、与えられた議題に対して、自身の中でかみ砕いて、自身の持っている知識を基に説明をしなければなりません。
このようなことを繰り返し行うことから、さまざまなトピックを色々な角度から考えて、理解するプロセスを学ぶことができます。このプロセスは、受験科目を理解するためにも活用できるため、英語ディベートは、”理解力”に対して良い影響を与えます。
③応用力:蓄えた知識を新しい問題に適用して解答する応用力
英語ディベートでは、過去に行った議題と似たような議題がでてくることがあります。しかし、全く同じであることは非常に珍しく、多くが一部分だけ似ているような議題です。
このことから、過去にスピーチした内容を上手く切り出して、どのようにスピーチするのか、どう見せれば良く、何を付け足したら良いのかを考えます。このような思考プロセスが、受験科目における類似問題に対する”応用力”に活かすことができます。
いかがだったでしょうか。このように、様々な受験で必要な要素を英語ディベートにより向上することができます。
黙々と机で勉強するだけでは疲れてしまいますし、人に対して説明し、アウトプットに対するフィードバックを受けることは非常に重要です。これらのことから、著者は英語ディベートを勧めます。
④記憶力:重要な情報やデータを記憶して試験の時に思い出す記憶力
英語ディベートでは、スピーチやリスニングのために、英語単語やフレーズ、文法を覚えていなければなりません。このことから、記憶力が鍛えられて、最低でも受験科目で重要な英語力が向上します。これらのことから、著者は英語ディベートを勧めます。
⑤分析力:問題を分析して論理的な結論を導く分析力
英語ディベートでは、様々な意見や価値観が討論されます。これらの意見や価値観は英語即興ディベートでは20分ほどで作られます。このことから、必ずと言って良いほど、穴が存在します。
これを見つけるために、知恵を絞り問題を分析して論理的な結論を導く分析力を使います。このことから、分析力が鍛えられます。これらのことから、著者は英語ディベートを勧めます。
⑥集中力:長時間において注意を維持し、気を散らすことなく問題に取り組む集中力
日本の英語即興ディベートでは、予選で4試合することが一般的です。また、1試合1時間ほどかかります。
これらのことから、集中力無しに続けることが困難な競技です。これを通して、受験に必要な集中力を獲得できます。これらのことから、著者は英語ディベートを勧めます。
⑦対ストレス力:受験のプレッシャーに対して冷静に問題を解答する対ストレス力
英語ディベートでは、審査員や相手チームから注目された状態で英語のスピーチを行います。このことから、非常に強いプレッシャーがかかると思います。実際に、筆者は今でも手が震える状態でメモを読み上げています。
このことから、受験のプレッシャーに対して冷静に問題を解答する対ストレス力が獲得できることが期待できます。これらのことから、著者は英語ディベートを勧めます。
いかがだったでしょうか。このように、様々な受験で必要な要素を英語ディベートにより向上することができます。黙々と机で勉強するだけでは疲れてしまいますし、人に対して説明し、アウトプットに対するフィードバックを受けることは非常に重要です。これらのことから、著者は英語ディベートを勧めます。
論理・表現Ⅰ〜Ⅲで、ディベートの目標はどう上がるか
高校の「論理・表現」は3科目あり、ディベートの目標は科目ごとに「どれだけ支援を使ってよいか」で書き分けられています。文部科学省の学習指導要領解説(外国語編)の文言を並べました。
| 科目 | ディベートの目標(解説の文言から) | 共通テストとの関係 |
|---|---|---|
| 論理・表現Ⅰ | 「多くの支援を活用すれば」、基本的な語句や文を用いて意見や主張を伝え合う | 共通テスト「英語」の出題範囲に入る |
| 論理・表現Ⅱ | 「一定の支援を活用すれば」、多様な語句や文を用いて詳しく伝え合う | 出題範囲に入っていない |
| 論理・表現Ⅲ | 「支援をほとんど活用しなくても」、複数の資料を活用し、聞き手を説得できるよう伝え合う | 出題範囲に入っていない |
共通テストの「英語」の出題範囲は「英語コミュニケーションⅠ」「英語コミュニケーションⅡ」「論理・表現Ⅰ」で、試験はリーディング(80分)とリスニング(60分・うち解答30分)です(大学入試センター「実施要項」)。話す力そのものは共通テストでは測られません。
- 共通テストだけで受験が終わる人。点に直結するのは読む・聞く練習
- 試験まで3か月を切っていて、長文の速さが足りていない人
- 反対に、英語の面接・英作文・自由英作文がある大学を受ける人には、ディベートの「主張→理由→反論」の型がそのまま使える
出典:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 外国語編 英語編」(第5〜7節 論理・表現Ⅰ〜Ⅲ)/大学入試センター「令和8年度大学入学共通テスト実施要項」(2026年10月13日確認)
英語ディベートと受験についてよくある質問
- 英語ディベートは受験のどんな力に役立ちますか?
-
この記事では7つに分けています。知識、理解力、応用力、記憶力、分析力、集中力、対ストレス力です。たとえば審査員を説得するために議題をかみ砕いて説明することで理解力が、似た議題に過去のスピーチを組み替えて対応することで応用力が鍛えられます。
- 英語ディベートは高校の授業でも扱われますか?
-
扱われます。文部科学省の高等学校学習指導要領解説(外国語編)では、「論理・表現Ⅰ」「論理・表現Ⅱ」でスピーチ、プレゼンテーション、ディベート、ディスカッションなどを通して、論理の構成や展開を工夫して伝え合えるようにすることを目標にしています。
- 英語即興ディベートの大会はどれくらい時間がかかりますか?
-
日本の英語即興ディベートでは、予選で4試合するのが一般的で、1試合1時間ほどかかります。議題に対する意見は20分ほどで作られます。集中力無しに続けるのが難しい競技なので、受験に必要な集中力が身につくと筆者は書いています。
- 英語ディベートで英語力そのものは伸びますか?
-
スピーチやリスニングのために英語の単語やフレーズ、文法を覚えていなければならないため、記憶力が鍛えられ、最低でも受験科目で重要な英語力が向上すると筆者は書いています。審査員や相手チームに注目されながら英語で話す経験から、受験のプレッシャーに冷静に向き合う対ストレス力も期待できます。
まとめ:英語ディベートは受験の面接や英作文にも役立つ
英語ディベートには多くのメリットがあり、受験のいろいろな場面で役に立ちます。まだやったことがない人は、一度試してみてください。
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人前で話す練習は、高校入試の面接でも活きます。

