高校情報Ⅰでは、観測・測定した客観的な事実や数値を「データ」、データに意味や価値を付け加えたものを「情報」と呼び分けます。
情報には残存性・複製性・伝播性という3つの特性があります。最後に練習問題を用意しました。
「データ」と「情報」の違い|未加工か、意味を付けたか

日常生活の中で「データ」「情報」という言葉はよく聞きますよね。しかしその意味を説明するとなると案外難しいものです。
「データ」とは現象や様子を観測・測定した、客観的事実や数値のことといえます。
最近ではデータというと「コンピュータが処理するもの」と捉えられがちですが、そもそもは「客観的で再現性のある事実や数値」のことを指していて、コンピュータ分野の専門用語というわけではありませんでした。
例えば、とあるコンビニで、6月に傘が200本売れたというのはデータになります。また他の月での売り上げを調べた結果、6月は1年の中で1番傘が売れた月だと分かったとしましょう。
この、「6月は1年の中で1番傘が売れた」のように、データに何かしらの意味や価値を付加したものを「情報」と呼ぶのです。
また、情報をより一般化したものは「知識」と呼ばれるようになります。


「データ」はそのままで未加工であるのに対して、「情報」は加工されていて何かしらの知識が得られるようになっています。
情報の3つの特性とは?【残存性・複製性・伝播性】
この3つは、学習指導要領にも書かれている考え方です。
文部科学省の高等学校学習指導要領解説(情報編)には、情報には「形がない」「消えない」「簡単に複製できる」「容易に伝播する」などの特性があると書かれています(高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 情報編)。
「消えない」が残存性、「簡単に複製できる」が複製性、「容易に伝播する」が伝播性にあたります。

情報には「3つの特長」があると言われています。残存性・複製性・伝播性です。以下1つずつ解説します。
残存性とは
「残存性」とは使っても無くならないという特性のことです。世の中には「使ってしまうとなくなる物」が沢山ありますよね。食べ物は食べたら無くなるし、消しゴムも使うほど小さくなっていきます。
しかし情報は使っても無くなりはしません。
- 1年の中で6月に傘が1番売れた
という先ほどの例を改めて書いてみました。こうやって書いても、読んでもその情報は無くなりませんよね。これを「残存性」と言います。

残存性があるがゆえに、SNSにアップした情報は簡単には消せないのです…!
複製性とは
「複製性」とは簡単にコピー・複製できるという特性のことです。例えばネット上にある画像や文字は、お手持ちのスマホやパソコンで簡単にコピーできます。
しかも完璧にそのままコピーできます。これが情報の1つの特長です。

俗にいう「コピペ」が簡単にできるということですね!
伝播性(でんぱせい)とは
「伝播性」とは簡単に広く伝わるという特性のことです。近年はSNSの発達により情報をいとも簡単に広められるようになりました。例えば、
- YouTube動画の拡散
- 明日の持ち物をLINEグループで拡散
- レストランの口コミ
などです。現在では,新聞やテレビなどの、いわゆるマスメディア ではなくても、世界中に大量の情報を瞬時に伝えることができますよね。

この伝播性が革新的な為に、ネット社会の普及はここまで広がったともいえますね。
練習問題
以下の文章は残存性・複製性・伝播性に関わる事項です。3つの特長の中で最も関わりが深いものを、それぞれ選びなさい。
- ライブのDVDをレンタルしたが、コピーして第三者に配布してはいけない。
- 数学の先生の解説が間違っていたが、多くの生徒はその間違いに気付かずに信じている。
- 脱走したペットを捜索するために、掲示板にポスターを貼った。
- Instagramのストーリーズをあげたところ、沢山の友達からいいねがついた。
- 中学校の卒業アルバムを10年ぶりに見返した。
解答はこちらから
(1)複製性(2)残存性(3)伝播性(4)伝播性(5)残存性
情報Ⅰの勉強をどう進めるか
高校情報は、まだまだ勉強するツールが少ないのが現状です。そこで筆者がおすすめしているのが映像授業による勉強です。
情報という科目は、今後大切になる科目で、共通テストでも必要になります。手を抜かずに対策しましょう。
東進の情報の授業が評判よくおすすめです。下記から資料請求や体験ができます。公式サイトから申し込めるので、是非してみてください。
「データ」の設問は共通テストで何割取れたか|情報Ⅰ 令和7・8年度の設問別得点率で確かめた
大学入試センターは、共通テスト「情報Ⅰ」の解答番号ごとの得点率を公表しています(設問別得点率及び正答率表)。
令和7年度(2025年1月)と令和8年度(2026年1月)の本試験から、この記事の「データ」に近い設問を拾い、得点率を並べました。
どの設問を選ぶかは、問題冊子と正解表、大学入試センターの自己評価(問題評価・分析委員会報告書)の書き方で決めました。比べるために、用語の知識を問う設問も1つ入れています。
| 年度・設問 | 問われたこと | 配点 | 得点率 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度 第4問 問1 ア・イ | 旅行者数の表で、「地方」と「旅行者数」がどの尺度水準か(正解は名義尺度と比例尺度) | 3点 | 28.8% |
| 令和8年度 第1問 問1a ア・イ | 主記憶装置と補助記憶装置の違い(読み書きの速さ・容量・保存の長さ) | 2点 | 29.4% |
| 令和8年度 第1問 問3 コ | スクロール距離の平均が最も小さくなる初期値を、生年データの代表値から選ぶ(正解は中央値) | 2点 | 50.5% |
| 令和8年度 第4問 問1a ア | オープンデータの説明2つの正誤(誰でも入手できる=正、加工には利用申請が必須=誤) | 2点 | 56.0% |
| 令和8年度 第4問 問1b イ | 開花日の記録がない欄が何を意味するか(正解は欠損値) | 1点 | 89.0% |

計算
- 尺度水準(令和7年度):平均点 0.864 ÷ 配点 3 = 28.8%。3点のうち平均で 3 − 0.864 = 2.136点を落とした
- 記憶装置(令和8年度):0.588 ÷ 2 = 29.4%
- 中央値:1.01 ÷ 2 = 50.5%。オープンデータ:1.12 ÷ 2 = 56.0%。欠損値:0.89 ÷ 1 = 89.0%
- 令和8年度の大問の平均点を合計:8.1 + 17.434 + 14.441 + 16.614 = 56.589点(公表の平均点 56.59点と一致)
- 平均点の差:令和7年度 69.26点 − 令和8年度 56.59点 = 12.67点(自己評価の「約12.7点」と一致)
読み取れることは2つあります。1つ目は、「データ=数値」とだけ覚えていると落とす設問があることです。
令和7年度の尺度水準の設問は、表の「地方」(北海道・東北など)が名義尺度だと答えるものでした。得点率は28.8%です。
学習指導要領解説(情報編)も、名義尺度・順序尺度・間隔尺度・比例尺度の違いを理解するよう書いています。
あわせて、文字で得られる「質的データ」と、数値で得られる「量的データ」の扱いの違いも挙げています。
この記事の「客観的な事実や数値」は、地方名のような文字のデータも含むと読んでください。
2つ目は、用語を知っているだけでは取れないことです。令和8年度の記憶装置の設問は29.4%でした。
自己評価は、主記憶装置・補助記憶装置という用語の「表面的な理解にとどまり」と書いています。一方、欠損値を選ぶ設問は89.0%です。
用語をそのまま選ぶ形なら取れていて、場面に当てはめる形で差がついています。
大問ごとの得点率(令和7・8年度)
| 大問 | 主な内容(令和8年度) | 令和7年度 得点率 | 令和8年度 得点率 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 小問集合(記憶装置・セキュリティ・2進法と16進法・代表値・メール) | 65.4% | 40.5% |
| 第2問 | 情報システム(住民票の発行)、論理演算と画像 | 76.1% | 58.1% |
| 第3問 | プログラミング(待ち時間) | 64.7% | 57.8% |
| 第4問 | データの活用(桜の開花日・オープンデータ) | 68.6% | 66.5% |
※受験者数は令和7年度 279,718人、令和8年度 305,202人。平均点は 69.26点から 56.59点に下がりました(大学入試センター「問題評価・分析委員会報告書」)。得点率は設問別得点率表の「得点率」の値です。
令和8年度は、基本的な事項を問う第1問の得点率が40.5%で、4つの大問の中で最も低くなりました。データの活用(第4問)は2年とも6割台後半です。
この記事の後半では「①②は暗記中心なので短期で仕上がります」と書いていますが、令和8年度の結果を見る限り、覚えた用語を場面で使う設問で点が落ちています。
- 「残存性・複製性・伝播性」を言えても、身近な例を自分で挙げられない人。
- 令和8年度の記憶装置の設問(29.4%)のように、用語は場面に当てはめる形で出る。上の練習問題5問を、理由まで言えるか確かめる
- データを「数値のこと」とだけ覚えている人。令和7年度の尺度水準の設問は28.8%だった。地方名や郵便番号のような文字のデータも、名義尺度のデータとして扱う
- 1年分の得点率だけで「この分野は易しい」と決める場合。平均点は1年で12.67点動き、第1問は65.4%から40.5%に下がった。2年分以上の過去問で確かめる
なお、大学入試センターは、学習指導要領の4つの分野(情報社会の問題解決/コミュニケーションと情報デザイン/コンピュータとプログラミング/情報通信ネットワークとデータの活用)ごとの得点率を公表していません(公式に記載なし)。
上の表は、解答番号ごとの公表値から、当サイトが設問の内容で選んで並べたものです。
また、令和7・8年度の本試験の問題冊子には、「残存性」「伝播性」といった言葉そのものを答えさせる設問はありませんでした。情報の特性は、場面の中で考える形で問われると考えて準備してください。
出典:大学入試センター「設問別得点率及び正答率表(令和8年度本試験)」(CSV)/「同(令和7年度本試験)」(CSV)/「令和8年度 問題評価・分析委員会報告書 情報Ⅰ(自己評価)」(PDF)/「令和7年度 同」(PDF)/「令和8年度本試験 問題 情報Ⅰ」(PDF)/「令和7年度本試験 問題 情報Ⅰ」(PDF)/「令和8年度本試験の正解 情報Ⅰ」(PDF)/「令和7年度本試験の正解 情報Ⅰ」(PDF)/文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 情報編」(PDF・38ページ)(2026年10月14日確認)
よくある質問
- 「データ」と「情報」の違いは何ですか?
-
データは、観測・測定した客観的な事実や数値のことで、そのままでは未加工です。情報は、データに意味や価値を付け加えたものです。「6月に傘が200本売れた」はデータ、「6月は1年で1番傘が売れた月だ」は情報です。
- 情報の3つの特性は何ですか?
-
残存性(使ってもなくならない)、複製性(簡単にコピーできる)、伝播性(簡単に広く伝わる)の3つです。学習指導要領解説では「消えない」「簡単に複製できる」「容易に伝播する」と書かれています。
- SNSに上げた写真が消せないのはなぜですか?
-
情報に残存性と複製性があるからです。自分で消しても、ほかの人が保存したり転載したりしたコピーは残ります。
国立大学で「情報Ⅰ」が原則必須になった意味
国立大学協会の基本方針により、2024年度に実施する入学者選抜(2025年春の入学者)から、すべての国立大学は一般選抜の共通テストで、原則としてこれまでの「5教科7科目」に「情報」を加えた6教科8科目を課しています。
ただし、合否判定での配点は大学によって異なるので、志望校の募集要項で扱いを確認してください。
共通テストの「情報Ⅰ」は、大学入試センターの令和9年度の実施要項では試験時間60分・100点で、2日目の最後(17:00〜18:00)に行われます。
数学②が16:10に終わってから50分あくので(計算)、その間に用語の最後の確認ができます。
- ①情報社会の問題解決…著作権・個人情報・情報モラル。暗記で取れる
- ②コミュニケーションと情報デザイン…情報の表現方法・デザインの原則
- ③コンピュータとプログラミング…最も差がつく分野。アルゴリズムの理解が必要
- ④情報通信ネットワークとデータ活用…データの分析・統計の基礎
①②は暗記中心なので短期で仕上がります。差がつくのは③のプログラミングと④のデータ分析で、数学の確率・統計と重なる部分が多いのが特徴です。

情報Iは新設科目なので、対策教材も指導者もまだ手薄です。逆に言えば早めに手をつければ差をつけやすい科目でもあります。まずは学校の授業を軽視しないことから。

情報Ⅰは範囲が広いので、用語をまとめて確認できる一問一答を作りました。ここまで読めた方なら、そのまま解けるはずです。

続けて読む:知的財産権とは?
この記事で確認した公的資料
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 情報編」(PDF):情報の特性(消えない・簡単に複製できる・容易に伝播する)
- 国立大学協会「2024年度以降の国立大学の入学者選抜制度 -国立大学協会の基本方針-」(PDF):一般選抜で「5教科7科目」に「情報」を加えた6教科8科目を原則とする
- 大学入試センター「令和9年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施要項」(PDF):「情報Ⅰ」の試験時間60分・配点100点、時間割
- (いずれも2026年9月29日に確認)

